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ここの運営方針は、私との職務関係を示唆する投稿内容を原則として削除するというものです。私との職務関係が無い他大学の方であれば、大学名や立場が分かる状況での投稿は差し支え有りません。
ここの管理者は、apj@水商売ウォッチングの中の人、です。引用部分を除く著作権及び内容についての法的責任はapj個人にあります。 広い意味での研究・教育活動の一環として運営しています。一応学外なので、以前のblogよりは雑談の割合が高くなる見込みです。
apj_yamagataを名乗る私の偽者が出没していますが、こいつは「ふま」「比ヤング」という有名な荒らしで、私とは全く無関係です。ご注意ください。「ふま」っぽい投稿は削除します。また、他人のハンドル詐称を平気でやるので、他所様のblogや掲示板でapjを騙っている可能性もあります。
○研究室のサイト
○冨永研究室びじたー案内(水商売ウォッチング入り口)
○「事象の地平線」過去ログ倉庫
○裁判専用サイトと専用掲示板
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by apj
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2008/09/25
ムペンバ効果調査中(5):雪氷学会のシンポジウム
[科学]
本郷キャンパスで行われた雪氷研究大会で開催された「ムペンバ効果のサイエンス」を見に行ってきた。
結論からいうと、
・発表があった実験は、容器に入れた水の温度を下げる場合(お湯を低温環境下にばらまいたときの話ではない)。
・現在のところ、「湯が水より早く凍る」現象を(過冷却以外で)観測するための実験のパラメータは不明。
ということである。
前半に、発起人の方の挨拶、続けて前野先生の講演、コメンテーターに選ばれた先生方の簡単なコメントと発表、その後がディスカッション(何をどう調べるべきか)という内容であった。
スライドの写真は撮ってきたが、著作権の関係もあって私がここに出すわけにはいかないので、概略を述べると次の通り。
・ムペンバ効果自体は紀元前から報告がある。
・理由の説明は、あったとしてもよくわからないもの。
・ムペンバ君の再発見以後の論文やら解説記事のうち、自分で測定したデータを出している論文は7つしかない。この中にも、実験として不十分・不完全なものが混じっている。
・ムペンバ効果という名前を使うのは間違いのもとで、湯と水で起きる現象の比較なのだから「湯と水くらべ」とでも呼んではどうか。
・確率的現象である、過冷却が実現した後に起きる凍結は今後の調査の対象外にするべき。
・凍る速さの基準は、凍結開始と凍結終了の2種類あることに留意すること。
・説明は膨大な数あって、わかったつもりにさせる図が出ていたりするが、間違いと混乱のもとである。
・今後は系統的かつ計画的にやらないとだめだろう→プロジェクトを組んでみんなでやりませんか。
前野先生の実験では、湯と水をそれぞれ容器に入れて温度を下げ、冷凍庫に入れ、容器の中で最も低温になる部分に熱電対を置いて観測すると、湯の方が先に低温になって凍り始めることもある、という結果になった。
一方、冷凍庫で実験したが何度やっても水が先に凍る結果になったのが、学習院大の田崎さんの結果。
広い低温室で何度実験しても水が先に凍る結果になったという報告もあった。
冷却しながら水の温度分布を測定すると、水から冷やした時と湯から冷やした時で勾配が違うという実験結果になっていた。
これらは、手持ちの実験設備で実験者がこれと思うパラメータを少し振りつつ、独立に行われたものである。
つまり、確実に湯の方が先に凍り始めるという実験条件を見つけることすらできていないというのが現状である
それでも、条件が整えばそれなりに起きる現象らしいので、これからみんなで系統的にパラメータを振って条件探しをして何が効いている現象か調べましょう、という呼びかけとなった。条件探しをした結果、百発百中起こせるようになるのか、起きる確率が上がっただけでやっぱり最後は(例えば揺らぎに左右されるといった)確率的現象だという話になるのかもまだわからない。多分、今の段階では、何を言ったとしても嘘になる。巷に出ているそれらしい説明は、不十分な実験に基づくものなので、とりあえず無視するのが正しい。
終わりに、どんなパラメータを振るべきかというまとめがあり、独立なパラメータの数が多くて、組みあわせ爆発を起こしていたのでちょっと笑ってしまった。それはともかく、プロジェクトを組んだら実験に参加したい人をAグループ、実験はしないが情報は欲しい人をBグループとして、人募集があったので、Bの箱に名刺を入れてきた。
氷の専門家が集団で参加して実験する予定なら、とりあえずお任せした方が無駄が少ないと思ったのでAには入らないことにした。Bにした理由は、冷却時の温度勾配の情報が得られるかもしれないからである。私の実験はラマン散乱で、試料のうち、光が通ったところだけを観測している。サイズの大きいサンプルで温度を下げて測定、などというときに、予想外の温度勾配があるとまずいので、研究でわかった温度分布については、実験のノウハウとして知っておきたい。水で実験しているが、パラメータがこうも不明だと、水に限った話かどうかさえはっきりしない。
非線形ではあっても非平衡は強くないだろうという田崎さんの指摘は腑に落ちた。
精度が十分な実験が無い&説明だけは多い、という状態だが、系統的に実験して何が起きているかをこれから調べる対象であるので、エントリーのカテゴリーは「科学」にした。
普通に実験したのではどうやら再現しないことが多そうなので、氷を早くつくるハウツーとしては現状では使えない。ためしてガッテンの内容では情報が不足……というかそもそも系統的な調査がこれからなので、ガッテンを見た人が全国で自宅の冷凍庫で試したとして、うまくいくのは、偶然うまくいくパラメータを当ててしまった場合に限られる。
結論からいうと、
・発表があった実験は、容器に入れた水の温度を下げる場合(お湯を低温環境下にばらまいたときの話ではない)。
・現在のところ、「湯が水より早く凍る」現象を(過冷却以外で)観測するための実験のパラメータは不明。
ということである。
前半に、発起人の方の挨拶、続けて前野先生の講演、コメンテーターに選ばれた先生方の簡単なコメントと発表、その後がディスカッション(何をどう調べるべきか)という内容であった。
スライドの写真は撮ってきたが、著作権の関係もあって私がここに出すわけにはいかないので、概略を述べると次の通り。
・ムペンバ効果自体は紀元前から報告がある。
・理由の説明は、あったとしてもよくわからないもの。
・ムペンバ君の再発見以後の論文やら解説記事のうち、自分で測定したデータを出している論文は7つしかない。この中にも、実験として不十分・不完全なものが混じっている。
・ムペンバ効果という名前を使うのは間違いのもとで、湯と水で起きる現象の比較なのだから「湯と水くらべ」とでも呼んではどうか。
・確率的現象である、過冷却が実現した後に起きる凍結は今後の調査の対象外にするべき。
・凍る速さの基準は、凍結開始と凍結終了の2種類あることに留意すること。
・説明は膨大な数あって、わかったつもりにさせる図が出ていたりするが、間違いと混乱のもとである。
・今後は系統的かつ計画的にやらないとだめだろう→プロジェクトを組んでみんなでやりませんか。
前野先生の実験では、湯と水をそれぞれ容器に入れて温度を下げ、冷凍庫に入れ、容器の中で最も低温になる部分に熱電対を置いて観測すると、湯の方が先に低温になって凍り始めることもある、という結果になった。
一方、冷凍庫で実験したが何度やっても水が先に凍る結果になったのが、学習院大の田崎さんの結果。
広い低温室で何度実験しても水が先に凍る結果になったという報告もあった。
冷却しながら水の温度分布を測定すると、水から冷やした時と湯から冷やした時で勾配が違うという実験結果になっていた。
これらは、手持ちの実験設備で実験者がこれと思うパラメータを少し振りつつ、独立に行われたものである。
つまり、確実に湯の方が先に凍り始めるという実験条件を見つけることすらできていないというのが現状である
それでも、条件が整えばそれなりに起きる現象らしいので、これからみんなで系統的にパラメータを振って条件探しをして何が効いている現象か調べましょう、という呼びかけとなった。条件探しをした結果、百発百中起こせるようになるのか、起きる確率が上がっただけでやっぱり最後は(例えば揺らぎに左右されるといった)確率的現象だという話になるのかもまだわからない。多分、今の段階では、何を言ったとしても嘘になる。巷に出ているそれらしい説明は、不十分な実験に基づくものなので、とりあえず無視するのが正しい。
終わりに、どんなパラメータを振るべきかというまとめがあり、独立なパラメータの数が多くて、組みあわせ爆発を起こしていたのでちょっと笑ってしまった。それはともかく、プロジェクトを組んだら実験に参加したい人をAグループ、実験はしないが情報は欲しい人をBグループとして、人募集があったので、Bの箱に名刺を入れてきた。
氷の専門家が集団で参加して実験する予定なら、とりあえずお任せした方が無駄が少ないと思ったのでAには入らないことにした。Bにした理由は、冷却時の温度勾配の情報が得られるかもしれないからである。私の実験はラマン散乱で、試料のうち、光が通ったところだけを観測している。サイズの大きいサンプルで温度を下げて測定、などというときに、予想外の温度勾配があるとまずいので、研究でわかった温度分布については、実験のノウハウとして知っておきたい。水で実験しているが、パラメータがこうも不明だと、水に限った話かどうかさえはっきりしない。
非線形ではあっても非平衡は強くないだろうという田崎さんの指摘は腑に落ちた。
精度が十分な実験が無い&説明だけは多い、という状態だが、系統的に実験して何が起きているかをこれから調べる対象であるので、エントリーのカテゴリーは「科学」にした。
普通に実験したのではどうやら再現しないことが多そうなので、氷を早くつくるハウツーとしては現状では使えない。ためしてガッテンの内容では情報が不足……というかそもそも系統的な調査がこれからなので、ガッテンを見た人が全国で自宅の冷凍庫で試したとして、うまくいくのは、偶然うまくいくパラメータを当ててしまった場合に限られる。
posted by apj (apj's web)
【修正】
13 cool
posted at 2008/09/26 01:21:45
lastupdate at 2008/09/26 13:07:01
lastupdate at 2008/09/26 13:07:01
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Comments
お疲れ様&情報提供ありがとうございます。
NHKは確か「再実験10回やって10回成功しました」というような旨のコメントを出していたはず。
で、お湯の方が早く凍る映像も番組中で流していたはず。
解説のためのグラフも番組中で出していた。
これらが全部捏造の可能性が高いという事なのか!
NHKも無茶苦茶だなぁ orz
お湯ばらまきに関しては、再現の可能性は残っている
ような気がする。ムペンバに関係あるなしは
不明だが、ここからたどってみようなんて思う人は
いなかったようですね。
NHKは確か「再実験10回やって10回成功しました」というような旨のコメントを出していたはず。
で、お湯の方が早く凍る映像も番組中で流していたはず。
解説のためのグラフも番組中で出していた。
これらが全部捏造の可能性が高いという事なのか!
NHKも無茶苦茶だなぁ orz
お湯ばらまきに関しては、再現の可能性は残っている
ような気がする。ムペンバに関係あるなしは
不明だが、ここからたどってみようなんて思う人は
いなかったようですね。
at 2008/09/27 12:57:17
気象関係の人が入ってくれば、お湯ばらまきから始めるかもしれませんね。
NHKについては、映像そのものが捏造かどうかまでは何とも言えませんが、氷を早く作る方法として一般の人に紹介したのは明らかにまずかったかと。
NHKについては、映像そのものが捏造かどうかまでは何とも言えませんが、氷を早く作る方法として一般の人に紹介したのは明らかにまずかったかと。
at 2008/09/27 13:42:38
×映像そのものが捏造かどうか
○映像について言われた成功率が捏造かどうか
失礼しました。
○映像について言われた成功率が捏造かどうか
失礼しました。
at 2008/09/27 13:45:37
融液からの結晶成長では、融液の過熱度を大きくすると過冷却度が大きくなるという傾向があります。これは融点直上では融液が会合してクラスターを作っているので、これをバラバラにしてやらないと良い結晶ができない、過熱してバラバラにしてやると、今度は結晶核が生成しにくいので、過冷却になりやすいというような解釈になっています。水の場合も同じならば、お湯の方が過冷却になりやすいことになって、水よりも凍りにくくなります。
> 前野先生の実験では、湯と水をそれぞれ容器に入れて温度を下げ、冷凍庫に入れ、容器の中で最も低温になる部分に熱電対を置いて観測すると、湯の方が先に低温になって凍り始めることもある、という結果になった。
同重量の湯と水の違いはエンタルピーが異なることです。普通なら当然エンタルピーの小さい水の方が先に凍ります。もう一つの違いは、湯の方が水よりも対流が強くなることです。湯の方が温度が高く対流が強いので最初はどんどん冷えます。前野先生の実験では、対流の大きいお湯の方が局部的に低温になる場合があり、先に凍ることもあるということでしょうか。対流の影響をなくすには、マグネティックスターラーなどで、強制的に撹拌してしまえば良いのですが、そうすると、当然水の方が先に凍る気がします。前野先生の実験の場合、たまたま容器の底と冷凍庫の床の接触が良くて、熱が逃げやすかったと解釈することもできます。
> 確率的現象である過冷却が実現した後に起きる凍結は、今後の調査の対象外にするべき。
でも、過冷却以外の理由で、湯の方が先に凍ることがあるのでしょうか?
> いろんな人が参加しそうではあるので
実験条件を厳密に制御していくと、ますます水の方が先に凍ることになるような気がします。ともあれ、前野先生と雪氷学会プロジェクトチームのお手並みを拝見させていただくことにします。
> 前野先生の実験では、湯と水をそれぞれ容器に入れて温度を下げ、冷凍庫に入れ、容器の中で最も低温になる部分に熱電対を置いて観測すると、湯の方が先に低温になって凍り始めることもある、という結果になった。
同重量の湯と水の違いはエンタルピーが異なることです。普通なら当然エンタルピーの小さい水の方が先に凍ります。もう一つの違いは、湯の方が水よりも対流が強くなることです。湯の方が温度が高く対流が強いので最初はどんどん冷えます。前野先生の実験では、対流の大きいお湯の方が局部的に低温になる場合があり、先に凍ることもあるということでしょうか。対流の影響をなくすには、マグネティックスターラーなどで、強制的に撹拌してしまえば良いのですが、そうすると、当然水の方が先に凍る気がします。前野先生の実験の場合、たまたま容器の底と冷凍庫の床の接触が良くて、熱が逃げやすかったと解釈することもできます。
> 確率的現象である過冷却が実現した後に起きる凍結は、今後の調査の対象外にするべき。
でも、過冷却以外の理由で、湯の方が先に凍ることがあるのでしょうか?
> いろんな人が参加しそうではあるので
実験条件を厳密に制御していくと、ますます水の方が先に凍ることになるような気がします。ともあれ、前野先生と雪氷学会プロジェクトチームのお手並みを拝見させていただくことにします。
at 2008/09/28 11:23:32
> 過冷却以外の理由で、湯の方が先に凍ることがあるのでしょうか?
例えばビーカーの中がこういう状態を経て凍るのと
0度0度0度0度
1度1度1度1度
2度2度2度2度
3度3度3度3度
4度4度4度4度
こういう状態を経て
0度0度0度0度
0度0度0度0度
0度0度0度0度
1度1度1度1度
1度1度1度1度
凍るのでは違いは出てくると思う。
こういう見落としが無いなんて誰も言い切れない。
例えばビーカーの中がこういう状態を経て凍るのと
0度0度0度0度
1度1度1度1度
2度2度2度2度
3度3度3度3度
4度4度4度4度
こういう状態を経て
0度0度0度0度
0度0度0度0度
0度0度0度0度
1度1度1度1度
1度1度1度1度
凍るのでは違いは出てくると思う。
こういう見落としが無いなんて誰も言い切れない。
at 2008/10/01 11:57:11
すとんぴぃ さん こんにちは。
あなたの主張の内容は、どういうことなのでしょうか?
ビーカーの上部と下部で温度差が大きい場合と小さい場合のこと?
それとも、ビーカーの上部から下部に向かって、温度が少しずつ違う層に分かれている場合と、温度の層が二つだけに分かれている場合のこと?
あるいはもっと別のこと?
さらに、言いたい趣旨は「過冷却以外の理由で湯のほうが先に凍ることがある」ということで良いのですか?
その趣旨だとしたら、あなたが上げた状態の違いは、「お湯から」と「水から」の違いには対応していないと思いますよ。
あなたの主張の内容は、どういうことなのでしょうか?
ビーカーの上部と下部で温度差が大きい場合と小さい場合のこと?
それとも、ビーカーの上部から下部に向かって、温度が少しずつ違う層に分かれている場合と、温度の層が二つだけに分かれている場合のこと?
あるいはもっと別のこと?
さらに、言いたい趣旨は「過冷却以外の理由で湯のほうが先に凍ることがある」ということで良いのですか?
その趣旨だとしたら、あなたが上げた状態の違いは、「お湯から」と「水から」の違いには対応していないと思いますよ。
at 2008/10/01 15:16:29
憂鬱亭さんこんにちは
> 冷却しながら水の温度分布を測定すると、水から冷やした
> 時と湯から冷やした時で勾配が違うという実験結果になっていた。
> 冷却しながら水の温度分布を測定すると、水から冷やした
> 時と湯から冷やした時で勾配が違うという実験結果になっていた。
at 2008/10/01 17:40:19
すとんぴぃ さん こんばんは。
あなたの主張がわかりません。
>実験結果になっていた。
はわかりました。
が、これは温度変化の勾配の話で、凍り始めることとは違いますよ。
あなたは何が言いたいのか、うまく言葉で伝える工夫をしてください。まとめるのに時間がかかってもかまいませんから。
他人の言葉をコピペしただけでは、「あなたが」何を言いたいのか、伝わらないんですよ。
あなたの主張がわかりません。
>実験結果になっていた。
はわかりました。
が、これは温度変化の勾配の話で、凍り始めることとは違いますよ。
あなたは何が言いたいのか、うまく言葉で伝える工夫をしてください。まとめるのに時間がかかってもかまいませんから。
他人の言葉をコピペしただけでは、「あなたが」何を言いたいのか、伝わらないんですよ。
at 2008/10/01 19:17:48





