本の紹介と書評など

タイトル 視覚でとらえるフォトサイエンス生物図録
著者/訳者 鈴木孝仁 監修
出版社 数研出版
出版年 平成12年
定価 848円
ISBN 4-410-28161-5

 高校生向けの生物の参考書。

 元々生物を理解するには、写真や図がたくさんあった方が良くて、教科書では載せられる図や写真に限界があるから、別途図表集が副教材とされることが多いだろう。私も高校のときは図表集を買わされた。

 この図録のいい点は、クローン動物や遺伝子組み換え食品など、最新の技術についても見開きページを使って説明しているところと、関連するURLが掲載してあって、もっと詳しい情報をネットから入手できるようにしているところである。

 掲載されている写真の数も多い。特に顕微鏡写真は、自分で撮るのは難しいし、一般の図鑑でもそう載っているものではないので、一見の価値があると思う。動物や植物の写真も豊富なので、これをきっかけにして他の図鑑を見るという楽しみ方もあるだろう。

 題材が高校生物の内容に沿っているという制約はあるが、高校生でなくても楽しめる。写真を眺めているだけでもけっこう楽しいので、中学生以上大人も使えるだろう。これで興味を持った項目について、例えばブルーバックスを読んでみたり、もうちょっと進んだ専門書(Molecular Biology of the Cell, Biochemistry(Stryer)等)や解説書を読んだりするといいと思う。

 1つ惜しいと思ったのは、発生のところで、卵の動物極の位置は卵のある位置に固定されているということを書いておいて欲しかったという点だ。入試にも発生の理解にも無関係な話だが、これを知っておくと、魚屋や寿司屋で出てくるイクラが人造か本物かを見分けるのに役立つ。人造なら、卵を回して動物極を下に向けたとき、しばらくすると動物極が卵の中を移動して上に上がってくる。本物なら動物極は卵に固定されているから、卵を回しても移動してこない。これは、私が共同研究者の生物屋にきいた話だ。

 これもやはり、848円はお買い得だと思う。



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Y.Amo /
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