5.TDR測定の実際

1.装置

ここでは、私が博士課程のときに立ち上げを行った測定システムについて主に述べる。なお、新しい装置などが出て状況が変わった点については適宜補足する。

 タイム・ドメインネットワークアナライザ(HP54121T,Hewlett-Packard)を用いた。これはデジタイジングオシロスコープ(HP54120B)とテストセット(HP54121A)で構成されている。データの保存とスペクトルの計算のためにパーソナルコンピュータ(Power Macintosh7100/66AV, Apple Computer)を使用した。インターフェースは、ネットワークアナライザ側がGPIB、コンピュータ側がSCSIであり、相互の接続のために変換用のコントローラ(MacAdios488s, GW Instruments, Inc.)を使用した。

測定システム
図5.1:測定システム

 TDRでは50 Ωの同軸ケーブルを通して試料に立ち上がりが45 ps以下のステップパルスを印加しその反射波を測定する。測定時間はnsのオーダーであるため、繰り返しパルスに対してサンプリングの開始を少しずつずらすことで、時間軸上で500点のデータを得る。パルスの高さは一定で200±2 mVである。パルスの繰り返し周波数は500 kHzにして行った。これはこの装置のパルスジェネレータのFreeRunを最も速くした状態である。

 最近では、HP54750Aという新しい装置が出て、時間軸上の測定点が4096点までとれるようになった。しかしテストセットがオシロに内蔵される形になったので、使いにくいこともある。TDRの測定では、テストセットとプローブの接続部分は極力力をかけないようにし、かつプローブの温度が測定中に変化しないようにする必要がある。そのため恒温漕を使ったりするのだが、プローブがオシロに直結だと、配置が面倒になったかもしれない。


 また、Mac用のGPIBインターフェースは、GW Instruments, IncにOEMしていたIOtechがサポートしなくなってしまったので、ナショナルインスツルメンツ社のインターフェースを使う必要がある。私の作成した測定プログラムは、両方のインターフェースに対応している。Macは初代のPowerMac以上なら、フーリエ変換などの速度は十分出せる。


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Y.Amo /
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