水商売ウォッチング:その他の水「

「KDD(株)」へのコメント(2008/01/10)

【注意】このページの内容は商品の説明ではありません。商品説明中に出てくる水の科学の話について、水・液体の研究者の立場から議論しているものです。製品説明は、議論の最後にある、販売会社のページを見てください。

 「抗酸化電子機能水 エレクトロン、パワーウォーター」を販売している。
 宣伝の最初に大きなフォントで強調されているのが

EPW-1000は電子活性されている上、自由電子を大量に保持している水なのです

という、科学としては全く意味不明な説明である。水を「電子活性する」などという現象は我々の科学には存在しないし、「自由電子を大量に保持」も、水分子が全体として電気的に中性であるという実験事実、仮に不純物として電解質が入っていたとしても、そのような水溶液は電子伝導体ではなくイオン伝導体であるという事実に真っ向から反する。
 この手の水の宣伝につきものの、「体にいい」系の説明はというと、

血流速度が早いためドロドロ血がサラサラ血に変化して

と、インチキ商法で多用されて摘発まであったネタを未だに使っている。

体の錆びを取り除く作用、抗酸化作用をアップすることで、体の錆をなくしましょう

 実際には「体の錆」など存在しないし、そう呼べるような生化学的現象は無い。

水道水、ミネラルウオーター等に1Lに対して1cc入れますと生体の還元電位と同じプラス170〜200に変化します

 酸化還元電位で飲料水の評価をしている時点で、酸化還元反応について何も知らずに説明を書いているということだけははっきりわかる。なお、書いてあるようなことが起きる、つまり少量を加えただけで水の酸化還元電位が変わるのというが本当ならば、製品中には相当高濃度の電解質が含まれていないとおかしいが、組成については

成分は精製水にて薬品などは一切使用していません

とあり、ますますあり得ない話になっている(一般に、水道水のような薄い水溶液は不純物組成が変わると簡単に酸化還元電位の値が変わってしまうが、使うにあたっては何の問題もない)。

 ページの後の方に掲載されている図は、水をシャーレで凍らせた時の写真で、氷表面の状態が電子の状態と関係すると主張しているが、説明がまったく意味不明である。また、ヒトを例にした測定値は、対照群がないため、違いがあったことがEPW-1000によるものであるという根拠にならない。

 ページの残りの部分もツッコミどころ満載だが、あとは「怪しい宣伝チェックリスト」と見比べて、いくつ該当するか調べてみると、なかなか良い教材になるのではないか。

※電子云々のふれこみは、「電子水」(静電三法という我々の物理学とは全く関係のない擬似科学を使っている)から派生したもののように見える。最近「電子水」を見かけないと思ったら、形を変えて定着したのだろうか。

 


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