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<title><![CDATA[「事象の地平線」過去ログ倉庫]]></title>
<link>http://www.cml-office.org/ww-gl/</link>
<description><![CDATA[過去ログなので閲覧のみです。コメントとトラックバックの投稿はできません。徐々に整理して、Geeklogに移す予定です。]]></description>
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<lastBuildDate>Fri, 22 May 2009 21:47:48 +0900</lastBuildDate>
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<copyright>Copyright (c) 2009 「事象の地平線」過去ログ倉庫</copyright>

<item>
<title><![CDATA[余剰博士問題：分かりやすい説明]]></title>
<link>http://www.cml-office.org/ehold/?logid=6762</link>
<description>
<![CDATA[ 
<a href="http://shinka3.exblog.jp/7183356/" target="_blank">５号館のつぶやき</a>さんのところに、通りすがりさんが大変分かりやすい説明を投稿されていたので引用させていただく。なお、投稿は２つに別れていたが、読みやすくするため１つにまとめさせていただいた。<blockquote>例えば100人の博士取得者とします，アカポスの求人が30人分あります．倍率の期待値は3.3倍になります．果たしてそうでしょうか？<br />
<br />
この制度を始めて１年目は<br />
１年目（求職者）新卒100人　PD0人　→アカポス30人，PD70人<br />
アカポス就職率（30／100）：　30%<br />
２年目（求職者）新卒100人　PD70人→アカポス30人，PD140人<br />
アカポス就職率（30/170）　17.6%<br />
３年目（求職者）新卒100人　PD140人→アカポス30人，PD210人<br />
アカポス就職率（30/240）　12.5%<br />
．．．．<br />
６年目（求職者）新卒100人，PD350人→アカポス30人，PD420<br />
アカポス就職率（30/450）　6.6％<br />
．．．．<br />
９年目（求職者）新卒100人，PD560人→アカポス30人，PD630<br />
アカポス就職率（30/660）　4.5％<br />
<br />
27歳で学位取得した人が33歳までポスドクを続けるとすると，毎年6.6%，36歳まで続けるとすると，毎年4.5%しか，アカポスに就けない計算です．これが現状なのです． <br />
<br />
公募（倍率は数十倍，時には100倍を超える）に，１年間，出し続け，漸く15−20人に１人がアカポスに就く計算です．<br />
（ここでのアカポスは，旧帝大とかではなく，地方の小さな私大や短大，国立，全てのポストを含めた確率です．）<br />
<br />
それを９年間続けると，期待値として，3人に１人がアカポスに就く状況なのです．９年間，何十回も公募に出し，落とされ，を繰り返し，不安定な身分で仕事を続けます．（精神的におかしくなる人もいます．）<br />
<br />
その後は，任期付アカポス（契約職員と同じ）か，ベンチャー系の中小企業か，失業です．誰がこんな道を選ぶのでしょう？世間並みの人生設計がある暮らしが出来ないのです．<br />
<br />
新聞社が運営するサイトにも，ポスドクの妻が書いた，生活不安の相談が複数出ています．科学の振興を本気で考えるなら、贅沢でなくとも人並みの生活が出来ることが必須です。<br />
<br />
なお，上記の計算は，博士課程定員の３割程度のアカポス求人があると仮定し計算しました。現状は、博士課程の定員の２割以下です。一方、博士取得時に初めから企業を目指す人もおり、若干修正の余地はあります．それでも，かなり実感に近い筈です．</blockquote>　現実には、40歳近いポスドクも居るから、この試算の数字よりもさらに状況は悪いかもしれない。いずれにしても、博士号を取得した人100人のうち4人程度しか大学や研究所には就職できない状態を続けるわけで、その時残りの96人は、修士号をとって企業に就職したのと比べるとかなり不利なままになる。収入を得始めるのが何年か遅れるだけでも、生涯賃金としてその分を取り返すのは大変である。それでも、早めに就職活動してうまく企業に入った人はそこそこ食べていけるが、タイミングを誤ると日本の企業の採用慣行が邪魔をして、ワーキングプアへまっしぐらとなる。<br />
　身につけた専門を活かして食べていける人の割合が4%というと、近いのが法科大学院以前の司法試験の合格率である。平成16年度で3.4%だという数字が出ていた。弁護士の方も司法試験合格者数が急に増えたので、来年あたりから問題が表面化しそうだが、少なくとも法科大学院になる前の司法試験合格者であれば、ほぼ間違いなく法曹になれ（多くは弁護士）、弁護士の収入は一般的に見て日本の上位層であった。また、記念受験する人が混じっているという話もあったから、実質の競争倍率はこれよりも低かったかもしれない。<br />
　現状の博士後期課程というのは、<br />
・専門を活かして食べていける可能性は昔の司法試験合格者並み<br />
・運良く「合格」しても、収入は昔の弁護士とは比較にならないほど低い（半分以下）<br />
ということになる。若者が頑張る対象としては、大学院重点化後に博士を取得して研究者を目指すよりは、司法試験合格を目指して努力するほうがよっぽどマシだったということになる。まあ、弁護士の方も、合格者数急増で近々問題が発生しそうではあるので、これから選ぶ道としてはよく考えた方がいいかもしれないが。<br />
<br />
　いずれにしても、これから博士後期課程に進学しても「研究でやっていける可能性は（毎年）4%、就職は博士前期に比べてよくて同程度か、大抵は圧倒的に不利」という未来が待っている。上記の通りすがりさんの試算のようなこと、つまり「毎年の博士取得者の２割程度はポストがある」といったことを指導教員が言ったとしたら、それは何も分かっていないか、意図的に学生を破滅に導くために騙しているかのどちらかだと思うべきである。<br />
<br />
【追記】<br />
　大「脳」洋航海記さんのところで、「<a href="http://www.mumumu.org/%7Eviking/blog-wp/?p=1322" target="_blank">ドクター・ポスドク問題その後(6)：そもそもポスドクの口すら足りない</a>」というエントリが出た。上記のモデルで考えた場合、PDの人数は年々増え続けるが、PDを雇う予算の方には限りがあるから、今度はPD内で「有給」「無給」に分かれることになり、同様の計算によって「PDの有給率」も年々下がる、ということになる。実際すでにそうなりつつあるというのが大「脳」洋航海記さんの指摘である。<br />
　PDのポスト不足について、５号館のつぶやきさんのところでも「<a href="http://shinka3.exblog.jp/7263865/" target="_blank">ポスドク問題が新しいフェーズに</a>」という新エントリが上がった。<br />
【さらに追記】<br />
　合格率４％だと、旧司法試験よりもむしろ弁理士試験の合格率に近い。司法試験は制度改革でロースクールに行かないと難しくなってしまったが、弁理士試験には制限は無かったはずである。<br />

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<category><![CDATA[博士・ポスドク問題]]></category>
<author><![CDATA[apj]]></author>

<comments>http://www.cml-office.org/ehold/?logid=6762#comments</comments>
<pubDate>Thu, 25 Oct 2007 20:45:01 +0900</pubDate>
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</item>

<item>
<title><![CDATA[博士課程に進学する前に読むべき本]]></title>
<link>http://www.cml-office.org/ehold/?logid=6690</link>
<description>
<![CDATA[ 
　<a href="http://www.amazon.co.jp/dp/4334034233/" target="_blank">『高学歴ワーキングプア　「フリーター生産工場としての大学院」』水月昭道著（光文社新書）978-4-334-03423-8</a>。<br />
　大学院重点化後の博士取得者がどういう環境に置かれたかを正面から捉えて議論している本。<br />
　ポスドクまで到達する人を一人育てるのに投入された税金は１億円で、研究者数と研究レベルの確保をするはずが、増えたのは博士号を持ったワーキングプアだった。大学は規模縮小に向かい、旧国研も人員削減、企業側は元々博士号取得者を採用するつもりが無かったという話。結局、１８歳人口が減る分の埋め合わせを兼ねて、たまたまバブル崩壊後の不況で就職難になった世代を政策的に大学院に誘導したのだろうと著者は論じている。<br />
　博士卒の失業率は、著者によると医歯薬系を除くと50％程度（分野による差はある）である。博士号取得の後、死亡・不明の者は9.2%、つまり１０人に１人は社会との接点無くどこかに消えている。<br />
<br />
　所属組織の利害には反することを承知の上で、私は、研究者になりたいという学生には、大学や独立行政法人の研究所に関する限り、当分の間はその見込みがほとんど無いことを正直に告げている。もしどうしても博士課程に行きたいならば止めはしないが、博士２年の春頃から修了見込みで就職活動して中途採用にならないようにフレッシュマンとして企業に就職すべきである。給料の上では、修士と同じ扱いの会社もあったりするが、それでもまともな生活をすることができるだろう。ポスドクは、その先がほとんど無いから、人生を棒に振る覚悟があるか、働かなくても食べていける収入源を確保している人でない限り薦めない。この間も若い人に「若い間は薄給で任期付きで仕事をしながらチャンスを待つという気分でいることができても、その状態では、結婚はまず無理（収入が不安定な上に勤務地が短期で変わる可能性あり）、社会保障からもはじき出される可能性が高いし、数年して同級生に妻子が居てマイホームでも持とうかという状態を横目で見ながら、それでも研究に打ち込む貧乏暮らし人生に自分が満足していられるかをよく考えてから進学を決めるように」と言ったばっかりだったりする。とにかく、博士取得後任期制でないポストを得たのが何割かを見ろ、任期付きになってる人達は全て失業者予備軍とカウントせよ、あと、就職していても人材派遣会社に就職した人は別扱いにすべきで、そうやって出した失業率を見て、それでもあなたはその道を選ぶか？というのが、これから進路を決めていく若い人に真面目に考えて欲しいことである。<br />
　但し、博士前期課程までなら企業もキャリアとして見てくれるので、就職のチャンスを拡げたいという目的があるなら博士前期課程を終えた段階で企業に就職するとよい。うまく従業員を育ててくれる大手に就職してきちんと仕事をすれば、入社数年後に社会人大学院生として博士課程に入り、博士号を取得後また企業の研究開発の現場で働くこともできる。そういう優秀な人を私は何人も知っている……というか博士課程を過ごした研究室に何人もいて、いろいろ助けていただいた。<br />
　既に公務員として働いている卒業生が博士前期進学について相談に来た時は、休職にするか職場の研修の制度を使うなどして、必ずもとの職場に戻れる状態での在学を薦め、その場合は卒業した学科ではなく他の学部を使うことも考えてはどうかとアドバイスした。再チャレンジというのは掛け声だけで（ってか掛け声かけてた張本人が総理を途中で投げ出したという皮肉な状態だが）、実際にはレールを外れると戻ることが著しく困難なので、敢えて負け組転落の可能性が高い道を薦めることはできなかった。相談者の期待には反したかもしれないが……。<br />
　勤めている会社を辞めての博士進学は、本人がいつでも起業できるだけのノウハウと営業能力を持っている場合に限り、やっても大丈夫だろう。そうでないなら博士取得後に苦労するのが目に見えているので、やめておいた方がよい。<br />
<br />
　なお、大学教員のうち、大学院重点化前に博士号を取得して就職した人の意見は、博士進学の是非に関することについては考慮するべきではない。その人達が進学した頃と今とでは状況が様変わりしている。昔なら、コネや力のある研究室に入れば、何とか就職先を世話してもらえたかもしれないが、今は人員削減で、人を紹介できる先もほとんどなくなっている。昔は博士課程進学の段階で選別がかかっていたから、ほとんどの人が数年のポスドクの後で常勤のポストを得ることができた（一部の分野でオーバードクターが問題になっていた、それにも関わらず重点化をやった人の正気を疑う）。そんなのどかな頃の感覚で進学を薦められても、それを受け入れたら、今の若い人達には破滅への道が待っているだけである。<br />
<br />
　博士号の文化的価値、学問的価値は昔から変わらずにあると思うが、経済的価値とあまりにも乖離してしまっているのが現状なので、手放しに一方の価値だけを重視するのは危険である。<br />
<br />
【追記】<br />
　本の中では、工学系はそんなに就職難でもないようなことが出ていたが、実際は工学系も（そしてもちろん理学系も）屍累々である。<br />
　また、講義のある日だけ短時間出勤してくるのが大学教員の勤務実態のようなことが書かれていたが、少なくとも理工系の教員にそんな人は居ない。民間より多少フレックスだが残業の嵐なのは同じだし、年休をじゅうぶん取っている人も見かけないし、代休の取得も定められた期間内に済ませるのは困難だったりする。<br />

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<category><![CDATA[博士・ポスドク問題]]></category>
<author><![CDATA[apj]]></author>

<comments>http://www.cml-office.org/ehold/?logid=6690#comments</comments>
<pubDate>Tue, 16 Oct 2007 16:17:43 +0900</pubDate>
<guid>http://www.cml-office.org/ehold/?logid=6690</guid>
</item>

<item>
<title><![CDATA[博士課程の定員減少]]></title>
<link>http://www.cml-office.org/ehold/?logid=5328</link>
<description>
<![CDATA[ 
　酔うぞさんにも紹介していただいたが、メモしておいたほうが良いので、ここに書いておく。<a href="http://www.asahi.com/life/update/0526/TKY200705260053.html" target="_blank">asahi.comの記事より</a>。<blockquote>就職難で「博士離れ」か　博士課程の定員、初めて減少<br />
2007年05月26日10時25分<br />
<br />
　国立大学の博士課程の入学定員が今年度、初めて減った。政府は「科学技術創造立国」を掲げて博士の数を増やしてきたが、就職難から学生の「博士離れ」が始まり、一部の大学が定員の削減に踏み切ったためだ。関係者からは「現状を放置すれば優秀な人材が集まらなくなり、日本の国際競争力が低下しかねない」と心配する声も出ている。<br />
<br />
　文部科学省によると、国立大大学院博士課程の０７年度の定員は１万４２８２人で前年度より１１８人の減。定員を減らしたのは秋田大（２６人）、九州大（２０人）、神戸大と千葉大（各１８人）など。減少は５６年以来だが、このときは戦後の学制改革の影響だったため、実質的には初めてという。<br />
<br />
　政府は９１年度から大学院生の倍増計画を進めてきた。国立大博士課程の定員は９１年度の７５８９人から右肩上がりで増え続け、ほぼ倍増。一方で、博士の受け皿となる大学や公的研究機関の研究職の数は増えず、０６年３月に博士課程を修了した人の就職率（企業なども含む）は６割程度にとどまった。<br />
<br />
　学生の「博士離れ」は既に始まっており、大学院博士課程への入学者数は０３年度をピークに減少に転じている。とくに理工系では、優秀な人材が修士課程までで企業などに就職する傾向が強まっているという。<br />
<br />
　文科省で科学技術・学術政策局長を務めた有本建男・科学技術振興機構社会技術研究開発センター長は「このままでは優秀な人材が博士課程に入ってこなくなり、国際競争力も下がってしまう。博士の就職難対策に政府と大学、企業がともに本気で取り組む必要がある」と話している。</blockquote>　国際競争力のために個人に向かって「犠牲になれ」と国が言う（あるいはそういう制度を作る）のは間違っている。科学技術のどれかの分野が好きで好きで、結果として生活を犠牲にする個人が出てきてしまう、ということはあるかもしれないし、あってもしかたがないが……。<br />
　もともと、大学院進学、特に博士課程進学は、個人にとっては経済的に見合わない行為ではなかったか。<br />
　同じ大学の同じ学科を出た人で給料を比べた場合、学部で卒業すると即給料がもらえて、会社でキャリアを積むと、多少は上がっていく。博士前期課程（修士）まで進むと、同級生が２年間給料をもらっている間の収入は無い。修了して会社に入った後の収入が、学部で就職した人と比較して、一定期間後に遅れを取り戻せれば、個人にとって「学歴で損はしなかった」ことになる。修士卒の給料を高めに設定している会社は多いので、修士までなら、個人にとって「遅れた分を取り戻せる」のではないか。それでも「取り戻せる」だけで、どれだけ「利益を得る」ことが出来るかは疑問である。ただ、会社によっては修士の場合は選択肢が広がったり、まるきり予想できない部門にまわされる確率が減ったりするから、その意味では個人にとってメリットがあるだろう。<br />
　これが博士になると、さらに３年社会に出るのが遅れる上に、出た後の就職先の選択肢が少なくなる。同級生がさらに３年給料をもらってキャリアを積んでいる時、収入は（限られた人を除いて）ない。大学院５年間で自分に投資した金額、つまり授業料等と、就職していたらその間得られたであろう収入を、修了してから取り戻せるかということが問題になる。この場合の指標としては、生涯賃金の額が最も適切だと思うが、これが「博士卒が十分高い」状態になっていなければ、普通の人なら「進学は損」と思うのが当たり前である。もともと小数の学問オタク、学問マニアが存在し、「損をしたって生活が不安定になったってやりたいことをやる」という生き方を選んでいた。そういう人がこれまでは大学に残ったりしていたのだけど、世間から見れば例外だろう。<br />
　制度として「博士を増やす」ことにしたということは、マニアックな個人の行動に頼るのは止めてシステマティックに人材養成をすることにしたということだろう。そうすると、博士課程に進むかどうかの判断基準の方だって世間並みになるのが必然で、収入面でメリットが無ければ普通の人には全くアピールしないのは当たり前である。<br />
　また、本当に企業に人材を送り込みたかったのなら、ポスドクを増やしたのがそもそもの間違いではないか。博士卒でも、受け皿が一番多いのは、フレッシュマンとして就職する場合である。ポスドクをやってからの就職になると中途採用扱いだから、会社の業務とマッチしないと優秀でも採用してもらえなくなる。ポスドクを増やしたために、企業への人材供給を狙って定員を増やしたのに、出てきた人がポスドクに止まることになって、さらに就職難を推し進める結果になったのではないか。<br />

]]>
</description>
<category><![CDATA[博士・ポスドク問題]]></category>
<author><![CDATA[apj]]></author>

<comments>http://www.cml-office.org/ehold/?logid=5328#comments</comments>
<pubDate>Sat, 26 May 2007 15:28:22 +0900</pubDate>
<guid>http://www.cml-office.org/ehold/?logid=5328</guid>
</item>

<item>
<title><![CDATA[さらにズレた気もするが、やっぱり書いておく]]></title>
<link>http://www.cml-office.org/ehold/?logid=5267</link>
<description>
<![CDATA[ 
　<a href="http://yoikochan.spaces.live.com/blog/cns!2345C07DE47BC0ED!9637.entry" target="_blank">向こうのblog</a>にはトラックバックもコメントもできない状態なので、こっちで書いておく。博士の問題について。<blockquote>元々の元村さんの問題提起は「低品質な博士量産している」ってことなので、「じゃあ、全てを国際標準に合わせましょうや。」という意味で、「博士＝芸人」と書いたわけです。</blockquote>　この部分で既に私の理解と違っている。私は「余剰博士」とあるのを見て、現在起きている博士の極端な就職難を指摘していると読んだ。つまり、普通に仕事ができる人まで、報われないグループに簡単に入ってしまう制度になってしまっているということである。<br />
　こんな状態がなぜ生じたかというと、ポスドク増やせという政府（と多分産業界）の意向が後押しして、大学も乗っかって、博士過程の定員を増やしまくったからである。博士進学が自己責任だといっても、上から「重点化」の掛け声がかかれば、そりゃ「これまでの徒弟制度的なものとは違うものになった」と思う人が出てきたって仕方がない。学校教育法だって、「高度の専門性が求められる職業を担うための深い学識及び卓越した能力を培い」となっている。うかつに進学した院生の読みが甘かった面があるとしても、それを言うならお役所からしてが人材の受給バランスを完全に読み間違えているのだから、院生やポスドクばかりを責められない。<br />
　その結果、博士の数が急に増えて、就職難になった。特に日本では、新卒の方が就職しやすいから、うっかりポスドクをやると中途採用の対象になるため、職探しが難しくなる。<br />
　元村さんの指摘は、就職難による「報われないイメージ」→「博士課程が最初から優秀な人材に敬遠される」→「博士の品質低下」というものである。従って、<blockquote>田舎大学で、入学試験を温くしないと院生が集まらないのは仕方ないとしても、院生の育て方まで温くして、国際的に通用するわけないやん。</blockquote>　というのは失当である。記事のロジックとは全く結びつかない。<br />
　また、この記述は事実に反する。入学試験をユルユルにして博士課程の院生を集めてエライことになったのを私が目撃したのは、東大の院在学中のことだった。社会人入学する人を対象に博士課程の入試の科目負担を減らしたら、外部の大学の修士からストレートで上がってくる人達に利用されまくった。<br />
　こちらは修士課程の話だが、田舎大学の部類にはいる（かもしれない）私の所属している大学の学科では「入学試験をきちんとやろうとすると、ネームバリューで勝っている旧帝大の試験ユルユル作戦に学生が取られてしまう」ことが話題になっていたりする。比較する専攻にもよるが、学科試験の負担はウチの方が高かったりするわけで。<br />
<br />
　さて、博士が芸人やアスリートと同じだろうというのは、一般論としては私も賛成する。ただ、これを、今問題になっている「余剰博士」（＝就職難で今現在困っている博士持ちの人々、元村さんが取り上げた人達）に適用することには反対する。余剰は、人材の受給の見通しを間違えた政策によって作り出されたものだからである。芸人やアスリート養成とは逆のやり方で人を育てますと煽っておいて、いざ学位をとってみたら「芸人やアスリートと同じ扱いだから」というのはやっぱり違うだろう。世界標準でない養成政策をとってしまった以上は、世界標準にはない何らかのセーフティーネットを用意するのが適切なはずである。芸人でもアスリートでもない、一般の労働者の雇用問題と同じに捉えて解決策を用意しないとまずいという意味である。これを「甘やかす」とは言わないと思うぞ。<br />
<br />
<blockquote>そんな、あんたらのご都合現実なんか知らんがな。<br />
院生足りなくて食っていけないのなら、中国でも朝鮮でも、ベトナムでも、インドでもいいから、自分でスカウトしてくればどうですか？<br />
それが嫌なら、修士で企業の研究所入れて、またすぐ博士課程に内地留学させてくれるような企業に学生を送り込む努力をすればどうですか？<br />
学生は自分からやってくるものと思ってませんか？</blockquote>　で、このボケまくったコメントは一体何なのか？私がいつ、学生が来ないとか院生が足りないとか書いたんだ？どういう妄想を抱いてるんだか（【追記】学位を取得した元院生が食えないのが問題だって話をしているときに、院生が足りなくて食っていけないって、一体どういう発想をすればこんな話が出てくるんだ？）<br />
。　私は以前から、博士課程の定員は絞れと主張している。また、定員を増やすのであれば、例えば「企業が中途採用で博士をたくさん採用→アカデミックの人材まで足りなくなる→定員増」といったニーズに基づいて行うべきだとも主張している。<br />
　ついでに言うと、私も就職難に遭ったクチで惨状はよく知っているから、大学の利害に反することを承知の上で、後輩やら学生やらには博士進学を薦めていない。「しくじって人生棒に振る覚悟があるなら進学すればいい、そうでないなら修士卒でフレッシュマンで就職すべき」と言い続けている。どうしても博士課程、という人には、「その先まともな人生を送りたいなら、博士２年の後半から３年前半にかけて修了見込みの段階でフレッシュマンで就職すべき」とアドバイスしている。まあ、これが当てはまらないような、実力があって幸運な人も中には居るだろうが、そういう人には多分滅多に遭遇しないだろうから、このアドバイスが大抵の場合は適切だろうと考えている。何人かに言ったが、聞き入れてもらえたことは一度もない。<br />
<br />
　なお、修士については、理工系では就職の時にプラス評価されることの方が多いし行き先の幅も広がるので、経済的余裕があれば進学してみては、と薦めている。<br />
<blockquote>欧米の大学院で学位とられた方には当たり前なのですが、出来ない子には「お前は向かないから辞めろ。」ってのが標準なんです。<br />
「大人なんだから、自分のケツは自分で拭け。」ってのを何故貫いてはいけないのかねえ？甘いなあ。</blockquote>　「どうしても博士に行きます」という学生が居たとして、「絶対こいつ向いてない」と教員が判断したとする。それをどこまで伝えられると思っているのだろう。大学院にも教員にも「どうしても進学したい」院生を止める手段なんか無い。標準を貫こうとしたら、ハラスメントで訴えられかねない。まあ、一言二言は言ったとしても、それで聞き入れてもらえなければ、院生として受け入れるしかないだろう（試験に通れば、という前提だが、恣意的に落とすことはできないし、研究でやっていけることと試験の点数が必ずしも相関しないのは既に昔の国研で経験済み）。「甘いから」言わないんじゃない。所属組織の利害に明白に反する上に、自分が訴訟のリスクを背負ってまで忠告するようなお人好しってかアホが居ないというだけの話だ。<br />
　また、上から「芸人やアスリートじゃない博士養成をするから実行せよ」と言われたら、個人的に不本意であっても従うしかない。それが営業方針なら、その通り動くのが務めである。人数を増やせばいいとどこぞの「エライ人」が思っている間は、下っ端にはどうしようもない。<br />
<br />
　なお、「報われないイメージ→優秀な人が逃げる」が成り立ったとして、次を支える人材が不足して困るのは大学だけではないか。もともと博士を採用する気がない経団連関連企業には影響が無い（というかこれまで採用してきた修士卒に優秀な人の割合が増えるなら喜ぶべきこと）はずだから、悲観する立場じゃない。既に博士を大量採用している一部メーカーについては、重点化以前から採用していたし、修士卒に優秀なのが多いとわかればそれに応じて採用と人材育成計画を変えてくるだろう。大学は……、どう考えても少子化の影響で構造不況業種であり、今後は縮小に向かうしかないだろうから、よほど大量に人材が逃げまくらない限り、そうそう困るところまでは行かない気もするが……。<br />
<br />
【追記】どこのサイトだったか「博士進学は自殺行為、進学を薦めるのは自殺幇助」って書いてた人が居たけど、制度の歪みが集中してしまっている今の状況を見る限り私はこちらに同意するしかない。社会の側の採用や人事の現状が変わらないのに博士課程進学を薦めるのは、悪徳商法か詐欺の類ではないかと。芸人やアスリートを目指したとしても、ここまでは言われないだろうと思うと、ちょっと情けないんだけども。<br />

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<category><![CDATA[博士・ポスドク問題]]></category>
<author><![CDATA[apj]]></author>

<comments>http://www.cml-office.org/ehold/?logid=5267#comments</comments>
<pubDate>Sat, 19 May 2007 00:46:55 +0900</pubDate>
<guid>http://www.cml-office.org/ehold/?logid=5267</guid>
</item>

<item>
<title><![CDATA[ズレてる気がする]]></title>
<link>http://www.cml-office.org/ehold/?logid=5252</link>
<description>
<![CDATA[ 
　またまた<a href="http://www.mainichi-msn.co.jp/eye/hassinbako/news/20070516ddm002070130000c.html" target="_blank">元村さんの記事</a>より。<blockquote>発信箱：されど博士＝元村有希子<br />
　恒例の「大人になったらなりたいもの」調査（第一生命）は、今回も「学者・博士」が男子の３位に入った。１位は野球選手、２位はサッカー選手。日本の科学技術も捨てたもんじゃないと思う一方、意外でもある。<br />
　男の子にとって「学者・博士」はあこがれの職業なのだろうか。<br />
　彼らの多くはおそらく、実物よりもアニメやゲームの中の博士を思い描いていると私は想像する。「ポケットモンスター」のオーキド博士や「ムシキング」のネブ博士は多彩なキャラクターを鮮やかに解説し、「名探偵コナン」の阿笠博士は探偵グッズを発明して主人公の活躍を支える。かつて少年たちがお茶の水博士にあこがれたように、２１世紀の少年たちにも、博士の知恵と技はまぶしく映っているのだろう。<br />
　ところが博士の現実は甘くない。一つは９０年代後半から深刻化した「余剰博士」の問題だ。毎年１万人以上の博士が誕生するが、約３割が職にありつけない。日本経団連が２月に公表した調査では、回答企業７１社が採用した新卒技術系社員のうち、博士の割合はわずか３％だった。<br />
　もう一つは「低品質博士」。報われないイメージから、博士課程への進学率は既に下がり始めている。「優秀な学生は博士にならずに就職し、残りが博士課程に進む。その結果、世界と戦える博士が減り、優れた博士を活用している海外に追い抜かれる」。経団連が描く悲観的シナリオだ。<br />
　博士の問題はつまり質の確保と雇用の問題であり、大学と産業界が鍵を握る。少年たちの夢に応える意味でも、長く重い課題と肝に銘じるべきだろう。（科学環境部）<br />
毎日新聞　2007年5月16日　東京朝刊</blockquote>　えーと、思いっきり実感に合わない件。今時の子供がアニメやゲームの中の博士を見て職業に選ぶのか？と思うわけで。と言うかむしろコレは<a href="http://www.cp.cmc.osaka-u.ac.jp/〜kikuchi/weblog/index.php?UID=1164547596" target="_blank">kikulogで出ていた</a><blockquote>よく僕らが冗談で言うんだけど<br />
(1)研究者に向かって「博士」と呼びかける<br />
(2)教授向かって「教授」と呼びかける<br />
(3)研究者は分野にかかわらず白衣を着ている<br />
(4)教授は部下に「やっておいてくれたまえ」などの「たまえ語」(今考えた)を使う<br />
などなど、科学者自身には(おそらく)なんの罪もないステロタイプが横行しているわけです。</blockquote>(by きくちさん)を助長する方の話ではないかと。<br />
＃いやでもこの間「マジンカイザー」のDVDを見たら弓教授が、指揮官卓に座ってるだけで汚れ仕事とは無縁っぽいのに白衣姿で登場していて（こいつは初出のマジンガーＺでもどこぞの政府関係の委員会か審議会に行くのに白衣着用だったし←実験着なら他所を汚すから脱いでいけよ）、21世紀にもなってステロタイプのリストが相変わらずなのはひょっとして「お前が元凶かっ！やっぱりお前のせいなのかーっ！ｗ」と突っ込んだのはまあどうでもいいんだが。<br />
<br />
　ところで、文系白書ブログで書かれた、<a href="http://yoikochan.spaces.live.com/blog/cns!2345C07DE47BC0ED!9623.entry" target="_blank">この記事に対するコメント</a>の方もピントがずれているので、こちらに書いておく。まず、<blockquote>何度も書いているけど、「博士（学者）≒芸人ないしはアスリート」ですから、制度的に過保護にしちゃいかんのよ。</blockquote>というのは主張としてはアンバランスだろう。博士をそういう扱いにするのであれば、養成の方法や制度だって芸人やアスリートと同じにしないとおかしいのではないか。現実には、大学に対して「博士課程の学生の定員を満たせ」「一定数は学位を取れるようにしろ」「できなきゃ交付金を減らずぞ」という圧力がかかりまくっている。その上、大学院改革の方向は徒弟制度や囲い込みを無くせというもので、ますます芸人やアスリートを養成するのとは違う方向に向かっている。この状況で養成された博士に対して、芸人やアスリートと同じだというのは無理がありすぎる。一体どこの世界に芸人を養成するのに「一定以上新弟子をとれ」「定員満たさなきゃ金を出さないぞ」などと圧力を掛ける勢力が居るのかと……・。<br />
　なお、経団連に関しては、嘆くなら博士の一部でもいいからよい待遇で雇って、そのことをアピールしてから言ってもらいたい。企業で報われるイメージが定着すれば、人材が集まるに違いない。博士を雇う気もないのに審議会にしゃしゃり出て制度だけ弄くり回そうとするのは、無責任でしょう。<br />
　それから、当時の文部省が「企業が博士を積極的に採用するつもりがある」と読んでいた節もある。1995年頃だったか、既に大手電機メーカー勤めの先輩から、メーカーは博士の採用に積極的ではないと聞いたので、文部官僚やってた知り合いに会った時にその話をしたら、「そんなはずはない、企業の要望が重点化を後押しした」と言われて信じてもらえなかった。文部省の読みは大学院の運営に影響するはずだから、大学側としては職業人養成のつもりで博士過程に学生を入れたのではないか。まあ、これもすぐに全員の意識は変わらないだろうから、大学の上の方がそのつもりでも研究室単位だと研究者養成というか徒弟制度を思い描いていた人が居たのだろうとは思うけど。<br />
<br />
　ところで、野球選手、サッカー選手ときて博士なら、むしろ「目指してなれるとそれなりに楽しいが、実際にやろうとするとコケる可能性の方がずっと高く、コケると後が悲惨な職業」で括る方が適切ではないかという気がしてくる（うまくいく率に応じて、うまくいったときの収入の方もしっかり差が付いているが……）。それがどうして「日本の科学技術も捨てたもんじゃない」となるのかが謎である。ところで「大臣」の方はどうなったのだろう？「末は博士か大臣か」って言葉がある時期まではあった筈なんだけど。<br />

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<category><![CDATA[博士・ポスドク問題]]></category>
<author><![CDATA[apj]]></author>

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<pubDate>Thu, 17 May 2007 23:14:40 +0900</pubDate>
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<title><![CDATA[需要と供給を無視するからいけない]]></title>
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<![CDATA[ 
　<a href="http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20061105-00000002-yom-soci" target="_blank">Yahoo経由、読売新聞の記事</a>より。<blockquote>就職難の博士たちへ、国立８大学が企業との交流サイト<br />
<br />
　国立８大学が、インターネットの“社交場”と言われる「ソーシャル・ネットワーキング・サービス（ＳＮＳ）」のウェブ・サイトを独自に運営することになった。<br />
<br />
　就職難の博士たちを支援するためで、近く本格サービスを開始する。<br />
<br />
　大学院博士課程修了者（ポスドク）は、「視野が狭い」「柔軟性に欠ける」などの理由で企業から敬遠されがち。東工大の調査では毎年、国内の約１万４０００人の修了者のうち、５割程度しか就職できない。<br />
<br />
　北大、東北大、東大、名大、京大、阪大、九大と東工大の工学部が開設する「大学ＳＮＳ」は、交流によって“浪人博士”たちの関心の幅を広げ、企業との接点を増やすことを狙う。<br />
（読売新聞） - 11月5日12時49分更新</blockquote>　「５割程度しか就職できない」といっても、その５割のうち、任期なしの職を得ているのは一体何割なのか。任期付きのポストだったら、任期が切れればまた無職に逆戻りだから、数年後には就職できない方にカウントされることになる。まず、数字として「５割」は多すぎではないのか。<br />
　こんなことになったのは、大学院重点化を政策的にやって、需要もないのに供給だけ増やしたからだろう。重点化の前頃には、OD問題は大体解消していた。それを政策的に復活させたのが大学院重点化である。<br />
　企業は必要な人材なら採用するだろうから、博士課程の定員増が、もし「博士取得者の企業採用増→大学や研究機関のスタッフの確保が難しくなる→博士課程の定員増」の順番で起きていて、定員の増加が適切であったなら、こんな問題は生じなかったはずである。実際には、企業側は景気の変動もあってそうそう採用はないし、大学は少子化で定員削減がかかり続けているし、独立行政法人の研究所も定員削減の方向にある。<br />
　どう考えても定員増を決めた時の需給見通しが大甘だったわけで、今困っている人達の救済策は別に行うとしても、当分の間供給側を絞る以外に、解決する道はないのではないか。<br />
<br />
　博士の就職支援のサイトに「<a href="http://hakasenoikikata.com/" target="_blank">博士の生き方</a>」というのがある。タイムリーに「<a href="http://hakasenoikikata.com/posdoc_report40.html" target="_blank">第40回：学部生の就職と大学院生の就職</a>」「<a href="http://hakasenoikikata.com/posdoc_report41.html" target="_blank">第41回：博士の望む就職先</a>」が掲載されている。40回からいくつか引用してコメントしておく。<br />
<blockquote>　博士課程に関しても、それが大学教員・公的機関の研究者の養成課程となっていることについて、そのことが毎年1万人以上の人たちをひき付けている（全員とは言わないまでも大学に残りたいと思って入学してくる人は私の実感としても、次回に示すアンケート調査の結果を鑑みても、多いと感じております）ことを考えると、そのことが博士課程の魅力なのではないかと考えることもできるのではないかと思います。</blockquote>　その「魅力」を判断する際に、「十分な情報が与えられていたか？」は問題にすべきだろう。<blockquote>博士課程の現在もっている魅力をより高めるために、現在、大学教員になるためのしきいはきわめて高くなっているとは思うのですが、そのしきいが本当に高いということを明確し、それにチャレンジすることは人生を損ねることではないしすばらしいことなんだと示すことが一つの方法なのではないかと感じております。</blockquote>　というのはもっともだが、博士課程に進学を希望する学生に対して、この厳しさをきちんと数値で示している人がどれだけ居るのか。今、研究室を主催して博士課程の院生を指導しているのは、おそらく私より数年上以上の世代だろうが、その世代はちょうどOD問題が解決に向かう頃に大学に職を得た人達で、今の状況に対する認識が甘いのではないかと思う。自分たちが就職できた頃の成果やら業績やらを基準にして、安易に進学を薦めているのではないか？<blockquote>自分で人生を選んできた方々に対していまさらいろいろな可能性があるんだよと説くことは余計なおせっかいなような気もしますし、可能性として示されている職業がそれほど魅力的に映らない場合が多いという問題もあるように思います。博士課程の学生が多様なキャリアパスを歩まないといけないということは、そのこと自体が博士課程の魅力を減じてしまうことにもつながってしまうのではないかと危惧をいたします。</blockquote>　人生を選ぶにあたっての情報が十分に示されていれば、いろいろな可能性があると後から説くことはお節介かもしれない。しかし、私にはそうは思えない。大学院重点化の時のふれこみは、教員や研究者に特化した人材を養成するというものでは無かったはずだ。むしろ多様なキャリアパスを選ぶこと、それが主に企業への就職だったり起業だったりするということが前提とされていたのではないか。そのことが十分伝わっていなかったから、相変わらず理学系と農学系で研究者・教員指向が続いているということではないのか。つまり、十分な情報が伝わっていないから現状のようなこことになっているという理解も可能である。もし、多様なキャリアパスを歩まなければならないという理由で博士課程の魅力が減るなら、それはそれで最初の重点化の狙いに一致するのだから、問題はないと思う。それで進学者の数が減れば、需要と供給は一致する方向に向かう（勿論、初期の頃に進学して職を得られず不安定なままおかれている人達への救済策は必要だろう、政策的に作り出されたものだから）。<br />
　41回で述べられている、アンケートからまとめた望ましい就職先の平均像は<blockquote>まともな研究開発のできる大企業か中規模の企業で、給料は修士卒同年齢よりも高めかせめて同程度、職種としては研究開発職、仕事内容としては、興味の持てる仕事か専門性の生かせる仕事、そして雇用条件としては終身雇用という形が得られます。</blockquote>　と、まあ尤もなものになっている。<br />
  現状では、平均より３年余計に学費を払い、その間の収入は一部（学振など）を除いて無く、修了してからは任期制の職ばかりで３年に一回転職を強いられ続け、アカデミックやら研究機関やらに職を得られるのはそのうちの一部だけ、残りは企業への就職を考える頃には企業の好む年齢をとっくに超えていることになる。途中でケガや病気をしたら、社会保障が弱い状況に置かれているので大ダメージ必至である。それでも「高学歴」「好きでやっているから」「意義があるから」という価値観でもって研究に邁進する……というと聞こえはいいが、雇用という面から見ると、ちょっと前に紹介した、<a href="http://www.amazon.co.jp/gp/product/4087203611/" target="_blank">バイク便ライダーの世界</a>とちっとも変わらない。やってることが、体を使ってバイクを転がすか、頭を使って研究をするかの違いだけに見える。イヤなことに、脱落した人間が完全にその世界から消え去るというところまでそっくりである。「人材流動化」「研究の活性化」を謳うときに「雇用問題である」ということが表だって出ないように誘導されたのは、やはり意図的にやられたことなんだろうか。<br />

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<category><![CDATA[博士・ポスドク問題]]></category>
<author><![CDATA[apj]]></author>

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<pubDate>Sun, 05 Nov 2006 15:02:43 +0900</pubDate>
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<title><![CDATA[今月号のパリティは２度おいしい]]></title>
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<description>
<![CDATA[ 
　物理の雑誌の「パリティ」。おいしい話題の１つ目は、「舌触りのよいチョコレートのつくり方」で、レオロジーの話題を紹介している。具体的にどうすべきというところまでは踏み込んでいない。ただ、食感をどうやって物理的に評価するか、ということなら、食品工学の話題だが、これは昔からの「家政学部」が手がけていて、普通の大学の理学部や工学部が関わることの少ないネタである。レオロジー＋食品工学で内容を作れれば、「おいしい物理学」ってな、タイトル通りの内容の一般向け講義ができそうな……。<br />
<br />
　もう一つの話題は、男女共同参画企画で、元お茶の水大教授の伊藤厚子先生が、どうして物理を選んだのかをまとめておられる。高等学校での学力到達度に男女差があったが女子ががんばって挽回した話や、会社に就職しようとしたら当たり前のように男女別賃金が提示されていた話は、今では想像がつかない。大先輩たちのがんばりがあって、一応はあからさまな差をつけられなくて済むようになったのだろう。<br />
　このあたりは意識の差もあって、私の数年上の先輩あたりまでは職場で苦労している。給料や待遇で差別はなかったものの「女性の教員が来たからもう秘書は雇わなくていいよね」などと言われて「どうしてそうなるんですか」とやんわり反論して意識を変えてもらう努力をしたり、ということはあって、ストレスになっていたらしい。<br />
　女子学生を理系へ、というのは国をあげてやっていて、<a href="http://www.mext.go.jp/a_menu/jinzai/001/06101905.htm" target="_blank">　「女子中高生理系進路選択支援事業」採択機関の決定について</a>なんてのもある。楽しそうな企画がたくさんあるし、理系の内容に親しんでもらって敷居を引き下げる効果もありそうだ。ただ、女性が理系を選んだ時のロールモデルに、修士課程くらいまでの女子院生ならともかく、女性の大学教員を持ってくるのはどうかと思う。<br />
　大学や独立行政法人の研究機関のポストが圧倒的に少ないし、今後増える見込みもないので、博士号取得者が最終的にどうなるかさっぱりわからない状態である。これは男女差がもはや問題にならないほど厳しい。ポスドクで数年食いつなぐことができても、その先の保証は何もない。ポストの数が少なすぎる上に増える見込みもない（だからなれる可能性自体が非常に少ない）ものや、身分が不安定すぎるものをロールモデルにしても、見抜く力のある人は逆に見切りをつけるだろうし、見抜けず乗せられた人には悲惨な未来が待っている。どちらにしてもあまりいいことがない。<br />
　修士くらいまでで企業に就職し、技術者としてそこそこ安定した生活をして、仕事の面でも充実しているような人達をどんどん紹介した方が、女性が理系を選んだときのロールモデルとして望ましいのではないか。博士号をとったひとを紹介するなら、きちんと企業から派遣されて、生活の心配なく取得できたケースを見せる。そういう人達なら（大学教員を探すよりは）数も増えてきてるし、「普通に頑張れば私にもなれる」と思える対象じゃないかなぁ。<br />
<br />
　いやね、もし「私のキャリアをマネする」と言い出す女子学生がいたら、まず間違いなく「止めとけ」って言うよ、実際。途中で脱落する可能性の方が圧倒的に高い道を、未来のある若者に薦めることなんかできないし。どうしても学位を取りたい人には、「絶対新人として会社の正社員に就職しろ、できれば一部上場あたりの会社」って薦める。ポスドクは増やしてはいるけれど、３年で契約期間が切れて、次はどこで仕事をするか分からず、途中でボスに何かあったらそれだけでいろいろ危うくなるし、何か病気にでもなって療養が必要になったら即アウトだから、「科学技術立国」「人材流動化」の実態は「とんでもない底辺ブルーカラー、不安定雇用の巣窟」なのね。ただ、世の中では少数派の高学歴に属するから、ブルーカラーだとは思われないし思いたくないだけなんだろうけど。だから、「フリーターと紙一重でも人生棒に振ってもいいからやる」というならご自由にどうぞということになる。<br />

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<category><![CDATA[博士・ポスドク問題]]></category>
<author><![CDATA[apj]]></author>

<comments>http://www.cml-office.org/ehold/?logid=3427#comments</comments>
<pubDate>Tue, 31 Oct 2006 21:24:13 +0900</pubDate>
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<title><![CDATA[そろそろモデル賃金の話をした方がよくないか]]></title>
<link>http://www.cml-office.org/ehold/?logid=2747</link>
<description>
<![CDATA[ 
　共同の記事より。いろんな新聞社に配信されてるが、たとえば<a href="http://flash24.kyodo.co.jp/?MID=RANDOM&PG=STORY&NGID=soci&NWID=2006083001002621" target="_blank">ここ</a>で読める。<blockquote>博士課程５１年ぶり定員減　国立大、受け皿不足背景<br />
　文部科学省は３０日、国立大の来年度入学定員を公表した。１９５６年度から増加を続けていた大学院・博士課程の定員が本年度より１１８人少ない１万４２８２人となり、５１年ぶりに減少に転じた。<br />
　文科省は「博士クラスの人材は企業など社会の受け皿が不足しており、大学側が需要に合った定員見直しを進めていることの表れ」とみており、減少傾向は今後も続く見通しだ。<br />
　文科省によると、国立大の博士課程入学定員は５６年度の２３０４人から年々増え続け、９６年度には１万人を突破。２００３年度以降は年１００人前後の「微増」が続いていた。</blockquote>　正直、やっと大学が現実を見始めたかという感想を持った。<br />
　一方で、ポスドク問題については、化学と工業に出た<a href="http://www.chemistry.or.jp/kaimu/ronsetsu/ronsetsu0601.pdf" target="_blank">こんな論説</a>もある。この論説ですっぽりと抜けているのは「コスト意識」ではないか。PDを増やしたことで国研の評判は上々だと書いてあるが、増やすために投じた総コストを上回るだけの成果があったかどうかについては何も書いてない。人材供給のミスマッチが明らかであることは言うまでもないが、PDの居場所について「人生至る処青山あり」などという考え方で政策決定されては、PDと納税者の両方が困る。PDの立場としては政策によって生じたミスマッチを改善してほしいと考えるのは当然だろうし、納税者の立場では活用の当てもないのに税金を投入して人材を養成するのは、使われない高速道路を造るのと同じ種類の金の無駄遣いということになる。<br />
　この論説がさらに現実を見ていないのは、<blockquote>「研究費が少ないので、PD に十分な給与が払えなくて…」としている例は論外である。雇用する側はまず自分の給与の中からPD の不足分を補った上でそう言って欲しい。</blockquote>と書いている部分である。大学についていえば、教員定員が過員（つまり人件費枠以上に人数が居る）で、定年退職した人の補充も十分できない状態で、さらに毎年予算カットが行われる。PDの給与を補う余裕がどこにあると考えているのか、ぜひ筆者の意見をうかがいたいところである。<br />
<br />
　ところで、博士課程進学希望者に提供すべき情報は、実は生涯賃金についてではないかと考えている。就職ではなく進学を選んだ場合、その期間の収入はない。一方、就職した人は、会社が順調ならキャリアを積んでその分の給料も上がっていく。博士修了後、不安定で、キャリアを積んだことが次の給料アップにつながらないポスドクという立場を続けている間も、就職した同級生達はそれなりに給料をもらっていてベースアップなんかも（会社が成長していれば）あるだろう。遅れてもポストを得られれば幸運な方だが、給料をもらう期間は短い。フレッシュマンで就職したとしてもやっぱり遅れて会社に入ったハンデがある。結局、進学などせずに就職した人と、生涯賃金の上では大差がつくのではないか（が、まだ詳しく調べてないのでデータが出せない……）。<br />
　まあ、大企業を基準にするか、中小企業を基準にするかで違うだろうが、進学した人達のうち、どれだけの生涯賃金をもらえる人が何割いて、それは学部あるいは修士卒である規模の企業に就職した場合と比べてどうか、ということの一応の目安なら出せるのではないか。何か参考になりそうなデータをご存じの方がいらっしゃったら、ぜひ教えて欲しい。<br />
<br />
　いずれにしても、投入した費用をPD本人が回収できるのかということと、納税者が間接的に回収できているのかということの評価と情報開示をしないのは、やっぱり政策決定のどこかにごまかしがあるということではないかと思う。<br />

]]>
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<category><![CDATA[博士・ポスドク問題]]></category>
<author><![CDATA[apj]]></author>

<comments>http://www.cml-office.org/ehold/?logid=2747#comments</comments>
<pubDate>Wed, 30 Aug 2006 20:42:28 +0900</pubDate>
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<item>
<title><![CDATA[道はなかなか遠そうだ]]></title>
<link>http://www.cml-office.org/ehold/?logid=1748</link>
<description>
<![CDATA[ 
　この間、<a href="http://www.cm.kj.yamagata-u.ac.jp/blog/index.php?logid=1236" target="_blank">ポスドクの問題について少し書いた</a>。で、コメントでのやりとりをするうちに、ユニオンを作ってはどうかという話を出したのだが、「<a href="http://mitsuhiro.exblog.jp/" target="_blank">柳田充弘の休憩時間</a>」で「<a href="http://mitsuhiro.exblog.jp/3807515/" target="_blank">博士ユニオン【組合】を結成したら</a>」という記事を見かけた。同じ事を考える人がいるものだ。<br />
　ただ、博士ユニオンの問題点は、<br />
・博士号取得者のうち、ユニオンを作って政策的にどうにかしようという視点をもてる人は、とっくに別の分野で活躍しているだろう。<br />
・現実にユニオンを作るという調整型の実務の出来る人材であれば、既にどこかに職を得ているだろう。<br />
・「ユニオンを作ることに労力を使うくらいなら自分の研究をしていたい。そんなことをするのは研究者の本分ではない」と考えるポスドクの方がずっと多いのではないか。ポスト争いが激しければなおさらである。<br />
・ポスドクの指導者（現在のスーパーバイザーや、元の博士論文指導教員など）は、「ユニオンなど作る時間があったら研究をして成果を出しなさい」と言うだろうし、それに対して逆らうのは身分が不安定なだけに難しいだろう。業績があった方が有利だから、本当にそのポスドクのためを思って言っているとしても、結果として連帯することからは遠ざかることになる。<br />
　といったあたりにあるのではないか。調査をしたわけではないが、周りを見て目に付いた傾向は、こんなところである。<blockquote>また企業もいくらいろいろ言っても、博士達を本気で採用する気がほとんど無いことも統計上明らかです。</blockquote>とある。<br />
　大学院重点化の時の文部大臣は東大の有馬さんだが、核物理出身だから、ちょっと前までのオーバードクター問題を十分知っていた人のはずなのだ。その人が、どうして博士の定員を大幅に増やす計画を進めたのか？というのがよくわからない。<br />
　企業のニーズが実は無かったことがはっきりしてきたわけだが、どうして博士を増やすという結論になったのかもよくわからない。どうも、企業にアンケートをして、高度な技術や知識を持った人材が必要か？などという質問に対する答えがyesだったから始めたという話は時々きくが、一体どこまで本当なのか。もっとも、企業のニーズを知るには「御社では学位取得者をこれまでどれだけ採用し、今後どれだけ採用しますか？」という採用計画を聞くべきなのだが、これをきちんとやって政策を決めたのだろうか。まともな調査に基づいたものであれば、景気の変動という要素があったとしても、企業の採用実績はもうすこしマシなものになるのではないかと思うのだが……。<br />
　「<a href="http://inoue0.exblog.jp/2990630" target="_blank">博士が余ってるなら大学院定員を減らせばいいじゃないか</a>」に書かれていることは正しい。<blockquote>大学にとって不利益だから意図的に避けているのか、それとも何か意味があるのか、「大学院定員を大幅削減する」という手段には一切言及していなくて、非常にもどかしい。</blockquote>とあるが、実際、大学にとっても個々の教員にとっても金銭上の不利益がある。院生をどれだけみているかで、配分される研究費も違うし給料の手当も違ってくる。おそらく、定員を絞るという考えは大学からは出てこないだろう。<br />
　もし、博士号取得者の何割がパーマネントな職を得たかで大学を評価するようになれば、変わってくるかもしれない。正規雇用される任期無しの職（大学、企業問わず）に何人ついたかを評価の対象にすればよい。例えば、学位取得者の８割程度が任期無しの職を得られるようになるまで自動的に博士の定員を減らし、逆に８割以上が任期なしの職を得るようになれば（ニーズがあるということだから）定員を徐々に増やすといったルールを導入するのが、需要と供給をマッチさせる方法だと思う。前年度の就職実績で次年度の募集定員を決める方式である。徒弟制度では無理ということがはっきりして、キャリア教育に本気を出すとか、企業への就職支援についてもっと力を入れるようになるのではないか。一方で、全員が就職しなくてもいい程度の多少の余裕をもたせることにしておけば、意図的にはみ出してハイリスク・ハイリターンを狙う人が居る余地もある。ただし、これは「人材流動化」とは真っ向から対立することになってしまう。<br />
　「<a href="http://irishmist.exblog.jp/3513414" target="_blank">理科教育に博士を充てるのは？（政策と自己責任）</a>」のような自己責任論は、問題を矮小化するだけではないか。進学した人間が、自費で教育にかかるコストの全てをまかなっているのであれば、自己責任論で良いのだけれど、博士の養成には税金が使われている。長期にわたって活躍するのが難しい人材（プロジェクトが終わったら失業の危機）と分かり切っているものを税金で養成することの是非や、需要を読み違えた責任は、自己責任論からは出てこない。なお、社会保障という点からは、ポスドクは社会的弱者なので、もうすこしセイフティーネットの整備があっても良さそうである。<br />
<br />
　それにしても楓さんのところの更新はストップしたままである。元気にしておられるならいいのだけれど……。<br />

]]>
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<category><![CDATA[博士・ポスドク問題]]></category>
<author><![CDATA[apj]]></author>

<comments>http://www.cml-office.org/ehold/?logid=1748#comments</comments>
<pubDate>Tue, 25 Apr 2006 18:29:39 +0900</pubDate>
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<item>
<title><![CDATA[何マッチポンプしてるんだか]]></title>
<link>http://www.cml-office.org/ehold/?logid=657</link>
<description>
<![CDATA[ 
　<a href="http://www.mainichi-msn.co.jp/science/kagaku/news/20051102k0000m040164000c.html" target="_blank">毎日新聞の記事</a>より。<blockquote>博士研究員：就職支援に5億円　文科、経産省が来年度から<br />
<br />
　研究現場を支える若手研究者「ポストドクター（ポスドク）」の就職支援に、文部科学省と経済産業省が来年度から乗り出す。大学や研究所の常勤職ポストが少なく、30〜40代になっても定職に就けない博士号取得者が目立っているため。<br />
<br />
　両省は来年度、ポスドクと民間企業など新たな進路とを橋渡しする新規事業に計約5億6000万円を支出し、「博士の就職氷河期」の解消を目指す。<br />
<br />
　ポスドクは博士号を取得した後に任期付きで働く研究員。政府は、研究開発能力の強化のため、ポスドクに一定の年収を保証する「ポスドク等1万人支援計画」を科学技術基本計画に盛り込み、量産化を進めた。昨年度のポスドクは約1万2500人と推計される。<br />
<br />
　しかし、定職を探す30〜40歳代のポスドクの就職難が深刻になっている。常勤研究職の数は増えず、企業への就職も限られているためだ。<br />
<br />
　そこで両省は、博士たちと研究機関以外の就職先との出合いの場を作ることにした。<br />
<br />
　文科省は、大学や企業を対象にモデル事業を募集し、支援する。人材派遣会社などが、ポスドクに研究機関以外の就職情報を提供し、企業に出す研究企画書の作成方法を指導するといった事業が考えられる。<br />
<br />
　経産省は、ポスドク向けにベンチャー企業などの求人情報をデータベース化したり就職セミナーを開く。<br />
<br />
　澤昭裕・東京大先端科学技術研究センター教授（経営戦略）は「企業も即戦力の優秀な研究者を求めているが、求人情報が研究現場に届きにくい。世渡り下手の博士に、研究機関以外の活躍の場を気付かせられれば、新たな人材マーケットが生まれる」と話す</blockquote>　文部科学省の都合で大学院定員を増やしてポスドクも増やしまくっておいて、いざ問題が発生したら企業に押しつけるってことですか？こうなるのは大学院重点化に走った時からわかりきっていたことのはず。少子化で受験生が減ることだって、減り方の速度はともかく予測はできていたはずだ。文部省内でも、若手の官僚は「重点化をやったら近い将来社会問題化する、特に文系は大変だ」って指摘してたし、そういう報告を出した人がいたはずだぞ（ってかその本人に'95年頃にきいた話だが）。ポスドクの支援に金使う前に、政策の誤りを認めて大学院の定員減らす方が先なんじゃないのか。ここまでくれば、国家予算で失業者を養成することになったことがはほぼ明らかなのでは。まあ、問題が生じれば予算がつくのが役所の常だから、それを狙ってポスドク問題を発生させたという見方もできなくはないが……。<br />
 　ついでに言うと、大学院重点化が始まった頃に、日立基礎研に就職した先輩と話をしたら、基礎研でさえ「これ以上博士イラネ」って話だった。理系の学位持ちが集まるところでさえも「増やせ」というニーズは無かったらしい。ところが、もっと博士号持ちを増やすのが社会のニーズに応えることだって方向で重点化の話が出てきていたから、一体どういう調査をしてそういう結論になったのか、当時から激しく疑問だったわけで。これも、1995年前後のことだ。そりゃ、もし、「高度に訓練された博士が増えると役立つと思いますか？yes/no」なんて訊き方をしたら、誰だってyesと答えるだろう。でも、本当に企業に訊かなければならなかったことは「御社で博士をこの先何人雇うつもりがありますか？」という採用計画についてじゃないの。で、この問いに答えた企業が何人の採用実績を示したかで、供給計画を決めれば良かったんじゃないのか。<br />
　正直言って、私も就職では散々苦労したから、こういうのを見ると、他人事とは思えない。私の周りも私よりちょっと下の世代も、就職については屍累々なわけだが。しかし、この期に及んで斡旋事業だけやって、ポスドクを雇うつもりは文部科学省にも経済産業省にも全くないというのは記事を見る限りはっきりしている。まさに偽善の見本。こういうことは、役人の半分にでも博士号持ちの奴を雇ってから言えと。<br />
　博士課程進学の時にはリスクを背負い込む覚悟をしたことは確かだし、好きで選んだんだろうと言われればそれもその通り。だから、一般の会社の人からどんなきついことを言われようが、それは仕方がないと思うが、原因を作った当の文部科学省が他人任せの対応をすることを堂々と表明するのを見ると本当に腹が立つ。<br />
　まあ、人材が偏在していることは確かだと思う。最近、事情があって、企業が出した製品試験の報告を見る機会があったが、それがとんでもなかった。予算が使えるから測定器は投入してるんだが、対照実験してないとか実験条件抜けまくりでレポートの体をなしていないとか、実験結果の表と数値だけしかないとか、夏休みの自由研究ですかこれは？という代物だった。正直、そのレポートじゃウチの学科はまず卒業できない（つか実験の単位が取れない）。そこに１人でもいいから院卒の人がいて、仕切ってればずいぶん違うだろうなぁと思ったわけで（もっとも、ありがちなパターンとしてDQN社長にウソでもインチキでもいいから売ってこいと命令されたりしたら、嫌気がさして辞めるだろうけど）。<br />
<br />
【個人でリスクヘッジする方法】<br />
０）大学や独立行政法人の研究職は最初から考えないことが最大のリスクヘッジになる。<br />
１）フレッシュマンで就職する<br />
　学位取得（大抵は３月）後の４月から企業に行けるように、最終学年の春から就職活動する。学位取得後、ポスドクでうろうろしていると、後から面接を受けに行こうとしたときには既に中途採用扱いになって、さらにマッチングが厳しくなる。フレッシュマンで動くのが多分一番楽。<br />
２）不幸にしてポスドクするハメになったら<br />
　技術が活かせそうなアルバイトでも何でも最低１つは入れて、社会とつながりを持つこと。仕事ぶりが実直であれば、見ている人は見ていて、チャンスがやってくることがある。知り合いでも、バイト先の会社に就職した人がいるし、私も、紹介されたプロジェクトで企業の人と一緒になってやっていたら、数年後、その人が独立して会社を作るので来ないかと声をかけていただいたことがあった（たまたま別のところで仕事をしていたので行かなかったのだけど）。最悪なのは、出身研究室だけに閉じこもり外に出るのは学会だけなんて状況で、アカポスを狙うこと。<br />
<br />
　あ、この文章についても、大学の話題なんで一応予防線貼っておく。もし、大幅な変更があったら、それは職場から取り下げろという圧力があったということだから、見た人はとりあえずコピペでもしておいてください。どの程度までなら表現を許すかという、大学に対するリトマス試験紙にはなるだろうし。<br />

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<category><![CDATA[博士・ポスドク問題]]></category>
<author><![CDATA[apj]]></author>

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<pubDate>Wed, 02 Nov 2005 11:59:49 +0900</pubDate>
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<title><![CDATA[博士が100にんいるむら]]></title>
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<![CDATA[ 
<a href="http://www.geocities.jp/dondokodon41412002/index.html" target="_blank">博士が100にんいるむら</a>がネットのあちこちで話題になっている。最初に見かけたのは２ちゃんねるだったが。で、内訳は<br />
16人　医者<br />
14人　助手（最近は任期制）<br />
20人　ポスドク（任期制）<br />
8人　会社<br />
11人　公務員<br />
7人　他分野<br />
16人　無職<br />
8人　死亡あるいは不明<br />
ということだ。元データは<a href="http://hakasenoikikata.com/">博士の生き方</a>の「数字で見る博士課程修了後」の「第1回：博士課程修了者の選択肢」の表とのこと。平成１２年度の調査がもとになっている。<br />
この中で、まあそれなりに安定した将来を歩めることが確実なのは、医者＋会社＋公務員の35人だけだろう。任期制の職は、終われば無職突入だし、博士終わった直後で無職だとその後職にありつくのは非常に大変である。任期付き助手とポスドクの一部が職を得るとして、せいぜい４割ちょっとが何とか幸せになれるのかな、と思っていたら、平成１４年度の統計では、社会人の大学院後期課程の院生が約２割だそうで。てことは、１００人中４０数人の職に困らない人のうち20人は最初から職があった人たちということになる。てことは、無職＆数年後無職が５０人以上、博士を得て新規に職を得られる人が２０人ちょっと位、で、社会人以外で進学して何とかなるのは１／３ってことになる。<br />
　これじゃ、アカデミックへの期待を煽って博士進学を勧めるのは犯罪的行為に思える。進学を勧めるとしたら、在学中に企業のインターンシップなどの利用を促し、フレッシュマンとして３年間終わった後で企業に入るという進路を提示しながらでないと、人生棒に振ることになりそうだ。<br />
　文部科学省は修士の学生を企業で研修させることを考えているが、理工系の修士課程は実はそんなに就職に困っていない。困っているのは博士課程の院生で、修了時に会社に行ければ良いが、下手にポスドクをやってしまうと人生のやり直しが難しくなる。むしろ、博士課程の院生にこそ企業での研修をさせた方が良いように思う。<br />

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<category><![CDATA[博士・ポスドク問題]]></category>
<author><![CDATA[apj]]></author>

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<pubDate>Tue, 17 May 2005 02:08:51 +0900</pubDate>
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<title><![CDATA[連休中なのでかき入れ時で実験してるわけだが]]></title>
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<![CDATA[ 
　連休中なので、かき入れ時だしってんで実験だの溜まってるデータ処理などしてるわけだが。またまた香ばしいニュースを見てしまった。<br />
<br />
<a href="http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050502-00000306-yom-soci" target="_blank">博士号は得たけれど「ポスドク」激増で就職難</a>てな記事が出た。例によって２ちゃんねるでも３スレ目が立ってる。<br />
<blockquote>博士号を取得したものの、定職に就けない「ポストドクター」（ポスドク）が、２００４年度に１万２５００人に達したことが、文部科学省が初めて実施した実態調査で明らかになった。２００３年度は約１万２００人で、１年間で約２３００人も増えている。<br />
<br />
　年齢別では約８％が４０歳以上で“高齢化”が進んでいる。大学助手など正規の就職先が見つからず、空席待ちが長引いていると見られる。さらに、社会保険の加入状況から推定すると、常勤研究者並みの待遇のポスドクは半数程度しかいないと見られ、経済的に苦しい状態も裏付けられた。<br />
<br />
　政府はこれまで、国内の研究者層を厚くするため、大学院の定員拡大などポスドク量産を推進してきた。しかし、研究職はさほど増えておらず、その弊害が出た形だ。多くは研究職志望で進路が少なく、企業も「視野が狭い」などと採用に消極的で、不安定な身分が問題化している場合が多い。<br />
<br />
　◆ポストドクター＝博士号（ドクター）を取得した後、専任の職に就くまでの間、大学などに籍を置いて研究を続ける若手研究者。公募型の研究費を得たり任期付きで給与をもらったりして生活している例が多い。<br />
</blockquote><br />
　今年の３月上旬の日経新聞にも、大学院重点化はほとんどバブルだって話が出てたし。文部科学省は国家予算で失業者を養成するつもりなんだろうか。いつまで、大学院生（特に博士後期）大量生産の政策を続けるつもりなのだろう。<br />
<br />
　そういえば、私が博士号を取った直後で既に博士のレベル低下は起きていたな。とくに、軽部研は留学生には甘かった。<br />
ケース１（韓国人留学生の場合）：３日に一度はピペットのチップいれた箱を床に落とす。装置の説明するからと言っても全くやってこず、本人曰く「説明きかなくてもできる」。で、見事にマニュアル無視して装置を壊し、もうちょっとで爆発事故で周囲はガクブル。生化学の実験なのに、全然別の人が調整したバッファを勝手に使って、「pHが合ってなかったから酵素が壊れた」と激怒。実験の途中で私が使ってたメタノールの瓶にわけわからんピペット突っ込もうとしたから怒鳴りつけたら、「早く持っていかないと酵素が失活する」……ってお前、実験始める前に何で用意しとかへんのかと。こんな状況なのに「学位をとさなかったら国際問題になる」の教授の鶴の一声でスタッフが学位取らせる下働きをすることに。何とか学位はとったけど、後から同じ留学生が激怒してたよ。「あんなのと一緒にされたくない。同じところで学位を取ったなんて言ったら自分の信用まで落ちる」って。<br />
ケース２（中国人留学生の場合）：ＪＩＳ法のＢＯＤ測定の式を勝手に変えて、同じ試料分析してる企業の研究員の人と一桁違う値を出してたっけな。プログラムが組めるとか何とか言って私が組み上げた測定装置のパソコン持っていったが結局まともに動かなかったし。こいつも学位をとった。その後は知らん。<br />
ケース３（某日本人の場合）：博士で先端学際工学に。で、そこそこの国立大の任期付きの助手になったが、緩衝液のｐＨ調整ができず（繰り返すが生化学の研究室の筈だが）、学生に馬鹿にされて出勤してこなくなってフェードアウト。こいつのその後も知らんな。<br />
　大体、先端学際の社会人枠はほとんど面接試験しかないから、知識無くても入れる。修士から直接はいるのに、そういう試験で潜り込む時点で終わっとる。で、入ってから苦労する。あの頃の軽部研は、教授の思いつきで下が振り回されていたから、学位論文主査＝指導教官、の効果で学位取得にこぎつけても、結局知識も技術も上がらないままになる。<br />
<br />

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<category><![CDATA[博士・ポスドク問題]]></category>
<author><![CDATA[apj]]></author>

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<pubDate>Wed, 04 May 2005 23:04:24 +0900</pubDate>
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<title><![CDATA[論文博士廃止]]></title>
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<![CDATA[ 
理科教育MLver.2への投稿で知ったのだけど。<br />
<a href="http://www.excite.co.jp/News/society/20050414074406/Kyodo_20050414a472010s20050414074409.html">論文だけで博士、駄目　大学院重視で一致  [ 04月14日 07時44分 ]</a>より。 <blockquote>中央教育審議会の大学院部会は１４日までに、企業や公的な研究所で業績を挙げた社会人が、論文などの審査を基に博士の学位を得る「論文博士」制度を廃止し、大学院のカリキュラム修了者を対象に与える「課程博士」制度に一本化する方向で一致した。<br />
　論文博士については「学位のため研究を狭い分野に限定してしまう恐れがある」「日本独自の制度で国際的な通用性に欠ける」などの批判があった。<br />
　文部科学省は論文博士を認めている省令を改正、博士号取得を目指す社会人に対しては大学院に短期間在学する「博士課程短期在学コース」の創設なども検討している。</blockquote><br />
　私は、課程博士と論文博士の両方で学位を取ったのだが、理学・工学系に限って言えば、論文博士の方が審査基準が厳しいように思う。論文博士の場合は、すでに出した成果を見て、研究者として独り立ち可能と判断されるともらえると思ってよい。ところが、課程博士の場合は審査が甘くて、投稿論文が無かったり、日本語の論文誌で査読の甘いところに１報とかでも学位がとれることがある。これは、構造的な問題で、大学院を作った以上、定員を満たしてかつ学位を出さなければならないという、事実上の縛りがあるので、大学の都合で甘くなっている。<br />
　一方、論文博士の問題点としては、本人が実際にやったことでなくても審査に通ることがある、ということだろう。審査を受けるに際して必要な投稿論文の目安は５報前後なのだけど、企業からの場合、グループのヘッドが部下の研究をまとめて取得ということが可能である。また、修士卒や博士取得見込みで助手になったあと論文審査で取得する場合、研究の指導は教授で助手は現場監督をしただけで、学生や院生のデータで論文を書いて論文博士を申請することもできる。いずれの場合も、論文の共著者の「同意承諾書」（共著者に対し、その論文の内容を学位論文の内容と認めるという書類に署名させる）が必要だが、上司に求められて断る部下は居ないし、助手に求められて断る学生・院生もまず居ないだろう。<br />
　大学院後期課程を終わっても学位が取れず、その後論文審査でとる人が３６％だそうだが、論文博士を廃止した場合、このルートがつぶれる可能性がある。多くの大学で、課程博士の単位取得退学後何年かは、在籍していた研究科で論文審査を受けられるという制度にしているが、これが内規だけでできるのかは、私もまだ知らない。ただ、このルートを潰した場合、現在後から取得している３６％に在学中に学位を取らせるために、課程博士の学内審査基準が今よりもっと甘くなって、さらに学位取得者の研究能力に対する信頼性が大幅低下というオチが待ってそうな気がする。<br />
　また、オーバードクターが問題になっている現在、修士あるいは博士中退で助手→仕事をしながら学位取得、というルートを潰すのは、政策的には「矛盾」していない。文部科学省は博士取得者を増やす政策をとっているから、博士の就職先をちょっとでも増やす方向に舵を切るのはむしろ当たり前のことではないか。助手採用の時に、「すでに研究の方向が固まってる人なんかいらない」と公言するセンセイも居るわけで、そういうワガママを言う余地を無くす意味もあるんじゃないか。<br />
　実際のところ、教育について言えば、課程博士の方が手厚いといえば手厚い。しかし、手厚い＝手取り足取り指導する、となる場合もあり、そういう人は学位を取っても大して使えないことは確かである。また、研究はある程度絞って狭く深くやらないと論文に結びつかないから、論文博士でも課程博士でも、この点については差がないと思う。<br />
　研究室への予算配分は、所属している卒研生、博士前期、博士後期の学生の数によって差がついている。当然、上にいくほど一人あたりの単価が高い。だから、博士が欲しけりゃ在学しろという制度にした場合、入学金と授業料で大学はウマー、研究室も予算が増えてウマー、というのが見込まれる。既に、北大は、博士前期２年間は授業料タダを打ち出しているが、財源は学外に求めるということを謳っている。<br />
　大学院重点化だって、元々は、文系の留学生が学位を事実上取れないのは困ると言う話から出てきていた筈である。そこに、東大のホンネ<br />
　東大だけ大学院重点化→大学の差別化＆予算増でウマー<br />
が乗っかったらしいが、これを他の大学が指をくわえて見過ごす訳もなく、<br />
　　重点化の動きが他の国立大学にバレる→取り残されたら大差がつくと<br />
　　思った国立大が我も我もと重点化→東大は高学力を背景に院定員大幅増<br />
　　で対抗、私学も大学院設置に走る→大学院生全国的に激増で学力低下の一途<br />
が現実には進行し、重点化で助手ポスト激減のうえポスドクが増えて、未曾有の就職難の状況を作り出した。当の東大はというと、今頃になって院に優秀な学生が来ないと嘆いている（今年の３月上旬の日経新聞に出ていた）。<br />
　お役所としては、一般に「問題が発生してからでないと予算がとれない」ので、ポスドク問題を作ってから対策費用を獲得するという手順が最初から織り込み済みだったようで。それでも、身分不安定な人材を大量に養成するために税金を使う政策をとるのはどうかと思うが。<br />
<br />
　さて、中教審の狙いが本当はどこにあるのか、すぐには読めない。が、論文博士が海外の制度と違うというなら、課程博士の方は海外と同じにやってるのかということも問題にすべきじゃないかと思うんだけど。院生の待遇面も、審査のレベルも、教育内容も含めてだけど。<br />

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<category><![CDATA[博士・ポスドク問題]]></category>
<author><![CDATA[apj]]></author>

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<pubDate>Sun, 17 Apr 2005 23:01:23 +0900</pubDate>
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