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ハインズ博士「超科学」をきる・・・・・・真の科学とニセの科学をわけるもの

SNコメント

 

 著者Terence Hinesは,ニューヨーク州ペース大学心理学助教授で,「超心理学とオカルト」を主題とする授業を行い,その話題を大学の教科書としてまとめたものが本書の原著のPSEUDOSCIENCE and the PARANORMAL: A Critical Examination of the Evidence「疑似科学と超常現象」(1988年発行)である。本書は,その部分訳であり,疑似科学の特徴,通常科学におけるN線およびポリウォーター事件の教訓,疑似科学を批判する理由,霊能者・超能力者・占い師のだましのテクニック,予言,予知夢,虫の知らせ,超心理学研究(ラインおよびソールの歴史的実験,最近の実験)の問題点,ユリ・ゲラーのトリック,占星術,月の魔力,バイオリズム,UFO,古代宇宙人飛来説,バーミューダトライアングル,ヴェリコフスキーの衝突する宇宙説,ダイエット療法,ビタミン剤,健康食品,カイロプラクティックなどのいかさま療法,創造科学,ネッシー,ビッグ・フット,ダウジングと魔法の振り子,火渡り,筆跡観相学,右脳・左脳相違説,100匹目のサル現象,キルリアン写真,植物の知覚,嘘発見機,ピラミッド・パワー,トリノの聖骸布,サブリミナル効果など,主なオカルト・超常現象・疑似科学を網羅している。しかも,その取り扱いの手法は実証的で説得力がある。心理学者などの研究が丁寧に調査されて引用されているためである。オカルト批判書として,まず揃えたい一冊である。

 超心理学において,長年の研究にもかかわらず決定的な再現性のある成果が出ないことに対しては,本書の次の文章が痛撃を与えていると思う。

「たとえその実験に手続き上の過ちが見られなかったとしても,実験結果そのものが再現できないために,その発見を否定することは科学の世界では当然のことである。」

 なお,志水一夫の「トンデモ超常学入門」のトンデモ超常ブック・ガイドによると,「訳者がこういった分野にあまりお詳しくないらしく,時々トンチンカンな訳があったりする上に,やや古くなってしまった情報のフォローもない」という難点があるそうである。