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電解水の殺菌作用について

 電解水の殺菌作用について、「詳しい情報求む」と書いておいたら、左巻健男(さまきたけお)@東大附属高校化学さんからメールをいただきました。

出典は、AERA 96.9.2号に載った「水」の文の一部だそうです。情報ありがとうございました>左巻さん

「水、それは地球上のすべての生命の源である。それだけに、人は水にこだわり、期待する。そんな期待が、機能水を考え出した。機能水とは何か。大いに役立ちそうなものから、首をひねるしかないものまで、多士済々である。」・・・「機能水という言葉が水関連業界でブームになっている。単なるおいしい水ではない。一定の処理によって、特定の機能をもたせた付加価値の高い水といった意味で、通産省認可財団の造水促進センター(東京)が、六年ほど前から言い出した。・・・機能水研究所(茨城県つくば市)が発足したことで、「機能水」はますます地歩を固めた。機能水財団の開くシンポジウムは、何か商売になる話が聞けないかという期待もあってか、メーカー関係者を中心にいつも千人以上が詰めかける。書店にも、特殊な機能があるとする水の本が並ぶ。機能水研究所がそれらを集めたら、二百冊を越したという。・・・強酸性電解水は、そうした中のエース的存在だ。食塩水を電気分解した特に陽極側にできる強い殺菌力をもった水で、現在、メーカー数社が厚生省に新医療器具として承認を申請している。・・・安全、無害に、多くの細菌を瞬時に殺すことができる。だが、当初、殺菌のメカニズムがはっきりしていなかった。・・・「魔法の水」「驚異の水」「不思議な水」などといわれて病院や食品業界などで大評判になった。その本体が次亜塩素酸であることを、機能水研究所の荒田洋治委研究所長と、国立予防衛生研究所の堀田国元遺伝生化学室長のグルーブが最近、はっきりさせた。
 「プールの消毒に使っているのと同じものでした」と荒田所長はいう。ただし、プールとは条件が違う。次亜塩素酸はPH5前後が一番強い殺菌力を発揮するが、電気分解によって、その条件を満たす水を作り出していたのだ。・・・ 塩酸で PHを調整して次亜塩素酸ソーダを混ぜれは、もっと安く、同じような液ができるが、「薄くて均一な液がだれにでも簡単に作れるという意味で、電解水の有用性は高い」と、二人は口をそろえる。・・・いいことずくめのようだが、荒田所長は、農業用の殺菌剤として何年も大量に使えは、食塩が土壌にたまる恐れもあるなど、使い方によっては問題が起きるのではないかと懸念する。・・・うまい水ブームや機能水ブームも日本独特のものらしい。

 左巻さんは、現在水の本を執筆中とのことです。また、理科教育法の講義をなさったり、中学理科や高校化学の教科書の執筆にも携わっておられるそうです。

 また、同様のことがらが、Anal.Sci.,14,691-698,1998に報告されているという情報もいただきました。私はまだこの文献を見ておりませんので、入手できましたらウェブページに情報追加します。

【2003/07/14】
 上記論文の発表年が間違っている(最初1988年と書いたが1998年が正しい)と,入手先はhttp://wwwsoc.nii.ac.jp/jsac/analsci/pdfs/a14_0691.pdfであるという情報をいただいた。(pdfファイルのミラーはここ)
 なお,左巻さんの水の本であるが,「おいしい水 安全な水」として既に出版済みです。
【2005/05/09】
 この文献に関して、掲示板の[15526]にて、ばかしさんより以下のコメントが付いています。

積極的に酸性側の電解水を使うタイプは食塩、塩酸を添加して電解を行いますので、みなさんご指摘の通り、次亜塩素酸が主成分ということになると思います。ざっとぐぐって見たところ、このタイプで作られる溶液のpHは2-3程度のもが多いようです。
主に塩基側を飲用に使うタイプでは乳酸カルシウムやグリセロリン酸カルシウムを添加するものが多いです。酸性側には当然、乳酸やグリセロリン酸が含まれます。加えて、原水に存在する塩化物イオンも電解されますので、次亜塩素酸も生じます。
これらが酸性水にどの程度含まれているかは、よくわかりません。装置によっても違うでしょうし、メーカ側もあまり詳しい検討はしていないのではと、思います。
> > また、同様のことがらが、Anal.Sci.,14,691-698,1998に報告されているという情報もいただきました。
前にも書いたかもしれませんが、この文献は
http://wwwsoc.nii.ac.jp/jsac/analsci/pdfs/a14_0691.pdf
で手に入ります。Table 1に、この文献で用いた電解水の組成があります。抜粋すると

> pH 2.7
> 有効塩素(HClOとして) 1.15 mM
> Cl- 21.0 mM
> Na+ 18.8 mM

です。この溶液のpH(2.7)は、カチオンはナトリウムイオンとプロトンだけ、アニオンは塩化物イオンだけと考えた場合のpH(2.66)にほぼ等しいです。ですから、この電解水は「18.8 mMの塩化ナトリウム溶液1 Lに、塩酸 2.2 mmolと次亜塩素酸 1.15 mmolを添加したもの」ということになりますね。