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水商売ウォッチングに対するクレームと、法律相談の結果

日本システム企画株式会社(jspkk)の商品についてのツッコミ。

 これから先、私が明らかに特定企業を中傷するような内容を書けば別だが、現状の立場(企業は虚偽の実験事実を提示しないという前提で、公開された原理の説明についてのみ科学的に正しいかどうかの議論を行う)では、水商売ウォッチングの内容に違法性はないと考えている。

 今回のクレームに対処するために、弁護士に一般法律相談を行い、詳しい説明をうかがった。また、私も書籍などで正確なところを調べた。その結果をまとめておく。

 日本システム企画様よりいただいた警告文内の刑法は、具体的には以下のものである。

第230条[名誉毀損]
公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損した者は、その事実の有無にかかわらず、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
第230条の2[公共の利害に関する場合の特例]
前条第一項の行為が公共の利害に関する事実に係り、かつ、その目的が専ら公益を図ることにあったと認める場合には、事実の真否を判断し、真実であることの証明があったときは、これを罰しない。

 水商売ウォッチングは、浄水器や活水器の原理の説明で、科学的に変な部分について疑問やツッコミを書くことで、水に関する誤った理解が拡がるのを防ぐというものである。この行為は、正しい科学的知識を広めるということで公共の利害に関するし、公益を図る目的とも合致する。従って、私の書いた内容に誤りがあった場合は名誉毀損にあたる可能性があるが、裁判所で現状の水の研究成果を正しくふまえていることが証明できれば、違法性はないことになる。

 逆にいうと、水商売ウォッチングを書いたという理由で私を告訴するには、その内容が公共の利害や公益から逸脱することを示すか、書かれた科学的内容が真実でないことを裁判所で証明する必要がある。

もう少し詳しい判例は、

本条1項にいう「公共の利害に関する事実」にあたるか否かは、摘示された事実自体の内容・性質に照らして客観的に判断されるべきであり、これを摘示する最の表現方法や事実調査の程度などは、同条にいわゆる公益目的の有無の認定に関して考慮されるべき事柄であって、摘示された事実が「公共の利害に関する事実にあたるか否かの判断を左右するものではない。(最判昭56・4・16)
本条1項にいう事実が真実であることの証明がない場合でも、行為者がその事実を真実だと誤診し、その誤信したことについて、確実な資料、根拠に照らして相当の理由があるときは、故意がなく、名誉毀損罪は成立しない(最大判昭44・6・26)

 また、営業妨害については、

第233条(信用毀損および業務妨害)
虚偽の風説を流布し、または偽計を用いて、人の信用を毀損し、又はその業務を妨害した者は、三年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
第234条(威力業務妨害)
威力を用いて人の業務を妨害した者も、前条の例による。

となっている。

 ウェブページに書いただけでは、威力を用いたことにはならないから234条は適用されない。233条を適用するには、私の書いた内容が虚偽であることを裁判所で示さなければならない。

 民法では710条がある。

第710条[非財産的損害の賠償]
他人ノ身体、自由又ハ名誉ヲ害シタル場合ト財産権ヲ害シタル場合トヲ問ハス前条ノ規定ニ依リテ損害賠償ノ責に任スル者ハ財産以外ノ損害ニ対シテモ其賠償ヲ為スコトヲ要ス

判例は、

法人の名誉権が侵害され、無形の損害を生じた場合、その金銭的評価が可能である限り、本条の適用がある(最判昭39・1・28)
名誉毀損については、当該行為が公共の利害に関する事実に係り専ら公益を図る目的に出た場合において、摘示された事実が真実であることが証明されたときは、その行為は、違法性を欠いて、不法行為にならない(最判昭41・6・23)

 ということなので、いずれにしても、教科書の内容に基づいて批判を行っている限り、後で教科書が書き変わるような科学の進歩があったとしても、不法行為にはならないということである。民事の方も大丈夫のようだ。

 

 実際問題として、私の記述に誤りがあった場合は、教科書や査読を通った論文、あるいは技術審査済みの特許広報などを示してそのことを具体的に直接指摘する方が、裁判の手続きをとるよりはずっと手っ取り早い。そういう情報があれば、私の方でも調べたり、もっと詳しい人にきいたりして、訂正なりお詫びなりを書いて公表するつもりである。それでもだめで、名誉毀損だ営業妨害だというならそれはもう仕方がないから裁判をするべきである。判決までいけば、どの程度なら企業の宣伝ページの内容そのものに関する批判が許されるのか、法的な基準を出すことができるので、そういう裁判をすることには社会的意義があると思う。

 以前、ある掲示板で、私のページの内容を引用して、水関連製品のバッシングが起きそうになったことがある。このときは、その製品の販売店の人が連絡をくれたから、私は水商売ウォッチングの趣旨を説明し、理論はともかく製品の値段と最終的な効果をみて各自が懐具合と相談して購入を決定するべきだと掲示板に書き込んでフォローした。今後も、そういうことがあった場合は個別にできる限り対応する。