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エステーエスプロジェクト2007/02/10)

【注意】このページの内容は商品の説明ではありません。商品説明中に出てくる水の科学の話について、水・液体の研究者の立場から議論しているものです。製品説明は、議論の最後にある、販売会社のページを見てください。

 「ハーモニーウォーター」「オールワンウォーター」を販売している。会社のページはここで、製品開発ページはこちら。「蘇生エネルギー情報水」とある。商品にどんな名前を付けようが売る側の自由だが、混乱する人が居るといけないので、通常の水は「蘇生」とも「エネルギー」とも「情報」とは結びつかない、あくまでも水分子H2Oと混じっている不純物の濃度と組成のみで性質(味など)が決まることを、改めて言っておく。

 さて、宣伝の方は相変わらず何のことかわからないものが並んでいる。

浄化システム濾材は全て天然素材を使用。生命の誕生と進化にとって異物の反応がないコンセプト

 「天然ならいい」のか?というツッコミをしておこう。ところで、活性炭や機能性セラミックスや光触媒を使っているとすぐ後に出てくるのだが、これって天然素材といえるんだっけ?
  また、生命の誕生と進化は、飲料水よりはずっと不純物の濃度の高い水溶液から始まったから、水道水からさらに不純物を取り除こうという発想そのものは、生命の誕生に反する行為である。おいしい飲料水が欲しいという今の人間のニーズになら合っているが。

マイナスエレクトロンやミネラルバランス等に富んだ

 電子がマイナスの電荷を持っていることは確かだが、水に加えてそのまま混ぜておけるようなものではない。それとも、「マイナスエレクトロン」という物質がどこかにあるのだろうか。少なくとも、我々の住んでいる宇宙には無さそうだ。ミネラルバランスの方は、不純物の元素分析をすれば大体のことがわかる。

「水本来」の機能「情報とエネルギー」をもった、生態系にとって理想的な働きをする水へ転換します。

 水本来の機能にそんなものはない。水本来のエネルギーというのは、結局は酸素と水素の結合エネルギーに過ぎない。水素と酸素のままで居るよりは、水分子になった方がエネルギー的には安定である。だから、酸素と水素をまぜて化学反応させると、何かきっかけがあれば一気に反応する=爆発する。逆に、水から酸素と水素を作ろうとすると、外からエネルギーを与え続けないとできない(電気分解や光触媒による分解などを行うには、ずっと電気や光を外から与え続けないといけない)。水素結合も分子間の引力として働くが、こちらは温度・圧力・不純物組成が決まればそれで決まってしまう。何らかの処理をして、温度・圧力・不純物組成が同じであるにもかかわらず、水素結合の状態の違う水を作り出すことはできない。

 装置の説明からは、前段にフィルターとして活性炭を使って濾過し、後段のセラミックスでミネラルを加えるというもののようである。処理前後で不純物組成の違いでアピールすればいいだけなのに、何でこう怪しい表現を積極的に使って宣伝しているのだろうか。

 ところで、私はmixiにも参加している。本来であれば、mixiで得られた情報をmixiの外の誰でも読めるサイトに出すのはマナー違反なのだが、今回は、私の信用と名誉が関わっているのでお許しいただきたい。

 このコメントについて、次のようなメッセージがmixi経由で届いた。

 (略)
  ハーモニーウォーターは科学的根拠を持たない水ということのまま
 私の話では理解してもらえませんでした。
 その後、
 1月の末に、STSプロジェクトの半田和宣氏とお話しをした折り、
 半田氏がapjさんと話をする機会があり、
 ハーモニーウォーターがデータの根拠を持たない非科学的なものでないことを
 理解してもらえた。
 ということをおっしゃっておりました。

 最先端科学の話など私が聞いても理解できませんが、
 apjさんがハーモニーウォーターをどのように理解されるようになったのか、
 知りたくて、メッセージを送らせて頂きました。

 もし、半田氏のおっしゃることが事実であるならば、
 水商売ウォッチングの
「みみん」のホームページ(2001/06/07)
http://atom11.phys.ocha.ac.jp/wwatch/others/comment_05.html
 は、削除して頂けるとありがたいです。
 もうすでに「みみん」さんのHPへのリンクが切れていますし、
 STSプロジェクトも、きちんとしたホームページを立ち上げております。

 もし、半田氏と直接話をしたにもかかわらず、
 ハーモニーウォーターを疑似科学の産物と
 今もお考えになっていらっしゃるようでしたら、
 こちらのページの内容に対して批判して頂ければと思います。
http://www.stspro.com/main_index.html
(後略)

 このメッセージからは、STSプロジェクトの半田氏が「私にハーモニーウォーターを理解してもらった」と他人に説明したように読める。実際にそんな説明があったのかどうか、私には知りようがない。このメッセージを書いた方が私に真実を告げていないかもしれない。どちらが本当のことを言っているのか、私には確かめようがない。

 そこで、次のことをここではっきりと表明しておく。

  • STSプロジェクトの半田氏なる人物と私は、会ったことは一度もない。
  • 電話も無かったと思う(blogのコメント欄でハーモニーウォーターについて何度かやりとりがあったので、その後なら記憶にも印象にも残るはずだが、このネタで電話がかかってきた覚えがない)。また、仮にあったとしても、「情報水」「エネルギー」といった部分がまずいということは言ったはずで、宣伝ページの内容のままで私が「理解」することは無い。
  • 念のため、手元のメール受信ログを「ハーモニーウォーター」をキーワードにして検索したが、半田氏からのメールはなく、別の人達が私宛に「ハーモニーウォーターという怪しい水がありますが……」とたれ込んできたメールが何通か引っ掛かっただけだった。
  • 仮に、半田氏なる人物がハーモニーウォーターの宣伝をする際、「私(天羽=apj)の理解を得ている」と主張したのであれば、それは真っ赤な嘘である。
  • 仮に、半田氏以外の人物が「半田氏が私(天羽=apj)の理解を得ていると言った」と主張したとしても、それはどこかに嘘がある。

 このような批判活動をやっている以上、私は、名前の無断使用には敏感になっている。ちょうど、TV番組のあるある大事典が、研究者の主張を捏造して問題になっているところでもある。名前を勝手に使った相手に抗議しても意味がないし、以後そのようなことが起きない保証もない。また、四六時中名前が使われないかどうか、相手を監視するなど不可能である。従って、最大の防御は真実を公開することであると私は考える。

 

 

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