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マイナスイオン参考文献情報 by MUK さん(2002/07/03)

【注意】このページの内容は商品の説明ではありません。商品説明中に出てくる水の科学の話について、水・液体の研究者の立場から議論しているものです。製品説明は、議論の最後にある、販売会社のページを見てください。

 マイナスイオン関連情報について、いくつかの投稿をまとめました。

Source: 掲示板[407]
Subject: 予算厳しき折ですが
From: MUK

負イオン研究の歴史、医学的効用の研究の概要を知りたい人は、以前紹介しました「空気マイナスイオン応用事典」を、最寄りの図書館等に購入依頼してみるのも手かと。

でも、出版社の思うツボかなー(笑)

実は、Lenardの研究結果はLenard門下の人たちによって修正されており、正負共に出ていることが報告されています。
W.Busse;Ann. d. Phys., vol.76 p.495 (1925)

Source: 掲示板[409]
Subject: Lenardばかりが有名ですが
From: MUK

微細水滴の電荷についてもう少し詳しく述べます。
これは「静電気ハンドブック」(高分子学会編、地人書館刊)の受け売りです。

Lenard門下のBusse(uはウムラウト付き)は、正負いずれの電荷を持つ液滴も存在していることをつきとめ、Lenardが純水では負電荷しか存在しないとした誤りを修正しました。

その後Chapmanは、純水や様々な塩濃度の水溶液の微細液滴につき、易動度(つまりは粒子大きさ)の分布を測定し、以下の結果を得ています。
Chapman,Seville: Phys. Rev., vol.52 p.184(1937): vol.54 p.520,528(1938)
・正負イオンはいずれも連続的な易動度の分布(大きさが飛び飛びでなく連続的に分布)を有している。
・純水では負イオンは、易動度1.6、0.95、0.32cm2/V の所に分布のピークがあり、正イオンでは易動度1.0、0.4cm2/V の所にピークがある。ピーク高さは負イオンの方が高い。(数が多い)Chapmanはいずれのピークについても粒子半径を3nm以下としています。
・塩化カリウムを加えてゆくと、正負イオンともピークの位置、高さが変わる。 4×10^-4規定の濃度で正負イオンはほぼ同じ分布となり、それ以上の濃度では移動度が低い領域(比較的大粒子)で正>負となる。

ちなみにChapmanって、界面電気二重層のGouy-Chapmanモデルの人でしょうか。

こうした電荷の非対称帯電は1μm以下の液滴で生じるそうです。それ以上だと対称帯電になるそうな。表面層の薄い部分の破壊が生じると電気二重層の負の部分がはぎ取られ、こうした非対称が出るという説明があります。

Source: 掲示板[414]
Subject: 負イオンの化学種
From: MUK

長門研吉さんの論文を、安井先生や天羽さんにタレコミした手前、ちょっと補足を。
長門さんの総説は、あくまでも「代表的な大気中」の正負イオン種を特殊な質量分析計で調べた結果であり、滝や噴水近辺でも、交差点近辺でもないです。

ですから、電気方式やら水砕方式やらのイオン発生装置近辺ではどんな化学種があるのか、あの論文だけでは判断はつかないと思います。今後の研究対象と言って良いと考えます。

あと、landさん、ツッコミ入れてごめんなさい。1箇所だけ。
ゼオライトはイオン交換能力を有しています。土壌改良材に使われるのはその性質を利用しているんですね。
でも、転写時間って、私が不勉強なせいか聞いたことないです。エネルギー云々もわからじ(笑)

私は見てないんですけど、毎日新聞は、あの記事の数日後の夕刊に「マイナスイオンに だまされるな」みたいな記事があったとか。事実ならほとんどギャグだなー>毎日

 やっぱり、化学種を確定させるまでは、いろんな話が進まないということのようです。大気中の空気イオンの組成がわかるなら、放電や水破砕でできたイオンの分析もできそうに思います。

 ただ、分子線クラスターの実験で破砕だけでは帯電しないという話と、微小液滴の帯電の話がどうしても矛盾するので、私には非常に不思議です。両方とも実験結果(ただし条件は違ってそう)なんだけど、うまい説明があるのだろうか・・・。