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ツッコミどころはそこじゃない

Posted on 5月 7th, 2007 in 倉庫 by apj

 元記事が見当たらないので2ちゃんねるのニュー速+スレより引っ張っておく。

幸兵衛だらけ=元村有希子

教育再生会議の「親学」緊急提言を見て、落語の小言幸兵衛を連想した。幸兵衛は 口うるさい大家で、朝から晩まで長屋中に小言を言って回る。うるさいから店子(たなこ)が逃げ出す。落語なら笑えるが、これを政策立案につながる有識者会議にやられてはかなわない。

特にびっくりするような内容ではない。大人なら言われなくても分かる。分かっているが、諸般の事情で難しい人は大勢いる。心配なのは、お上がこういう価値観を金科玉条のごとく振り回すことで、そうしない人が「けしからん」と扱われることだ。

そもそもこの世は割り切れないことだらけなのだ。ところがこの「親学」は妙に明快だ。 母乳はよくてミルクは悪い、テレビは悪くて芝居はいい。子守歌がいいならロックは悪い?決め付けが過ぎて居心地が悪い。

再生会議の幸兵衛さんたちに言わせれば、最近の親はなってない、だから忠告してあげると いうことだろう。親切心はありがたいが、国がやることはほかにある。

再生会議に始まったことではない。外に出れば小言の嵐である。日本ほど、ひとの振る舞いに指図する社会は珍しいのではないか。
券売機で切符を買えば「切符をお取りください!」と電子音に繰り返しせかされ、電車に乗れば「奥へ進め」「詰めて座れ」「荷物は網棚に」。そのうち「漫画は読むな」「つり革は右手で」となりかねない勢いだ。

戦時中は「ぜいたくは敵だ」「お国のため」というスローガンに国民が従い、反する行いは排斥された。私は戦争を知らないが、同じにおいを感じる。(科学環境部)

 政策会議なら政策を提案しなければならないはずなのに、それが小言のレベルに止まっていることの方がよっぽど問題なわけだが。だから、この場合の正しい要求は「政策を提言出来るヤツを連れてこい」になるはずである。
 「母乳はよくてミルクは悪い、テレビは悪くて芝居はいい。」と一見わかりやすく連発されれば、このロジックが、ニセ科学で多用される「二分法」になっていることに気付くはずだ。「酸化が悪くて還元がよい」と主張してインチキ製品を売りつけるのとそっくり同じである。この手の二分法が出てきたら、「そんなに単純に良いことと悪いことがはっきり分かれるはずがない」と、とりあえず怪しまないと判断を誤る。しかし、類似の二分法でこれまで世論を操作してきた新聞サイドからは、二分法で考えること自体に対する批判など出てきようがないということなのか。
 なお、「同じ臭いを感じ」なきゃならないところは、単に小うるさいって部分じゃない。「ぜいたくは敵だ」などと、「貧乏である現実を精神論でごまかす」ようになったら、たとえ戦争してなくたって社会はかなり終わってると思うぞ。戦争と同じ臭いってか既に敗戦に向かってまっしぐらな臭いを感じるとしたら、注目するところは「為政者が貧乏をどうやってプロパガンダでごまかそうとしているか」という部分ではないかと。

 なお、教育再生会議の第一分科会:学校再生分科会にTOSSの向山洋一氏が加わったことの方がよっぽど末期的なできごとだろう。向山氏は、既に目立った効果はないと専門家に指摘されたEM菌を学校教育の現場で広めるは、オカルト話の「水からの伝言」の道徳教育実践を広めるのに貢献するはといった、今最も教育方面からニセ科学の普及に尽力しているうちの一人である。こんな人を教育再生会議に入れたら、教育にニセ科学やオカルトが持ち込まる方向で提言が出てきかねない。小言よりも別方面で被害がでかくなりそうな……。一体誰がこんな人を選んだのか見識を疑う。

 三日連続で新聞に出たアレな記事のネタになった。やっぱり、他社に剽窃されないために、誰が読んでも「剽窃する気にならないほど読むに耐えない文章」路線を狙って出しているのだろうか……。
 昔見た「ピラミッドパワー磁気活水器」(蛇口にやたら目立つピラミッドの模型みたいなのを取り付けるヤツ)の宣伝が頭に浮かんで仕方がない。「他社の追随を許さぬ」などと書いてあったが、外見だけでインパクトがありすぎて「恥ずかしいから誰も真似するわけないだろーっ!」と全力で突っ込むしかなかったなぁ。

見出しがアレ

Posted on 5月 6th, 2007 in 倉庫 by apj

 京都新聞電子版より。

ネットの怖さ、児童も体験を
滋賀大院生 教材づくり進む

滋賀大大学院生の中谷有花さんが作成した教材「やってみよう!!インターネット」
 インターネット上のマナーや利用する際の怖さを体験できる小学校低学年向けの教材づくりを、滋賀大大学院教育研究科の中谷有花さん(23)が進めている。

 教材は「やってみよう!!インターネット」。賞品がもらえるアンケートに答える、掲示板に書き込みをする-など7つの場面が設定。児童がパソコンを使って体験すると、個人情報が漏えいしたり掲示板に児童へのひぼう中傷が書き込まれる仕掛けになっている。

 幼いころから情報の取り扱いを身に付けることで、掲示板の書き込みによるトラブルや料金の架空請求などの犯罪に巻き込まれない力を養ってもらうのが狙いだ。

 この教材は、県内の小学校で効果を検証したあと、今秋めどにインターネットで公開する予定にしている。

 「恐いのはネットではなくてそういう行動をする人間の方だ」と教えないとダメなのでは。まあ、トラブルに対処するための教育は必要だとは思うが。

突っ込みたくなる論説文

Posted on 5月 4th, 2007 in 倉庫 by apj

 SankeiWebの記事より。

【主張】高校生意識調査 若者の意欲低下が心配だ

 日米中韓4カ国の高校生の意識調査で、「偉くなりたい」と思う生徒の割合が、日本では格段に低いという気がかりな結果がでた。

 平成生まれの今の高校生たちは、父親のリストラや、官僚、企業のトップが不祥事で辞任する姿を知っている。未来に不安を感じ、「偉くなることは損だ」と思っているとしたら残念な調査結果だ。

 調査は、「高校生の意欲」をテーマに、財団法人「日本青少年研究所」が昨年10~12月に行った。「偉くなりたいか」の質問で、「強く思う」は、中国の34%、米韓の各22%に対し、日本は8%にとどまった。「まあそう思う」を含めても日本は40%台で、60~80%台の米中韓より20ポイント以上低い。

 国情や国民性の違いもあり、「偉くなる」ことの具体像はさまざまだろうが、調査では日本の高校生は、偉くなることを「責任が重くなる」「自分の時間がなくなる」と見る割合が高く、「自分の能力をより発揮できる」「周りに尊敬される」と肯定的にとらえる回答は4カ国中で最も低かった。

 将来の職業についても、医師、会社経営・管理職、プロスポーツ選手など専門、花形の職を選ぶ生徒は他国と比べ意外に少ない。「のんびり暮らしたい」という傾向がでたという。

 調査対象の高校生たちは、小学校時代から「ゆとり教育」を受けてきた世代だ。社会が変化しても自分で考え、活躍できる個性や意欲を引き出そうというねらいだったが、調査結果からは、そうした成果はうかがえない。

 20~30代では定職に就かないフリーターやニート、インターネット喫茶で寝泊まりする「ネットカフェ難民」などの存在が社会問題化している。

 高校などでは就業体験や奉仕活動を通じ、社会に役立つ実感や自信を持たせようという取り組みも始まったが、企業や大学など受け入れ側も、活力や魅力を高める努力が必要だ。

 安倍晋三首相は著書「美しい国へ」(文春新書)で、平成16年の同じ調査では「国に誇りを持っている」と答えた高校生が米国や中国に比べ少なかったことにふれ、「志ある国民を育て、品格ある国家をつくる」必要性を訴えた。高校生たちが「偉くなる」ことの真の価値や誇りを見いだし、頑張れる社会づくりが求められている。

(2007/05/04 05:02)

 またまた悪文(論理性のない文章)が新聞の論説に載ったケースかと。
 「偉くなる」ことを肯定的に捉えないって指摘されても、「偉く」なると、責任が重くなったり忙しくて自分の時間が持てなくなったりするのは事実ではないのか。だとしたら、メリットとデメリットを比べて魅力を判断することになるが、「今の日本ではデメリットの方が多い」と高校生に見られてしまっているということではないのか。
 「医師、会社経営・管理職、プロスポーツ選手など」って言われてもだ、医師は医療費削減の影響をかぶって労働基準法って何?という状態になった上、訴訟のリスクが急上昇中で、自信をもって「魅力ある仕事」だと高校生に勧められる状態ではない。起業したところで、銀行のめちゃくちゃな貸しはがしで会社がつぶされた話なんかが出回ってるから、やっぱり魅力に乏しいと思われても仕方がない。ちょっと前に管理職になろうかという人達を大量にリストラの名目で首切りしたのが散々報道されていたのだから、頑張った末路がそれじゃあ、そりゃ誰もそんなもの目指さなくなるわな。プロスポーツ選手は……高校生にもなって夢見るもんじゃないでしょ。一握りの運と才能に恵まれた人達の世界です、あれは。ってか高校位になれば、プロスポーツ選手でやれる立場の人とそうでない人は大体分かっちゃうものではないかと。
 で、ゆとり教育批判をしているが、この文章を書いた人は、社会が変化しているときに自分できちんと考えたからこそ「そうそう活躍しやすい社会ではなくなっている」ことが高校生に見抜かれてしまった結果である、とは考えなかったのだろうか。
 「ネットカフェ難民」が出たのは、派遣法を改悪しまくり偽装請負やりまくりで、若者から搾取する社会構造を作ったことが第一の原因であって、やる気云々の問題ではないのでは。さらに、部屋を借りるときの保証人制度・敷金礼金徴収制度が追い打ちをかけて、ホームレスからの脱出を困難にしている。部屋を借りるにはまともな職が必要ーまともな職につくには定まった住居が必要、という「鍵が鍵のかかった箱の中にある」ような状態では、個人ではどうにもならんでしょう。若者のせいにする前に、部屋を借りるハードルを下げて、雇用制度をまともにする方が先ではないか。
 ところで、「衣食足りて礼節を知る」って昔から言われているけど、安倍首相は知ってるのかしら。「品格」「志」「美しさ」じゃ国民は食えないんですが。政治家の仕事は、普通の人が普通に働いて食べていける国を維持することではないの?経団連の言いなりになって普通の国民(特に若者)の衣食住を破壊しておいて、品格や美しさを主張するのは無理がありすぎると思う。

ネットストーカー認定

Posted on 5月 2nd, 2007 in 倉庫 by apj

 「apj_yamagataの日記」というはてなダイアリーができたようだが、ここからのトラックバックは禁止にした。
「菊池誠、稲葉振一郎」というダイアリーからのトラックバックも同様。
 特定個人の日記だけを取り上げてウォッチするという行為は、ネットストーカーがやっていることと変わらないので、そういう行為を勝手にやるのは仕方がないとしても、手を貸すつもりも助長するつもりもない、というのがその理由である。
 まあ、他人の名前、それも芸能人や作家等でもない人の名前をタイトルにしたダイアリーを作る時点で何だかヘンだと思う。一体何に執着しているのだろう。意見があるなら、私が書いたモノ(他の誰かが書いたモノについても同じだけど)に依存せず、自分の経験と主張として独立に出せばよい。同じ意見が一時期kikulogでも出ていたが、kikulogで描き込まなくなった(描き込めなくなった?)後、できたダイアリーはきくちさんの個人名をタイトルにしたものだった。特定の他人の書いた内容に依存したコンテンツを作る、それもタイトルに持ってくるというのは、やっぱりどっかおかしい。ここだけじゃなく、kikulog他の書き込みや、はてなの方の内容も見ていたのだけど、どうも、うっま~さん(他ではうまと名乗っていたこともあるが、が多分同一人物と思われる)は、他人に依存してでないと意見の表明ができないように見える。さらに、書き込むなと何度かコメントしたが、それでも書き込みが止まらなかった(普通なら、自分のblogをさっさと立ち上げてそっちでやるだろうと)。世の中にはこれに違和感を持たない人も居るのかもしれないが、私は、新しく作られたダイアリーのタイトルを見て、書き込み禁止にしたのはやはり正解だったと改めて思った。

 今回のは、粘着さんといつまでも関わるつもりはない、という意思表示である。kikulogで追い出されたからといってウチで粘着されても迷惑なだけ。
なお、今回の書き込み&トラックバック禁止は、反対の意見の人を排除するという意図で行ったものではない。私と全く反対の意見の人のコメントも、削除も書き込み禁止にもせずにそっくり残していることは、別エントリのコメントを見れば明らかである。

【追記】
次のようなメールが来た。
内容はともかく、勝手に私の名前と勘違いされそうなメールアドレスを使うという行為は放置できない。このアドレスがfromフィールドに入っているメールを受け取った他の人が、私からのメールだと誤解する可能性があるからである。そういえば、kikulogに出入りしていたうまさんも、他所のblogにコメントするときに、内容がコピペの上、きくちさんと誤認されるような名前で書き込みを行っていた。この行動と共通するものを感じるのだが……。
 精進云々以前に大変迷惑なので止めるように、というか精進の方向を根本的に間違っていますよ……といってもどこまで効果があるかわからないので、ここで公開しておきます。私のオフィシャルなメールアドレスは、apj@何チャラ、で、yamagata-u.ac.jpか、phys.ocha.ac.jpかのどちらかからの送信になります。これ以外のものは一切使っていません。From:フィールドは騙れますが、メールの配送経路を全部表示していただければ、上記ac.jpドメイン内のメールサーバからの送信になっているはずです。類似のメールアドレスからメールが届くことがあったとしても、それは私ではありませんのでご注意ください。
 さらに、この人物がこのような行動に出たということは、私を騙った書き込みが、他の掲示板やウェブサイトで行われる可能性も出てきたと思います。
 なお、他人にメールを送るときは、自分の名前くらいは名乗るものです。他人を装うメールアドレスをわざわざ作った上、匿名性に隠れてメールを送りつける行為は、本文に何が書かれていようと、失礼な上に信用ならない行為であるということを、ここで指摘しておきます。
——————————————–(ここから)
X-Original-To: apj@atom.phys.ocha.ac.jp
Delivered-To: apj@atom.phys.ocha.ac.jp
DomainKey-Signature: a=rsa-sha1; q=dns; c=nofws;s=yj20050223; d=yahoo.co.jp;h=Message-ID:Received:Date:From:Subject:To:MIME-Version:Content-Type;
b=jXNfpaPSIi/5DOYTQvTREGeRH8HjNlen+COpcPWzOB3WXqzo
Cqem0qOC97ytp757c5ujfi9zDJV7wlR9+HRK1VaJE1IJE7Ocj6e
E1os22XZxgWSZflUMEf92+I4iPPe3 ;
Date: Wed, 2 May 2007 21:39:14 +0900 (JST)
From:
Subject: 水商売ウォッチングなど。
To: apj_yamagata@yahoo.co.jp

山形大学 天羽優子先生

初めまして(でいいのかな?)、apj_yamagataと申します。

先生の活動は素晴らしいと思います。上のように尊敬する
先生のハンドルにちなんだメールアドレスを使っています。

山形大学のサーバー上で公開されている掲示板は大変な
公共性があります。ウェッブでの先生のご発言にはいつも
私は感服しているばかりです。今後とも、先生の様々なご
発言を参考に精進してまりたい、と思います。それでは…
——————————————–(ここまで)

そんなこと教員に訊くな

Posted on 5月 2nd, 2007 in 倉庫 by apj

 教養の講義をしていたら、学生からの質問に次のようなものがあった。

テストはどんな感じのものになるのですか?むずかしいですか?☆☆☆☆☆だったら、星いくつ分のレベルですか?

 まず、大学の講義はテーマも展開も様々だから、テスト(やレポート)の難易度を共通の尺度で評価できるはずがない。だから、「共通の評価が可能である」という考え方というか思いこみの方をまず捨てろと言ってみた。限られた範囲の中でいろんな問題を作る大学受験のような場合は、A大学は難易度☆5つ、Bは☆2つで楽勝、などという比較もできるが、そんな分かりやすい尺度がいつもあるとは限らない。
 次に、仮に私が「私の講義の難易度は☆3つだ」と言ったとして、それに一体どれほどの意味があるのか?と問うてみた。私が想定する☆3つと、学生が考える☆3つが一致していることを確認する手段などどこにもない。さらに、自分の講義の☆がいくつかは、他の先生の講義の内容とテストの内容を知らないと、amazonの書評レベルであっても決めようがないわけだが、私は他の講義を受講しているわけではないから、☆の数など出しようがない。
 それでも昔から「教員の鬼仏表」というのが学生の間で作られていたし(私も2年生の時しっかり作って後輩の新入生に配ってたし^^;)、amazon.com方式で☆で評価するなら、それができるのはあなたたち学生じゃないの、と。これは分かりやすかった、これは退屈だった、とんでもない問題が出た、楽勝だった、などを総合的に勘案して、いろんな講義について☆を付けたものを集めることはできるし、たくさん集めれば、これから受講を考える学生にとっては意味があるかもしれない。
 まあ、その質問は訊く相手を間違えてるぞ、という結論で締めくくった。

「自然のしくみ百科」

Posted on 5月 1st, 2007 in 倉庫 by apj

 丸善から「自然のしくみ百科」が出ていたのでつい買ってしまったが、8000円は高い。紙の質も高密度2色刷だが、1色刷にするとか新書サイズにするといった方法で値段を下げて出して欲しかった。内容は自然科学全分野に及んでいるし、トピックの説明のところに歴史的経緯が簡単に出ているので、どういう流れの話なのかがよくわかる。広く普及してほしい本だと思うが、この値段だと手出しする人が限られて、数が出ないんじゃないか。なお、amazonではソフトカバーとなっているけど、ハードカバー製本で、値段の方もamazon定価8400円じゃなくて8000円である(訂正:amazonは税込み価格を表示、本は税無し価格+税、で、消費税率変更に対応している)。

 ただ、この本は翻訳だが、元の本の著者の着眼点、特に著名な科学者についての記述が……。
ジョン・ティンダル(チンダル効果のチンダルさんね)について書いてある部分の最後に「彼は妻によって誤って調合された薬を飲んで亡くなった。妻はその後47年生きた。」って、そりゃほとんど毒殺だろーっ!!(汗)。ベンジャミン・トンプソン(後のラムフォード伯)については「1804年にはパリに移り、アントワーヌ・ラヴォアジェの未亡人と結婚した。その結婚は幸せなものではなかった。ラムフォードは、ラヴォアジェがギロチンで死んだのは幸運だった、と述懐したという。」一体どんな悪妻だよ!!ってか悪妻ってレベルじゃねーよw。
 変なところで知識が増える記述もある。ヘルモントについては「傷というものはそれをもたらした武器を処理することによって治癒できるという当時支配的だった俗説に疑問を呈して教会と対立したという」そんな俗説があったのか……ホメオパシーの同類みたいな発想だな。
 「雑学」に分類されているがマーフィーの法則「失敗する可能性のあるものは失敗する」まで入っている。他はボルツマン定数とかホール効果とか、星の進化とか、フィボナッチ数とか、まあ理科年表にも出てきそうなネタを含めていっぱい解説していて予想の範囲なのだが、マーフィーについては快挙と呼ぶべきなのか?
 美的基準なんて項目もあるな。「科学理論は実用的基準と並んで美的基準によっても評価される」。
 「相補性原理」のところには「科学哲学の連中は「波と粒子の二重性」から、そこに本来含まれていること以上の結論を引き出そうとしているように私には思われる」。トンデモサンモナー、と突っ込んでしまいましたよ私ゃ。
 「バックミラー」(今となっては否定されたか置き換わったもの)に分類して「生命力」も登場する。「ニューエイジ科学には怪しげな生気論がほとんどそのままの形で浸透している」なんて書いてあったり。同じく、「自然のバランス」のしょっぱなには「自然のバランスという神話は一般大衆の中にしっかり根付いている。」と書いてある。何でも自然がいいという人への見事なツッコミになっている。

 読んでいて思わず笑える記述があるので、お薦めはできる、できるんだけど……文庫版でもいいからもうちょっと安くならないのか。しつこいようだけども。

mixiで書いたこと

Posted on 4月 28th, 2007 in 倉庫 by apj

mixiのホメオパシー検証スレで書いた内容の一部。
例によって、科学が全てを解明したわけじゃないから、ホメオパシーに科学的根拠がなくてもかまわない、という流れで書き込んだ人が何人か居たので、それに対するコメントをした。内容を引用したいという連絡をもらったので、改めてこちらにも引用しておく。
——————-(ここから)
ありがちなな論理展開について説明しておきます。
1:○○は今の科学では説明できない。←事実
2:科学ではわからないことがたくさんある、あるいは万能ではない。←事実
3:だから、○○は本当かもしれない。←推論
 1が事実であったとしても、いろんな可能性があります。○○がそもそも科学の対象ではなかった場合には、永久に科学で説明されることなどないでしょう。また、ゆくゆくは科学になるけど今はまだその時期ではないから説明できていないだけかもしれません。1だけからは何とも言えないわけです。すると、2が成り立っていても、3は出てきません。1と2は独立の話ですから、3は導けない。結局、この三段論法っぽいものは、何も言ってないのと同じ事です。
——————-(ここまで)
 今回は、ホメオパシーに「科学をくっつけよう」とする部分について、それは違うというコメントをした。議論に加わった人の中には、「科学で説明する必要はない」とはっきり主張した人もいたので、まあ、わかっている人はわかっているということだろう。問題は、中途半端に科学を持ち込んで説明しようとする人が後を絶たないことで、混乱の原因になっている。
 元々の検証トピックの問いは「ホメオパシーはインチキか?」というものだったが、これは主張の仕方による。
「ホメオパシーは科学ではないが、私は信じる」というのなら個人の価値観あるいは人生観の問題だから、インチキでも何でもない。そのかわり、効果や原理の説明に「科学(っぽいもの)を持ち出す」のは反則である。
 だから、「ホメオパシーに効果があるのは水に情報を記憶する力があるから」「ホメオパシーの原理は波動が(以下略)」などと、科学でないものに対して科学をくっつけた主張をすると、その主張についてはインチキということになる。また、「ホメオパシーがあれば○○(普通に使われている治療法)は必要ない、すべきではない」などと、既に裏付けのある治療方法を否定することもインチキになる。否定するだけの証拠をホメオパシーの側が(科学的手続きに沿って)提出してないからである。
 つまり「個人の信念として信じる、実行する」のであればインチキではないが、ホメオパシーが効いたことを理由として、既にわかっている科学や医学の一部を否定する主張をすれば、その部分はインチキと判断することになる。

 なお、「代替医療は医療費を削減したい人にとって都合がよい場合がある」ということを改めて書いておく。政府側が「医療費削減のため貧乏人は代替医療で我慢しろ」と主張したとしたら、「医療サービスは国民に等しく与えるべき」と非難囂々になるだろう。ところが、代替医療を黙認する政策を目立たないようにとれば、非難無しに医療費を削減することが可能になる。「患者のニーズ・選択の自由」という(客観的に内容が間違いであったとしても)大義名分が常にあるので、問題にならない。医者の良心の呵責という問題はあるが、「医学も科学もどうでもよく、自分が治ったことが全て」な「患者様」が相手なのだから、政策的に「代替医療を好む人には通常の治療はせず可能な限り代替医療の方を使うように勧める」ということにすればよい。患者の満足度を高めたままで、切り捨てられていることを本人には全く気付かせないまま、医療サービスを抑制するという解が可能になる。余裕が出来た医療リソースは、「医学の価値」 のわかっている人達に振り向ければよい。切り捨ての対象は、「貧乏人」も含むかもしれないが、いわゆる「情報弱者」、特に迷信を受け入れやすい人達の集合ということになるだろう。理科教育を骨抜きにして論理的に物を考えるとか事実を受け入れるといった態度を養う機会を減らす一方で、「希望や夢を持つのは大事」を強調する教育を行い、仕上げに「あるある」のような健康バラエティ番組を極力規制しないような社会を作っておけば、準備としては実に申し分ない。
 選択の自由は確かにある。しかし、不完全な知識や迷信に基づいて不合理な選択を続けた場合は、自分から進んでそれを選んだつもりでいても、誰かの意図によって踊らされる結果になるということを考えに入れておいてもらいたい。相手が騙されたことに気付かず満足している場合が、騙す側にとっては成功ということになる。

掲示板管理関連:名誉毀損幇助

Posted on 4月 27th, 2007 in 倉庫 by apj

 Yahooニュース毎日新聞より。

<ネット掲示板>中傷書き込み放置の管理人を書類送検 大阪
4月27日13時13分配信 毎日新聞

 インターネットの掲示板に書き込まれた女子中学生(13)に対する実名中傷を放置したとして、大阪府警南署は27日、掲示板を管理する大阪市内の材木卸会社役員の男(26)を名誉棄損ほう助の疑いで書類送検したと発表した。書き込んだのは、小学校時代に同じ塾に通っていた別の私立中学校の女子生徒(13)で、同署はこの生徒を名誉棄損の非行事実で児童相談所に通告した。府警によると、掲示板での個人名を挙げた中傷を巡っては、民事訴訟は多数提訴されているが、管理人を立件したのは全国的に例がないという。
 府警によると、中傷が書き込まれたのは「学校裏サイト」などと呼ばれる掲示板。昨年8月20日ごろ、大阪市内の私立中学校に関する話題を在校生らが自由に書き込む欄に、当時1年生の女子生徒について「うざい」「ブス」などと中傷する内容が書き込まれた。同10月中旬、友人から知らされて女子生徒が気付き、母親が掲示板のプロバイダーにメールで削除を要請したが、プロバイダーは「掲示板の管理人に言ってほしい」と回答。改めて管理人にメールなどで要求したが、応じてもらえず府警に相談した。府警のサイバー捜査担当者が、書き込んだ女子生徒と管理人の男を割り出した。
 男は「中傷にあたると分かっていたが、これくらいなら削除するに値しないと思った」と供述している。母親が府警に相談した直後の同10月19日、掲示板を削除したという。【小林祥晃】

 「うざい」は意見・感想を述べている(元は「うざったい」でしょう、意味は「うっとうしい、わずらわしい」(学研現代新国語辞典))ので名誉毀損にはあたらないが、「ブス」(「女性の顔の醜いこと」(学研現代新国語辞典))は「事実の摘示」だから名誉毀損にひっかかる、と思ったんだが、私の判断は間違っているかな?完全放置せずに、「ブス」だけ削除して「うざい」を残した方が、議論としては面白いことになったんじゃないかと。

さぼるなゴルァ、の残りの半分

Posted on 4月 25th, 2007 in 倉庫 by apj

 一昨日は、「さぼるなゴルァ!」モードで、数IIICを履修させろと書いたが、今日はその残りの半分について、私の経験も交えて書いてみる。結論はやっぱり数IIICをやってほしい、ということなんだけど。
 私が高校の時、普通科高校の数学は、数学I・線形代数・基礎解析・微分積分・確率統計の5分割になっていた。大体この順番で高校1年から履修することになっていた。地方の進学校だしまわりに予備校もないし、大先輩にあたる担任の先生は一浪した時もう一年高校に居候させてもらって受験勉強して大学に行ったと、まあそういうのどかな状況だった。
 私は、高1、高2の大部分の間、数学が苦手だった。特に数Iのあたりは、教科書を読んでも何がしたいのかがわからなかった。線形代数は絵が描けるからわかりやすかったのだが、他のものについては、問題集を解いていても「思いつかないと解けない」という印象を持っており、「思いつくことの訓練」をどうしたらいいのかわからなかった。理系に行こうとは思っていたが、数学の点数については、赤点にはならなかったものの低迷していた。特に入試問題が出ている参考書を見ても、やっぱりその場のひらめき頼りで、つながりがわからなかった。
 ところが、あるとき何かの本で、高校数学の大部分は受験数学に毒されてパズル化しているが、微積分はパズル化しておらず、話の進み方が数学の王道に近い、といったことを読んだ。それで、パズルでないなら私にもできるかもしれない、と思って、そこまで授業が進むのを待っていた。正直、微積分でなじめなかったら理系に行くのはやめようと思っていた。物理はというと、公式の暗記ばっかりで、やっぱりつながりが判らず、暗記物が嫌いなために成績は低迷していた。
 2年の3学期になって、基礎解析の最後の方に微積分が出てきた。先生の説明をきいて、頭の中でイメージが作れて納得できたのは、微分の授業が最初だった。できることなら数Iの前にこっちをやりたかったと思った。
 定期テストの結果はというと、高校に入って以来、初めて満点近かった。これに気をよくして、積分の方も取り組んだから、その次のテストの点数もよかった。3年生になって微分積分の教科書に進んだあたりで、自分で微分積分の本(not受験参考書)を買ってきて読んだりもしてみた。物理の方も低迷していたが、微積分を使えば公式の暗記をしなくても解けるし、難問といわれている問題のいくつかも簡単に解けることがわかった。大学入試は、あてずっぽう以外の方法で正解にたどり着けば点がもらえると踏んで、可能な限り微積を使って物理の問題を解くようになった。このおかげで、理系振り分け直後に赤点喰らった物理が、3年2学期には定期テストも模試もほぼ満点ということになった。
 もし、高校の数学が選択制で「微積分はやらんでいいよ」という指導をされていたら、私の数学苦手意識は払拭されることは決してなかった。物理で点がとれるようになることもなかった。私は理系の進学をあきらめただろうし、もしあきらめなかったとしてもそもそも理学部物理学科なんかには受からなかっただろう。
 数学が苦手で困っていた私は、微積でやっと救われた。というか、微積のおかげでその後の人生まで変わった気がする。不思議なことに、微積で数学苦手意識が払拭されると、何となくいろんなものが見え始めて、これまでそんなに点がとれていなかった項目でもそれなりに解けるようになったりした。多分、「微積はやらんでいいから苦手なところをもっと受験に向けてトレーニングしろ」とやっていたら、苦痛ばっかり大きくて、効果が上がらなかったに違いない。
#かといって、数学科の公理論に馴染むほどではなかったので、物理を選んで正解だったのだけれど。
 今、高校で数学が苦手だという人のうち、私と同じ理由で数学に苦手意識を持っている人がいるんじゃないかと思う。だとしたら、微積分のストレートな展開に触れれば、数学苦手から救われるかもしれない。選択制で数IIIをやらないことにしてしまったら、そういう人達が救われる機会を奪ってしまっていることになる。これは、実は相当罪深いことなのではないか。
 予備校なら試験対策以外のことはしない、でもかまわないのだが、高校は、いろんなものに触れて、何ができるかを確認できるチャンスを増やす方向でやってほしいと思う。「苦手だった、もう二度と見たくない」と思って卒業するのと「私にもこれができる」と思って卒業するのとでは、やっぱり後の方が気分がいい。

無理ありまくりだな

Posted on 4月 24th, 2007 in 倉庫 by apj

 今度は大学院内部進学者の割合を制限するという案が出てきたが……。そもそもの前提になっている囲い込みなんかそんなに無いんじゃないかなぁ。

大学・大学院に競争原理を積極導入…教育再生関連6会議

 政府の教育再生会議は23日午前、第3分科会(教育再生)を首相官邸で開き、大学・大学院改革について、国立大学の大学院生に占める同大学の学部出身者(内部進学者)を最大3割程度に抑えることなどを柱とする素案を大筋で了承した。
 内部進学者の制限は、大学の枠を超えて人材を集めることで大学院教育を活性化するのが狙いだ。素案は当初、「最大2割程度」を目標とする方向だったが、大学関係者の反発に配慮し、「3割程度」に改めた。

 何て言うか、めちゃくちゃな案だな……。今時のことなんで、囲い込みで進学先を決めさせるようなことをしたら、教員にとってはハラスメントだと問題になるリスクを背負い込むだけなんだけど。
 卒業研究をやってたらやっといろいろ分かってきたからもうちょっと研究しようかな、で進学してくる層がそれなりに居るんですよねぇ。4年の延長でやれそうだから同じ大学(ってか同じ研究室で)という要素もあるわけで、別に囲い込みがあるから同じ大学に進学しているわけではない。そういう人達が軒並み進学を止めて就職してしまいそうな気が。
 一方、少しは囲い込まないとまずい分野というのもある(特許がらみの仕事を一緒にやってるとか、職人芸的な実験技術が必要な分野とか)。そういうところだと、技術を教えてもその先続けてくれる可能性がほとんと無い上、機密保持の問題も発生するとなると、4年生に細かいことを教えなくなるかもしれない。
 進学者の数激減&不十分な指導のまま進学してくる人の割合増、で、活性化どころか大学院が崩壊するのが目に浮かぶわけですが……。
 大学同士でこっそり協定結んで書類上だけ学生を所属ってか交換受験させ、教員同士は表向き共同研究、院生は居たい場所で研究続行、って手をつかうのが現実的ということなんだろうか。新手の内地留学かこれは?

 まあ、そもそも、「内部進学者の割合が少ない=大学院が活性化する」が本当に成り立っているのかどうかについて、十分検討してもらいたいのだけど。

 あ、ところで上の方からは、「大学院と学部の連携をとれ、一貫教育の方向で」と言われたもんで、院のカリキュラムをいじったりしていて、動きの速い私学では学部と院の一部単位互換が既に走ってたりする件。これってもろに内部進学者優遇制度、上の方のお達しによる「囲い込み」に見えなくもない。教育課程を学部・院一貫にしておいて、内部進学者制限をかけるというのは、正気の沙汰ではないと思うが。