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ニセ科学とは何か

割と簡単なまとめ。

定義のようなもの

「ニセ科学」とは、「科学であると主張するが、科学ではないもの」のことである。ここでいう「科学」とは、自然科学のことである。

「科学であると主張する」部分には、主張の内容そのものを自ら科学的であると明示することの他に、「科学の外見を装う」ものも含まれる。

「科学ではない」には、主張の内容が現状の科学の広範な否定になっているにも関わらず十分な根拠を伴わない場合のほかに、そもそも科学の手続きに従っていないものを含む。

「定義」ではなく「定義のようなもの」と書いたのは、ニセ科学とそうでないものの間に、常に明確な線が引けるとは限らないからである。

科学の外見を装う

  • 「実験」をしたと主張する
    打ち切りになってしまったが、「あるある大事典」が典型的なケース。少ないサンプル数、十分に他の要素がコントロールされていない状態で、実験をしたら結果がこうなった、などと主張する。
  • 「科学っぽい用語を使う」
    科学で使われている用語を流用する、あるいは組み合わせるなどして、主張の内容が科学の一部であると見せかける。 多くの場合は、本来の意味とは違う意味で用語が使われていたり、組み合わせたためにそもそも存在しない用語となっていて、少し知識のある人から見れば、主張の内容が意味不明であることが多い。

科学の手続き

    精度の高い実験、あるいは理論
    具体的な内容は分野によって異なるが、それぞれの分野でこの程度の設備・計画でこの程度の結果をだせば……というものがある。臨床試験なら無作為割付で二重盲検にする、動物実験ならガイドラインに沿っているか、など。
    理論の場合は、前提や途中の過程にあからさまな間違いが含まれているものは認められない。実験をあまりうまく説明しない、というのは程度問題であり、ニセ科学とは呼ばない。
  • 発表の手順
    学会発表だけではだめで、審査のある学術雑誌に掲載されていなければならない。業界誌に書いた程度ではダメだし、お手盛りの研究会の雑誌に出しました、というのもダメである。
  • 情報公開
    掲載された論文には、専門家が見て追試できるだけの十分な情報が書かれていなければならない。
    不十分な情報の例:体験談にありがちな「○○という病気の人10人に××を飲ませたら改善した」しか出ていない場合。他にコントロールした条件が無かったり、人数が少なすぎて統計処理が不可能だったりで、あやふやすぎて追試のしようがない。
  • 追試による確認
    これも分野によって異なる。
    疫学調査などの場合は、複数のグループによって支持されるまでは判断保留となる。
    物理科学の場合は、主張の内容が既存の枠組みで説明できたり、結果が間接的に他の実験の追試になったり、既に知られた実験が間接的に追試になっているような場合はそのまま受け入れられる。主張の内容が既存の枠組みの否定になっている場合は、それに見合った内容でないと受け入れられない。

科学における立証責任

新規な内容が真実であることを科学の手続きに沿って立証するのは、その内容を主張する側であり、立証がない間はその主張については無いものとみなす。

これを守らずに科学を装う主張は全て却下してよいし、却下するべきである。

ニセ科学ではないもの

  • 内容が確定する前の普通の科学
    手続き違反が無く、通常の研究として進められているが、まだ十分わかってないために諸説あったり、頻繁に主流とされる説が変わったりするもの。ニセでも何でもなく、科学の進歩の途中とはそういうものだというだけの話である。
  • 宗教(一部のカルトを除く)
    よく知られた宗教のほとんどは、教義や活動内容からみて、まず科学と混同されることはない。
    但し、一部のカルトは、自身の教義の正しさを担保するために科学を持ち出すことがあり、その場合はニセ科学に当てはまることがある(むしろ、宗教であるにも関わらず科学を頼るというのが、カルトの特徴の一つかもしれない)。
  • オカルト
    星占いやコックリさんなど、外見も主張も用語も科学とは無関係だから、科学と混同されることはない。おまじないやジンクスも、通常はニセ科学ではない。
  • 人文系の一部の分野
    「社会"科学"」や、その一部から派生した「"科学的"社会主義」など。いくら「科学的」と書いても、内容が自然科学と異なるのは通常人から見て明らかである。