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真実を見せるべきでは

Posted on 8月 4th, 2009 in 倉庫 by apj

 時事ドットコムの記事より。

CGで遺体の傷再現=分かりやすさ、ショック緩和-裁判員制度
 殺害された被害者の致命傷の様子を分かりやすく示すため、検察側はCG(コンピューターグラフィックス)による3次元画像を法廷のモニターに映し出した。
 CGを製作したのは東京大医学部5年の瀬尾拡史さん。遺体を司法解剖した東大大学院の吉田謙一教授の鑑定書に基づき、3次元の人体標準データ上に2カ所の致命傷や凶器のサバイバルナイフが刺さった様子を再現した。
 瀬尾さんによると、製作期間は延べ約30時間。血管の向きや筋肉の付き方が人によって違うため、鑑定書の内容を確認しながら標準データを修正するのに時間を取られるという。
 こうした手法は、専門用語が多い鑑定書や生々しい写真に比べ、裁判員が理解しやすく、受けるショックも少ないとされる。一方で、標準データを修正する際に主観の入る余地があり、「真実」とは異なるCGを作れる恐れが指摘される。
 CGの色調によって裁判員の印象が変わり、量刑に影響する可能性もある。国の研究費支援がなく、瀬尾さん個人が標準データを米国から約280万円で購入したため、製作費は高くなるという。(2009/08/03-15:50)

 何て言うか、事件も被害者も加害者もまとめて冒涜している気がするのは私だけだろうか。生々しい写真を見せた上で、解剖の写真は素人に判りづらいのでCGでも説明する、というのであれば、理解が正確さを増すので良いと思う。でも、CGだけというのは誤魔化されているような気がする。本物は既に火葬されているだろうから見るのが無理としても、それに忠実に調べた記録に向き合わないで判断するというのは、何だか違う。どんなショックを受けるものであっても、それが犯罪の結果であっても、それもまた人の営みなのだから、目を背けてはいけないと思う。
 まあ、世の中、「血を見ると卒倒します」という人もいるだろうし、そういう人だって裁判員にならなければならないのだから、そういう人にとっては朗報だろう。でも、パニック障害を起こしますという人以外は、ちゃんと捜査資料を見た方が良いのではないか。

#ゲームと現実の区別がつかないなどと一方で非難しておきながら、よくできたゲーム(というかCG)で現実を裁け、と言われてもなぁ……。やっぱり、CGと現実の区別はつけた方が良いかと。