理事に説明
広報・総務担当の理事に提訴について説明。人文の先生で、法学部出身らしい方で、話が早かった。
念のため、学部長に出した上申書を印刷して持って行ってみたら、理事までは届いていなかったので、訴訟資料一式と一緒に提出して、状況説明してきた。
学内で教員個人が作っているサイトについて、ざっと調べて、個人情報保護の点で問題のあるページに改善勧告したとか。
名誉毀損については、虚名も保護されることを忘れないように、と注意された。虚名は突き崩しても良いという誤解が結構広まっているということらしい。
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集団思考の説明
「迷走する物理学」(リー・スモーリン著、松浦俊輔訳、ランダムハウス講談社)より。
1.自分たちの強さや道徳的立場の高さを過大評価する。
2.集団が下す判断を集団として合理化する。
3.外集団やその指導者を鬼のように描く、あるいは紋切り型で描く。
4.個人個人が自分や周囲を、集団の一枚岩の外面が維持されるように監視するような、画一性の風土がある。
5.集団の指導者を、自分たちのものでも他の集団のものでも、情報を上げないで守ると自任する構成員がいる。
本そのものは、ストリング理論の現状に対する批判である。ストリング理論がちっとも実験で検証されないにも関わらず、ストリング理論の主流に属していないと若い研究者が職を得られないという問題が生じている。つまり、まだよくわからない理論にリソースが偏りすぎているという問題の指摘である。
リンク忘年会とか
代休だったのだが、上京予定だったところへホンダとの打ち合わせが入ったので、上京途中で宇都宮で下車して打ち合わせ。その後東京駅に向かい、この間の朝日の記者さんに写真撮影された。東京駅から麹町へ。
縁あって知りあいになった紀藤正樹弁護士がやっているLINK総合法律事務所の忘年会に参加。
昨日あたりから、警官が霊感商法詐欺の片棒を担いでいた神世界事件で、被害対策弁護団を作って、LINKの弁護士の皆さんが並んで記者会見している写真があちこちに出ていた。実際相当忙しいことになっているらしい。
みどころは、神世界のグッズの実物の展示だった。教祖直筆の有り難い習字は……ド下手orz。ぼったくり価格で売りつけるのなら、せめて書として鑑賞に耐えられるレベルのものを出してほしかったような。教典「神書」も少し読んでみたが、そんなに大したことは書いてなさそうだった。一兆円以上の価値があると吹いていたらしいが、ブックオフで100円ならネタとして買ってもいいかな。「ライセンス」は、ネックレス型で袋に入れられていて、開けてはいけないことになっていたらしい。しかし、開けてみると、薄っぺらい紙に書かれた下手くそな習字だった。やっぱり、開けるとショボイ中身であることが一発でバレるから、開けてはいけないことにしていたのだろうか。
ヒーリングサロンのチラシは、ちょっとだけ体験するコースが500円だが、その次にじっくり体験するコースは7000円で、いきなり値段が跳ね上がっていた。「ヒーリングサロンによる被害」に詳しい情報がある。
結局四次会で朝まで山口弁護士や、悪徳商法マニアックスのbeyondさん、酔うぞさん他の人達と一緒に居て、始発が動いてから山形に戻った。
参加の収穫の1つは、タイムリーに「テレビ霊能者を斬る メディアとスピリチュアルの蜜月」(小池靖著、ソフトバンク新書)を、著者から一冊戴いたこと。この著者の「セラピー文化の社会学」をつい先日買って読んだばかりだった。スピリチュアル番組がなぜ流行るのかを考察している。ぜひ読んでみてほしい。
霊感商法詐欺事件
J-CASTニュースより。
ヒーリングで若い女性勧誘 霊感商法詐欺の背景にテレビ
2007/12/20
神奈川県警幹部まで詐欺に関わっていた霊感商法会社は、若い女性らに関心が強い「ヒーリング」や「セラピー」などをキャッチフレーズに勧誘を繰り返していた。被害者が続出した背景について、関係者は、テレビの霊感番組の影響によるスピリチュアルブームがあると指摘している。デトックスうたい、ピンク色で水玉模様のちらしで勧誘
神奈川県警が2007年12月20日詐欺の疑いで強制捜査に入ったのは、山梨県甲斐市の有限会社「神世界(しんせかい)」とその関連会社。新聞各紙によると、同市に本部がある新興宗教団体が運営しており、心や体に悩みを持つ女性らにカウンセリングやヒーリングサービスをするサロンなどを全国で約100店舗展開している。
直接の容疑は、関連会社の役員の女(44)が2004年5月、東京・港区赤坂の高級マンション20階に開設した「びびっととうきょう・青山サロン」で、横浜市内の会社役員男性(44)に霊感商法で約490万円をだまし取った疑い。女は前月、被害者男性に「あなたの会社は、戦国時代は首切り場だった。処刑された人の霊が成仏できずにさまよい、運気を下げている」と、200~7000万円かかる特別祈祷を持ちかけていた。この男性は、その後も支払いを続け、約2000万円もだまし取られたという。
この事件では同時に、被害相談に乗っているリンク総合法律事務所(東京・千代田区)の弁護団が記者会見した。それによると、「神世界」の関連会社が運営するヒーリングサロンの一つは、「全国で人気沸騰中!! marvelousヒーリング」とうたったちらしを街頭で配布して、女性客を勧誘していた。ピンク色で水玉模様のちらしになっており、一見して霊感商法とは無関係に見える。そこでは、「お体に触れる事なく、体の疲れとココロのストレスをデトックス(毒素排泄)によって解消していくヒーリングです」と書かれてある。
全国で数千人、100億円規模の被害?
コースは、20分3000円、30分5000円と、手ごろな価格設定だ。弁護団によると、最初は店のスタッフが目をつぶらせたり、手かざしをしたりする。ところが、次第に、病気や人間関係の悩みを聞きだして、「体の中に毒素がある」などと不安をあおるようになる。そして、「健康、先祖のため」などとして、1万500円の「神書」、10万5000円の「楽」と書いた額を売るなどと、物品販売をエスカレートさせていくという。弁護団によると、2005年から被害の相談があり、一人で数百万円、多い人で1千万円の被害額を越える人もいる。その結果、現在まで全国で、なんと数千人、100億円規模の被害が出ているという。弁護団の紀藤正樹弁護士は、20日の会見で、この2、3年だけで被害が急速に拡大した理由について、次のように強調した。
「スピリチュアルブームが広がったため、霊感へのハードルが低くなりました。非常に問題が大きいと考えています」
弁護団では、ブームの影響について、「人間は防御本能を持っており、普通ならうさん臭いと踏みとどまる。が、ヒーリング番組やブームの影響で、客観的根拠がないことに対しても防御本能がなくなって引っかかりやすくなっている」と指摘。「そうでなければ、これだけの被害にならなかった。根拠のない番組は、防御本能を阻害する」と憤った。弁護団が霊感商法に関して「スピリチュアル・霊感被害110番」を12月4日に開設したところ、「神世界」の相談が一番多かったという。紀藤弁護士は会見で、「3月1日にテレビ局などに対し改善を求める要望書を提出しましたが、それ以降もスピリチュアル番組は減ることがなく増え続けています」とその対応を批判した。
なお、この事件では、神奈川県警の警備課長(51)や警察署警備担当次長(47)が、赤坂のサロンの名義人や連帯保証人になっていることが明るみに出た。弁護団は、このことについて、「最初疑いの目を持っていたものの、『警察の偉い人もいるんだよ』と言われ、実際に会ってだまされた人もいると聞いています」と明かした。また、「『会社の裏に警察がおり、権力を持っている』と被害者に恐怖心を植えつけていた」と指摘した。弁護団では、「神世界」側が警察官を狙い撃ちにしていたのではないかとみており、警察までが詐欺に利用された形だ。
事件に関し、J-CASTニュースでは12月20日、関連会社の一つを通じて、「神世界」側に取材しようとした。電話に出た女性は、「窓口が決まっており、後ほど連絡します」と答えた。しかし、この日午後に家宅捜索が始まったためか、その後連絡はなかった。
客観的根拠のないことを疑う、という姿勢が無くなってくると大被害発生つながるということらしい。「癒し」や「ヒーリング」といった、一見ソフトな言葉を安易に受け入れる姿勢を水際でチェックするとしたら、教育でやるしかないように思うのだが……。TOSSヲチ板の投稿にあるように「テンポ116は癒しの速さ」などと題する授業を平気でやる教師が現実に居るわけで、生徒に対しても根拠のない癒しを信じる敷居を引き下げる効果が出ているのではないか。
やっぱりクリティカルシンキングはどこかで訓練しないとまずいよなぁ……。入り口で立ち止まるために。
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レポートの書き方ガイダンスに時間をとってみた
共通教育の科学リテラシーの話。今期の課題は、
・指定したテキストを読んで、箇条書きした項目がどのように書かれているか要約する。
・ニセ科学の例を自分で一つ見つけ出して、何がどうおかしいか議論する。議論の際に、テキストを要約したリストを、判断の基準として具体的にあてはめを行って書く。
という形にしてみた。普段は例を見つけて議論するだけだが、何に沿ってやるか定まらないらしいので、前半の課題で判断基準をリストアップしてまとめるという作業をしてもらうことにした。
例を見つけて議論の方は、毎回似たような感じでやっているが、課題を出しただけでは何を要求しているかが見えにくいらしく、力を入れるポイントがずれたレポートが出てくることがあるので、今回は、1コマ使って教科書を読んでまとめる作業の説明や、ガイドラインについて詳しい解説をしてみた。レポート見本が欲しいという要望もあったので、実際に、ネットから拾ってきた某宣伝内容を添付し、簡単な議論と本の内容のあてはめをやった例も作って配ってみた。
さらに、採点基準(これは前期のものと大体同じ)も印刷して配った。これは、単に私と趣味が合わないために点が下がった、などということが起きないようにするための(私に対する)縛りである。正解か誤りかがはっきり分かれるわけではないので、あらかじめ基準を作って示しておかないと、採点時に判断がブレてしまって良くない。
まあこれで、何をどうすれば得点に結びつくか、ということが、そこそこ提示できたのではないかと思う。
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クリティカルシンキングを教える方法は?
TOSSヲチ板の方に久しぶりに投稿があったりしたわけだが([947])。どうもこういうのを見ていると、学校の先生に知っておいてもらわないと困るのは、怪しい話にいきなり飛びつかないようにすこと、つまりクリティカルシンキングの方法ではないかと思った。
私は、TOSSそのものに反対の立場ではないのだが、TOSSが実践例から怪しいネタを排除するしくみを持っていないことは確かなようで……。
とても忙しい(必ずしも科学に詳しいわけではない、むしろ文系だったりする)先生方に、わかりやすさ重視で、変な話に対して「一寸待て」と言えるような考え方を身に付けてもらうにはどうすればいいのか、と思ったり。
先生と言ったが、実はお役所の人についても同様だったりする。産業振興の企画に怪しいものが持ち込まれることも頻繁に起きているようで。
多分、考え方を身に付けるには、各論だけではなくてもうちょっとシステマティックにやらないといけないので、「ニセ科学批判」だけでは、題材の一部にはなってもまだ足りない気がする。
何かいいクリティカルシンキングの講義・実践例ってないかなぁ……。本は2冊ばかり買って目を通したのだけど、ちょっとどう実践したものか困っている。この辺がクリアできると、役立つ講義の持ちネタが確実に1つ増えるんだが。TOSSの方にはネタがたくさんありそうだから、問題有りそうな実践例を選んで批判的に見るとか副作用を考えるといったのが、とっかかりになるのだろうか。そのものズバリを使うと問題があるようなら、実践例で使われている資料そのものを題材にするとか……。
まあ、「一見いい話」を否定したり、情緒的であるべき場合とそうでない場合を峻別したりといったことになるので、知っておいて欲しいと思う人にはなかなか声が届かなさそうなんだけど。
【追記】
まだ確定していないが、来年度、集中講義で教育学部の学生を教える可能性が出てきた。それで、環境教育に怪しい燃費向上グッズを持ち込むとか、癒しなんちゃらを取り入れるような情緒と合理的判断をごちゃ混ぜにするようなことについて、もう少し敏感になって「ちょっと待てよ」と考えられるような基礎を教えるにはどうしたらいいか、ということを、今、かなり真面目に考えている。教師がみんな「素直な人」(by船井幸雄)では困るということだ。
多分、理科が得意だという人の割合は少ないだろうと思う。これまでと違ったやり方を考えないと、言葉が届かないんじゃないかと思案している。
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今の「ニセ科学批判批判」が使えないのはなぜだろう?
poohさんところ経由、こしだのITジャーナルが面白いことになっている。何だか一種の実験をしているような感じである。
最初のエントリーが「ニセ科学批判批判?に思うこと」。これに案の定コメントがたくさんついた(私もいくつか書いたが)。次に、blog主のこしだすいさんの追記「ニセ科学批判批判?に思うこと 追記(覚え)」がアップされた。その次が「JANJANの石田剛記者からご返信をいただきました」。ここで、最初のエントリにたくさんついたコメントで、「石田剛」を騙ったものが大量に混じっていたことが公開された。次に、室井健亮氏ご自身のものかもしれないコメントがあることが示された「ニセ科学批判批判?再考(資料)」。しかし、投稿者の名前は室井氏ではないし、室井氏のページからコピペしたものならば、別人が投稿してもGoogle先生の判断が「ご本人」となるかもしれないことまでは否定できない。
普通は、批判であれば何かしら建設的な方向に役立つはずである。しかし、私が見る限り、ニセ科学批判批判の議論をすると、
・同一人物のなりすましと騙りが横行
・意味のないコピペばっかり増える
・ついでに罵倒も増える
・中間的な結論すら全く出てこない
ため、ニセ科学批判批判の議論を見ても全く役に立たない。批判している人達は、一体何を見て批判しているのかが謎である。
なお、室井健亮氏に関しては、氏の名前で激しくイタい厨なメール(誰がみても典型的な「かまって君」だと分かる内容)が2通ほど届いたこと、しかし今の段階では氏がそれを送ったとする証拠もないことを述べておく。誰かのなりすましだとすると、氏の評判を引き下げるメールが方々に送られているかもしれないが……。
私は、確かにニセ科学批判にカテゴライズされる活動をしてきた。しかし、その中身は「水クラスターの話は間違いでNMRでは測れない」「マイナスイオン水と呼ばずに電解質の組成と量を調べるべき」「トルマリンによる水質改善の話は変だ」といった、個別の主張の集まりである。きくちさんの批判を見ても、水伝批判だったり、血液型性格診断批判だったりするわけで、結局は個別の議論になっている。
ニセ科学批判批判という枠組みを立てるなら、その枠組みが具体的に、個別のニセ科学批判の内容にどう当てはまるかまで述べてもらわないと、全く役に立たない。「こうあるべきだ」という主張だけあっても、現実に行われていることとの関連が全く示されないのでは「だから何?」で終わってしまう。これまでのところ、私がニセ科学批判批判から学んだことは「具体例を踏まえないメタな議論はとことん役立たず」という経験だけである。
役に立つニセ科学批判批判があるとしたら、
○ニセ科学批判批判の立場から見たとき、現状のニセ科学批判はどういうものであると認識しているのかが明確に述べられている。
○その認識は、個別のニセ科学批判のあり方をきちんと捉えた上でのものである。
○今のニセ科学批判のどれかががまずいと考えるならば、具体的にどうすればいいと考えるのか。個別の例ごとに、「こうあるべきだ、理由は……」と述べる。
といったものになるのではないか。
そういえば、どこかで見た議論に、「新規な現象や効果を主張する側に立証責任がある」というのは科学だけのルールだろう、といったものがあった。確か、ルールを押しつけるなといった内容の主張だったかと……。ところで、「不当景品類及び不当表示防止法」の4条2項には、
2 公正取引委員会は、前項第一号に該当する表示か否かを判断するため必要があると認めるときは、当該表示をした事業者に対し、期間を定めて、当該表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求めることができる。この場合において、当該事業者が当該資料を提出しないときは、第六条第一項及び第二項の規定の適用については、当該表示は同号に該当する表示とみなす。
とあり、効果を主張する側が立証責任を負うことが明記されている。少なくとも立法者は「効果があると表示した者に立証責任を課そう」と考えていたことになる。私から見ると、科学で使っている基準に法が合わせたように見えるのだけど、社会学の人達にはどう見えているのだろうか。「合理的な根拠」は、おそらく科学的に妥当な手順を踏んでいるとか試験をしているといったことが想定されているはずだし、事業者自身が扱っている商品についての立証であるので「相当因果関係」程度で認められるとも思えないのだが……。
なお、近々私が始めるはずの訴訟のうちの1つは、どこまでの批判ならやっていいかをまともに法廷で問うものになる見込みで、ここまで行けば、ニセ科学批判といえども法学あるいは法社会学の扱う対象と重なってくると思う(今はまだ詳細を明らかにするつもりはない)。その時が来たら、ぜひ社会学の立場できちんと議論して読み解いてもらいたいものである。
【追記】「もっと休むに似ている」にて、室井氏=コピペ荒らしのふま=比ヤング、であることが立証された。これで、目立ったニセ科学批判批判の1つは全く意味が無い、只の議論妨害行為であることがはっきりした。
・「比ヤング」「ふま」「夫馬」「うま」「トロッコ」「室井健亮」→?
・「ふま」一族の陰謀(と、いっても個人)
・外道照身霊波光線
・ふーまーのーこーめーんーとー
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ネットと新聞
イザ!の記事より。
【土・日曜日に書く】ネットで変わる情報空間
産経デジタルが運営するインターネット上のサイト「iza(イザ!)」で記者ブログを書くようになって1年半が過ぎた。どんな記事が求められ、読者のニーズはどこにあるのか。新聞紙面との書き分けはどうするのか。まだまだ試行錯誤中だが、読者と頻繁なやりとりを行うブログ運営を通じ、実感したことがいくつかある。(阿比留瑠比=阿比留記者のブログはこちら)
■マスコミへの不信
まず、既成マスコミのあり方に対する強烈な反感と不信感だ。新聞やテレビは、情報を加工し、紙面や番組枠に収まるようコンパクトにまとめて発信する。記者として当たり前のように繰り返してきたこの作業は、多くの情報の受け手に、マスコミによる日常的な情報操作だと受け取られていた。
昨年8月10日、「小泉首相の靖国関連ぶらさがり全文」という記事をブログに投稿した。政治部記者にとっては、日常の取材メモで簡単に読める首相と記者団のやりとりをそのまま載せたに過ぎなかったのに、これが大きな反響を呼んだ。この日のコメント欄には次のような書き込みが寄せられた。
「マスコミは正確で豊富な情報提供をしない」「物を考える際に情報のオリジナルソースがどれほど大切か」「私たちは、たくさん語られた中からマスコミの都合のいい形にまとめられたものをずっと聞かされ読まされてきた」…。
中には、記者に対し感謝を表すコメントまであった。間違いなく、読者は加工されていない一次情報を欲しているのだ。現在、MSN産経ニュースは官房長官の記者会見全文や裁判傍聴記の詳報を流しているが、これには記者ブログでの経験が生かされている。
■ネットの機動力
産経新聞は今年1月13日付朝刊で、民主党の小沢一郎代表の資金管理団体の平成17年の事務所費が約4億1500万円に上ることを報じた。記者も同日のブログに「民主党・小沢代表の事務所費について思うこと」という記事を投稿し、この団体が小沢氏に多額の借金をし、利子を払っていることなどに疑問を呈した。すると、すぐにこんなコメントが届いた。
「産経の13日の朝刊より1日早く、小沢氏の高額な事務所費について注目していたその筋では有名なサイトがある」
そのサイトを見てみると確かに小沢氏の事務所費問題について、いろいろな角度から指摘がなされていた。小沢氏が提出した17年分の政治資金収支報告書には当初、実際には存在しない住居表示・地番が複数書かれていたが、この点についてもネットでは早くから疑問の声が上がっていた。
驚いたのは、複数のネットユーザーが実際に法務局に赴いて登記簿を上げ、現地調査を行っていたことだ。その結果、収支報告書に記載された地番には小沢氏が説明した「秘書の寮、共同作業場」は見つからず、小沢氏に厳しい視線、批判が向けられていた。
不特定多数のネットユーザーの機動力が発揮された好例であり、ユーザー同士の情報共有にも成功しつつあると感じた。新聞は、ネットの情報力を取り込まないと生き残れないという思いを強くした瞬間だった。
■情報ニーズとは
ネットが普及する前までは、情報は新聞、テレビなどのメディアが発信し、読者や視聴者は、基本的にその情報を受け取るだけという一方的な流れが固定化していた。もちろん、投書や情報提供、苦情電話などは毎日、数多くメディアに寄せられていたが、新聞の読者数やテレビの視聴者数に比べれば、ごく少数だった。
一方、「イザ!」は双方向型の情報空間を目指している。まだ必ずしも十分に機能しているとまでは言えないが、記者と一般利用者がブログで相互にコメントし合うことによって、新たな発見も生まれている。こんなこともあった。
安倍晋三前首相が病に倒れ、入院してしばらくしたころ、記者のブログのコメント欄に、千羽鶴を折り届けて安倍氏を励まそうという有志による運動がネットの巨大掲示板「2ちゃんねる」内で始まったという紹介が書き込まれた。
最近になって「ところで、千羽鶴運動のその後は?」との問い合わせがあり、安倍事務所に照会したところ、秘書がきちんと千羽鶴を受け取り、安倍氏もそれを承知していることが分かった。早速、千羽鶴を撮影してブログで報告しようと事務所を訪ね、千羽鶴を手にした笑顔の安倍氏の写真を載せた記事を投稿できた。
これには多くの好意的コメントが寄せられ、アクセス数も多かった。従来の新聞ではニュース価値がないと判断したであろう話でも、読者のニーズが高いもの、本当に知りたがっていることは少なくない。それを再認識できたのも、ブログを通じてのことだ。
(あびる るい=政治部記者)
一次資料にアクセスできるのが新聞記者の強みだったわけだが、ネットで情報共有がなされると、一般の人でも一次資料にたどり着けるようになり、その結果、新聞の優位性が揺らいだということか。
「既成マスコミのあり方に対する強烈な反感と不信感だ」は、情報の加工の段階での優劣の付け方が合わなかったのだろう。読者が「他に報道すべき問題があるだろう」と思っているのに大見出しで書かれた記事がずれている、力を入れて報道している内容がずれている、といったことが続いたことが、不信感につながったのではないか。単にコンパクトにまとめて報道するだけなら、反感や不信感は持たれずに済んだので。
なお、私がマスコミを信用しない理由の1つに、環境ホルモン濫訴事件の扱いがある。原告の「提訴しました」プレスリリースを掲載した新聞が、原告敗訴の報道を同程度に扱わなかったというのでは、偏っていると言われても仕方がないだろう。
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「ニセ科学訴訟」は、実は実現が難しい
つむらさんのblogを読み直したりして思ったこと。これまで、ニセ科学批判が企業の利害と結びつくと、批判活動そのものが訴訟のリスクに晒されるということを認識していたが、訴訟でニセ科学批判の内容について争うというシチュエーションは、実はなかなか実現が難しいのかもしれない。
お茶の水大が訴えられた件は、ニセ科学とは関係のない「マルチ商法」をからかった内容についてだから、訴訟の結果がどうなろうが、結果が出てしまえばニセ科学批判そのものに対する影響は皆無である。結果が出てしまえば、と書いたのは、「マグローブ株式会社から圧力をかけられています」のエントリで書いたように、本当は訴訟に関係がないのに過剰反応して削除を決める、などということが現実に起きたからである。しかし、結審してしまえば、もはや訴訟の攻撃防御など考える必要が無くなる。
私がこれからやる予定の名誉毀損訴訟は、責任を問える文言はむしろ科学ともニセ科学とも関係が無かったりする。ある言説がニセ科学かどうかという話と、人の社会的評価の変動をもたらす表現は、大抵の場合重ならない。つまり、言説に対する論評では名誉毀損は問えない。業務妨害にしたって、虚偽でも風説の流布でも無い、普通に思いつく範囲のことであれば、商売に影響したところで不法行為とはいえない。
まあ、最初の提訴自体がほとんど言いがかりのような内容だから、「ニセ科学批判をやっていると嫌がらせの提訴を受けるリスクが高まる」ことはあるのだろうが、「ニセ科学か否か」「ニセ科学批判をすることの是非」を裁判所で争うことには、ちょっとなりそうにない。
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