postheadericon 「提訴します」は口先だけ?ウルフアンドカンパニーが裁判所でまともに反論しなかった件

山形地裁で私が原告となって株式会社ウルフアンドカンパニー(代表取締役大竹誠一氏)を提訴していた事件は、本人訴訟対決で、相手方の大竹氏が答弁書は出したものの2回連続期日に欠席し、2回目の期日までに出すべき反論の書面を何も出さなかったため、弁論2回で結審した。判決は4月に出る予定である。

これまでのところ、大竹氏は言っていることと実際の行動が食い違いまくっており、大竹氏の主張を真に受けるだけ無駄という判断をせざるを得ない。今後、ビジネスで大竹氏に関わるのであれば、そのことを折り込んで関わるべきである。

せっかくなので、訴えてやる、と言われた場合にどう対応しているかとか、対応のスケジュールがどんな具合だったかということも含めてまとめておく。

事件の背景

新型コロナウイルス対策と称する次亜塩素酸水の噴霧装置が学校や公共施設をはじめとするいろいろな場所で導入されるに至った。しかし、消毒作用のあるものを人が吸う状態で使うことは、WHOはもちろんのこと、標準的な消毒マニュアルでも、してはいけないことになっている。そこで、人が吸う形での噴霧はしないようにネットで注意喚起していたところ、BuzzFeedJapanの取材を受けることになり、2020年6月3日付けで「大量に商品が出回る「次亜塩素酸水」の危険 科学者「一番怖いのは…」」という記事が公開された。同じ記事中で取材を受けたのは、私以外に、小波秀雄京都女子大名誉教授と、聖路加国際病院QIセンター感染管理室マネジャーの坂本史衣さんである。

そうしたら、2020年6月14日に、株式会社ウルフアンドカンパニーの代表取締役大竹誠一氏からメールが届き始めた。内容は、弱酸性次亜塩素酸水には効果があって安全だというエビデンスを持っているという主張で、さらに、

当社及び正しい方法で次亜塩素酸水を製造している会社に対して、貴殿は営業妨害、業務妨害をしています。貴殿が望めば、メールにて送ります。
貴殿がマスコミ各社に対し訂正の報道を行わないのであれば、貴殿を提訴します。

私は弁護士無で裁判が行える能力を持っています。
裁判所は当社の本社のある埼玉県越谷市の 簡易裁判所です。

と提訴の予告が書かれていた。やりとりの全体は「ウルフアンドカンパニーから訴訟を予告するメールが来ました(2020/06/14-」の通りである。なお、私より先に小波さんが大竹氏からの訴えるぞというメールを受け取っていて、そのことはSNSのやりとりで教えてもらっていた。

まずは、科学の問題として議論すべきと考え、大竹氏から資料などを送ってもらって読んでみたのだが、エビデンスといえるようなものが無かったばかりか、根拠として送られてきた日本語の報文中で、著者たちが、安全生を考慮してマスクを着用し吸入量を減らすようにと書いていることがわかった。その後もメールのやりとりは続き、大竹氏は、

当社は同じく記事に出ていた小波教授も訴訟の提起をする予定ですが、
小波教授は「使用後、最終食品の完成前に除去される場合、安全性に懸念が無いと考える」
と結んでいます。当社が小波教授に対してそれをしらせ、謝罪すれば訴訟を取りやめる可能性はあります。

や、

貴殿が当社が添付資料やエビデンスを見て発言を撤回し、様々なメーカーがあり、
ウルフアンドカンパニーが販売する製品は安全だと認めれば訴訟の提起を取り下げることも考えます。

などと書いてきた。

大竹氏が送ってきた資料を検討した結果、大竹氏の希望には添えないと判断したので、科学の面からの反論の書面を郵送とpdfで送信した。そして、私は、

 全面的に貴殿の希望には添えない内容となりましたことをご確認いただけたことと思います。

 さて,貴殿は,「貴殿の次亜塩素酸水のYahooニュースの件苦情抗議 と貴殿裁判の提起準備の件4」という件名のメールを
何通か送信し,その中で,「貴殿が当社が添付資料やエビデンスを見て発言を撤回し、様々なメーカーがあり、ウルフアンドカンパニーが販売する製品は安全だと認めれば訴訟の提起を取り下げることも考えます。」と書きました。
 私の回答が訴訟提起取り下げの条件を満たしていないことは明白です。

 まさかこのままうやむやにして訴訟せずに終わるなどということは無いと考えますので,訴状の提出状況についてお知らせ下さい。
 もしくは,私が回答中で求めた,エビデンスたり得る資料を新たに送る予定があればその旨お知らせ下さい。

とメールした。これが6月25日である。そうしたら、大竹氏からの返信は、裁判所の門の前で自撮りしたらしい写真付きで、

時間ができたら適切な時期に。

写真は、度々行く裁判所前での記念撮影です。(写真転載禁止)
7月は地裁で2100万円請求の損害賠償事件1件、簡易裁判所で簡単な事件1件、の予定が入っています。
いづれも弁護士無しです。弁護士付きの被告や弁護士をいつも涙目にしています。^^

というものだった。

訴訟予告をされたままというのは不安定なので困る。そこで、2020年7月1日付けで、「時間ができたら」などと曖昧なことを言わずに、さっさと提訴するか、訴訟予告の部分のみを撤回するか、それとも私が提訴するかのどれかを選べ、ということを書いて、内容証明で送った。なおその内容証明には、これまでのメールのやりとりを「ウルフアンドカンパニーから訴訟を予告するメールが来ました(2020/06/14-」で公開しているということも書いておいた。それに対する大竹氏の回答は、

明日は法廷で私が2100万円の損害賠償を求めている被告と弁護士をオラオラして涙目にさせてきます。
当然、私は弁護士無しです。そこら辺の出来損ない弁護士よりは力ありますよ。
弁護士は文書では強い事書きますが、法廷で会うとへなちょこばかりですね。
文武両道の私とは違います。
越谷の裁判所の裁判官の部屋を知っていまして、関係者以外知らないのですが、何故か私は知っています。
越谷の裁判所では、私が法廷に行くと厳戒態勢で、裁判官の部屋の前に防刃手袋をつけた職員が立ちます。

と、むやみに弁護士をdisったり、法廷でも何かの暴力を行使すると思われていることを示唆したりする内容であった。さらに、

今、一人の医者と遣り合っています。これが長引いています。
それが終わったら、優先順位的に「不安商法」と言った小波さんかな~
で、時期が来たらあなたかもしれません。

貴殿が待てないのであれば、どうぞご自由に訴訟の提起をしてください。

で、届いた内容証明は熟読してませんし、何かのURLも興味ありません。
流し読みしました。以上、ご報告まで。

とあった。これを受け取ったのが2020年7月06日である。

訴訟の準備開始のタイミング

大竹氏の方も提訴了解済みということになったので、訴状を書き始めた。大竹氏が要求した記事コメントの撤回やウルフアンドカンパニーの製品を安全だと表明する義務が無いことを確認する、という債務不存在確認の訴えに加えて、権利の無いことを行わせる目的による訴訟予告で生じた損害の賠償請求である。

今確認したら、書証のpdfファイルの作成日で一番古いものが2020年6月17日であった。最初に訴訟を予告するメールが来たのが2020年6月14日だから、科学としての反論をしながら、3日後には訴訟の準備を開始していたことになる。これは、まず科学的な面から大竹氏の主張を検討した結果、大竹氏の要求をまったくのめないことが明らかになったので、訴訟不可避と判断したからである。まともに訴訟する気が無いのに、複数の他人に向かって訴えるぞと言い出す人が世の中に存在するとは思っていなかった。

時系列に整理したメモの作成と、証拠として使えそうなものの印刷イメージをpdfにして整理し、紙ではなく電子的にとりあえず固定する、というのが、訴えてやると言われた場合に、ただちに開始する作業である。今回は、やりとりをウェブサイトで日付を入れて公開していたので、それがそのままほぼ時系列のメモとなっている。ネット上のやりとりを巡った紛争対応の場合は、直接のやりとりの整理はもちろん、裁判になったら使えそうな資料も、目に付いたものを全部pdfにしてソースを明記した上で整理するという作業を、継続的に行っていくことになる。相手が会社であったので、まず、登記簿謄本を取りよせることになり、その費用がかかった。

このように、訴えてやる、と言われたら、やるべきことは訴訟の準備に決まっているので、その時から現実に手間やコストが発生する。「○○しないと訴える」まで要求が明確であれば、言われた側も「○○する義務はない」ことを確認する訴えが起こしやすくなる。だから、本気で提訴して最後まで争うつもりがないのなら、気軽に他人に向かって訴えてやるなどと言わない方が良いだろう。

2020年6月は、やっと在宅勤務から解放されたものの授業は全部オンラインで、教材整備に追われていた上に、卒業研究が遅れて開始されたのでそちらの対応があり、7月になってオンラインの成績判定と、後期の学生実験の前倒しの準備があって、かなりばたばたしていた。そのため、書証を集めながら訴状を書き始めたのが2020年7月7日だったが、途中にお盆休みもあったりで、その後はぼちぼちしか進まなかった。それでも、2020年の8月下旬頃には、訴状、証拠説明書、書証が大体揃って、若干の手直しでいつでも提出できる状態にはなっていた。

言ってることとやってることが違う(その1)

「届いた内容証明は熟読してませんし、何かのURLも興味ありません。」と書いた大竹氏であったが、2020年8月になって、「ウルフアンドカンパニーから訴訟を予告するメールが来ました(2020/06/14-」で引用しているメールに書いてある会社の名前を消して欲しいという要望があった、と、越谷警察署から大学宛に電話があった。興味が無いと明言した内容について、何と、大竹氏は、わざわざ警察にまで足を運んで相談していたのである。さらに、8月16日になって、大学に電話してきて、会社の名前や大竹氏の名前の削除要求があった。興味ない、って明言したくせに興味ありまくりやんけ!

言ってることとやってることが違う(その2)

さて、私より先に訴訟予告を受けた小波さんは、弁護士に依頼して交渉事件として処理した。ところが、小波さんが弁護士を代理人としてやりとりしている最中に、私にも送ってきた裁判所門前での自撮り写真を、大竹氏は小波さんに直接送信したのである。結果、代理権の侵害という理由で弁護士さんが激怒。このへんの事情を小波さんからきいて、大竹氏は相手に弁護士がついている訴訟に慣れているはずなのに、代理人がついてる時に本人に連絡する、って一体何考えてるんだろうと思って呆れていた。紛争慣れしているという主張と行動にギャップを感じたからである。

メールを読んだ限りでは、大竹氏の提訴の優先順位は、小波さんが圧倒的に高く、私はオマケ以下の扱いだった。しかし、小波さんが弁護士を立てて交渉した結果、今までのところ小波さんとのやりとりはほとんど終了している。かわりに、と言っては何だが、「ウルフアンドカンパニーから訴訟を予告するメールが来ました(2020/06/14-」でメールを引用しているのが著作権法違反だという理由で、私が2020/09/22付けで大竹氏から提訴された。

提訴の理由が予告された内容と全く違う上に、提訴の優先順位もメールに書かれたものと違う。メールに書いた内容と行動がここまで食い違いまくるのでは、大竹氏がメールに何を書いてきても、全くあてにならない。

山形地裁に提訴

2020年9月22日付けで大竹氏がさいたま簡易裁判所越谷支部に訴状を提出した。それが送達されてきたのが9月26日だった。訴訟物の価額が簡易裁判所で扱える上限を超えていたため、職権で地方裁判所に移送するという書面とともに、訴状と甲第1号証などが送られてきた。

さいたま地裁での提訴に先立って、メール引用部分の削除を求めるメールが大竹氏から9月17日に届いていた。削除についても争うことになると考えたので、ほとんど完成していた、大竹氏の要求に応える義務がないことを確認する、という内容の訴状に、当該ウェブページの内容を削除する義務が無いことを確認する、という請求を書き加える作業をを9月18日に終えた。出そうかどうか様子を見ていたところ、大竹氏が提訴したことを知ることになった。それならば、とこちらも提訴することに踏ん切りがついた。大竹氏の会社についてとりよせた資格証明書の使用期限が9月末日で、これを過ぎると取り直しになって1週間ほど提出が遅れる上に追加で費用がかかるので、9月28日にとりあえず手元にある訴状と書面に資格証明書を添付して提出してしまった。

訴状を出した後で、訴訟係属の日付は地裁に移送された日ではなく簡裁に訴状が出された日付であるということを確認し、私の提訴の方が後になるので、請求が重なっている部分を削除することにした。その削除の作業を終えて訂正版を裁判所に出したのが、10月17日であった。実は他にもいくつか書式のミスや修正箇所があったため、最初に提出したものは裁判所でチェックのために止まっていて、相手方に送られたのは訂正済みのもののみである。

おそらく10月中には訴状や書証が大竹氏に送達済みになっていたはずである。

新型コロナウイルスのせいで裁判所も混み合っていたり、年末年始を挟むという事情もあって、山形の第一回口頭弁論は2021年1月22日だった。裁判所に提出する書面の〆切は1週間前なので、大竹氏には、2021年1月15日必着で送るようにという連絡があったはずである。

言ってることとやってることが違う(その3)

そもそも、私に、「マスコミ各社に対し訂正の報道」「ウルフアンドカンパニーが販売する製品は安全」という内容を、訴訟で強制して公表させるという意図を持って、メールで通告してきたのは大竹氏で、それは2020年6月14日のことである。交渉次第で訴訟が不要になるかもしれないので、メールの送信時点で訴状が完成していることまでは期待しないが、少なくとも、他人に対して提訴の予告をする以上、交渉が決裂したらどういう構成で訴状を書いてどんな書証をつけて主張していくか、という見通しぐらいは持っていて当然だろう。

また、私は7月1日付けで、大竹氏が要求した内容について私から提訴することがあり得ることを内容証明で予告した。訴状の訂正などがあったので、具体的にどういう訴訟をするか細部が確定したのは10月下旬になってからだが、大筋は、大竹氏の最初の要求について争うものである。つまり、大竹氏は、6月14日の時点で私を提訴しようと考えて訴状に書く予定だった内容そのものを主張するだけで、反論できる状態だった。答弁書の〆切は2021年1月15日なので、大竹氏には訴訟の準備期間が7ヶ月あったことになる。大竹氏にとって、今回の訴訟は不意打ちでも何でも無く、十分予見できたというか、むしろ当初の訴訟予告で考えていた内容そのものであったはずである。

ところが、届いたに答弁書にあったのは、項目毎の認否だけで、具体的な反論らしいものは無かった。最後に、備考として

第1回目は擬制陳述とする。第2回目以降は、被告が提出する書面をもって陳述とし、裁判官からの質問に対しては電話で対応します。理由は暇な学者と違い、会社の代表取締役社長兼営業マンとして売り上げの上昇もあり多忙であり、山形までいく時間が作れないからです。
そして当社は本件よりも前に原告をさいたま地方裁判所に訴訟の提起をしており、被告が同じような訴訟を山形でも行っているものと認知しています。

と書かれていた。

2回目の口頭弁論は2021年2月26日、裁判所への書面〆切は1週間前の2月19日であった。ところが、大竹氏は「被告が提出する書面をもって陳述とし」と書いたくせに、書面を何も提出しなかったので、そのまま結審してしまった。

書面の提出状況をみた限り、7ヶ月前から訴訟を計画していたとはとても思えないものだった。こうなると、2020年6月頃に盛んに主張していた「訴えてやる」は、全くの口先だけであったと考えるしかない。私以外に小波さんや吉村医師にも、さかんに、訴えてやると言いまくっていたのに、準備がまるでできていないというのはお粗末という他はない。

ところで、第一回期日の後、予納郵券が足りなくなったので追加で納付するようにと言われた。書証の量は多かったが、やりとりもそんなにしていないのになぜかと思って訊いてみたら、大竹氏が最初、こちらからの送達を受け取らず、再送したといったことをちらっと言っていた。大竹氏にとっては、当初のメールで予告した内容をきちんと裁判所で争えるようになったわけで、願ったり叶ったりのはずなのに、一体何をやっていたのだろうか。

参考までに。さいたまで進行している分についてだが、私が大竹氏から提訴されて訴状の内容を知ったのが2020年9月26日、答弁書の提出は12月8日で、この内容で提出した。名誉毀損とか営業妨害したという不法行為で来るかと思ったら著作権法違反だったので、訴えられてから慌てて本屋に走る羽目になった。まずは、著作権法の体系書である、「著作権法 第3版」(中山信弘著)と、「著作権法 第4版」(岡村久道著)を買ってざっと通読し、著作権法の何条の適用で争えそうかを確認し、訴状があまりにも不備だったので何をまず確定させるべきかを洗い出して答弁書に書いた。仕事が終わった後や休日に家で作業するなどして、およそ2ヶ月ちょっとかかった。移送と回付のせいで期日がなかなか決まらなかったのだが、答弁書は必ず出さなければならないので、さっさと準備にとりかかった。素人の私でも、想定外の条文で提訴すると言われて2ヶ月でこの程度の書面は書ける。本人訴訟自慢の大竹氏がいかに手抜きしているか、わかってもらえると思う。

大竹氏は本人訴訟が得意?(その1)

答弁書を見る限り、大竹氏は、裁判を電話会議だけで進められるとか、私が暇だから裁判所に出頭していると思っているらしい。勘違いも甚だしい。

確かに電話会議で進めることはあるが、それは争点整理のための弁論準備手続きで、口頭弁論期日には本人あるいは代理人が法廷に行く必要がある。移動の負担等を考慮し大部分を電話会議にするとなった場合でも、普通は、初回か2回目のどちらかは裁判所に出向いて、次回以降を弁論準備にするという裁判所の判断をきいてからになる。また、書面が出そろったあたりで、期日に出向いて準備手続で出した書面について陳述しておかなければならない。弁論準備手続にして電話会議にしてほしいという要望は出せても、それを決めるのは裁判所なので、意図通りにならなくても従う以外にない。

私が忙しくても時間を作って裁判所に出向いているのは、本人訴訟の場合、自分で行かないと陳述したことにならず、陳述しなかったものは審理してもらえないからである。

たとえば、さいたまの第一回の時は、1コマ目の持ち回りの大学院講義の日に重なった。年明けから講義は全部リモートでやることになっていて、講義は1コマ目、裁判の開始は11:30(裁判所には11:00までに入って手荷物チェックを受ける)だったので、講義の準備を全部持って浦和のホテルに前日から泊まり、チェックアウトの延長料金を払った上で、1コマ目の講義はホテルからZoom配信し、終了後にチェックアウトして裁判所に移動した。全くもって暇ではない。1回目は陳述擬制もできたのだが、裁判所の感触も知っておく必要があったので、多少無理をしてでも出頭したのである。

答弁書にあてつけを書いたのではなく、素で、忙しければ電話会議だけで民事訴訟がなんとかなると思い込んでいるのであれば、大竹氏は民事訴訟の手続き自体をろくに知らないことになる。本人訴訟が得意だとか、弁護士無しで提訴できるといったことを大竹氏自身も自慢しているし、従業員らしき人もYouTubeのコメント欄に書いていたが、とてもそんな知識が大竹氏にあるように見えない。

大竹氏は本人訴訟が得意?(その2)

私が最初に訴状を提出した時は、「ウルフアンドカンパニーから訴訟を予告するメールが来ました(2020/06/14-」の削除の義務が無いことを確認するという内容を訴状に入れていた。しかし、そのままだと二重起訴の禁止に抵触すると判断し、10月17日付けの訂正で削除した。相手方には、訂正済みのものだけを送達するというのが書記官の話だった。だから、混乱の生じる余地はなく、訴状をきちんと読めば、さいたま地裁で争っている内容と、山形地裁で争っている内容が独立であることは明らかであったはずである。

ところが、大竹氏は「被告が同じような訴訟を山形でも行っているものと認知」というトンチキな内容を答弁書に書いて出してきた。訴状の内容自体を読解できておらず、訴訟物という概念すら持っていないとしか思えない。こんなことを書いてくるようでは、どう見ても、本人訴訟が得意には見えないし、弁護士無しでやれるとも思えない。

まあいろいろ興味深かった

私を含め複数の相手に対して訴えてやると予告しながら、準備を全くしないような人が世の中に存在することがわかって、正直な話、ちょっと驚いている。

きちんと裁判所で争うつもりが無いのであれば、最初から、他人に向かって訴訟するなどと言うものではない。今回、言われた側がどういうスケジュールで訴訟の準備をするかも書いた。訴えるぞと言われると、訴訟の準備を始めるので、手間もコストも発生する。訴訟自体を忌避するつもりはないし、揉めた場合にさっさと裁判所で解決、というのは、司法制度改革が目指したところでもあるのでむしろ歓迎だが、そうは言っても手間がかかるので、気軽に言わないでもらいたい。

なお、今回の状況を考えるに、大竹氏による「訴えてやる」は話半分以下にきいておけば十分と思われる。

むしろ、なぜ、大竹氏が、本人訴訟が得意で弁護士無しでやれる、という自己認識に至ったのかの方に興味がある。本人訴訟をやってうまくいった体験があったりするのだろうか。じっくり訊いてみたいところだが、その機会はおそらく訪れないだろうし、訊いたところで正直に答えるとも思えないが。

さすがに原告をやっていて書類提出を手抜きするとも想定しがたいので、さいたま地裁に提出される書面には期待したい。

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