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最近買った本

Posted on 1月 31st, 2010 in 倉庫 by apj

 最近買った本で面白そうなものを紹介。
まずは、「その科学が成功を決める」リチャード・ワイズマン (著), 木村 博江 (翻訳) 、文藝春秋、978-4163721507。
その科学が成功を決める (単行本)
 自己啓発本に対する批判本。実験心理学の研究結果が紹介されている。

実験I 「自己啓発」はあなたを不幸にする!
 マイナス思考を抑制しようとすると、人はかえってその考えにとりつかれてしまう
 宝くじに当たった人は、幸せではなかった
 人間の幸福感のおよそ五〇パーセントは遺伝で決まっていて、変えることができない
実験II 「面接マニュアル」は役立たずだった!
 弱点を最初にさらけ出してしまったほうが、好感度はアップする
 あなたが思い悩むほど、他人は自分のミスを気にしていない
 不特定多数に向けてお願いしても、誰も助けてくれない
実験III イメージトレーニングは逆効果
 「プラス思考」の実践者は、ダイエットにも恋愛成就んも失敗する割合が高かった
 「試験でいい点をとる自分」をイメージしつづけた学生は、逆にいい点が取れなかった
 「ダイエット食品」を食べる人はむしろ太る
実験IV まちがいだらけの想像力向上ノウハウ
 「集団思考」は想像力の欠如をまねく
 人間の行動性向は簡単な暗示で大きく変わる
 モダンアートを見るだけで、想像力は引き出せる
実験V 婚活サイトに騙されるな
 ハードルを高くして「いい女」を装う術は、何の効果もなかった
 マニュアル通りの会話をすると異性から最低の評価を下される
 大勢の異性からよく思われようとすると、逆に異性は逃げて行く
実験VI ストレス解消法のウソ
 大声で叫んだり、サンドバッグを叩いても、ストレスは増すばかり
 不愉快な体験のプラス面を書き付けることで、怒りはおさまる
 自分は健康だと思い込むと、本当に健康状態は改善される
実験VII 離婚の危機に瀕しているあなたに
 いくら夫婦間で話し合いを重ねても、関係改善に効果なし
 夫婦で一緒にゲームをするだけで、恋人時代の感情は甦る
 ぎくしゃくした関係は、自分たちよりダメな夫婦を思うことで改善できる
実験VIII 決断力の罠
 意思決定を集団で行うと、リスクの高い決断になりやすい
 人間は「したこと」より「しなかったこと」で後悔する
 正直者とうそつきを見抜く絶対的方法は存在しない
実験IX 「ほめる教育」の落とし穴
 ほめられて育った子供は、失敗を極度に恐れるようになる
 「がまんすること」を覚えた子供は、挫折しても立ち直れる
 子供をおどして注意すると、逆に禁じられた行為をしたがるようになる
実験X 心理テストの虚と実
 筆跡鑑定による性格判断は間違いだらけ
 人間の性格は、ある程度まで生まれた順番に左右される
 性格は指の長さにあらわれる

 見出しだけで判断すると、それもまた誤ったイメージを持ってしまうかもしれない。買って読めば、自己啓発本に毒された人向けの解毒剤になるかもしれないし、近くに自己啓発本マニアが居るような人にとっても、防衛方法の1つとして使えるかもしれない。

代替医療のトリック」、サイモン シン (著), エツァート エルンスト (著), Simon Singh (原著), Edzard Ernst (原著), 青木 薫 (翻訳) 、新潮社、978-4105393052。
代替医療のトリック (単行本)
 タイトルの通りの内容の本で、よくまとまっている。第1章が科学的考え方についての解説になっている。

第I章 いかにして真実をつきとめるか
 壊血病、英国水兵、瀉血の臨床実験/科学的根拠にもとづく医療/天才の一打
第II章 鍼の真実
 プラセボの威力/盲検法と二重盲検法/試験される鍼療法/コクラン共同計画/結論
第III章 ホメオパシーの真実
 ホメオパシーの起源/ハーネマンによる福音/ホメオパシー——隆盛と衰退、そして復活/『ネイチャー』事件/臨床試験に付されるホメオパシー/結論
第IV章 カイロプラクティックの真実
 科学的根拠にもとづくお茶/患者をマニピュレートする/骨接ぎ万能療法/注意してほしいこと/カイロプラクティックの危険性/代替医療の危険性
第V章 ハーブ療法の真実
 ハーブの薬学/一番大切なのは、害をなさないこと/思慮ある人たちがなぜ?/実際に経験したのだから疑いようがないという心情
第VI章 真実は重要か?
 プラセボ——罪のないささいな嘘なのか、医療として不正な嘘なのか/効果が証明されていない、または反証された医療を広めた責任者トップテン/代替医療の未来
付録——代替医療便覧
より詳しく知りたい読者のために
謝辞
訳者あとがき

 代替医療について批判を加える際の、基本的な文献の1つになると思われる。

【注意喚起】血液サラサラの写真撮影を病院以外でされちゃった方へ

Posted on 1月 21st, 2010 in 倉庫 by apj

 ここ数年、「血液サラサラ」がテレビ等で取り上げられた。また、2003年頃にピークだったマイナスイオンの大流行の時には、「マイナスイオンで血液サラサラ」という宣伝文句が世の中に溢れ、マイナスイオンの効果を謳う商品の販売に際して、実際に、採血して血液サラサラ写真を撮影された人も居た。業者が、商品を売るために、わざわざ血液の写真を撮影して客に見せるといったことまでしていたようである。

 ところが、最近になって気がかりな話が伝わってきた。血液サラサラの写真を撮るためには、針などでわずかに傷をつくって(耳たぶや指など)血液を採取するといったことをするのだけど、この採血の器具を使い回ししていた業者が居たという話でである。ごくわずかの傷であっても、他人の血液に触れた器具を使うと、感染症の危険、例えばポピュラーなところでは、C型肝炎に感染する危険がある。

 マイナスイオングッズ、及びその他の健康グッズの売り込みを受けた際に、業者に勧められて、医療機関以外で血液サラサラの写真を撮ってもらった覚えのある方は、医師の診断を受けることをお薦めする。
 針等の使い回しをしていた業者が中には混じっていて、「マイナスイオンで健康に」などと言っている間に、C型肝炎に感染させられている可能性が否定できない。C型は放っておくと命に関わるので、早めに発見して手を打たなければならない。他の感染症についても同様である。

 私のところで、具体的に証拠を押さえられないこと、血液サラサラの写真を撮るという販売手法は全国的に行われたために、他にも採血器具のずさんな管理をした業者が居たかもしれないことを考慮し、注意喚起ということでここに書いておく。もし、家族・親戚・友人知人で、過去に、マイナスイオン製品の販売業者や健康グッズ販売業者に、血液サラサラの写真を撮って貰った人がいたら、医療機関に相談するように注意を喚起してほしい。

 この懸念は、実際に検査をされちゃった人に届かせる必要があるので、できれば、いろんなところで話題にして、必要な人に伝わるように協力していただければと思っている。じっくりでいいので情報を浸透させることを手伝って欲しい。
 検査して異常が何も無ければハッピーなのだが、マイナスイオンの流行やマイナスイオン商法が原因で、知らないうち命に関わる感染症にかかったのでは、目も当てられない。C型肝炎についての詳しい情報は、「C型肝炎」にあるし、厚生労働省のページにもQandAがある。血液サラサラの大流行からの時関経過を考えるに、今ならまだ間に合うだろうから、早期発見に努めて欲しい。

 宣伝目的で血液サラサラの話に乗っかるような科学的判断力の無い業者が、採血器具の管理の方は科学的(=医学的に)に安全な方法で行ったと考えるのは、いささか楽天的過ぎるだろう。とりあえずは疑ってかかるしかない。

【追記】
 黒影さんのところで「血液サラサラ詐欺の被害者にウイルス性肝炎感染の恐れあり」がアップされました。過去に、医療機関でさえ採血器具部品の使い回しが行われていたことの記述や、採血器具の図入りの解説など、大変分かりやすく書かれています。このエントリーをごらんになった方は、ぜひ、黒影さんのところも併せて読んでくださいますようお願いいたします。

リアリティに欠けるなぁ……

Posted on 1月 18th, 2010 in 倉庫 by apj

 poohさんのところの「対立構図と意識」を読んで、そこからさらに「コミックサイエンスw」を読んで。

水に感謝する云々、マイナスイオン云々、コラーゲン云々などなど枚挙に暇はありませんが、こうして名前がつくと対立構図がはっきりして、喧嘩しやすい状況ができるわけですね。じゃんじゃんやってほしい。

 まずこの部分が、さっぱりわからない。水に感謝云々が水伝のことなら、教育現場にオカルトかつ不道徳な内容が道徳を標榜して堂々と持ち込まれたことと、浄水器や活水器のインチキ検査法として使われたことが問題である。マイナスイオンについては、消費者被害を発生させて、行政処分をくらった業者が出ている。筆者のtaraさんが言ってる「喧嘩しやすい状況」てのが想像つかない。喧嘩になる時って、既に現実の被害が発生して、特商法違反だ景表法違反だ金返せ、と法的紛争に突入してたりする。「喧嘩しやすい状況」が、「速やかに提訴して金を返して貰いやすい状況」のことなら、多分、コミックサイエンス云々を持ち出したって実現しない。単に議論しやすい状況というだけの意味しかないなら、別にこれまでだって「喧嘩しづらい状況」でもなかったので、何が良くなるのかがわからない。

人間にとって何が大事かという問題なのです。もちろん、それが詐欺的に使わるのは良くないとは思いますが、霊感商法みたいに、科学的であろうとなかろうと詐欺が発生するのも事実。その線引きって、難しくて誰にもできないと思うよ。

 この部分も大雑把すぎて何が言いたいのかがわからない。人間にとって何が価値あることかというのは、そもそも線引きして決めるようなものではない。一方、詐欺のやり方や商材は様々で、その中にニセ科学が使われることもある、という位置づけになっている。
 刑法上の詐欺罪の方は構成要件が決まってるし、民事上の詐欺は民96条の適用を考えることになる。どちらもこれまで裁判所で山ほど線引きした例があるので、「難しくて誰にもできない」というのは明白な誤りではないか。霊感商法の方は紀藤先生や山口先生(LINK総合法律事務所)を始め、他にも各地の被害対策の弁護団や弁護士さん達が活発に活動して被害者救済に動いているが、これだって裁判所で線を引くことになるし、引いてきた積み重ねがある。

でも議論って大事だから、コミックサイエンスという俎の上で喧嘩が繰り広げられるのは賛成。

 多分、現実の俎がどこかにあるとしたら、その俎のかなりの部分は、きっと裁判所までつながっている。

 「コミックサイエンス撲滅宣言」には、次のような一節がある。

しかし、科学者や、そこに近い領域で生活している人たちは、ここで一度立ち止まって考えてみてください。科学者は、事実を前にしたときに、その事実に対して敬虔であるべきだということを知っているはずです。事実を尊重しなくてはいけないことを知っているはずです。科学とは、事実をさまざまな角度から見て、その背後に隠されている真理を理解することのはずです。私たちが、世の中に横行しているコミックサイエンスを黙認、許容することは、捏造、インチキ、擬似科学を受容することと何も変わりはないのです。確かに、「絶対にコラーゲンが肌に良い効果を及ぼさない」とは言い切れないかも知れません。しかし、「ほぼ間違いなく、良い効果は得られない」ことは知っているのです。そのことについて黙っていることは、事実に対する冒涜ではありませんか?そして、それを許容することは、自らの科学者としての存在意義を否定することになりはしませんか?

 まさに、私は、自分の研究分野が水・水溶液だったので、水について、ここに書かれたようなことを実行してきた。その結果、逆恨みされるは訴えられるは、こっちからも訴えるは、法的紛争を積み重ねることになった。母校が訴えられた訴訟では、私と私の師匠が独立当事者参加し、磁気活水器は師匠と折半で購入し実験までした。業者の請求は棄却され、判例時報判例タイムズにも掲載された。
 活性水素水に批判的な仕事をした研究者は、頼んだ覚えのない実験器具がいろいろ届くという、刑法上の業務妨害にあたるような嫌がらせをされた。その方には、警察に行って被害届けを出すように言った。
 10年やってわかったことは、結局、業者の利益に反することを主張するのなら、嫌がらせで提訴されても和解などせず裁判所で徹底的に争うつもりでやらないといけないのだろうということだった。だから、若い大学院生やポスドクの人達が、私と同種の主張や活動をしたいと言った時に、私は「訴訟を受けとめられるだけの知識と人脈(弁護士とか)と経済的基盤を持つまでは、あまり踏み込んだことは主張するな。主張の仕方も直接業者と争わなくてもよいような形に工夫すべき」と助言してきた。ニセ科学を問題だとして活動してくれる人が増えることは嬉しいが、実行した場合に負うリスクを正しく理解してからでないと、結局、その人が不幸になってしまう。また、訴えられても勝てる範囲で書くというのも、知識や慣れが必要である。実のところ、私が何とかやってこれたのは、師匠の冨永教授の理解が得られたことと、私自身がもともと法律好きであったことが大きかったりする。大抵の場合は、科学者の言うことなどスルーして商品を売る方が利益になるのだけど、中には脅す方に情熱を燃やす人も居たりして、ひっかかった場合はそれなりに時間も金もかかることになる。
 上の撲滅宣言の文章は(残りの部分も含めて)、何だか無責任に科学者をたきつけているだけのように見える。実際に実行した場合に科学者が負うリスクを見積もっての発言とは受け取れない。だから、読んでいてあまり気持ちは良くない。軽々しく一派を作る音頭だけとって、集まった科学サイドの人達に十分な説明なしにリスクを負わせる結果になりそうだからだ。

 まあ、先に実践(ひょっとして実戦?)して、他の科学者に向かって「どんどんやるべき」と言い出せそうなポジションに居る人が、これまでそういったことを言わなかった理由というものを全く想像してないんだろうな、と。一派を作らなかった理由は既にpoohさんが考察してるけど、もう一つ別の理由としては、紛争に巻き込まれるリスクを考えると軽々しく人を誘えないってのがあるんだよねぇ。自発的に始める人は覚悟済みだろうけど。

【追記】
 いざ紛争に入った時に、ニセ科学を問題にする側が争いやすくて勝ちやすい状況を作るというのも必要で、この状況は法律の実務家に届く方法で作らないといけない。このために、神戸の裁判では、単に原告の請求棄却の判決をもらだけじゃんくて、判例時報掲載や判例タイムズ掲載を狙っていた面がある。判例時報の方は、名誉毀損が成立しなかった判断の例として取り扱ってくれたし、判例タイムズの方は裁判所が当事者参加が認める場合の基準について解説してくれた(つまり所属組織に対して訴訟を仕掛けられても裁判所で防衛する道がついた)。これで少しは争いやすい(逆に、ニセだと指摘された側にとっては訴えづらい)状況を作ることに役立ってくれればと思っている。

【追記】
 キーワードで検索して販売側よりも上位になったり、大体同じ順位でサイトが出てくるようになると、クレームが来ることが多いような気がする。これまでの経験によると、検索して自社製品の批判の方が先に出る、ということになると、販売側はかなり気になるらしい。だから、例えば「コラーゲン」で検索して、コミックサイエンスのサイトが結果の1ページ目の上位に来ると、コラーゲン関係を売ってるところから営業妨害だというクレームが出てくる可能性が高くなる。そこまで検索の順位を上げられれば活動の成果があったということだし、そのクレームをどうはねのけるかでその後が決まるんじゃないかなぁ。

手かざしの被害者

Posted on 1月 14th, 2010 in 倉庫 by apj

 47newsの記事より。

治療受けさせず乳児死亡 宗教信者の両親に殺人容疑

 低体重で、アトピー性皮膚炎を患う生後7カ月の長男に治療を受けさせず、感染症で死なせたとして福岡県警は13日、殺人容疑で父高月秀雄容疑者(32)と、母邦子容疑者(30)=いずれも福岡市東区唐原=を逮捕した。県警によると、2人は福岡市に本部がある宗教法人職員で、信者。手をかざす「浄霊」と呼ばれる行為で長男を治そうとしていたという。

 親が合理的な理由なく、子どもに治療を受けさせない問題は「医療ネグレクト」と呼ばれ、児童虐待に当たる。県警によると、両容疑者は「自然治癒能力を信じており、手かざしで治ると思っていた」と供述している。

 逮捕容疑は、昨年2月に生まれた長男嘉彦ちゃんの体重が減り、アトピー性皮膚炎の悪化で感染症にかかりやすい状態だったのに医療機関を受診させず、同10月9日、細菌感染による敗血症で死なせた疑い。死亡当日は、嘉彦ちゃんが息をしていないのに秀雄容疑者が気付き119番。病院から「医療ネグレクトの疑いがある」と通報があり、県警が捜査していた。

 西日本新聞の記事より。

宗教理由に長男治療せず放置 両親を殺人容疑で逮捕
2010年1月13日 20:01 カテゴリー:九州 > 福岡 社会

 生後7カ月の長男に適切な医学的治療を受けさせずに死亡させたとして、福岡県警は13日、殺人の疑いで、福岡市東区唐原4丁目、宗教法人職員高月秀雄容疑者(32)と、妻の同、邦子容疑者(30)を逮捕した。2人はともに同区に本部がある宗教法人の長年の信者で、同法人は近代医療を否定している。県警は、宗教の教えを理由に子どもに必要な治療を拒んだ「医療ネグレクト」に当たると判断。関係者によると、児童虐待をめぐり、医療ネグレクトを殺人容疑で立件するのは異例という。

 2人の逮捕容疑は、長男嘉彦ちゃんが発育不十分で重いアトピー性皮膚炎などを患っていたのに、法人が提唱する手をかざせば病気が治癒するという「浄霊(じょうれい)」をしただけで、適切な治療を受けさせないまま放置。昨年10月9日夜、自宅で敗血症により死亡させた疑い。

 秀雄容疑者は「病院に行く判断が遅れた」、邦子容疑者は「今まで通りの育て方で治ると信じていた」と供述。いずれも容疑を認めているという。県警によると、嘉彦ちゃんは3400グラムで出生し、死亡時は4300グラム。7カ月児の平均体重の半分ほどだったという。

 この宗教法人の顧問弁護士は西日本新聞の取材に対し「(法人は)近代医療を否定しているが、病院を受診をするかは個人の自由で強制はしていない」としている。

=2010/01/13 西日本新聞=

 毎日jpの記事より。

殺人容疑:7カ月の長男受診させず 宗教法人職員夫婦逮捕

 福岡県警は13日、衰弱した生後7カ月の長男を受診させず殺害したとして、いずれも宗教法人職員の福岡市東区唐原4、高月秀雄容疑者(32)と妻邦子容疑者(30)を殺人容疑で逮捕した。県警によると、自然治癒による回復を教えとする宗教の信者で、手かざしなどによる「浄霊」と呼ばれる方法で治そうとしていた。「医療行為を受けさせればよかったと後悔している」と、大筋で容疑を認めているという。

 逮捕容疑は、アトピー性皮膚炎を発症した長男の嘉彦ちゃんに適切な診療を受けさせず、昨年10月9日午後8時ごろ、感染による敗血症で死亡させたとしている。

 県警によると、嘉彦ちゃんは母乳などの食事は与えられていたが、アトピー性皮膚炎で衰弱し、食事がとれない状態だったという。県警は治療を受けさせなかったことが死亡につながったと判断し、殺人容疑での逮捕に踏み切った。

 同10月9日夜、嘉彦ちゃんの意識がもうろうとしていることに気付いた秀雄容疑者が119番したが、搬送先の病院で死亡が確認された。死亡時の体重は通常の乳児の半分程度の4・3キロしかなく、アトピーで体の皮膚の多くがはがれた状態だった。病院が診療を故意に受けさせない「医療ネグレクト」の可能性があるとして県警に通報した。

 秀雄容疑者は調べに対し「病院に行こうと思ったが判断が遅れ、見殺しにしてしまった」と供述している。邦子容疑者は「自分も母親に同じように育てられており、自然の力で絶対に治ると思った」と話しているという。

毎日新聞 2010年1月14日 0時20分

 貧困の連鎖が問題になっているが、これは、「情弱の連鎖」とでも言うべきなのか。

 nikkansportsの記事より。

乳児死亡で両親入信の「新健康協会」捜索記事を印刷する

 福岡市で昨年10月、低体重でアトピー性皮膚炎の乳児に手かざしによる「浄霊」をし、病院での治療を受けさせずに死なせたとして殺人容疑で父高月秀雄容疑者(32)と母邦子容疑者(30)が逮捕された事件で、福岡県警は14日、2人が入信し、職員として勤務する福岡市東区の宗教団体「新健康協会」総本部を関係先として家宅捜索した。

 県警によると、死亡したのは両容疑者の長男嘉彦ちゃん(当時7カ月)で、両容疑者は「手をかざせば治ると思っていた」と供述。秀雄容疑者は小学生の時から、邦子容疑者も中学時代からの熱心な信者で、両容疑者の親も信者だった。

 ほかの複数の信者も嘉彦ちゃんに手かざしをしていたといい、県警は教義の内容や、死亡までの経緯の把握を進める。

 新健康協会のホームページや捜査関係者によると、同協会は九州をはじめ北海道や関東、関西地方などに支部など70カ所以上の関連施設があり、約1万人の信者がいる。

 一方、保健師らが市の家庭訪問事業で、両容疑者の自宅を2回訪ねながら嘉彦ちゃんと会えず、体重減少などの異常を把握できていなかったことも判明。親が子どもに治療を受けさせない「医療ネグレクト」は身体的虐待と比べ周囲が気付きにくく、ハイリスク家庭の把握には訪問事業が重要な機会で、今後に課題を残した格好だ。

 福岡市によると昨年5月、乳児がいる家庭の育児相談のため民生委員が訪問。邦子容疑者から「赤ちゃんが泣いていて手が離せない」と断られ、嘉彦ちゃんの様子を確認できなかった。同9月には、嘉彦ちゃんが4カ月健診を受けていなかったため保健師が訪問したが留守だった。市の担当者は「結果として見逃してしまったことは残念」としている。(共同)

 [2010年1月14日11時39分]

 ニセ科学、特に医療分野のインチキは、財産的損害だけでは済まず、他人の命まで奪うのでシャレにならない。

まだしつこくゲルマニウム

Posted on 1月 7th, 2010 in 倉庫 by apj

 掲示板の方に情報提供があったので、こちらにメモしておきます。YOUMIURI ONLINEの記事より

「がんに効く」ゲルマ温熱器を無許可販売、容疑の経営者ら逮捕

 「ゲルマニウムががんに効く」などとうたい、医療機器を無許可で販売したとして、兵庫県警生活経済課などは6日、同県尼崎市の医療機器製造販売会社「ルルドゲルマニウム」実質経営者・田中好信容疑者(59)(同県伊丹市)を薬事法違反(無許可製造販売)容疑で逮捕した。この医療機器を製造したとして、大阪市北区の同「プロテックフジ」社長・和田正記容疑者(55)(大阪府豊中市)も同法違反ほう助容疑で逮捕した。2人は「(国の許可が必要な)医療機器ではなく、健康器具だ」などと容疑を否認しているという。

 ル社はホームページ(HP)で「腫瘍(しゅよう)や脳梗塞(こうそく)にも効果的」などと宣伝し、会社を訪れた客らに、約2年間で約40台(約5000万円)を売り上げていたという。

 捜査関係者によると、田中容疑者は2007年9~11月、和田容疑者に依頼して、厚生労働大臣の許可を得ず温熱治療器「Geジェネワン」3台を約40万円で製造させ、同年12月~09年1月、68~34歳の男女3人に計345万円で販売した疑い。

 この治療器は、ゲルマニウムを患部に当てて、熱とマイナス電子を照射する仕組みといい、ル社は「疾患のがん細胞を死滅させ、細胞を正常にする」などと効果を説明していたという。ほかに、ゲルマニウムを使ったブレスレットなども販売し、約1700万円の売り上げがあったとされる。

 厚労省が04年5月、ゲルマニウム食品の効能をうたった前身会社のパンフレットを見つけ、同法違反の恐れがあるとして県に連絡。県は同年7月に立ち入り調査するなどして、再三指導したが改善されず、09年9月、県警に通報した。

 県警は翌10月に同社などを捜索。厚労省は県警からの問い合わせに「同治療器は健康器具ではなく、医療機器に該当する」と回答している。

 国民生活センターによると、ゲルマニウム関連の商品やサービスの苦情は多く、「こりの緩和」「血行の改善」などとPRしたアクセサリーに関する相談は、04年4月からの約5年間で約2300件。内容は「効果がない」「皮膚がかぶれた」などが多かった。

 同センターは「現時点で、ゲルマニウムの治癒効果に科学的根拠は認められない。購入の際は、健康への効果を期待しないよう注意してほしい」と呼びかけている。

(2010年1月6日 読売新聞)

 製造費用40万円のものを345万円で販売とは……。詐欺ってやっぱりぼろい商売だなぁ。

新年…

Posted on 1月 1st, 2010 in 倉庫 by apj

 明けましておめでとうございます。本年もどうぞよろしくお願いします。

 今年の年末年始は実に平穏でした。裁判所に走る必要もなかったし。とりあえず某所に引きこもって過ごします。