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「上から目線」ということの無意味さ

Posted on 7月 23rd, 2011 in 倉庫 by apj

 以前にも書いたかもしれないが、「上から目線」ということの言い方について。ツイッターのTLで出てきたので少し考えてみた。

 AがBに対して「上から目線」と評した場合のことを考える。

前提1:「上から目線」と言う言葉は、Aが勝手に「上下」を何らかの基準で設定し、その基準によればBが上、と判断したから出てきた言葉である。
(1)Aが「下」であるとA自身が思っている場合
 Aは、誰が頼んだわけでもないのに勝手に「下」に居ると自分で思っている、あるいは実際に「下」に居る。つまり「私は私の設定した基準で下に居ます」と自ら表明する以上の意味がない。
(2)Aが想定する別の誰か(たとえばC)が「下」に居るとAが考えている場合
 話に登場もしていないどころか、そもそも存在するかどうかわからない「下」にいるCを想定して発言することの意味がわからない。というかはっきり言って無意味。
(3)第三者からみてBが上になるに違いない、という意味である場合
 第三者から見ればAは「下」なのにA自身はそのことに全く気づいていない、あるいはそれを認めるつもりもないとの表明である。つまりAはただのバカ。

前提1が成り立たない場合
 Aは自分で「上下」を設定していないにもかかわらず「上から目線」と言ったことになる。何が言いたいのかがわからない。「上から目線」という表現自体が比喩として適切ではなかったことになる。

 考えつく限り場合分けしてみたが、「上から目線」というのは、言った側がバカにされる効果があるだけで、それ以外に何の意味もなさそうである。

週末所用で工学部に行ったら……

Posted on 7月 5th, 2011 in 倉庫 by apj

 週末、某仕事のため米沢の工学部に出張したら、事務の入ってる建物入り口にこんなものが。

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 近づいてみると、ビニール袋に入れた個人線量計が、ガラス窓にテープで留められていた。

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 使われていたのはこの機種。

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 その場所にずーっと立ってたらどれだけ被曝するかを見る、という意味では、個人線量計をぶら下げておくのもアリなんだろうけど、もうちょっと立派なモニタリングポストを期待していたので拍子抜けした。

むしろいい教材になりそう

Posted on 6月 26th, 2011 in 倉庫 by apj

 産経新聞に続報が来ました

記者も感激! さいたま市の80歳男性が発明した「夢のエネルギー製造装置」に迫る
2011.6.26 12:00

 東日本大震災に伴う福島第1原発事故は、国民に従来のエネルギー政策の見直しを迫っている。直接の被災地ではない埼玉県でも、計画停電が行われたり、自治体がこぞって節電を呼びかけたりしており、電力危機と無関係ではいられない。7月の県知事選でもエネルギー政策のあり方が大きな争点になりそうだ。そんな中、さいたま市在住の男性が水と重力と浮力のみを駆使して電気を発生させる装置を発明し、特許を取ったという情報を得た。太陽光や風力などエコ発電なら現在でもあるが、もし本当なら、時間や天候にも左右されない“究極の自然エネルギー”ではないか。破壊された原子力発電所から飛んだ放射能に怯える日本人にとっての救世主になりうるかもしれない。(安岡一成)

 高校の時は数学や理科が苦手で文系に進んだ私。今回の取材には基礎的な知識が不足しているかもしれないと、以前に取材で知り合った都内の某大学理学部物理学科2年で力学や電磁力などを学ぶA君(20)に同行してもらった。

 今月15日、訪れたのはさいたま市浦和区の閑静な住宅街の中にある豪邸。装置を発明したという会社役員、阿久津一郎さん(80)が出迎えてくれた。リビングルームの壁には、平成22年10月15日付で岩井良行・特許庁長官のサインが入った特許証が額に入れて飾られていた。発明の名称は「球体循環装置」と書いてある。特許を取ったのは確かなようだ。

 でも、「球体循環装置」って一体何だろう…。2人はこう思いをめぐらせながら、強面の阿久津さんにちょっとビビりつつ、装置のある庭に案内してもらった。

 庭にあったのは、高さ2メートルほどのアクリルパイプが3本、容積約10リットルのアクリル製の箱に取り付けられた装置だ。写真とイラストを参照してほしい。左から、歯車と弁が2ついたもの、弁が4つついたもの、何もついていないものの3本だ。それぞれ、「落下管」、「上昇管」「蓄水管」と呼び、蓄水管と上昇管の上部には注水タンクが、落下管の歯車には自転車用くらいのライトがついている。

 「じゃ、始めるよ」

 阿久津さんの合図で、装置に水が注ぎ込まれた。分かりやすいように、水には入浴剤で黄緑色をつけている。まず、落下管の下の方にあるコックを閉め、箱と蓄水管、上昇管は水で満たす。この後、コックを開放すると、落下管には水は入ってこない。タンクからは一定量の水が注入され、箱に取り付けられた栓から放出されている。上昇管と落下管は上部でつながっている。

 ここで阿久津さんはパチンコ玉を中に入れた卓球に使うピンポン球を取り出した。重さは約23グラム。水に入れると、当然、浮力で水面に浮かぶ。阿久津さんはおもむろに落下管の歯車の上にある挿入口から、ピンポン球を20個、次々と投入した。

 落下した球は歯車を回して箱に落ちる。箱に取り付けた誘導板の働きで、球はダイレクトに上昇管に入った後、そのまま浮力で上にあがっていく。4つの逆止弁を経て球は水面にたまっていく。すると、球は上にたまった球を下から押し出していく。押し出された球は、そのまま落下管に入り、2つの弁を経て歯車に衝突、歯車を回して再び箱に入る。入った球はまた上昇管に吸い込まれ、上がっていく…。

 ガタン、と球が歯車に当たる音が一定間隔で繰り返される。上昇する球は、中に入っているパチンコ玉のため小さく震えている。20個の球が滞りなく同じ動きを繰り返している。

 装置に水を出し入れするのは水位を保つためで、その量は球20個の体積分の水という。弁をつけているのも同様に水位を保つため。1つの球が循環するのは約3分で、回った歯車は電力を生み、ライトは微弱ながらも、確かに灯っているのだ!

 「すげえ…」

 息をのんで球の動きを見ている私たち。時間を忘れたように眺めていたら、阿久津さんが不敵に微笑みかけてきた。手には5キロの鉄アレイを2個持っている。何をするのだろう、と思っていると、水を張った桶の中に、直径50センチほどのプラスチック製の半球を浮かべ、その中に鉄アレイを入れてみたら、半球がまだ浮いているのを見せてくれた。

 「浮力って結構すごいでしょ? あの装置はピンポン球だけど、球をこれくらい大きくて重さのあるものに変えて、装置も大きくしたらもっと大きな電力が得られるよ」

 A君に計算してもらったところ、この装置で生み出される電力は1ワットにも満たないという。しかし、装置をもっと大きくして球の大きさを変えると、理論上、電力はそれに比例して大きくなるそうだ。この後、装置は時おり球が詰まるくらいで、管をたたいてやればまた復活していた。

 球の動きに美しさを感じてまたじっと見ていると、「おかあさーん、あれなーに?」と庭の外から指をさす子供の声でふと我に返った。この装置にキャラクターの絵を描いて遊園地に置いておくだけで、からくり時計のように子供にとっては楽しめるものになるかもしれない。

 A君は「これ、高校2年生くらいの物理の学力があれば理解できる仕組みですよ。でもそんな簡単な知識でこんなこと思いつくなんて」と感心しきりのようだった。

 それにしてもなぜこんなものを思いついたのか、阿久津さんに尋ねてみた。

 「東京に行くと高いビルがあるでしょ。あれを眺めながらね、あのてっぺんから物を落とすとすごいエネルギーになると考えたんだ」

 阿久津さんはドクター中松氏と違って発明を本職としているわけではない。ただ以前から環境問題には深い関心があり、石油を使う火力発電にしても、危険と紙一重の原子力発電にしても、いずれはこれらに頼らない発電方法を開発しなければならないと感じていたという。

 物を落とせば確かにエネルギーは生まれる。しかし、落としたものをどうやって持ち上げるか。それに悩む日々だった。ある日、練習用の水に浮くゴルフボールを手にしたとき、ひらめいた。

 「これだ。浮力だ。水を張ったパイプの中ならそれが可能だ」

 その後、装置を作ってくれる工場を探し、700~800万円を投じ、2年半の試行錯誤の末、開発に成功。「アクツ・エコ・サイクル」と命名した。

 昨年10月には特許を取得。「誰も同じような装置を考えた前例がないと国が認めてくれたときは飛び上がりそうなくらい嬉しかったよ」と振り返る。現在、米国や欧州などにも出願中だ。

 「この装置をね、たとえば店舗に設置したら雨水を使ってネオン用の電力に使える。山の中ではわき水を使って、登山道の灯りになるでしょ」と阿久津さん。「この装置をすべての送電鉄塔やビルを発電所に設置すれば将来、原子力発電はいらなくなるよ」と話していた。

 ピンポン球がともした小さな灯りが、大きな光となって私たちを照らしてくれる日が来るのだろうか。原発関連の暗いニュースばかりの中、少しだけ希望が見えた気がした。

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 やはり、装置そのものは上の水槽の水の位置エネルギーで動くものです。効率のよい発電に結びつくとは思えない(発電目的なら水槽の下に発電機を置く方がいい)のですが、メカ自体は見応えがあるので、展示すると面白いかもしれません。
 むしろ、単に発電機を置いただけのものと、発電の効率を比較するとかすれば、熱力学の法則について教えるための科学館むけの展示になるかも。

 まあ、何に数百万投じようが個人の道楽なら他人がとやかく言うことではないし、それをネタに投資家から資金を集めようってわけでもなさそうだし、ご本人も善意からやってるようですし、ほほえましいケースではありますね。
 ただ、それを「エネルギー製造装置」だと信じ込んで報道してしまう記者はどうかと思いますが。産経新聞は記者を採用するときに、基礎的な理科と数学の学力試験くらいはやった方がいいと思います。

またまた別の練習問題

Posted on 6月 25th, 2011 in 倉庫 by apj

 今度は産経新聞の記事

究極のエコ! 重力と浮力で発電する装置をさいたまの80歳男性が開発
2011.6.24 11:35

 東日本大震災でエネルギー政策の転換が叫ばれる中、重力と浮力だけを利用して電気を発生させる装置をさいたま市浦和区の会社役員、阿久津一郎さん(80)が発明した。パチンコ玉を内蔵したピンポン球を高い位置から落として歯車を回して発電、水の入ったパイプの中で球を再び浮力で上昇させて循環させるもので、平成22年10月に特許を取得した。実用化されれば、天候や時間に左右されない“究極の自然エネルギー”として注目を集めそうだ。(安岡一成)

 阿久津さんが開発した装置は、容量約10リットルのアクリル製の箱に、高さ約2メートルの「蓄水管」「上昇管」「落下管」という3本のパイプがついただけの簡単な構造。上昇管には水の逆流を防ぐため、落下管には圧力を保つための弁がそれぞれ取り付けられており、上部でつながっている。落下管には発電機と連動した歯車が取り付けられ、回転すると電力を発生させる仕掛けになっている。

 まず、落下管に水が入らないようにコックを閉め、蓄水管と上昇管がいっぱいになるまで水を入れる。次に落下管のコックを開け、パチンコ玉を内蔵したピンポン球を20個、挿入口から投入。落下した球は歯車を回して箱に落ち、上昇管に入った後、そのまま浮力で上に上がっていく。球は上にたまったほかの球を押し出し、再び落下管に入った球が歯車に衝突する。装置には水位を保つために、ピンポン球の体積分の水が出し入れされており、1つの球は約3分間隔でこの循環を繰り返す-という仕組みだ。

この装置で生み出される電力は1ワット程度だが、阿久津さんは「装置や球のサイズを大きくすれば多くの電力が作れる」と、実験に乗り出している。

 環境問題に関心があった阿久津さんは5年前、高いビルを眺めていて「上から物を落としたら大きなエネルギーになるのでは」と考えたのが開発のきっかけとなった。落とした物を上に持ち上げる方法に悩んでいたが、ある日、水に浮くゴルフボールを手にして、浮力を活用することを思いついた。その後、約2年半かけて装置を開発。費用は700~800万円もかかったが、昨年10月に特許を取得した。米国や欧州などにも特許出願中だ。阿久津さんは、この装置を使って雨水で店舗のネオンの電力に使ったり、湧き水を使って登山道の明かりに使用したりというアイデアを披露する。

 また、阿久津さんは「球体が動くのを眺めているだけで楽しいから、からくり時計のように楽しめる」ともいう。「この装置をすべての送電鉄塔やビルに設置すれば、将来、原子力発電はいらなくなるよ」と話している。

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 難易度は高くないが、いろいろ設問できそう。現実にあった例として講義のネタ用メモ。

なぜガイガーカウンターの知名度が高いのか、のメモ

Posted on 6月 25th, 2011 in 倉庫 by apj

ついったーでつぶやきつつ、教えていただいた情報をメモ。

フィクション

・ゴジラ で登場した(「ゴジラ映画とガイガーカウンター」)。
・ウルトラマンにもあったかも。
 「ウルトラマン第2話でバルタン星人に会いに行くときにイデ隊員が持ってたから。」という情報提供あり。
 「ウルトラマンシリーズでガイガーカウンターが出そうなのは、レッドキング+水爆って回ですかねぇ。初代ウルトラマン「第25話 怪彗星ツイフォン」」という情報提供あり(←要確認)。
・少年ジャンプ連載の「飛ぶ教室」に登場。
・マッドマックス3(ここに情報
・ルパン三世(時計がガイガーカウンター、のシーンがある)

ノンフィクション?

・西原理恵子の鳥頭紀行

実際の事件

・ビキニと第五福竜丸ときの汚染検査(←当時の報道内容を見る必要あり。ガイガーて連呼されてたのか?とか)
 第五福竜丸被爆事故
 「風評被害」という本で福竜丸事件がとりあげられた。
・JCOの臨界事故の時にはすでにガイガーが放射線検出器の総称になってた(これとか

 一方、
シンチレーションカウンターの歴史
堀場のシンチ開発の歴史

学位論文と投稿論文の内容公開を望みます

Posted on 6月 25th, 2011 in 倉庫 by apj

 高嶋開発工学総合研究所に、面白い警告が出たので、こちらでコメントしてみます。

警告
高嶋康豪博士に対する誹謗中傷について

 高嶋康豪博士の博士号に対して、誹謗中傷があり、「ケンジントン大学がハワイ州政府から閉鎖命令を受けているので、博士号自体疑問だ」と言うようなブログを掲載している人間がおりますが、1、名誉棄損 2、信用棄損 3、業務妨害 の刑事事件及び民事事件の様相を呈しているので、法的処置の警告を致します。

1、高嶋博士の博士号は、1980年代のレーガン大統領時代に、優秀な学術を顕彰する機関として、米国の国際学士院の協会の著名な大学の博士達によって設立された博士号及び終身名誉博士号の評議委員会により推薦授与する事が有りました。当時、ハワイ大学のホシノ学長が来日の際、高嶋博士の学術をアメリカに紹介し、評議委員会にて審議され、生命工学と環境工学の優秀な学術として世界で初めての環境微生物学博士号(Doctor of Environment Biology)の授与が決定し、1995年に授与されました。
  その時の評議委員会メンバーは、ヘンリー・L・N・アンダーソン ロサンゼルス市立大学総長を代表とする数十名のメンバーからの授与でした。
  高嶋博士が直接授与式に出席し、博士号の認証状の授与を受けています。

2、尚、終身名誉博士号を1996年に国際学士院協会より授与され、国際学士院協会からの招聘により、授与式に際し、アメリカにて基調講演を行い授与式が行われました。その時の出席者は、ロサンゼルス市立大学学長、リンカーン大学学長、ニューヨーク市立大学学長他十数名の学長が出席し、高嶋博士が記念基調講演を行い、終身名誉博士号の授与式があり、リンカーン大学の学長から授与されました。その時の状況は、ビデオに収録され、公式に発表されています。

  以上のように高嶋博士の博士号の認証は公式に行われたものですので、誹謗中傷によって、博士の名誉・信用を棄損するものに対しては、本名の開示を求めると共に上記のとおり、法的処置の警告を致します。

 高嶋博士は、「環境微生物学博士号」を取得されたそうですから、理工系の博士号取得者の範疇に入ります。この場合、学位授与機関を云々しなくても、理工系の博士号取得者にふさわしい業績があるかどうかをチェックする方が、より本当の姿を知ることができます。

 理工系においては、博士号の取得者が当然備えているものとして、次の2つがあります。
(1)博士論文
 学位申請のために書かれるもの。いわゆる学位論文です。これを提出して内容の審査を受けることになります。
(2)博士論文に関連した投稿論文
 英文で、学術雑誌に投稿され、レフェリーの審査を経て掲載されたもの。何報以上がアクセプトであること、といったものが学位審査の条件になっていることもあります。

 日本の大学でもアメリカの大学でも、1980年代よりもっと以前から、博士号取得者にこの2つがあるのが当たり前です。
これ無しに博士号の認定が行われたのであれば、認定機関の性質を問わず、いかなる権威者が認定したとしても、その博士号は誰が見てもインチキと言って良いでしょう。逆に、この2つが備わっていれば、認定機関を云々するまでもなく、妥当な審査が行われたという強力な証拠となります。

 ですから、高嶋博士の博士号の内容がどのようなものかを評価するには、認定機関がどうこうという話ではなくて、上記2つの論文を見れば十分なのです。世の中、お手盛りの怪しい論文誌も無いわけではありませんから、まともな学術雑誌に通る内容であることを示すには、投稿論文リストを出すのが一番手っ取り早い方法です。環境微生物学の分野でそれなりの名の知られた雑誌にすでに論文が通っているという証拠を出しさえすれば、学位認定機関が怪しいなどという中傷は、すべて突き崩すことができます。

 名誉毀損で訴えるぞと脅すよりも、博士論文と投稿論文別刷りのpdfファイルを公開した方が、おかしな批判を押さえる効果はずっと大きいのです。しかし、不思議なことに、警告文の中には、博士学位論文のタイトルも、代表的な投稿論文も書かれていません。これでは、研究の実体があるかどうかを誰もチェックできませんから、逆に疑われても仕方ありません。高嶋博士の学位の実体を明らかにする方法があるのに、その方法をとらず、警告文だけ出すというのは、一体何故なんでしょうか。わざわざ自分から怪しく見せることも無いだろうにと思います。ぜひ、ウェブサイトで上記2つを公開し、誰でも読めるようにしていただきたいですね。むしろ、高嶋博士の研究成果を世に示すチャンスですから、ぜひ前向きにご検討いただければと思います。

 アメリカでとられた学位であれば、博士論文は英文で書かれているのでしょう。投稿論文についても、英文以外のものは、理工系の世界では業績としては重視されません。世界中で読まれてチェックされ引用されるというわけにはいかないからです。幸いなことに、英文を読みこなせる日本人は多数おりますから、読まれないという心配はありません。

【追記2011/96/26】
 少し文章を手直ししました。

 考えようによっては、警告文の通りに名誉毀損で訴えてもらうのも一興かもしれません。もちろん、誹謗中傷や悪口を書くと負けるので、それは控えておくのが前提です。仮に訴えられたとして、「論文内容が提示されないままの学位に疑問があるというのは意見論評の範囲」と主張し、「その意見が真実に基づいておらず名誉が傷ついたというのであれば、博士学位論文と投稿論文を証拠として提出してください」と求釈明してやれば、真実が明らかになりそうです。

アートコミュニケーション擁護者による嫌がらせ継続中

Posted on 6月 23rd, 2011 in 倉庫 by apj

【緩募】下記IPアドレスによる、このサイトの管理人apjに対する名誉毀損となるような書き込みが掲示板、ブログコメント等に行われていた場合、ログを提供していただけるとうれしく思います。証拠があれば、裁判所に発信者情報の開示請求を行い、相手を特定して発言の責任を問うことができます。

 今年の3月に「 アートコミュニケーションは寄付先を明らかにすべきです」というエントリーを書きました。このエントリーについたコメントで、「質問者」と賞する人が出てきて、2011/06/15に「何の恨みがあるの?人の揚げ足とって楽しい?」と書き込みました。この書き込み元のIPアドレスは、

116.91.8.228 d228.FtokyoFL102.vectant.ne.jp

でした。

 放置しておいたところ、「架空なのは投資話だけじゃなくて」の方に、「余計なお世話」と名乗る人物が、クレームを付け始めました。クレームの開始は2011/06/16で、この人物の投稿元IPアドレスも、

116.91.8.228 d228.FtokyoFL102.vectant.ne.jp

でした。
 つまりこれは同一人物による嫌がらせである可能性がとっても大きいのです。

 今日の書き込み(このエントリーへのコメント)を見て、本当はどうやら他の記事に文句を言いたいらしいと気づいたので、これ以前にこの人物がアクセスした形跡を調べたところ、アートコミュニケーション絡みでコメントを残したのと同一人物らしいことがわかりました。
 厳密には同じ端末を使っている人物、くらいにしか絞り込めませんし、プロバイダによって違うIPが振られることもあるので別人の可能性も無いわけじゃないですが、書き込みのあった日がが接近していることと、書かれた内容の整合性から、同一人物と判断してもおそらく間違いないだろうと思います。

 ウチにこんな姑息なことをしてくるくらいですから、他所のサイトでも、アートコミュニケーションに批判的なことを書いたエントリーに対し、上記IPアドレスが書き込み元となった嫌がらせが行われている可能性があると考えます。どうか皆様お気を付けください。同一人物判定の役に立てていただきたく、コメント主のアクセス元IPを公開いたします。

 なお、当blogの管理人としては、名前を勝手に変えて意図を隠してクレームを付けるような人物には見に来てもらわなくて結構ですので、当該人物のアクセスを制限してみます。まあ、こういう粘着さんは、どうせ手を変え品を変えすりぬけようとすることが多いんですけどね。

 それにしても、アートコミュニケーションには、なかなか素敵な支持者がいらっしゃるようです。他人に偉そうに説教たれておいて、その一方で、名前を変え、別のエントリーに無関係を装って書き込みつつ、アートコミュニーションについてのエントリーを消させる方向に持っていこうとするなどというう、面倒くさいことをして面白がる何とも奇特な方が。

【追記】
 コメントで、行政処分について教えてくださった方がいましたのでこちらにも。ドラゴンさん、ありがとうございました。
 アートコミュニケーションは「褒め上げ商法」が原因で行政処分されたようです。消費者庁のリリース(pdf注意)

平成23年6月17日 消費者庁

特定商取引法違反の電話勧誘販売業者に対する 指示処分について

消費者庁は、電話勧誘により俳句、短歌等の作品を書籍へ掲載するなどのサービスを提供していた事業者である株式会社アートコミュニケーション(本社:東京都豊島区)に対し、本日、特定商取引法第22条の規定に基づき、次のとおり指示しました。
1 電話勧誘販売に係る役務提供契約の締結について、契約を締結しない旨の意思を表示した者に対し、当該役務提供契約の締結について勧誘し ないこと。(再勧誘の禁止)
2 電話勧誘販売に係る役務提供契約の締結について、迷惑を覚えさせるような仕方で勧誘しないこと。(迷惑勧誘の禁止)

1.株式会社アートコミュニケーション(以下「同社」という。)は、全国の図書館から氏名、住所、電話番号などの情報が記載された作品集を収集するなどして、そこから得た情報に基づき消費者宅に電話をかけ、同社が発行する書籍である「Mahoroba(まほろば)」、「Lifework(ライフワーク)」などへの俳句、短歌等の作品の有料掲載、あるいは、作品展における俳句、短歌等の有料展示サービスについて、電話勧誘販売(有料役務提供)を行 っていました。

2.認定した違反行為は以下のとおりです。
(1)同社は、消費者が「値段(書籍への掲載料)が高いので、できません。」と断っているにもかかわらず、「宣伝のために説明させてもらいます。」と言って話を続けたり、「(同社に対して一旦考えておくと伝えた後、断りたいと言う意味で)やめるから。」と申し入れをしたにもかかわらず、「入会すると言ったではないか。」と言って、申し入れを受け入れず勧誘を続けるなど、契約の締結をしない旨の意思を表示している消費者に対し、引き続き勧誘を行っていました。
(2)同社は、消費者が明確に断って電話を切った後に、ごく短い間に立て続けに4、5回もの電話をかけて勧誘を続けたり、あるいは、10日くらいの間にわたり、毎日のように消費者に対し電話をかけて勧誘を続けるなど、消費者が迷惑を覚えるような執ような勧誘を行っていました。

 だそうです。詳しい勧誘の状況は、消費者庁のニュースリリースをごらんください。
 根拠もろくに示さず、私のところに削除要求を送りつけてきたときから、ろくな会社ではないと思っていましたが、やっぱり、という感じです。
 ついでに、「批判的なことを書いた人に対して執拗に嫌がらせの書き込みを行った」も追加してほしいくらいですが、こちらは社員がやった証拠は今のところないし、消費者庁の管轄じゃないか^^;)。

 それにしても、何でウチのエントリーにしつこく馬鹿な内容を書き込んで、わざわざ目立つようなことをしたのかが謎です。私が書いた、アートコミュニケーションは寄付先を明らかにすべき、程度の主張はかなり穏やかなものです。問題の書き込み主が余計なことをしなければ、私が、アートコミュニケーションとの関連を探し出すこともなかったし、このエントリーを書くことも無かったし、消費者庁のリリースにたどり着くことも無かったわけです。ハンドル名の「余計なお世話」は本当に名は体をあらわしていますね。

 そうそう、「余計なお世話」さんは、業者に対する批判的な報道記事を引用する目的をはっきりさせろと文句言ってましたし、コピペはけしからんそうですし、このエントリーの目的も書いておかないといけませんね。
 「行政処分があった以上、アートコミュニケーションを取り上げるサイトも増えるかもしれません。また、以前からアートコミュニケーションのやり方に疑問を持って何か書いていた人もいるかもしれません。そういうところに対して、あなたが嫌がらせする、しかも、アートコミュニケーション関連の記事が気に入らないと明言せず、さも、他の記事の倫理的問題を指摘するような振りをして行うケースも増えることが予想されるので、あなたを特定できる情報を示した上で、他サイトの管理人さんにも情報提供しておくこと。ついでに情報も募集すること」がこのエントリーの目的です。どうです、詳しく説明したでしょ(笑)。

【追記】
庇護者と称するのが現れました。
リモートホストは 125.174.252.87
p2087-ipbf213aobadori.miyagi.ocn.ne.jp.
でした。
こうやってろくでもない内容を書き込む人が出てくれば出てくるほど、アートコミュニケーションの評判が巻き添えで下がりそうです。

悪徳商法注意

Posted on 6月 20th, 2011 in 倉庫 by apj

福島で悪質商法=「3千円で放射線測定」-不安に付け込む、注意呼び掛け

 福島県内で、原発事故による放射線への住民の不安感に付け込んだ悪質商法が現れた。被害は確認されていないものの、各自治体は注意を呼び掛けている。
 福島市によると、今月上旬、スーツ姿の2人組の男が市内の民家を訪問。「『コラッセふくしま』から来ました」と、県や市の出張所が入居するJR福島駅近くにある複合施設の名前を告げ、住民の60代の男性に「家の周りの放射能を3000円で測定する」と持ち掛けた。男性は不審に思い断ったが、同様の勧誘は同市のほか、隣接する伊達市でも報告されているという。
 福島市消費生活センターは「自治体から来たと勘違いさせる手口」と指摘、「行政機関が有料で放射線を検査することはない」と強調している。(2011/06/20-06:08)

 測定するだけなら悪質商法としてはまだマシな部類かもしれませんが、放射能対策と称してろくでもないグッズや馬鹿健食を売りつける人たちが後に続きそうです。

移転しました&運用方針

Posted on 6月 6th, 2011 in 倉庫 by apj

 勤務先の山形大学内に置いていた「事象の地平線」は、想定外の書き込みがあったために閉鎖となりました。
 ここの運営方針は、勤務先大学内(特に学生)からの投稿と思われるものは原則として削除するというものです。どうしても山形大学内から投稿したい方は、「山形大学に所属していることを全く連想させないハンドルネーム」を使用し「内部情報を書かない」というルールを守って下さい。つまり、教員と学生の関係が見ただけでは全くわからない状態であればよいということです。この場合に限り、一般の方のコメントと同じように普段の通りに扱います。私との職務関係が無い他大学であれば、大学名や学生であることを表明しても何の問題もありません。
 また、当面は、コメントとトラックバックは承認制にします。コメントの承認はできるだけゆるやかに、トラックバックは宣伝spamを全却下の方向でレギュレーションします。

 トップに出すために日付を未来にしていますが、気にしないで下さい。

架空なのは投資話だけじゃなくて

Posted on 5月 31st, 2011 in 倉庫 by apj

装置の方も十二分に架空だろうという投資詐欺の話。

http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20110531-OYT1T00783.htm

燃える水」出資募る…無登録容疑で社長ら逮捕

 「水を熱分解して燃やし、エネルギーを生み出す『燃える水』の機器を開発している」などと架空の投資話を持ちかけ、多額の出資金を集めたとして、千葉県警は31日、「エコシステム」(東京都墨田区江東橋)の社長、杉山良広容疑者(53)ら役員ら6人を金融商品取引法違反(無登録営業)の疑いで逮捕した。

 捜査関係者によると、杉山容疑者らは2009年頃、「100万円の元手が数年で500万円になる」などと、無許可で出資を募り、千葉県などの数人から1人につき数百万円、計約1000万円を集めた疑い。被害総額は約4億円に上るとみられる。杉山容疑者らはダイレクトメール発送や説明会開催のほか、実在する大学教授の名前を無断で使ったチラシなども作り、出資を募っていたという。

(2011年5月31日16時38分 読売新聞)

 水の熱分解に要したエネルギー、取り返せそうにありません。

 メモだけだと文句言う人がきたので追記します。

 水の熱分解ですと、たとえば、こんな研究があります。水の加熱のみではなく、酸化物ターゲットに水をあてての分解ですが、それでも2000℃になります。こんな加熱を、石油や電気で行っていたのでは、たとえ水素ができたとしても、エネルギーロスの方がずっと大きくなります。そこでこの研究では太陽エネルギー利用ということになったのでしょう。
 他にも、でかい反射鏡(鏡を組み合わせたパラボラアンテナのようなもの)を作り、太陽光を集めて加熱し、水を熱分解する装置が作られています。日本ではなくアメリカで(雨の降りにくい地方でないと実験にならないから日本では難しいだろう)、まだ実験段階ですが。
 つまり、水の熱分解は、持ち運びできるような装置ではできないし、投資の対象になる段階でもないということです。

 新聞記事では、どんな装置かわからないので突っ込みようがありませんが、この手の話を判断するには、エネルギーの評価が一番簡単です。
 熱分解が起きる温度が2000℃以上なら、水は液体ではなく水蒸気でしょう。水分子1モルを分解するのに必要なエネルギーは、285.83kJになります。水素と酸素を燃やして1モルの水ができる反応では、気体→液体の相変化分が差し引かれますから、237.13kJになります。つまりこれが、水を分解→再び燃やす、をやったときに取り出せるエネルギーということです。
 熱力学の第一、第二法則がありますので、何か装置を作って水を熱分解した場合は、エネルギーロスが生じますから、1モルあたり285.83kJ以上のエネルギーを必要とします。285.83kJは下限ですから、一体どれだけのエネルギーを使うのか、が、判断の際に注意すべきことになります。水1モルの分解のために何度を何分維持しなければならず、それにどれだけのエネルギーを消費する装置か、を見て、285.83kJとかけ離れていればいるほど、話は怪しいということになります。また、装置を作るために必要なコストを、できた水素を売ったとして回収できるか、ということも勘定にいれないといけませんね。

 なお、水を燃やします系の話は、かなり古典的な投資詐欺のパターンで、過去にも(確かアメリカだったか)類似の例があります。