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イタリアのサイトにRyanさん情報が

Posted on 10月 31st, 2011 in 倉庫 by apj

このサイトにRyanさんの情報が書かれているとのこと。イタリア語なのでそのうち解読したい。
http://medbunker.blogspot.com/2010/07/venghino-siori-venghino.html

悪徳商法、始めませんか?:「エア御用」は役に立つ

Posted on 10月 26th, 2011 in 倉庫 by apj

 手元に、効果のはっきりしない放射能対策サプリやグッズがあって、これからカモを集めていいお値段で売りつけることを決めたとしましょう。
 このような商売は、いずれ、消費者センター等でやり玉にあげられます。ですから、さっさと売り払ってそれなりに儲けたら店をたたんでばっくれる必要があります。その後は名前を変えてまた同じ事をする予定になっています。

 どんな人をターゲットにすると効率が良いでしょうか?

 放射能対策グッズを売りたいのですから、「放射能は危険」と思ってくれる人でないと買ってくれませんね。もちろん、客観的に見て放射能は危険ですが、その程度が重要です。実態よりも危険だと思ってくれる人ほど、商品を買ってくれるチャンスが増えそうです。
 科学的に妥当な判断をしてくれる人、は、むしろ邪魔になります。せっかく、放射能は危険だと思って商品に手が伸びかけてるのに、横から「いやそれそこまで危険じゃないから」などと本当のことを言われてしまうと、購買意欲もなくなるでしょう。
 このような人は相手にしてはいけません。何か言われても無視、スルーが一番です。

 さて、これまで、「原発は安全」を広めるのに一役も二役もかってきた「御用学者」が、事故のせいでやり玉に挙げられています。電力会社や関連団体からお金をもらってやっていたのであれば「御用学者」と呼ばれても仕方がないでしょう。そういった「御用学者」は、今後原発をどうやって続けるかとか、どうやって賠償逃れをするかとか、今後も研究費をもらうにはどうするかとか、そういうことに熱中していそうです。
 ところが、「御用学者」ではない(金をもらってない)のだけど、放射能はとんでもなく危険だと思い込みたい人とは主張を異にする研究者が居ます。そういう人たちは「エア御用」と呼ばれるようになっています。

 ここで、「エア御用」という呼び方に共感する人がどういう人か考えてみます。

 反原発の立場の学者は「エア御用」とされることは少ないようです。放射能がすさまじく危険だと煽る人も、エア御用にはされそうにありません。「エア御用」と呼ばれるには、まず、放射能の危険を冷静に受けとめる態度を示すことが必要のようです。
 次に、「エア御用」は「御用学者」ではない、ということです。御用学者であれば、金の流れとか参加してる審議会とか学会を見れば判断できますし、判定基準も立てられます。しかし、エア御用の判定基準には確たるものはなさそうです。つまり、証拠や、はっきりした判定基準がなくてもよく、自分の考える放射能の危険と違うことを言う、だけでも、相手をエア御用と呼ぶことはできそうです。

 この2点に注目すると、放射能悪徳商法のカモを探すのに使えそうです。
(1)放射能の危険を過大評価する人と親和性が高い
 そもそも、客観的な周囲の状況はさておいて、放射能は危険で今いる環境もやばいと思ってる人でないと、放射能対策サプリに高い金は払ってくれないでしょう。放射能の危険を冷静に考えるのがけしからんという人は、過大評価してくれる人の方に共感することが予想されます。
(2)自分の主観を大事にする人と親和性が高い
 証拠がなくても誰かを「エア御用」と呼べます。面倒な検証をせず主観だけで他人をそのように判断する人であれば、サプリの謳う効果に対しても多分そうしてくれることが期待されます。誇大広告しても、その人がイメージしている危険にさえよりそってあげれば、むしろ好感を持って商品を買ってくれそうです。

 ということで、誰かを「エア御用」と呼ぶことに共感している人のブログを訪れ、その主張に同意し、そのあとで「こんないいサプリが……」と誘導すると、効率良くセールスできそうです。というか私ならそうします。

 「エア御用」には、もう一つメリットがあります。インチキサプリを宣伝していると、当然、ツッコミが入るでしょう。でも、批判してくる人たちに「エア御用」のレッテルを貼ってしまえば、もともとそのレッテルで他人を評価しているカモ達に、批判が届くことはありません。「商品の効果効能に疑義をさしはさむのは、あなたの敵、エア御用である」を、セールスの時に忘れず言っておきましょう。必ずですよ。

 このように「エア御用」というレッテルは、インチキ商売のカモの抽出と批判封じの両方に、大変役立つと思われます。積極的に利用しましょう。

 あ、最後に一番大事なことを書いておきますね。
*********************よいこはまねしてはいけません!!!***********************

バズビーさん本人の回答

Posted on 10月 23rd, 2011 in 倉庫 by apj

 ツイッターで、今回の提訴予告について、バズビーさん本人に質問したところ、回答があったそうです。
https://twitter.com/#!/QEnergyTeleport/さんの、2011/10/23のツィートからです。20時以降くらいのツィートを見てください。

【2011/10/25追記】完全な内容が公開されました。

(1)http://www.twitlonger.com/show/dq8umf
(2)http://www.twitlonger.com/show/dq91fg
(3)http://www.twitlonger.com/show/dq93en
(4)http://www.twitlonger.com/show/dq949p

 以下は私がメモのためにまとめたものです。http://togetter.com/li/204297の後半の方にもっとまとめられています。

https://twitter.com/#!/QEnergyTeleport/status/128069988929118208

CBF-CHサイトで売っているデトックス粘土についてのBusby氏の回答:Radiatiomn detox clay: Nothing to do with me. Probably not effective, but its possible…..

https://twitter.com/#!/QEnergyTeleport/status/128070089961504769

Dr. Busby:…Some clays and zeolites do bind metal ions and so may reduce cesium. Not impossible. But nothing to do with me.

https://twitter.com/#!/QEnergyTeleport/status/128070479461351424

CBF-CF通販のデトックス粘土:バズビー氏は可能性は零ではないが、効かないだろうという意見。しかも自分とはまったく関係ないというコメント。

https://twitter.com/#!/QEnergyTeleport/status/128071866404438016

彼に今回の騒動を知っているか聞いてみました。御用学者訴訟予告についてのバズビー氏の回答:No. I know nothing about this case except that it is happening….

https://twitter.com/#!/QEnergyTeleport/status/128072321897472001

Dr. Busby:..I do not believe that the CBFCF is even a legal entity so whatever Mr Ryan does is done by him personally. …

https://twitter.com/#!/QEnergyTeleport/status/128072610520117249

Dr. Busby: I would like to see the legal writ translated into English…

https://twitter.com/#!/QEnergyTeleport/status/128072782289436672

Dr.:But good luck to him if he can bring down a few dishonest scientists even by threatening them, the publicity is good even if he loses. .

https://twitter.com/#!/QEnergyTeleport/status/128072848504922112

Dr.Busby:I am not an expert witness nor any part of this.

https://twitter.com/#!/QEnergyTeleport/status/128074568639324160

バスビー氏は訴訟騒ぎに関与してない模様。結局詳しいことは聞いておらず、裁判の証人にもならないし、全く関わるつもりはないらしい。CBF-CFがNPOとして正式な団体でもないだろうし、飽くまでRyan氏個人の訴えになるという予想を述べている。

https://twitter.com/#!/QEnergyTeleport/status/128078035994943488

バズビー氏はやはり無責任な極楽とんぼのようだ。御用学者訴訟をして彼らを黙らせられたら市民にとってもいいことだ、例えRyan氏が負けてもね、とのこと。こんなバズビー氏をRyan氏は信頼するのか。Ryan氏が社会的に傷ついても自分は構わないし、市民のためになるというドライさを感じる。

 これが相手の狙いなら、黙らずにこれまで通りの批判を続ける、というのが最適な対応といえるのではないでしょうか。人に言及せず、サプリメント販売やインチキ放射線防護についてのみ言及し続けるのであれば、たとえ訴訟になっても適格無しと判断されそうです。その前に、相手が裁判所に出てくるかどうかさえ疑問ですが。

 いずれにしても、口封じ訴訟を仕掛けた相手がその後どういう評価を受けるか、軽く見過ぎてるんじゃないですかね。自説を通すために他人を道具に使って訴訟をしかける人物が、同じ口で福島の子供達に、と主張しても、信用されないんじゃないですかね。

バズビー基金へ、二度目のメッセージ

Posted on 10月 22nd, 2011 in 倉庫 by apj

 一昨日から書いていた、バズビー基金の訴訟関連の記事もいい加減まとまったので、もう一回、問い合わせ欄から書き込みをしてきました。書き込んだのは以下の内容です。

二回目になりますね。
山形大学理学部物質生命化学科、准教授の天羽と申します。

まずは、私のブログ
http://www.cml-office.org/archive/?logid=564
をごらんください。

被告として名乗りを上げたことを公表しました。

既に、あなた方のおっしゃる、被告になる条件は満たされるはずです。が、足りないといけませんので、近日中に、プルトニウムもストロンチウムも飛ばないというもう少し詳しいエントリーを上げます。
http://www.cml-office.org/archive/
に追加していきます。

あなた方が、特定個人に嫌がらせをする目的で訴訟を考えたのか、それとも、ある主張が本当に社会的に問題だと考えて訴訟を考えたのかは、私を被告に加えるかどうかではっきりします。私を加えれば、あなた方の訴訟が社会的なものであるという証拠になります。

もし、私を被告に加えないで訴訟を行った場合は、私は被告応援団を組織し、あなた方が特定個人への嫌がらせで訴訟をしたと大々的に宣伝いたします。
誰にも訴状が来なかった場合も、やはり、あなた方の主張は口先だけであるという評価になるでしょう。

このメッセージを送ったことも、上記blogにて公開いたします。

対応をお待ちしています。いずれ法廷でお会いしましょう。
では失礼します。

 私の名前を被告に加えなかった場合は、バズビー基金を、特定個人への嫌がらせをする団体として批判する理由ができます。バズビー基金のサイトを見ていれば、どなたでもわかりますね。
 私が被告になれなかった場合でも、訴状が来たかどうかは、多分、情報をもらえると思います。ただ、訴状ができあがるとしたら、向こうが原告と被告を確定させてからになるはずなので、だいぶ先かもしれません。

 この件のツイッターのハッシュタグは、
#バズビー基金による提訴予告
です。

 ところで、バズビー基金の中の人についての情報です。日経バイオテクに記事があることを教えていただきました。
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2005/0560/  2008年2月15日
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2008/1658/ 2011年9月16日
 さらに「業界こぼれ話」というコーナーでも言及されていました。
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2007/6783/ 2011年2月3日

 有料記事ですが、来月末まで、登録後2週間だけお試しで無料です。

 上記3つの記事内容を箇条書きにしてみました。
(最初の分)
・日本のバイオベンチャーの会社「ステムセルサイエンス」を、オーストラリアのStem Cell Sciences(SCS)社とそーせいが合弁で設立(02/08)
・ステムセルサイエンス、再生医療事業に乗り出すが、資金繰りが悪化、全従業員を解雇し、事業事実上停止。機材購入の未払いの分が残っていたり、オフィス賃貸料が残っていたりする状態。
・Joseph Ryan氏を社長とするジェイ・アイ・ジー(JIG)(本社所沢)、一株1円でステムセルサイエンスの株式を取得、ステムセルサイエンスの経営権を握る。ステムサイエンスの事業再建継続すると主張。

(続報)
・ステムセルサイエンスの株式を1円で買い取ったA氏(記事中で実名は伏せられている)、知人に、上場予定がある、と株式とネット販売権を売る。
・上場もおこなわれず販売権も実現せず、その知人がA氏を提訴
・A氏、裁判で答弁まともにせず、代理人も出廷せず。1審はその知人勝訴。A氏控訴。高裁で争っている
・A氏は、事業停止した別の会社アルプラストの株式の過半数も取得。

(こぼれ話)
・「ある外国人投資家」が、再生医療ベンチャーのアルブラストの株式過半数を取得。
・アルブラストは自家培養角膜上皮の確認申請を通過させるも、2010年夏頃に経営難になった後、株式を買い取られた。

 事実上廃業してる会社の株を激安価格で取得し、これから再建して上場するからと称して他人に高額で売りつけるという詐欺商売に見えますね。

 経営難に陥ったバイオベンチャーの株式を買いたたいて転売で儲けるのがビジネスモデルだとして、バズビーの名前を掲げて何をするつもりなのか謎です。

 中の人がA氏だとすると、訴状くらいはくるかもしれないが、まともに争ってくる可能性は低そう。返金しなきゃならん訴訟でこの対応なら、金にならない訴訟の扱いがどうなるかは推して知るべし、といったところか。事件番号を知りたいな。A氏=Joseph Ryan氏かどうか、念のため確認したいのだけど。

 バズビー基金の訴訟の原告になることを希望してる人のブログ。
http://blogs.yahoo.co.jp/harunoashioto2010/13935275.html
 拡散希望だそうですから、被告希望の私が拡散してもいいでしょう。内容を見た限り、福島の子供達が心配と謳ってはいますが、ニセ癌治療のシンチモニーの宣伝から始まってたり、Seldon Technologiesの宣伝をしているいるところをみると、福島云々は隠れ蓑で、関係者の宣伝サイトの意味合いが強いように思います。

 さらに、元の提訴予告の文章ですが、
http://gorgui.blog40.fc2.com/blog-entry-485.html
のコピペだろうという指摘が出ています(https://twitter.com/#!/stratos1976/status/127961446289113088)。

順序と消し忘れ?の[、]の位置、防衛医科大学[校]の書き間違いが全く同じ。

だそうです。このような同じ間違いを2つ同時にするというのは、無いとは言いませんが希でしょう。

 Ryan氏関連の団体についての、もっと詳しい調査が公開されました。
バズビー基金に対する疑念が確信に変わる・・・
 訴訟するぞ、と言い出したのは、詐欺の疑念を持たれた後の話なんですが、それを逆にするという印象操作を行っていることが指摘されています。今の状況ですと、福島の子供達が、を持ち出しさえすれば「絶対善」の立場に立てますので、他人を騙したい人にとっても、掲げる文句としては都合が良いのでしょう。
 なお、この情報を公開したFEDisさんは、コメント欄にもありますように、被告として名乗りを上げられたようです。

 これで、例の訴訟の被告自薦は、知っている範囲では、私を入れて二人となりました。他にもいらっしゃいましたら名乗りを上げていただきたく思います。

 追記。所沢の住所はテナント募集中。ステムセルサイエンスはもぬけの殻の模様。
http://ameblo.jp/fedis/entry-11057206728.html

パフォーマンス:「御用学者発言撤回訴訟」

Posted on 10月 20th, 2011 in 倉庫 by apj

 バズビー基金(Christopher Busby Foundation for Children of Fukushima)が、「御用学者発言撤回訴訟」というエントリーを上げています。

 以下の内容は、2011/10/20の内容について書いています。すでに当該ページはWeb魚拓をとった方がいらっしゃるそうです。

 これを、私なりに読み解いてみます。(随時追記中)

今回、神奈川県より、ストロンチウムが検出された問題で、当会は、以下の方々に対し、『発言撤回及び公式謝罪要求訴訟』を行う事に致しました。

これは、以下の方々が、テレビや新聞・インターネットなどを通じて、公の場で、無責任な発言した為に、多くの方々が、避難できなかった事実を踏まえ、これらの発言の撤回及び公式謝罪要求の訴訟を行う事を決定いたしました。

 単に彼らが内輪で「決定」しただけです。何を決定してblogに書こうが彼らの勝手です。

 彼らが問題にしている発言は、

ご存じのように、彼らが、3月11日以後、

『メルトダウンはしない。』
『避難する必要性はない。』
『ストロンチウムは飛散しない。』

などの虚偽の発言をした為に、今後、多くの子供達が白血病や骨髄肉腫などを発病する可能性があります。
しかし、彼らは、反省をするどころか、更に、

『米の暫定基準値は500ベクレル。』
『水道水の暫定基準は300ベクレル。』

 だそうですが、誰がいつ発言した内容かは、全く特定されていません。すくなくともこの程度の内容では訴状は書けません。いつ、誰が、具体的に、どういう文脈で発言したか全て列挙してからでないと……。

彼らは、その事実を十分に知りながら、これらの発言を行っており、これは、殺人・傷害の未必の故意に総統すると当会は考えております。

そのため、これらのかれらの発言が間違いであったという事を、法廷の場において認めさせ、発言撤回をさせると同時に、謝罪をさえる為の訴訟を行います。

 この部分から、彼らに専門家(弁護士)がついていないか、ついていたとしてもまともに話し合ってはいないことが推測されます。
 殺人、傷害、未必の故意、といったことが出てくるのは刑事事件の場合です。本当にそういう事件なら、刑事事件として告訴(被害者なら)あるいは告発(第三者なら)すべきなのです。この場合、発言撤回や謝罪ではなく、刑事罰を求めていくことになりますし、彼らは原告にはなれません(起訴は検察官しかできない)。
 ところが、彼らは、謝罪のための訴訟を行う、と書いています。この部分から、刑事事件にする気が無いかできない、やるとしても民事を考えている、ということがわかります。
 民事であれば、不法行為で争うくらいしかなさそうです。その場合に主張すべきは権利侵害の内容であって、刑法の用語を使うというのは大変に座りが悪いです。専門家が居れば、こんなごっちゃにした内容のアピールは出さないのではないでしょうか。
 この部分を読んで、おそらく弁護士にも相談せずにアピールを出しちゃったのではないかと私は思いました。

同時に、これらの虚偽の発言を行った教授達を在席させている大学にも責任があると当会は考え、これらの大学も同時に訴訟をすることに致しました。

 大学だけが訴えられると、大学が勝手に和解したりしないようにするため、上記発言をした人が、訴訟参加する必要が出てくる可能性があります。彼らは、大学も同時に訴えると主張しているので、もし訴えられたとしても、訴訟参加の手間が生じることはないでしょう。

当会は、これらの訴訟の賛同者を募集致します。

募金や基金は必要ありません。

もし、子供達の将来を心配してくださる方がいらっしゃるのであれば、一人でも、多くの方に賛同していただき、連名にて訴訟を行っていただけますよう、心から、お願い致します。

 訴状を書くには、原告が決まらないといけません。現在、原告リストに名前を連ねてくれる人を探しているということは、まだ訴状すらできていないということです。エア訴訟に終わる可能性も十分あります。

 下手に募金を集めてしまうと会計処理が大変なので、募金無しという方針は有りでしょう(中西応援団の時は、代理人以外に事務局に弁護士が必要、ということでやめました)。それにしても弁護士費用をどこから捻出するのかが他人事ながら気になります。福島の子供達に、と謳って集めた寄付を訴訟費用に突っ込むということでしょうか。それで一体誰が救われるのかという気もします。
 まあ、バズビー基金の中の人が本人訴訟すれば、当面の費用は訴状に貼る印紙代と紙代だけで済みます。それでも被告が増えれば訴状や準備書面のコピーを全員に送らないといけないので、送料がバカにならなくなります。もっとも、こんな訴訟予告をするような法律の知識しか無いのでは、本人訴訟ったって書面が書けるのか心配になってきます。

 さて、現状では、被告予定者として名指しされた方々の主張は、「プルトニウムやストロンチウムは重いので遠くへ飛ばない。」、といったものだけです。これだけで、権利侵害を主張するのは相当無理があるだろうと思います。訴えたところで、原告適格がないとされて、却下される可能性もあります。この意味では、私は訴訟が面倒なことになるだろうという心配はしていません。

 注意しなければならないのは、相手の挑発に乗って、うっかり名誉毀損や侮辱にあたることを発言しないようにするということです。争う内容が「プルトニウムやストロンチウムは重いので遠くへ飛ばない。」だけならば、このことによって生じた被害を立証する責任は原告側にあります。しかし、名誉毀損の場合は、免責要件を満たすことの立証は被告がしなければならず、立証に失敗すると敗訴します。原告が「これだけ名誉を毀損されました」という立証をわざわざする必要が無い、というのが、名誉毀損訴訟の特徴です。つまり、被告になった場合にはそれだけ面倒で、勝つためのハードルも高くなるということです。

 どうか、リストに挙げられている方々は、バズビー基金への直接の揶揄などは極力書かないようにご注意ください。言葉尻だけでも名誉毀損訴訟を起こすことは可能です(勝てるかどうかは別ですが)。そして、法廷に引きずり出されると、それなりに手間も時間もかかります。「プルトニウムやストロンチウムは重いので遠くへ飛ばない。」、は今後も言っても大丈夫だと思います(訴訟対策という意味では、です。言い方も程度問題で、測定結果に矛盾するようなことまで言ってしまうと別の誤解を招きそう)。

 こういう場合、当事者になるのが一番情報を得られますので、先ほど、バズビー基金の問い合わせフォームから、実名、メールアドレス、所属を添えて「私もSrはさほど飛ばないと考えており、そのことを明言しましたし、大学で教えてたりしますので、被告に加えていただきたく思います。http://twilog.org/apj/date-111020の 21:36:32をご覧下さい」と書き込んでおきました。

同時に、他にも訴訟希望の御用学者がいましたら、ご連絡をお願い致します。

だそうですから、被告希望の自薦も当然「有り」ですよね。

 原告と被告の同時募集というのはさすがに初めて見ました。

 この件のツイッターのハッシュタグは、
#バズビー基金による提訴予告
です。

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 被告予定者に片瀬さんが入っているのが不自然だという指摘が黒猫亭さんからなされています。
バズビー基金の暴走を止めよう!」を見ますと、住所からは実体がよくわからない団体やバズビーさんの放射能除去サプリメントを売っている人が同じビルに居たり、と、いろいろと怪しいです。
 もしかしたら、本当の目標は、サプリ販売の邪魔をした(と向こうが勝手に認識した)野尻さんと片瀬さんなのかな、と思わないでもなかったり。

この日記をご覧下さり、ご賛同いただけるようでしたら、バズビー基金が

 怪しい(フィッシング詐欺の恐れがある)団体であるということ
 薬事法に抵触する商行為を行いながら、福島の子どもを守るなどという正義を装っていること

など、多くの方々や行政に対して情報を広げて頂きたいのです。

 向こうが訳の判らない訴訟を始める前に、現行法でサプリ販売にどこまで網をかけられるか、専門家と話し合って手を打った方がいいかもしれません。少なくともサプリの通信販売をしているのに、特商法に定められた表記がない、とはいえるようです。
 金儲けが本当の目的なら、販売の方に網がかかった時点で訴訟の意味がなくなるでしょうから。

 フィッシング云々が出てきたのは、多分これでしょう。http://blog.goo.ne.jp/harumi-s_2005/e/3eed4fb9f53f05b96f7d336023316bc2

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 バズビー基金についてこれまでにどんな批判がなされてきたかについては、
http://match.seesaa.jp/ot_listing.pl?k=%96Y%8Bp%82%A9%82%E7%82%CC%8BA%8A%D2+CBFCF&vs=&tid=seesaa_hotspot&hid=167&c=12&search=1&ic=shift-jis
の検索結果を参照のこと。

「バズビー基金 (CBFCF)」についての調べ物まとめ (9/18~28)も参考になる。

 こちらは怒濤の探索結果。
もしや、バズビー氏はお飾りか?
 電話番号やビルが重なりまくるところでいろんな種類の団体が入り乱れ、人もかぶってる模様。実体がはっきりしません。書かれた住所に何もなさそうだったり。これはむしろ、訴訟して呼び出して実体は何かと釈明させるしかなさそうなレベルです。それでも実体が判明するとは限りません。

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ツイッターのsyoyuriさんからの情報:
連絡先住所等が表記されていないなど特定商取引法違反の可能性がある通信販売業者(海外業者含む)については、経済産業省消費者相談室(もしくは各地方局の消費者相談室)http://www.no-trouble.go.jp/#top まで情報提供いただければと思います。

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サプリメントの効果について

ここに書かれていました(chochonmageさんご教示ありがとうございます)

我々は、カルシウムとマグネシウムを大量に補給することにより、ストロンチウム、ウランのDNAへの付着を防ぐことが出来ます

 このサプリをどんどん売るには、ストロンチウムはあまり飛ばないとかわずかだとか言われてしまうと困りますね。もっとも、ストロンチウムはカルシウムと置き換わって主に骨に溜まるはず(だからカルシウムの代謝のトレーサーとして使われた)なので、DNAへの付着ってのがよくわかりません。また、遠くまで飛ばないということで言及されていたのは、ストロンチウムよりもプルトニウムの方だったと認識してるので、なぜここでストロンチウムの話の方が例示されて強調されてるのかしら、とも思うのですが、接点は効果効能だけなのかしら。

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 本家に編集が加えられた場合の参照先。
御用学者発言撤回訴訟(魚拓)

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 バズビーさん本人は、野尻さんや片瀬さんを訴えるぞと当該サイトに書かれていることなど、知らないかもしれません。日本語は読み書きできないでしょうし。バズビーさんが無関係であったとしても、日本語で、相手を名指しして訴えるぞ、と書いて公表した人物、は存在するわけです。責任を問うべきは、その人物です。冗談でも、こんな内容は書くべきではありません。
 ストロンチウムが微妙に強調されているところを見ると、今回の訴訟予告は、反原発とは関係が無くて、サプリの販売の邪魔になりそうな意見を言わせないようにしたい、という意味なのかなあ、と思いました。
 商売だとしても、今の状況で炎上マーケティングをやって得するとも思えないので、相手の意図が読めません。今回の訴訟予告から引き出せることは、「反原発や脱原発はおかしい」ではなくて「特商法違反して商売する奴はやっぱりおかしい」になるのかなあ、と思いつつ、様子を見ています。

ネット通販の場合に守るべき事(経済産業省)
代表者の名前が抜けている証拠(魚拓)。

******* 注意喚起 ***********
原告になりたいと希望する方へ

 バズビー基金のサイトの「お問い合わせ」をクリックすると、氏名、会社名、住所、Fax、電話番号、メールアドレスを聞かれます。住所と電話番号はなくても問い合わせできますが、メールアドレスは入力しないと問い合わせができませんでした。
 うかつに個人情報を入力すると、後から、バズビーサプリの案内が届くかもしれません。
 訴訟する場合、原告は、住所氏名を訴状に書きます。弁護士が居る場合でも書かなければなりません。原告になると、バズビー基金に、本名と住所氏名の情報を知られることになります。
 原告になる前に、一度立ち止まって、このことを考慮なさった方がよろしいかと思います。

※バズビー基金の関係者へ
 訴状の送達ですが、私も被告に加える気になった場合は、とりあえず職場宛に送って下さい。エア訴訟になるかどうかわからない状態で、住所を教えるつもりはありませんので。

※ご連絡:被告候補にも名乗りを上げて、訴訟予告そのものをここでもツイッターでもネタにしますので、可能性は低いでしょうが本当に私が被告にされることもあり得ます。このため、質問やコメント等に答えないこともありますので(答えると事前に相手に情報を与えることになる)ご了承ください。

昔流行ったラジウム水

Posted on 10月 14th, 2011 in 倉庫 by apj

 世田谷のラジウム夜光塗料のせいで騒動になっているが、前世紀の前半、ラジウムは健康グッズだった。
Quack! Tales of Medical Flaud from the Museum of Questionable Medical Devices より、水関連グッズの宣伝。

 ラジウム水を飲むと健康に良いと思われていたらしい。健康と若さを保つ秘訣、みたいな扱い。
!!$img1!!

 こちらは、ご家庭用ラジウム水サーバー。

!!$img2!!

!!$img3!!

 何か、見た目が、今時のアルカリイオン水サーバーと変わらないんですが。

 もちろん、ラジウムの摂取は、内部被曝による放射線障害の原因になるし、重金属中毒にかかるおそれもある。ラジウムサプリメントでは死人も出ている。名前だけラジウムのブーム便乗詐欺商品の方がむしろ安全で、真面目な業者がしっかりラジウムを入れた場合は「わりと早めに健康に影響する(悪い方に)」グッズだった。

講義メモ:キトサン

Posted on 10月 6th, 2011 in 倉庫 by apj

 47Newsの記事より。

出版社元社長ら5人逮捕 「がんに効く」と宣伝容疑

 「がんに効く」と本で宣伝して健康食品を無許可販売したとして、神奈川県警は6日、薬事法違反の疑いで、東京都新宿区の出版社「現代書林」の元社長武谷紘之容疑者(72)=長野県軽井沢町=と、東京都八王子市の健康食品販売会社「キトサンコーワ」社長国安春子容疑者(65)=八王子市=ら5人を逮捕した。

 逮捕容疑は、5人は共謀して2009~10年に「医師・研究者が認めた私がすすめる『水溶性キトサン』」と題した本を発行し、6カ所に送って未承認医薬品の健康食品「キトサンコーワ」を広告。

2011/10/06 11:58 【共同通信】

 体験談を載せたいわゆる「バイブル本」で宣伝したということらしい。現物を売った側は薬事法違反か……。本の監修者や著者にも網をかけたいところ……と思ったら網かかってました。

 asahi.comより

「がん消えた」本に効能、食品販売容疑 65歳社長逮捕

 医師の証言や患者の体験談を紹介した本で「がんが消えた」などと効能をうたい、健康食品を販売したとして、神奈川県警は6日、健康食品販売会社「キトサンコーワ」(東京都八王子市)社長の国安春子容疑者(65)を薬事法違反(医薬品の無許可販売)などの容疑で逮捕した。

 また、この本を発行した出版社「現代書林」(東京都新宿区)元社長の武谷紘之容疑者(72)や、著者のフリーライター石田義孝容疑者(54)ら計4人も同幇助(ほうじょ)容疑などで逮捕した。

 石田容疑者はおおむね容疑を認め、ほかの4人は否認しているという。

 しかし監修者がどうなったかはこの記事でもわからないなぁ。

【追記2011/10/18】
 asahi.comの記事より

健康食品の本監修した元医師を書類送検 薬事法違反容疑
 「がんが消えた」などと本で効能をうたい、健康食品「キトサンコーワ」を販売したとされる薬事法違反事件で、神奈川県警は18日、本を監修した鹿児島市内の元医師の男(63)を薬事法違反(承認前医薬品の広告)容疑で横浜地検に書類送検し、発表した。

 元医師は「広告や宣伝にあたることは知っていた」と話しているという。

 元医師は今年6月、朝日新聞の取材に、「知人に頼まれて名前を貸しただけで、本の内容は一切知らない」などと否定していた。

 監修者は書類送検になったようです。

【2011/10/28】
 日本経済新聞の記事より。

薬事法違反で社長ら3人起訴 がん効能本巡り横浜地検
2011/10/27 11:24

 横浜地検は26日、未承認医薬品の健康食品を「がんに効く」と本で広告するなどしたとして、薬事法違反の罪で東京都八王子市の健康食品販売会社「キトサンコーワ」社長、国安春子容疑者(65)と東京都新宿区の出版社「現代書林」元社長、武谷紘之容疑者(72)ら3人を起訴。同罪で法人としての両社も起訴した。

 また本を執筆し、薬事法違反容疑で逮捕された千葉県市川市のフリーライターの男性(54)や、本を監修し同法違反容疑で書類送検された鹿児島市の医師(63)ら3人は不起訴にした。〔共同〕

 監修者不起訴ですか。公判維持は難しい?

日弁連より原発事故被災者の方へ

Posted on 9月 16th, 2011 in 倉庫 by apj

 原発事故被災者の方への損害賠償支払について、東電が書類を作って送っているようですが、法的には(それ以外にも)問題のある書類です。早く支払ってもらいたい気持ちはわかりますが、どうか、素人判断で安易に記入しないでください。
 日弁連の会長から声明が出ています。

http://www.nichibenren.or.jp/activity/document/statement/year/2011/110916.html

 既に、森まさこ参議院議員も違法である部分があると指摘したようです。今後いろいろな対応が行われる可能性もあります。

 日弁連による被害者支援情報です。

http://www.nichibenren.or.jp/activity/human/higashinihon_daishinsai.html#adr

 なかほどの、「原子力損害賠償紛争解決センターについて」を見てください。

上記の東京電力への直接請求以外に、9月1日から「原子力損害賠償紛争解決センター」という第三者機関が申立て受付を開始しています。ここでは、公正・中立な立場の仲介委員(弁護士)が東京電力と被害者の間に入り、和解の仲介を行います。

 もっと親切で、かつ、東電に都合のよい条件をのまされたりしないで済む手続き方法があるということです!

実名匿名論争ではなく、送達可能性に一本化しては

Posted on 9月 6th, 2011 in 倉庫 by apj

 ツイッターで発言した話題に関連するのだけど、ネット上の発言については、そろそろ「実名・匿名」論争はやめて、「(訴状の)送達可能性」の議論に一本化した方が良いのではないかという提案(法律用語に「送達可能性」というのは無いので、ここで使っても大丈夫だろう)。

 ネット上の実名匿名論争は昔からあって、実名だから信頼できるとは限らないとか逆にひどい発言も出てくるといった指摘も行われてきた。また、誰が発言したかではなく内容で判断、という基準も立てうる。一方で、新聞記事でも全てが署名入りではないということもある。実名っぽいペンネームはどうなんだといった話もある。これまでいろいろな論争を見てきたけど、同じ事の繰り返しで、実名か匿名のどちらが是か、という問いの立て方では議論が収束することは無いのではないか。

 実名と匿名の最大の違いは、相手の発言によって権利侵害された場合にいかに低いハードルで法的措置をとれるか、という部分にある。

 相手がマスコミなら、出所のはっきりしない情報に基づく筆者不明の記事でも、公開されて権利侵害が生じた時点で、公開した人(つまり会社)を訴えて損害を金銭に換えて請求する、というのが最終的な問題解決の手段となる。新聞社や出版社なら代表取締役を宛名にして訴状を書けばいいし、もし、書いた人までわかっているなら、その人も被告に加えることができるだろう。この場合は、ただちに、内容が権利侵害か否か、侵害してるとすれば損害はいくらか、という「内容の審理」に入ることができる。しかも、名誉毀損等の不法行為を理由として提訴する場合、管轄の裁判所は原告の住所地で良いことになっているので、遠く離れた相手であっても住居に近い裁判所で審理してもらうことができる。
 これが、ネットの匿名が相手だとどうなるか。
 相手のIPアドレスがわかっているなら、プロバイダを特定した後、発信者情報開示請求の訴えを起こし、相手を特定した後で、「内容の審理」のために訴えることになる。ただ、相手のIPアドレスが分かっているというのは、被害者が管理する掲示板やブログのコメントなどに直接書き込まれたという、むしろ幸運な場合である。
 プロバイダとは直接関係のない掲示板に書き込まれた場合は、掲示板管理者に書き込んだ人のIPアドレスの開示を求め、IPからプロバイダを突き止め、プロバイダを訴え、書いた人を訴える、と、余分な手間がさらに増える。
 書き込みが匿名串からのものであった場合、掲示板から向こうがたどれない場合もある。また、手順を踏んでいる間にプロバイダのログの保存期間を過ぎてしまったら、開示せよの判決をもらったとしても開示が不可能ということも起こりうる。そうすると、そこから先の追跡が不可能になる。そうならないようにするには、プロバイダがわかり次第、ログを消すな、という仮処分の申請を裁判所に突っ込んでおくしかないが、それでも確実とはいえない。
 しかも、相手がプロバイダで発信者情報開示請求、となると、不法行為ではないので、被告の住所地つまりプロバイダの本店所在地(登記上の)の裁判所で訴えることになる。プロバイダが東京で被害者が地方在住だと、往復の旅費と時間の負担だけでもかなり増えることになる。こんなことになったら、地方在住の素人にとっては、東京という見知らぬ土地で頼りになる弁護士を見つけることも容易ではないし、みつけたとしてもその分だけ余分に費用がかかる。

 つまり、ネットの匿名発言の問題点は、匿名の情報発信によって被害が発生した場合に「内容の審理」に入るまでに被害者が払わなければならない手間とコストが、相手がマスコミ等の場合に比べて著しく高い、ということにある。このことが、事実上、救済の道を多くの場合において閉ざしているように思う。匿名の影にかくれて、などと言うと、匿名でもまともな発言があるし実名でもアレな発言がある、と反論されてしまう。しかし、発言姿勢を問題にするのではなく、権利侵害が起きた後の手間の話に限ってしまえば、「加害者特定までのハードルに大きな差があって匿名さんが不当にこの差を利用する結果になっている」のは、訴訟制度が作り出している事実であって例外はない。

 三浦 和義「弁護士いらず 本人訴訟必勝マニュアル」という本には、マスコミ相手の名誉毀損訴訟がたくさん書かれている。これも、相手がマスコミだから訴状の数を撃てたのであって、相手がネットの匿名さんだったら、これだけの数の訴訟をするのは無理だったのではないだろうか。

 実名匿名論争を繰り返すのではなくて、訴状の送達の難易度を、相手がマスコミであった場合と同程度にネット上の匿名さんに対しても引き下げる仕組みをどうやって作るか、ということを考えた方が良いのではないか。私にも具体的な案は直ぐには思いつかないが、このことに絞れば、考えてくれる法律家が居るのではないかと期待している。

追記;
 少し考えたのだけど、手続き上の手間という観点で見た場合、実名と匿名の区分けは、日常生活における区分けと異なっていると考えると整理しやすいのではないか。

 日常生活でいうところの実名を、まず「強い実名」と「弱い実名」に分けることにする。
 「強い実名」とは、実名さんによって権利を侵害された場合、他の訴訟と変わらない手間で「内容の審理」に入れるものをいう。たとえば、マスコミは全てここに入るだろう。匿名記者による記事でも、法的責任を負う相手がはっきりしている場合はここに入れることになる。
 「弱い実名」は、情報発信自体は実社会における実名あるいは実社会で認められているペンネームで行われているが、法的責任の追求に際して、プロバイダに対する発信者情報開示請求が必要となりうるものをいう。本名を名乗っていても、本人だけが編集できるサイトならともかく、他所の掲示板への書き込みだと、他人がなりすましている場合もあるし、書いたことについて本人が嘘をついたりしらを切ったりすることもある。そうすると、IP→開示請求→本人特定、の証拠をつきつけないと、「内容の審理」がはじまらない。また、そうしない限り送達先住所がわからない場合もある。本名で情報発信した場合、強い実名になるか弱い実名になるかは、どこのサイトに書き込んだかにも依存する。
 「匿名」は日常生活でいう匿名と同じとしてよいだろう。実生活では使わないハンドル名もここに含まれる。

 手続き上の手間を考えた場合、日常生活でいうところの実名・匿名の線引きではなくて、強い実名と、弱い実名・匿名、で線引きする方が、現状の実態には合っている。こう考えると、日常生活の意味での実名匿名の区別というのは、ネットではあまり重要ではないし、線を引くのもそこではなくなってくる。むしろ、「実名(ネット)」=強い実名、「匿名(ネット)」=弱い実名・匿名、の方がすっきりする。被害者救済の制度設計の内容として、「匿名(ネット)」への送達可能性のハードルを、「強い実名」並みに下げるということが実現すれば、実用上はそれで十分なのではないか。

血液型性格診断(講義資料)

Posted on 8月 22nd, 2011 in 倉庫 by apj

 asahi.comより

科学的根拠ないのに…シューカツで企業が血液型質問
 シューカツで血液型を聞かれたらどうする? 就職活動で不況と東日本大震災のダブルパンチにあえぐ学生が悩んでいる。専門家は血液型による性格判断に科学的根拠はなく、面接で聞くことは差別につながりかねないと警告している。

 中部地方の女子学生(21)は面接で血液型を聞かれて戸惑った。B型だが、かつて「マイペースで就活に不利な血液型だ」と言われ、気にかかっていたからだ。正直に答えたが、その会社は落ちた。

 筆記も不調だったので、血液型が原因でないとは思う。しかし、被災地での態度が問題となり、7月に辞任した松本龍・前復興担当大臣が「B型だから」と言い訳していたのを見て、「B型の印象が悪くなる」とため息が出た。

 男子大学院生(24)はメーカー系の面接で「君はA型ですか」と聞かれた。まじめな性格と言いたいのだろうと解釈し、「はい」と答えた。「当たったからいいが、もし違ったら対応に困ったと思う」という。

 エントリーシートに記入させる企業もある。東日本にあるサービス業の採用担当者は「あくまで参考程度の質問」「特定の血液型を排除しているわけではない」としたうえで、「入社後に細かい作業をする部署もあるので、配置を考える上でも血液型を把握しておきたい」と説明する。

 一方、ニセ科学に詳しい菊池誠・大阪大サイバーメディアセンター教授(物理学)は「いまだにそんな会社があるんですねえ」とあきれる。菊池教授によると、性格と血液型の関連性は見つかっておらず、「現代の迷信」という。「そもそも、自分の努力で変えられないことを就職の面接で聞くのはおかしい。企業側に自覚がなさすぎる」

 日本労働弁護団の常任幹事を務める中野麻美弁護士は「仕事への適応能力をみる採用の場で、職務との関連性がない血液型の情報を求めるのは不合理だ。プライバシーを侵害し、いわれのない差別にあたるおそれがある」と話している。(岩波精)

 自分は遊びとわかってるからいい、と放置して、社会に蔓延すると、不利益を受けるという例。いずれ講義で紹介の予定。