postheadericon アクチュアル民事の訴訟

 「アクチュアル民事の訴訟」福永有利・井上治典著(有斐閣) 4-641-13397-2
医療過誤訴訟を題材に、提訴→争点整理手続→尋問→控訴→和解、というストーリーで、民事訴訟の流れを解説した一般向けの本。巻末に簡単な演習問題付き。

(2)裁判の公開(傍聴)の意味
(略)
 本件に即していえば……尋問する代理人に答えて裁判所に向かって陳述するだけでは、拡がりがない。……互いの尋問に同席したり……、さらにこれから同種の事件について医療過誤訴訟を起こそうとしている者などが傍聴することにより、その場で互いに相手の様子を認識し、影響を与えあって、その後の訴訟内外の行動を考え、選択する材料、指針にしていくことができる。このように、公開には本来、「紛争ネットワーク活性化」という実践的な意味があることを、今改めて認識しなければならない。(p58-59)

 中西応援団はまさにこれをやっていたんだな、と改めて思ったところ。

書証の「認否」というのは、文書が作成者とされている人によって作られたかどうかであって、気開かれている内容の真否とは関係がない。また訴訟では、その文書を誰が作成したかについて特に疑いがなくても一応争っておくということがよく行われる。(p65)

 訴訟独自のやり方なのでメモ。
p.102より。「陳述書」について。訴訟法には規定無し。書証としては慣行化されている。実態は代理人弁護士の指示で作ったりするので、代理人との合作文書である。
 民訴249条3項。単独裁判官の交代あるいは合議体の過半数の交代のとき、証人尋問については当事者からの申出があればやりおさなければならないが、当事者尋問については判例ではやりなおしができない、との説明がある(p.138)。←なぜそうなったか要確認。

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