postheadericon 入門リーガルライティング(その2)

 37ページ。法律要件分類説。実定法を「権利根拠規定」「権利障害規定」「権利消滅規定」の3つに区分する。
 55ページ。「したがって」「よって」の使い方。

「したがって」「よって」というのは、最終的な結論を指示することばである。このことばが出てくる前には、結論に至る分析と事実へのルールの当てはめがすでになされていなければならない。また、このことばに後続するのは「結論」であって、しかも前段との関係が密接でなければならない。

 日常の文章でも技術系の文章でも、この部分は結構曖昧だが、法律文書は結構厳密ということらしい。
 121ページ。「破棄判決の理由を詳細に検討すると、ある法律問題についての限界が浮かび上がることがあるから、破棄判決は、伝統的に判例研究の重要な資料となってきたことも指摘しておきたい」。裁判所の判断を調べるのに、破棄判決が大事だとは意識してなかったのでちょっと目から鱗である。

 この本は、弁護士の業務が、訴訟以外に意見書やら通知書やら契約書やらを作ることであるのをふまえ、法科大学院の学生向けに、どういう注意をして文書を作ればいいかについて書かれている。ところで、弁護士の使い方については、一般に出回っている情報が少ないように思う。地方公共団体が提供している無料法律相談や、弁護士事務所での有料法律相談というものがあることは誰でも知っていて、何がしかのアドバイスが受けられるというイメージはあっても、具体的なサービスの内容までを知っている人は少ないのではないか。それ以前に、相談できる弁護士を探すという段階が、既に一般の人にとっては敷居が高かったりするわけで……。
 ということで、この本は、「弁護士から受けられるサービスには具体的にどんなものがあるか」を知るためのガイドブックとして活用するならば、一般人にとっても有用な本であるといえる。

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