postheadericon 入門リーガルライティング(その1)

「入門リーガルライティング ー法科大学院テキストー」坂本正光編(有信堂)4-8420-4509-4
 ちょっと気合い入れてそっち方面の文書を書かなきゃならなくなりそうなので、この際きちんと考えようということで、毎晩ちょっとずつ読んでいる。
 (自分トコの学生には「知的な科学・技術文章の徹底演習」塚本真也著(コロナ社)4339077844を、本多勝一の「日本語の作文技術」とセットで読むように薦めていたりする。)
 分野が違うとこうも文章作法まで違ってくるのかという意味で面白い。さらに、ところどころに書かれる法律に関する一般的な記述が、専門外の私には興味深い。どちらも、「学校の作文」で書かされがちな情緒的な文章とは正反対に位置する。
 弁護士事務所がクソでかくなったせいで知らないうちに事務所内で敵味方に分かれるケースが出てくる、ってな話は何だかなあ、と。アメリカじゃ巨大ローファームが珍しくないからマジで起きることがあるらしいが……。
 31ページの記述。

 民事上の紛争はすべて、権利と義務の関係として把握される。そして、権利と義務は、法律に定める一定の要件が備わった場合に、発生すると考えることになっている。情誼や主観的な感情などは、排除されなければならないというのが、わが国の法律の根底にある発想で、これは「近代法」と呼ばれているものに共通である。法律実務家は、例外なくこのような思考をしているから、権利と義務の要件と効果をペアにして、常に、考えることになる。

 学部時代の教養で受講した法学でも、最近になってはまっている民法の基本書でも、この内容を知ることができたが、あらためてこうすっきりと書かれると何となく見通しが良くなった気分である。

 「近代」とは何かということを少し考えてみたいのだが、実務に近い本よりは、法哲学の領分のようだ。手元に何冊かあるので、そのうちきちんと読み返してみる予定。高校の社会科では……習ったかもしれないが、当時はあまり意識しなかったらしく、記憶から抜けている。

 しかし、お堅い本のはずなのに、まえがきの「本テキストには類書にないことがチョーたくさん書いてあるはずで」って砕けっぷりはどうかと思うぞ^^;)。

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