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近畿大の鮪

Posted on 11月 13th, 2008 in 倉庫 by apj

 近畿大で溶液化学シンポジウムに参加。
 懇親会も今日なのだが、去年の予告通り、近畿大学が養殖した鮪の刺身が出た。卵からふ化させて養殖している。今朝養殖場から届いたとかで、始まった時にはすでに解体されていたが、頭と尾も飾ってあった。珍しいので、尾や頭を触りまくって遊んでいたら、手がすっかり生臭くなってしまった。

「科学では解明でき(てい)ないこともある」に慎重になってほしい

Posted on 11月 11th, 2008 in 倉庫 by apj

 日曜日のニセ科学フォーラムで田崎さんの話をきいて、今日、共通教育で学生にも話をして、さらにこのへんのコメントを見て。
 「科学では解明でき(てい)ないこともある」という主張をすることについて、慎重でなくてはならないのではないか。
 
 文字通りに読めば、単なる事実を述べたに過ぎない。およそほとんどの科学者も科学者でない人も同意するに違いない。問題は同意の中身に大きな違いがあるということである。違いの一方の端あたりで、この主張はしばしば、トンデモな説や明らかに間違った説を主張する人達が使っている。このため、不用意に「科学では解明でき(てい)ないこともある」を主題にして議論すると、斜め上の方向に利用される可能性が高い。
 『「科学では解明でき(てい)ないこともある」は、あなたにとって都合が良いが科学とは相容れない何かについて正当性を持たせるためには利用できません』と、但し書きを付けるくらいでちょうどよいのではなかろうか。あるいは、『「科学では説明でき(てい)ないこともある」けどあなたの主張は科学自体を広範囲に否定するものだから、説明できないってレベルじゃないし』というのでもかまわない。

 既存の科学を根拠無しに否定する内容が、「科学では解明でき(てい)ないこともある」というごまかしを使って、既存の科学と併存することが許されるかのようなフリをしているのであれば、やっぱり面と向かって違うと言うしかないだろうし。たとえば水伝とか。

ニセ科学フォーラム

Posted on 11月 9th, 2008 in 倉庫 by apj

 学習院大学で開催されたニセ科学フォーラムに行ってきた。今回は講演仕事が降ってこなかったのでのんびり他の人の発表をきかせてもらった。一応実行委員になっているので、最後の質疑応答の開始の時に、5分ほどもらって近況報告。
 田崎さんの、理科教育で教えられる科学観についての問題提起は参考になった。

 久しぶりに小内先生にもお会いできた。朝バナナダイエットで太っちゃった患者さんの話には,気の毒と思いつつも笑ってしまった。酵素云々は別にしても、朝バナナ1本食べるだけで昼と夜はこれまで通りなら1日の摂取カロリーが減るから痩せる……はずが、朝バナナを5本食べて、バナナでダイエットできるのだからと安心して昼と夜もここぞとばかりに食べたら太った……ってそりゃそうだろう。
 
 その後、懇親会に出席。

 日本医大の太田成男教授が参加なさってて、懇親会始まった直後から直談判になった。水ヲチ板の方は見ていないが、水素水をどう考えているのかと訊かれた(ウチのサイトで批判しているという話くらいは伝わっていた模様)。
 研究途中の論文を使って、健康にいいというイメージで水素水を売る業者が続出しているので何とかしてほしい、と言ってみた。そうしたら、「業者のそういった宣伝を防ぐのは無理」という返事だった。それで、動物実験の段階だからまだ健康グッズとして売るようなものではないことを、先生のホームページではっきり言ってください、と頼んだ。
 太田教授は、あまりにヒドイ水素水宣伝には内容証明でクレームを送ったり、「実験医学」という雑誌に、その手の宣伝と研究は関係ないと書いたりしているということだった。これは、私も今日ご本人から聞いて初めて知った。しかし、太田教授がそのような対応をとっていることは、ネット検索でも出てこないために、今のままではわけわからん業者の宣伝を容認しているように見えてしまっていることも確かである。また、今、健康への効果を信じて水素水を買う人は、きっと、朝バナナダイエットに飛びついたり、納豆ダイエットにとびついたりするような人と重なっているはずで、そういう人が「実験医学」を読んで正しく判断するということは、およそ想像しがたい。
 動物実験の結果がそのままヒトに使えないことは当たり前だし、研究段階の医学をどう使うかは説明するまでもない、というのが太田教授の認識のようであった。しかし、今日の講演で小内先生が指摘したように、試験管内の実験や動物実験だけでヒトに効果があるように装う健康・ダイエットグッズはニセ科学の定番である。つまり、太田教授の考えている常識は正しいし、私も同意するのだけど、健康グッズに振り回される人達とそこにつけ込もうとする業者には、全く共有されていない。
 水素水研究の本家から、健康グッズとして水素水を売りまくって良い状態ではないのでもうちょっと研究が進むのを待つように、という情報を発信してもらうだけでも、随分違うはずである。そのへんのことを伝えてみた。ウェブで書いても効果があるの?と、なかなか理解してもらえなかったのだけど……。
 確かに、ウェブで書いたって悪意のある業者を止めることはできない。しかし、きちんと説明責任を果たしていたかどうかは、後から研究者の評価に効いてくる。本当に使える治療法を開発しているのに、インチキ業者に荷担したと思われたのでは、研究者にとっても良いことではない。もし、研究の段階がどのあたりでエビデンスとしてはどう扱うべきか、ということが、研究者本人からわかりやすく提示されたならば、水素水の議論が出てきたときに、その文書を示してそこから説明できる。誰でも引用できるようになっていれば、情報を知った人が次々に伝えていったり、個別に相談された時に解説したりといった形で、正しい情報が広まる足場になるはずである。
 仮に私が太田教授と同じ立場になったら、論文が新聞記事になったら、ほぼ同時にblogでも研究室webサイトででも、ヒトの健康にいいという宣伝の根拠になるようなものではない、と釘を刺すと思う。しかし、ご自身でクレームを出す状態になっていても、ウェブ書いて効果があるのかと疑問を持っておられたことから、太田教授は、ネットでの情報発信や情報の伝達については不慣れというか十分な実感を持っておられないのかな、という印象を受けた。

で、ちょいと私信。温泉カワセミさん、一緒に議論ありがとうございました。

来年のダイアリー

Posted on 11月 8th, 2008 in 倉庫 by apj

 職場で使うデスクダイアリーとして、「能率ダイアリー ベルノB5バーチカル」を購入。
 ついでに、NOTE&DIARY Style Book vol.3も購入。こちらは、手帳とノートを紹介したムック本。

 普段のスケジュールは、iCalとPalmでやってるから、仕事の方で込み入った情報をメモするのに、デスクダイアリーを用意した。
 昔は、日付入りの「当用日記」をプライベートに使っていたのだけど、今はプライベートな日記はパソコンに向かってDiary++Xを使って書くから、手書きしなくなった。
 女性手帳という名の家計簿兼用型手帳を支出の記録として使っていたこともあったが、購入したものの記録もパソコンで管理するようになって、紙媒体からは撤退。

 手書きメモ帳としてはMOLESKINのハードカバーポケットタイプの方眼のものを使っている。こちらは、ほとんどが訴訟記録と、何か購入したときの振込の記録になっている。本格的に使い始めたのが、中西応援団をやってた時に傍聴席でひたすらメモをとるのに使いやすかったというのがきっかけで、その後も、主に裁判所で使っている。

 ムック本を見ていると、アイデアを書き留めるという使い方をしているのが紹介されていた。私の場合、アイデアは手帳じゃなくて実験ノートに書くものになってるから、手帳で代用するスタイルにはなりそうにない。

「元素周期」買った

Posted on 11月 7th, 2008 in 倉庫 by apj

 既にあちこちで話題になっているけど、「元素周期 萌えて覚える化学の基本」スタジオハートデラックス・満田深雪(PHP研究所、978-4-569-70278-0)を生協で購入。昨日見た時は2冊入荷していたけど、今日の昼行ってみたら1冊になっていた。

 実は、と学会の会員番号は原子番号に対応づけられている。私は110番なので「ダームスタチウム」だから、名乗る時は「110番 ダームスタチウム天羽です」となる。なお、入会を誘われた時の、某会員の方からの言葉は「元素記号欲しいと思いませんか?」だった。どうもこの本、会員必携の書に見える。

 しかし、バナジウムの利用例が「バナジウムウォーター」だってのはどんなもんかと……。
リンだとマッチ、アルミニウムだと1円玉、とか、他のはまあ怪しくはないのに。

何が必要になるかわからないよ

Posted on 11月 5th, 2008 in 倉庫 by apj

 先週、共通教育の内容へのコメントとして、学生さんから「学部でやる専門と違う内容なので、勉強して将来役立つことがあるでしょうか?」というのをもらった。多分、全国各地でそう思っている学生さんはたくさんいるんじゃないか。それで、年長者としてちょっとだけ説得を試みた。

 けちなことを言わずに、何でも勉強した方が良いよ。
 私の経験からすると、「勉強してなかったことが必要になる」ことの連続だった(でも、きっと、勉強して知っている知識を使う時は、それと意識しないで使うから印象に残らないのだろうね)。
 紆余曲折を言うと……物理出身なのに就職先は化学になった。趣味で触ったコンピュータは、卒業研究や修士の研究で実験装置の制御プログラムを組むのに役だった後、博士課程の間のバイトに役立ち、その後数年、職が無かった期間、食べていくための手段になった。航空機の制御やら航空管制のしくみが内容の、「航空電子工学」なんてものを高専で教えたこともある。これは電磁気学や、物理の実験で出会った簡単な制御理論の知識を動員してこなした。
 その後、水のニセ科学批判をやったら、いろいろ揉めることになって、これまでに裁判をやったし、今でも係争中である。自分で訴状を書いて本人訴訟をやったりもしたし、弁護士とも楽しくやっている。実は、数年前から法律を独学することにした。しかし、最初に法律を学んだのは、みんなと同じくらいの年齢の時に、大学の教養教育で法学をとったことがきっかけだった。その後10年ほどしてからまた自分で勉強することになったけど、その際の敷居を、教養教育の時の勉強がだいぶ下げてくれた。全くゼロというのと、多少やったことがあるというのは、だいぶ違う。
 大学4年間は専門をやるとしても、社会に出たって勉強は継続しないといけないし、きっと、どんどん、これまでやってなかったことが必要になる。人生、この先何が必要になるかはまだわからない。そんなことは誰にも予測できない。だから、いろいろ経験しておくと、その時は浅く知っているだけでも、次に必要になって勉強するときの、心理的な敷居はかなり低くなる。何でも貪欲に吸収するように心がけておくと、後で役立つこともあるよ。

 こんな話をざっくばらんにしてみた。

 どこかの分野の知識を完全に捨ててしまうのはもったいないし、将来そのことが足を引っ張るかもしれない。せっかくいろいろ勉強できるチャンスなのだから、ぜひ活かしてほしい。

 まあ、私だって、知らないことの方が多いのだけど、専門外の分野だからといって、頭から拒否したりしないように心がけるつもり。

小室哲哉逮捕にびっくり

Posted on 11月 4th, 2008 in 倉庫 by apj

 Yahoo経由読売新聞のニュースより。

小室哲哉容疑者ら3人逮捕、著作権巡り5億円詐取の疑い
11月4日10時35分配信 読売新聞

 音楽著作権売却話を巡る詐欺事件で、大阪地検特捜部は4日午前、音楽プロデューサー・小室哲哉容疑者(49)(東京都港区)ら3人を詐欺容疑で逮捕し、小室容疑者の自宅などを捜索した。

 売却名目で詐取した5億円のうち3億3000万円は、ジャスダック上場企業の「A・Cホールディングス」(同)に対する借入金の返済に充てられ、残りはクレジットカードの決済などに充てていたことが判明。特捜部は、同社に対する借入金の返済期限が迫っていたことが犯行の引き金になったとみている。

 調べに対し、小室容疑者は「間違いない。私から弁解することはない。被害者には申し訳ない。潔く刑事責任を認め、弁償したい」と容疑を認めている。

 他に逮捕されたのは、小室容疑者が取締役を務めるイベント企画運営会社「トライバルキックス」(東京都港区)社長・平根昭彦(45)、同社監査役・木村隆(56)両容疑者。2人も容疑を認めている。

 捜査関係者によると、小室容疑者らは共謀し、2006年7~8月、東京都港区のホテルで、兵庫県芦屋市の会社社長(48)と面会し、自ら作詞・作曲した806曲について、「全著作権が僕にあります」などとうそを言い、売却代金(10億円)のうち5億円をだまし取った疑い。

 社長との面会前、3人は「著作権が自由にならないことを社長に言えば、話に乗ってこないだろうから隠そう」と話し合っていたという。

 小室容疑者は806曲の著作権を音楽出版社に譲渡する一方、主要な12曲をトライバルキックスに、290曲を別の会社に「二重譲渡」していたが、こうした事実を社長に隠していた。

 また、5億円は小室容疑者名義の口座に振り込まれていたが、その後、1億5000万円は木村容疑者への借金返済に、3億3000万円は、A・Cホールディングスへの借入金の返済にそれぞれ充てられ、2000万円は小室容疑者が使ったクレジットカードの決済などに使われていた。

 トライバルキックスは06年3月、A・Cホールディングスから3億円の出資を受け、2か月後に全額を返済する「業務協定書」を締結。担保は小室容疑者の著作権使用料請求権で、同容疑者が連帯保証人となり、同8月末までに3億3000万円を支払うことや、払えなかった場合は担保権を実行することを確認した。

 著作権使用料の請求権は、一部がすでに前妻に差し押さえられており、担保価値が低く、借入金の返済に充てることは困難だったため、著作権売却話を計画したとみられる。

 A・Cホールディングスは建設会社などを傘下に置く持ち株会社で、前身は「南野建設」。同社株は不正な株価操作の対象になり、昨年11月、大物仕手筋の西田晴夫被告(58)が旧証券取引法違反(相場操縦)罪で起訴され、公判中。

最終更新:11月4日14時33分

 最近、新作を見ないと思ったらこんなことになっていたとは……。一時期相当羽振りが良かったはずなのに、事業拡大で大失敗ということか。無理な拡大路線を走らず、曲を作る才能を地道に発揮していれば、こんなことにはならなかっただろうと思う。

 しかし、発売中止はいただけない

CDの発売中止 楽曲配信も停止
11月4日19時19分配信 毎日新聞

 ソニー・ミュージックエンタテインメントは4日、小室哲哉容疑者がメンバーだったグループのベストアルバムの発売を中止すると発表した。「TM NETWORK THE SINGLES 2」で、今月26日に発売予定だった。

 また、小室容疑者がメンバーのグループ「globe」が所属する「エイベックス・グループ・ホールディングス」も、26日と来月17日に発売予定だったglobeのシングルCD2枚の発売を中止する。インターネットで行っているglobeの楽曲配信も停止するという。

 金策に困っての詐欺ならば、むしろ発売して、売り上げを少しでも賠償金の支払いに回した方が良くないか?これでは、払ってもらえなくて困っている人がますます困るだけのような気が。罪は人のものであって、作品に罪は無いし。

ゆず茶の作り方

Posted on 10月 31st, 2008 in 倉庫 by apj

 ゆず茶の作り方が出ていたのでメモ代わりにリンクしておく。

予告の予告

Posted on 10月 30th, 2008 in 倉庫 by apj

 殺すだの爆破するだのといったネット予告で逮捕者が後を絶たない上、起訴されて有罪になっているのを見て、ふと。
 例えば、
「これから2ちゃんねるで殺人予告をします」
と予告したらどう扱われるのか?犯罪の予告は犯罪とされているから、この予告をするだけでも犯罪の予告、つまり業務妨害予告(?)になるのかどうか。
 もし、これが犯罪を予告したことになるなら、犯罪の予告の予告の予告……(以下無限ループ)はどうなるのだろう。

小学校学習指導要領解説 理科編

Posted on 10月 29th, 2008 in 倉庫 by apj

 大学生協にて、平成20年8月発行の、小学校学習指導要領解説理科編を購入。
 今回の指導要領で大きく変わったところは、「生物とその環境」「物質とエネルギー」「地球と宇宙」の3分野であったものを、「物質・エネルギー」「生命・地球」の2分野にまとめたところである。
 10ページには、「○ 科学的な見方や考え方を養うこと」があり、内容は次の通りである。

ここでは「科学」というものの考え方と「見方や考え方を養う」ことの二つの部分に分けて考えることにする。
 科学とは、人間が長い時間をかけて構築してきたものであり、一つの文化として考えることができる。科学は、その扱う対象や方法論などの違いにより、専門的に分化して存在し、それぞれ体系として緻密で一貫した構造をもっている。また、最近では専門的な科学の分野が融合して、新たな科学の分野が生まれたりしている。
 科学が、それ以外の分化と区別される基本的な条件としては、実証性、再現性、客観性などが考えられる。「科学的」ということは、これらの条件を見当する手続きを重視するという側面からとらえることができる。
 実証性とは、考えられた仮説が観察、実験などによって検討することができるという条件である。再現性とは、仮説を観察、実験などを通して実証するとき、時間や場所を変えて複数回行っても同一の実験条件下では同一の結果が得られるという条件である。客観性とは、実証性や再現性という条件を満足することにより、多くの人々によって承認され、公認されるという条件である。
 見方や考え方とは、問題解決の活動によって児童が身に付ける方法や手続きと、その方法や手続きによって得られた結果及び概念を包含する。すなわち、これまで述べてきた問題解決の能力や自然を愛する心情、自然の事物・事象についての理解を基にして、見方や考え方が構築される。見方や考え方には、短い時間で修得されるものや長い時間をかけて形成されるものなど、様々なものがある。
 見方や考え方は「A物質・エネルギー」「B生命・地球」のそれぞれの内容区分によっても異なっている。いずれにしても、理科の学習は、児童の既にもっている自然についての素朴な見方や考え方を、観察、実験などの問題解決の活動を通して、少しずつ科学的なものに変容させてゆく営みであると考えることができる。

 平成11年刊行の学習指導要領解説にくらべて、科学観の提示の仕方が妥当なものになっている。細かい言い回しや表現の仕方に異論がある人は居るだろうが、全体を読む限り、この科学観に大きな異を唱える科学者はいないのではないだろうか(科学哲学方面からはいろいろうるさく言われるかもしれないが、小学校中学年から高学年が対象ということを考えるなら、あんまり細かい科学論に突っ込んでも仕方がないし……)。
 平成11年5月刊行の指導要領解説にも同じ項目があったが、そちらでは、

まず、「科学的な」のうち「科学」について考えてみよう。現在、科学の理論や法則についての考え方が次に述べるように変化してきているといわれている。それは、科学の理論や法則は科学者という人間と無関係に成立する、絶対的・普遍的なものであるという考え方から、科学の理論や法則は科学者という人間が創造したものであるという考え方に転換してきているということである。この考え方によれば、科学はその時代に生きた科学者という人間が公認し共有したものであるということになる。科学者という人間が公認し教諭する基本的な条件が、実証性や再現性、客観性などである。

 これは、以前にもblogで言及し批判していた部分である。同様の記述が、少し前の方にも出ていた。しかし、平成20年版では、(科学者という)人間が創造した科学、という記述は全く無くなっている。あちこちで科学者が批判していたが、それが届いたのだろうか。
 また、平成20年版では「実感を伴った理解」ということが強調されている。理科の授業で学んだことを、実際の生活の場で出会う現象と結びつけて理解しようというのが主旨である。科学的な見方や考え方を養うのは理科の授業の間だけの話ではなくて、普段の生活でも科学的な見方や考え方を持っていこうということである。このあたりは、ぜひ徹底させていただきたいところである。何せ、大学の共通教育で「理科の知識は試験が終わったら忘れてもいいってもんじゃない、生きていくのに必要だ」と学生に向かって講義しているので……。
 念のため、生活編の解説の最初の方も読んでみた。目標が「地域のよさに気付き」「自然のすばらしさに気付き」「自分のよさや可能性に気付き」と3つ並んでいる。自然を礼賛する方向に突き進むのではないかとちょっと不安になった。しかし、「自然のすばらしさ」の中身として想定されているのは「自然の美しさや巧みさ、不思議さや面白さ」である。小学校低学年が対象であるから、そもそも児童が興味や関心を持たなければ話が始まらないので、とっかかりとしては必要なことだろう。