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実は水伝はニセ科学以外の部分が多いのではないか

Posted on 5月 15th, 2008 in 倉庫 by apj

 「本当に「なぜいつまでも水伝?」なんです」を読んで。
 水伝(とりあえず代表としてこれを選んでみる)は、ニセ科学として批判しなければならない部分はごく一部でしかなくて、それよりもニセ科学を利用して人の間の意思疎通を阻害するという効果が甚だ大きいことが問題だという部分が、他のニセ科学とは異なっている。だから、ニセ科学の代表例として水伝を選ぶのはあまり適切ではないかもしれない。
 他のニセ科学の例としては、「アガリクスでガンが治る」「○○水でアトピーが治る」といった悪徳商法系のものや、古くからある「相対性理論は間違っている」(←こう主張する人の理解力が足りないだけ)といったものがある。これらのニセ科学が効果を及ぼす射程範囲は、自然現象に限られる。ガンやアトピーが治るという現象は、人の体に起きるだけで、自然現象の一つに過ぎない。相対性理論が間違っているといって別の理論を主張しても、その中身はやっぱり自然現象を記述するという範囲に留まっている。自然現象のみを射程とするニセ科学は、信じている人を説得するのは困難かもしれないが、別のものを提案するという形での対話であれば可能である。「アガリクスよりももっと効く××を試してはどうか」という話は、それが間違っているか正しいかは別として、相手の土俵での対話のために出すことは可能である。
 しかし、水からの伝言をいい話だと思う人というのは、「アガリクスでガンが治る」を信じる人とは根本的に違っている。水結晶が言葉に影響されるとか、それが実験操作により顕微鏡写真で見える、といったあたりについては、科学を装うが科学ではないので明白にニセ科学である。問題は、「水に言葉の使い方(や音楽の良さなど)を教えてもらってそれで良しとする」態度の方にある。
 もし、水からの伝言をいい話だと思う人が、「面倒な人付き合いなんかもううんざりだ。人に対して何を言うかを決めるのに、いちいち相手のことなんかかまっていられないし気にするつもりもない。水が教えてくれるなら楽だし面倒もないから、私はこれからあなたたちに対して発する言葉にについては全部水に訊くことにする」と主張し、各自が自分の手持ちの水に向かってひたすら語り続け、自分以外の他人の方は一切頓着しないという、コミュニケーション不在の荒野をひたすら作り続けるというのであれば、事の善し悪しはともかく筋は通っている。
 ところが、水伝をいい話だと思う人達に限って、「他人にどういう言葉を使うか私は気にしているのだ」と思い込んでいる。これは凄まじい自己欺瞞である。その上、この欺瞞性についてその本人はまるで無頓着であるという特徴がある。他人の方を全く見ないで水に向かってせっせと話しかけておいて、「私はあなたとお話ししていますよ」と主張するような人とは、普通に考えればコミュニケーションは不可能である。「いや、あなたが話しかけてるそれ、人じゃなくてただの水だし」としか言いようがない。
 ニセ科学の中でも、効果の射程が自然現象に留まる種類のものは、人のコミュニケーションそのものまで破壊はしない。効果の射程が「他人を正面から見ない」ものである場合は、人と人との関わりそのものを破壊することになる。

 このような見方をするならば、「アガリクスでガンが治る」「○○水でアトピーが治る」という主張と、「ありがとうと叫べば琵琶湖がきれいになる」という主張は、規模が違うだけで同種のものであるといえる。いずれも間違っているしそもそも科学ではないし、まともな医学の手柄を横取りするとか、計画を立てて湖の浄化に努力した住民の手柄を横取りするといった弊害はあるが、言及の範囲は自然現象に限られているからである。
 「道徳のあり方を水に決めてもらう」と「血液型性格診断(A型の人はこんな性格、と分類しようとする)」は、他人をきちんと見ないようにし向けるという点で、同種のものになる。ニセ科学を手段として使い、その結論が他人と正面から向き合うことを避けるものになっている言説は、むしろカルトが使用する言説に近い。人間関係に何らかのフィクションや妄想を導入するからである。

暖をとる(笑)

Posted on 5月 14th, 2008 in 倉庫 by apj

 ここ2,3日寒さがぶり返している。運悪く、越してきた年に買った安物電気ストーブが完全に故障。自転車通勤なので、夜帰ってくると手先が特に冷えている。手袋は洗って片付けてしまった。帰宅して、エアコンを入れても、手先がなかなかぬくもらない。
 仕方がないので、PowerBookの電源を入れて、本体とキーボードの温度が上がるのを利用している。つまりこのようにblogのエントリーを書いていると、指先が温まる。何だか用途を根本的に間違っている気もするが……。
#というかその昔、コンピュータ用のエアコンが効きすぎて寒いのでディスク装置に抱きついて暖をとっていたのとどう違うのかと……orz。

 それはともかくとして、5年使ってきた自宅用メインマシンのPowerBook G4 Titanium 15インチの動作が本当に不穏になって(しばらく使っていて温度が上がると断続的にキーンと音を立てるようになり、その音がしている間はディスクアクセスが止まるっぽい)、セカンドマシンのPowerBook G4 Aluminium 12インチでしのいでいる。以前、Titaniumの画面が全く出なくなり、修理を待つ1ヶ月以上の間、パソコン無しでは過ごせないので小型のものを急遽買ったのだった。
 OS9が動く環境を外せなかったりするので、1台はきちんと動くG4(OS 10.4.x)を持ってないといけないのだが、そろそろMacBook Proの買い時かなぁ。ディスクも大きな容量のものにしたいし、Windowsで動かしてみたいソフトもあるし。

いくつかメモしておく

Posted on 5月 13th, 2008 in 倉庫 by apj

 モトケンさんのページより、curiousjudgeさんのコメント

表現行為によって「世間という見えない相手の気分」を害したことを理由に、解雇などの現実的不利益を受けるおそれがある、というのでは、そもそも「表現の自由」の名に値しません。

 全く同意。
 もう一つは、小倉弁護士のこのエントリー。 

「誰が言ったかではなく何を言ったかが重要だ」として匿名である自分を肯定してきた人々こそ,「誰が言ったか」を過剰に重視する「職場電凸」に抗議の声を上げるべきだったと思うのですが,そういう方は少なくて,実際には,要約すると「実名や肩書きを明示する奴らは邪な意図を持っているのだから,肩書きを明示したことに対する私的制裁を加えられるのは自業自得だ」というあたりで落ち着いてしまうところが,日本のネットの匿名さんたちの議論の限界かなという感じがします。

 何かちょっとずれてるような。瀬尾氏の件は、限界云々ではなく、「誰が言ったかではなく何を言ったかが重要だ」として匿名である自分を肯定してきた人々に対しても「踏み絵」になっている(極端なケースの方が踏み絵としては使える)。そのような主張をした人のうち、青山学院大学への電凸を知っていてそれを批判しなかった人達は、主張に一貫性が無いことがバレた以上、その主張に説得力が無くなったいうだけの話ではないかと。
 「風のはて」のこのエントリー

1. 専門的な情報を発信する場合、職種等の属性情報が記されるのは有益。
2. 所属を明示しているからと言って、問題発言の処理をその所属組織に要求するのは有害。
3. 専門外の話はコテハンか名無しでやれ。
4. ネットっていう言論のフィールドにいるんだから、相手が実名だろうとネット上で片つけようぜ。
ってところです。特に4番目については、匿名同士の議論ではネット上で片付ける他ないのに、相手が実名だと所属組織巻き込むってのはアンフェアだろう。たとえ議論の応酬がきつくなっても、相手が言論のフィールドに立っている限りは、そこで戦うべきだと思うんですよね。

3.のの補足として、コテハンか名無しでやるときは、完全に別世界別キャラとしてやる、という注意が必要かと。コテハンと実名を同じ場所に登場させたら、今度は自作自演だと突っ込まれるわけで。

Der Schwarm

Posted on 5月 12th, 2008 in 倉庫 by apj

 Der Schwarmは、ハヤカワ文庫の「深海のyrr」(1)(2)(3)の原題。海洋冒険小説&コンタクト物だが、なかなか面白かったので、原文にあたってみようとしたのが間違いの元というか何というか……。
 とりあえずamazonで探したら、ハードカバーで1000ページの単行本とCD-BOOK(10枚組)が引っ掛かった。読んで面白かった勢いで衝動買いしたのが届いて、このドイツ語の山をさてどうしたものかと(汗)。とりあえず、昼休みなのでCDを再生してみたら、朗読ではなくて各章を適当にまとめたものがナレーションとして延々読み上げられ、主要な台詞を俳優さん(声優さん?)が演じ、BGMと効果音がところどころに入るというものだった。つまり、本を見ながらCDを聴いても、本文通りのドイツ語ではないので、何と言ってるかは、本を参考にしてしっかり聴かないとなかなかわからない(私の場合は、もっと慣れるまで分からなそう)。語学の教材ではないのでまあ当たり前か。そのかわり、ナレーションも台詞もネイティブのスピードなので、これに耳が慣れると語学教材のCDが間延びして聞こえそう。

日本語の問題というよりは……

Posted on 5月 11th, 2008 in 倉庫 by apj

 高校世界史未履修続出の効果もあるではないかと思うのだけれど。ところで中学校の社会科では現代史をどこまでやっているのだろう?時間の順番に歴史を教えると、現代史にさしかかる頃には時間が足りなかったりで駆け足で進んでしまうので記憶に残りづらいとか?
 Yahooニュースより

「ナチスって何?」…字幕読めない若者増加に映画業界困った!
5月10日18時52分配信 産経新聞

 若者の活字離れが進む中、映画会社が洋画の字幕づくりに苦慮(くりょ)している。文字数を減らすだけでなく、漢字の使用を最小限にし、極力ふりがなをふる気の遣いよう。「読み」だけでなく、中学生レベルの歴史的事実すら知らないというケースも。こうした事情を反映し、アニメだけでなく、実写映画でも吹き替え版が急増。映画業界では「若者の知的レベルがこれほど下がっているとは…」と驚いている。(岡田敏一)

 日本初の字幕映画は昭和6(1931)年公開の米作品「モロッコ」。吹き替え作業の設備などが不十分で字幕という苦肉の策をとったが、この作品の大ヒットで字幕が定着した。

 映画各社によると、戦前の字幕はスクリーンの右端にひとつのせりふで最大縦13字で3行だったが、戦後は10字2行とやや少なめに。人間が1秒に読めるのは4文字程度というのが理由だった。文字数が再び増えるのが1980年代半ば。ビデオレンタルが普及するにつれ、テレビでも見やすいように、とスクリーンの中央下に最大横13字で2行の形式が定着した。

 しかし、ここ数年、13字の字幕を読み切れないという若者が増加。映画離れを食い止めようと、製作、配給会社では苦肉の対応を余儀なくされている。字幕づくりの現場では、10字前後で区切って行数を増やしたり、漢字を省いたり…。さらに、字幕を必要としない吹き替え版へシフトする動きもある。

 東宝東和では8月から10月の3カ月間で計3本のハリウッド大作を公開するが「吹き替え版を過去最大級の手厚さで用意する」と話す。ワーナー・ブラザーズ映画も「ハリー・ポッターシリーズの場合、吹き替えが6割で字幕版を上回っている。その他の作品でも吹き替えの比率は年々高まっている」と説明する。

 字幕以前の問題も。ある映画会社の製作担当者は「スパイ系作品の試写会後『ソ連って何ですか?』、『ナチスって何ですか?』との感想が寄せられ、本当に驚いた」と打ち明ける。

 「スパイダーマン」シリーズなど計約1000本の映画の字幕づくりを担当したこの道約30年のベテラン、菊池浩司さん(60)は「知っていて当然の日本語を知らない若者が増えているようだ」と話している。

【業務連絡】時々サーバを止めるかもしれません

Posted on 5月 7th, 2008 in 倉庫 by apj

 青学の瀬尾氏の件をとりあげたために、2ちゃんねるにも書かれてしまったようで、アクセスが急増しています。幸いにして、これまで、皆さんがそこそこ落ち着いた議論をしてくださっているので、ひどいことにはなっていません。
 ただ、私も仕事があって、日中はそんなにチェックできません。ここを荒らされ放題にならないように管理するのは私の責任なので、ここ数日は、管理できそうにない時間帯は、ウェブサーバを一時的に止めるかも知れません。スケジュールですが、夕方から夜にかけては動いていることが多い、ということでご了承ください。

ditto直接実行の方が良さそう

Posted on 5月 7th, 2008 in 倉庫 by apj

 仕事で使っている、Leopardを入れたIntelMacのバックアップについて。Carbon Copy Clonerを使っていると、バックアップの途中で止まってしまう。GW前に仕掛けておいたバックアップは失敗。結局、terminalを開いて、/ を /Volumesの下の外付けディスクにコピーするように、dittoを直接叩くと、問題なく動く模様。実行は当然sudoで。

講義wiki更新とか

Posted on 5月 2nd, 2008 in 倉庫 by apj

 講義wikiを更新。2007年後期の科学リテラシー(科学A)の講義で行われた、学生さんたちとの質疑の内容をアップした。この講義は共通教育で、高校で化学を全く履修していない文系の学生も多数受講する。人数が200人近くになるため、講義内容は板書せずプリントを配付している。毎回の出席カードの裏のコメント欄に寄せられた学生からの質問や感想を、次の週の講義で配るプリントの冒頭に入れており、その部分を抜き出してQ&Aにまとめた。(この人数だと、講義中に当てるのも学生同士議論してもらうのも不可能であるため、出席カードを利用して、他の人達の感想や疑問等を共有できるようにしている)。
#誤字脱字のチェックは不十分かとm(_ _)m。

 不調な新サーバは、本格稼働前に修理となり、メーカーのサービスセンターに送り返したorz。

昨日は論で書いたので……

Posted on 5月 1st, 2008 in 倉庫 by apj

 今日はちょっと力を抜いてつぶやいてみる。

 自分自身のおかれた状況が幸せじゃないからといって、より不運な人や不幸な人をこき下ろしたり罵倒したりしたって、それで自分が幸せになれるわけじゃないんですよねぇ、決して。

 相手を罵ったって自分が正しいことの証明にはならないし……。

ゼミとかファイルとか

Posted on 4月 29th, 2008 in 倉庫 by apj

 前にも書いたが、昨年末、法曹関係者用の2穴ファイルをまとめて購入した。フラットファイルと似たようなとじ具がついていて、Lサイズのものは、5cmくらいの厚さの紙束を綴じることができ、表紙が透明ポケットになっていて、紙を入れたりできる(厚紙を入れて表紙をつけることもできる)。
 昨日、たまたま、卒業生の一人が遊びに来てくれて、ちょうどゼミの時間だったので、一緒に部屋に来て何となく参加してくれた。4年で就職したので、まだ仲間が博士前期課程にいるから、会いにきたらしい。お菓子を差し入れてくれたので、食べながらのゼミとなった。
 ゼミで使う資料を追加したら、普通のフラットファイルでは綴じるのが難しくなったので、ストックがあったMサイズのファイルを学生さんに配ることにした。裁判所と弁護士事務所御用達のグッズだとは気付いていないようだったので、説明したら面白がられてしまい、卒業生も笑っていた。
 配ったファイルを見て学生さん曰く「表紙に予習した紙とかを入れておけば(持ってくるのを)忘れない」。……散らかさずに一旦ファイルポケットに入れておいて、まとまったら一緒に綴じておけば整理は万全だと思うぞ。

 委員会やら教授会やらの資料は、すぐに何cmかになるわけで、これをハードカバーのパイプファイルで管理していたら、値段がかかる上にデッドスペースも増える(=とじ具と表紙の厚みの分だけかさばる)。だから仕事の資料整理に、たくさん綴じられるフラットファイルを重宝している。学生さんだって、今回のように、1冊100円程度の、生協でよく売っているファイルでは不便な場合がある。こんなわけで、大学にも法曹用ファイルの需要はあるはずと思うのだが……。
 ファイルには製造元のマークはない。文具で名の通ったメーカーが作っているというのでもなさそうである。生協が入れてくれると楽なんだけどなぁ^^;)。

 私の今回の購入先は、霞ヶ関の弁護士会館地下1階の文具売り場、大内商店。頼めば通販もしてくれるが、faxでのやりとりになる。ネット通販しているのは、大阪弁護士協同組合で、A判事件記録ファイルという商品名で売っている。名前の通り、弁護士の団体だけれども、本やグッズは一般にも販売している。