postheadericon 東京地裁だと年始提訴が可能

 東京地裁の窓口は夜間受付を行っているので、年始提訴が可能である。
 今回は、吉岡氏に対する名誉毀損の訴状を、新年になると同時に出してきた。大晦日から元日にかけて、都内は公共交通機関が動いているので、夜中でも大体普段通り(の運賃と多少長い待ち時間で)移動可能である。
 ただし、事件番号の決定は4日に裁判所が始まってからになる。

 しかし、東京地裁が夜間でも訴状を受け取ってくれるというのは、今回初めて知った。やはり、時効が関係しているのだろうか。

postheadericon 提訴しました

 マグローブ株式会社・上森三郎・吉岡英介及び山形大学を被告として山形地方裁判所に提訴した。弁護士を探す時間も無かったのと、ある程度は自分でやれるだろうと思ったので、本件は代理人無しの本人訴訟である。
 マグローブ株式会社・上森三郎・吉岡英介に対する請求は、お茶の水大の掲示板コメントを削除させたことに対する損害賠償請求および、山形大のblog内容を削除しなくていいことの確認(債務不存在確認)を求めた。山形大学には、削除要求のあったblog内容をそのままにしておいてほしいという不作為の請求を立てた。
 訴状提出は平成19年12月5日、事件番号は平成19年(ワ)第610号、第1回口頭弁論は平成20年1月23日午前11:00。

 普通は、インターネットの掲示板等に対する削除要求が原因の紛争は、プロバイダ責任制限法にのっとって発信者情報開示→書き込んだ人を特定→提訴、といった流れになる。しかし、この流れに任せていると、書き込んだ人が表現の自由の範囲内であると考えていても、名誉毀損か何かで訴えてもらうまで、書き込んだ人には内容が正当かどうかの立証をする機会が与えられない。
 ところが、名誉毀損による提訴は、提訴された側が表現が名誉毀損にあたらないことを立証しなければならず、非常に立証の負担が大きい。これは、名誉毀損が主に力のあるマスコミによってなされた時代の判断基準がそのままになっているということによる。昔であれば、「公然と」表現するには、新聞を印刷して配るといった資本力や設備が必要であったので、公然性=金も力もあるプロのジャーナリズム、が成り立っていた。
 しかし、インターネットの時代になって、個人が誰でも簡単に公然性のある表現ができるようになってしまった。このような場合には、攻撃防御の方法も変わってしかるべきである。
 私は以前から、表現の自由を侵害するような削除要求に対しては、訴えられるのを待たず、先に、削除義務が存在しないことを確認する訴えを提起するということで抵抗できるのではないかと考えてきた。民法では、人に何かをさせる権利・義務は全て債権債務である(一方、物権は法定されている)。債務が存在しないことを確認する訴えは民事訴訟の訴えの形としては確立している。従って、削除要求に対し、債務不存在確認を書き込んだ人から提起するという手段で、表現の自由をもう少し積極的に守ることができるかもしれない。しかし、なかなかそこまでやる機会に恵まれなかった。また、削除要求に対して、要求された側が先に提訴するというケースは希で、ひょっとしたらこのケースが最初かもしれない(別にやっている当事者参加の方は、既に紛争発生後の話なので状況が違う)。裁判所の判断がどうなるかわからないが、試してみる価値はあるのではないかと考えている。

 「民事訴訟法 第四版」(上田徹一郎著、法学書院)によれば、確認の訴えの機能とは、

(1)権利・法律関係の不明確をめぐって生じている争いが悪化して給付の訴え、さらには確定給付判決の執行力に基づく強制執行によって処理せざるを得ない状態になることを防止し、(2)あるいは基本的な権利・法律関係を明確にすることによって基本的な権利から発生する種々の請求権に基づく多様な給付訴訟の続発を防止する、という「予防的機能」を営ませることを目的とする。

となっている。「確認の対象は権利・法律関係であって、かつ特定の具体的なものでなければならない」から、内容を特定した削除要求があれば、訴え提起は可能である。

postheadericon 特商法:不実告知の例

「詳解 特定商取引法の理論と実務 補訂版」より。不実告知の例。

勧誘を受けている者は連鎖販売取引という用語自体を知らないので、むしろ「マルチ商法ではないか?」とか「ねずみ講ではないか?」と尋ねることのほうが普通であろう。これは連鎖販売取引の該当性を問う質問であるが、このとき「連鎖販売取引である」旨を説明せずに、「ネットワークビジネスだ」とか「合法的なマルチレベルマーケティングだ」等とはぐらかした回答をすることは、連鎖販売取引の該当性を否定する意味を告げるものであるから、不実告知に該当すると考えられる。

 裁判所で裁判官に向かって「合法的な(以下略)」と主張するのは(勧誘ではないから)差し支えないが、同じ事を勧誘時に主張するとひっかかるわけね……。

postheadericon 取材など

 山形新聞から電話がって、提訴の件について訊かれた。定期的に裁判所の事件一覧をチェックしているらしい。表現の自由がらみなので記者さんは興味を持っておられるようだが、「難しい……」とつぶやいていた。まあ、今時のことだから、名誉毀損訴訟と言われれば素人にもどういう種類の争いか見当がつくしイメージも湧くだろうけど、「債務不存在確認の訴え」では、余分な説明が要るわなぁ……。確認の訴えなどというものがあることを知っている人が少ないし、それを表現の自由を守る手段に使うというのも多分稀だろうし。

 ところで、何でまた取材、と思った。また、というのは、飛騨の人を訴えた時も取材があったからで、その時はありふれた名誉毀損訴訟なのに一体何が珍しいのかと、訝ることになった。
 で、ちょっと考えたのだけど……。12月に提訴して事件番号が610だったのだが、神戸だと、9月の当事者参加で事件番号が2300である。神戸では新規提訴が300件/月、山形では55件/月、という見積もりになる。記者さんが裁判所の民事訴訟リストをチェックしていられるのは、単純に件数が少ないからではないかと思ったり。これが東京地裁になると、提訴多すぎで一通り見るのも大変なんじゃないかなぁ。

 そういえば、山形地裁の1階には切手と印紙の売捌所があるが、月・水・金の午前中しか営業していない。今回、提出が水曜日の午前中だったので、買いに行ってみた。
私「収入印紙ください」
店の人「いくらですか」
私「24,000円分」
店の人「……」
私「何か?」
店の人「ありません」
私「組みあわせで枚数が多くなってもいいので……」
店の人「枚数増やしてもありません」
私「はぁ?_?」
店の人「ちょっと待ってもらえれば、買ってきますけど」
私「買って……って、一番近いのは隣の山形市役所の売店ですよね」
(市役所と裁判所は隣接していて、市役所地下の売店では切手や収入印紙も扱っていて在庫はそれなりに豊富)
店の人「そこで買ってきます」
私「それなら自分で買いに行きます。ところで、他の皆さんはいくらくらいのものを買って行かれるのですか?」
店の人「150円くらい」
私「って、地方裁判所に出す訴状の(訴訟費用の)金額はそんなもんじゃ無い筈……」
店の人「そんな高額なの、買う人が居ません」
私「そういうものなんですか……」

 いくら山形が田舎だといっても、県庁所在地にある地方裁判所の印紙売り場でこの展開は無いだろう、と、何だか釈然としなかった。実はみんな市役所地下で買うから裁判所内の売り場は使われないとか、そういうことなんだろうか。

postheadericon 「控」の次は……

 昨日の打ち合わせにて。
「控」のゴム印買った話を絵里タンにしたら、「次は”副本直送”」というコメントが……。

「副本直送」のゴム印が活躍するほど素人が訴訟するようじゃ、世も末だってばさ[:泣き笑い:]>絵里タン

postheadericon 弁護士さんの印鑑

 絵里タンの事務所で打ち合わせついでに訊いてみた。
「弁護士さんの印鑑の形の○と□はどう決まるの?何か意味あるの?」
 絵里タンによると、

・絵里タンが最初に居た事務所は全員○だったから、選択の余地無く○で作られてしまった。(単なる事務所の趣味の問題だった)
・一方、惇一郎弁護士は□で作った。
・その結果、今では法律事務所ヒロナカでは○と□の両方が使われることになった。
・法律事務所ヒロナカ所属の弁護士さんは、新しく作る時はどちらにするか好きな方を選ぶことになっている。

 何か完全に趣味の問題だったようで……。

postheadericon 買い物メモ

 今年の持ち運び六法は、以前に書いたようにデイリー六法(三省堂)を使うことにした。
 ところで、有斐閣判例六法の小型版が今年から出たので、何が書いてあるか見たくて買ってみた。判例部分が2色刷でわかりやすいといえばわかりやすいが、判例六法の宿命として、判例に邪魔されて次の条文にたどり着くのが遅れる(笑)。一応どんな判例が収録されているか読んでみるつもり。ただ、景品表示法とか特商法とかがまともに入ってないので、私には使いづらい。ちょっと昔のコンサイス判例六法には入っていたので、今でも変わらないのなら、来年からコンサイス判例六法に戻るというのも手かなぁ。

 「控」のゴム印買った。315円。東急ハンズはさすがに常備していた。

【追記】
 岩波の判例六法には、特商法は出ていなかった。
結局、持ち運び用はコンサイス判例六法が私にとっては一番使えるということになりそう。

postheadericon マグローブからお茶の水大に圧力がかかりました

 マグローブの代表取締役の上森を名乗る人物から、お茶の水大学長に対して直接電話があり、掲示板投稿の一部を出すなという圧力がかかりました。
 現在、atom11の掲示板で見えなくなっている分を、こちらで引用しておきます。なお、この内容は、訴訟掲示板に出したものと重複します。

[25190] マグローブの構造上の疑問点mimonのコメント現在進行中の裁判関係の掲示板に書いた内容と重複するのですが、http://www.i-foe.org/h19wa1493/bbs/tree.php?n=51今のところ、裁判で技術的なことを取り上げられそうにないので、
こちらの掲示板にコピペします。
もともと、私の書いたことですので、引用符号(>)は、付けません。
吉岡氏のホームページのネタにならなければ良いのですが。

先日(10月25日)開催された、マグローブの説明会の資料の中で、
http://www.minusionwater.com/biwakomesse.htm
断面の略図が載っていますが、本当に、接水部がステンレスの角パイプなのですね。
ステンレスといっても、多分、一般的なSUS304あたりを使っていると思われます。
角パイプに内圧がかかると、その角の内側には、大きな引っ張り応力が加わり、
オーステナイト系ステンレスでは、応力腐食割れが発生しやすいです。
私だったら、真っ先に塩化マグネシウムを使った加速試験を実施して、
問題なくても、やはり、耐応力腐食性の高いSUS316LかSUS315J2を使うところです。
ステンレス鋼の応力腐食割れ試験方法については、JIS G0576が参考になります。
http://www.jisc.go.jp/app/JPS/JPSO0020.html

内側の管に孔があいても、外には水が漏れない構造のようですが、
ネオジム磁石や鋳鉄は、いくら鍍金をしていても、
ステンレスに囲まれて接水すれば、早期に腐食してしまいます。

吉岡氏は、京大工学部卒らしいので、その辺は考慮していると思いたいのですが・・・。

[25197]もし、一般向けの解説が可能でしたら追加を
apjのコメント

>オーステナイト系ステンレスでは、応力腐食割れが発生しやすいです。

 多分、一般の人は、ステンレスにいろんな種類があって、耐久性にも違いがあるということを詳しく知らないのではないかと
思います。私も、合金材料の特性に詳しいわけではありません。
手軽に知るには、どんなものを見たらいいでしょうか。

>ネオジム磁石や鋳鉄は、いくら鍍金をしていても、
>ステンレスに囲まれて接水すれば、早期に腐食してしまいます。

 これで引っ掛かったのが、「磁気活水器で防食効果があった」とされるケース一般をどう考えるかということです。

 先日、水商売ウォッチングの方に、磁気活水器で効果があったケースをきちんと調べたら亜鉛板の効果だったり併用する濾過
装置の効果だったりした、という文献を紹介しました。
 業者が知らずに耐応力腐食性の弱い材料を使ってしまったために磁石ともども腐食が起きたとして、その現象が、亜鉛の犠牲
陽極を使ったのと同じ効果を水道管にもたらすのではないか?ということです。「効果有り」と判定されたケースで、実は磁気
活水器自身が水道管の犠牲陽極となっていた、というものが混じっているのではないかと思うのですが、この可能性はあるので
しょうか。

[25198]ステンレス鋼の手軽な解説
mimonのコメント

> 手軽に知るには、どんなものを見たらいいでしょうか。
「手軽に」というと、とりあえず、新日鉄の解説から入ったらいかがでしょうか。
http://www5.mediagalaxy.co.jp/nssc/products/index.html
さすがに、応力腐食割れなんていうマニアックな話題は、載っていなかったと思います。
新日鉄、JFEスチールなど各社が、ステンレス鋼のカタログをホームページに載せていますので、
詳しくは、そちらをダウンロードして、ご覧ください。
新日鉄↓
http://www5.mediagalaxy.co.jp/nssc/products/shohin/koushu.html
JFEスチール↓
http://www.jfe-steel.co.jp/products/list.html#stainless

> 実は磁気活水器自身が水道管の犠牲陽極となっていた
磁気活水器の内管と、配管の材質の組み合わせにより、その可能性はあります。
マグローブの場合、角があっても、一応ステンレス鋼ですので、
鉄管(SGP(JIS G3452)など)に対して犠牲陽極になることはないと思います。
内管が腐食して、孔が開いた場合に、配管を保護する働きがあるのか、
可能性はありますが、期待はできません。
磁石や鋳鉄にされている鍍金の質により、挙動が異なるからです。

というか、壊れることで効果が出るような設計をしてはいけません。

 なぜ、このネタにこだわったのかが謎だったのですが、「ビバ!マグローブ」というタイトルのblog
http://blogs.yahoo.co.jp:80/jinseimakoto/547240.html
に、2007/08/09付けで、「レフレクターの本音」と題するエントリーが投稿されています。投稿したのは、施工業者さんのようです。以下、内容を引用します。

僕はリフレクター。
とある磁気活水器の重要なパーツです。
僕がいるからこそ、この磁気活水器はちょ~売れました。
しかし、本音を言うと僕には寿命があるのです。
コンタクトセル作用という電子を移動させる仕事だけでも、
酸化が始まってしまうのに、僕を使って磁気活水器を作ってる人たちは
余計なものを僕の周りにべたべたと塗りつけています。
こいつが臭くてたまらないのです。余計に酸化が進みます。

僕を開発したせんせーも最初は、僕が酸化するなんて思ってもいなかったみたいです。
せんせー2号が、実験中に僕が酸化を始めてくるのを発見しました。
でも、トップシークレットになったそうです。
だって、すでに3万台以上も販売した後だったんですもん。

社内でも『まずい!』と意見を言うやつがいましたが、
【どんな商品でも性能が何年も持続するなんてあり得ない。販売時に100パーセントの性能があれば
それでいいんだ!】

そして、組み立てのやつがへたくそで、たまに水が中に入ってしまうものも現れる始末。
だから、すべての原因を『水』にして、不具合のものをすべて無条件交換といたしました。

そんなことしないで、最初から組み立ての手順を再考すれば僕の寿命ももっと延びて
製品の精度ももっともっと上がったのにね。

こんな僕だけど、本当の僕のよさを理解して頂いた新しいセンセーのところで生まれ変わりました。
今度は僕を大事にしてくれています。
やっぱり、すべてにやさしい人たちの下で働きたいですよね。

 ダイポールの話なのかマグローブの話なのかはっきりしませんが、blogのタイトルが「ビバ!マグローブ」となっているので、ダイポールで出た問題がマグローブで解決されたというふうに読み取れます。ただ、読んだ人がマグローブの話だとうっかり誤解することが絶対無いとまではいえません。

 まあ、今回のお茶大の対応は、訴訟の争点が「削除要求に対応したかどうか」の部分になっているため、ちょっと神経質になっているということなんでしょう。その意味では、管理がきちんとできているというデモンストレーションにはなったかと思います。

 とにかく、これで敵は、吉岡氏だけではなくマグローブも込みだとはっきりしました。
 削除要求の出された内容を見れば、別にマグローブが不良品だと言ってるわけでもなく、ほとんど一般論にすぎません。普通の人の理解力をもって読んでも、業務妨害にはあたらないでしょうし、特に中傷しているわけでもありません。マグローブというのは、この程度のものを、圧力をかけて消させる企業であるということが、今回、明らかになったわけです。これまでは、吉岡氏が以前やっていたダイポールのマルチで、公取の排除命令を喰らったのを私のせいだと逆恨みしていただけだろうと思っていたのですが、もう一人の社長も込みでトンデモのようです。

 削除義務がないという債務不存在確認訴訟でもあらためて起こしましょうか(爆笑)>マグローブ。

 とりあえず、私の方もそれなりに別の材料は持っていますので、国際会議が終わったら反撃の準備にかかりますけどね。

postheadericon 真実性・真実相当性の判断基準時について

 名誉毀損が免責される要件として、
○【事実の公共性】
 「公共の利害に関する事実」を表現したこと
○【目的の公共性】
「もっぱら公益を図る目的」で表現したこと
○【真実性】摘示事実が真実であると証明されること or 【真実相当性】摘示事実が真実であると信ずるについて相当の理由があること
 の3つがある。このうち、真実性・真実相当性の判断基準時について、最高裁は次のように判示している(最3小判2002年1月29日)。まず、真実性について。

 裁判所は、摘示された事実の重要な部分が真実であるかどうかについては、事実審の口頭弁論終結時において、客観的な判断をすべきであり、その際に名誉毀損行為の時点では存在しなかった証拠を考慮することも当然に許されるというべきである。けだし、摘示された事実が客観的な事実に合致し真実であれば、行為者がその事実についていかなる認識を有していたとしても、名誉毀損行為自体の異方性が否定されることになるからである。真実性の立証とは、摘示された事実が客観的な事実に合致していたことの立証であって、これを行為当時において真実性を立証するに足りる証拠が存在していたことの立証と解することはできないし、また、真実性の立証のための証拠方法を行為当時に存在した資料に限定しなければならない理由もない。

 真実相当性については、

名誉毀損行為当時における行為者の認識内容が問題になるため、行為時に存在した資料に基づいて検討することが必要となる。

 つまり、真実性については、事実審の口頭弁論終結時が判断基準時で、真実相当性については、名誉毀損行為時を基準とする、ということである。

postheadericon 円谷「不法行為法」(2)

「不法行為法 事務管理・不当利得」円谷峻著(成文堂)4-7923-2482-3
より。71~ 72ページの名誉毀損が不法行為となる要件について。

最高裁平成9年9月9日判決(民集51巻8号3804頁)が、これを明らかにした。同判決によれば、事実を摘示しての名誉毀損では、その行為が公共の利害に関する時事実に係り、かつ、その目的が専ら公益を図ることにあった場合、摘示された事実がその重要な部分について真実であることの証明があったときには、その行為には異方性はないし、かりにその事実が真実であることの証明がないときにも、行為者にその事実を真実と信ずるについて相当の理由があれば、その故意または過失は否定される。
 これに対し、ある事実を基礎としての意見ないし論評の表明による名誉毀損では、その行為が公共の利害に関する事実に係り、かつ、その目的が専ら公益を図ることにあった場合に、その意見ないし論評の前提としている事実が重要な部分について真実であるとの証明があったときには、人身攻撃に及ぶなど意見なし論評の域を逸脱したものでない限り、右行為は違法正を欠くものというべきであり、かりに基礎とされた事実が真実であるとの証明がないときにも、行為者に上記事実の重要な部分を真実と信ずるについて相当な理由があれば、その故意または過失は否定されると解された。
 そこで、問題とされる表現が事実を摘示するのか、意見ないし論評の表明であるのかで、不法行為成立の要件が異なるため、当該表現がそのいずれであるかが問題となる。最高裁平成9年判決は、当該表現が証拠等をもってその存否を決することが可能な他人に関する特定の事項を明示的または黙示的に主張するものと理解されるときは、当該表現は事実を摘示するものと解するのが相当だと述べた。

 判例は、夕刊フジ名誉毀損判決。