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新たなステージに到達したというか……

Posted on 12月 16th, 2008 in 倉庫 by apj

 Yahooニュース経由毎日新聞の記事より。

<浄水器設置詐欺>容疑の業者逮捕 5府県100件被害か 浄水器設置装う 実際は万力取り付け…
12月16日14時45分配信 毎日新聞

 浄水器設置を装い、高齢者から現金を詐取したとして、大阪府警松原署は15日、東大阪市の訪問販売会社「ソーシャル コネクト」代表取締役、佐藤琢磨被告(36)=住所不定、別の詐欺罪などで起訴=を詐欺容疑で再逮捕した。今年3月から9月にかけて、大阪、兵庫、和歌山、奈良、三重の5府県で約100件の余罪(被害総額計約1900万円)があるとみて追及する。

 調べでは、佐藤容疑者は3月9日、大阪市阿倍野区の70代女性宅を訪れ、「大阪の水は汚れているので検査する」「水がきれいになる」などと浄水器の設置を装い、現金39万9000円を詐取した疑い。実際は、万力を取り付けただけだった。【田辺一城】

 これまでのニセ科学系水商売は、水が汚れているとかこの浄水器は○○の効果が、といった「説明が怪しい」もので、一応は浄水器を売りつけていた。しかし、今回のは、浄水器を売ることさえせず、代わりに万力を置いていくという、ある意味斬新な水商売である。
 まあ、万力タイプの磁気活水器(水道管を外から挟み込むタイプ)があるから、形だけまねする、というのが出てきたりするのだろうけれど。

解決策(笑)

Posted on 12月 15th, 2008 in 倉庫 by apj

 izaのニュース記事より。

だんじり祭り中…裁判員に選ばれたらどうする? 
21:20更新
 ■大阪地裁堺支部がアンケート調査

 だんじり祭りの期間中に裁判員に選ばれたら? 来年5月にスタートする裁判員制度への住民の声を聞こうと、大阪地裁堺支部(堺市)が、管内23市町村でアンケート調査を実施し15日、結果を発表した。回答の内訳は明らかにしなかったが、「準備を含めて行事を変更するのは難しい」と「祭り優先」を示唆する意見もあり、伝統行事を重視する土地柄が裁判員制度に影響する可能性も出てきた。

 アンケート調査は裁判員の辞退理由などを事前に把握しようと、全国の地裁と支部で実施した。

 大阪地裁堺支部は今年4~9月の間、「介護」「重要会議」など裁判員を辞退する可能性のある理由や参加可能な連続日数などについて計2010人に質問し、約58%に当たる1160人から回答を得た。

 岸和田市民には約300年の歴史を持つ「だんじり祭り」を項目に入れて尋ねた。だんじり祭りは例年、9月の敬老の日直前の土、日曜日に開催されるが、7月ごろから会合が行われ、本番直前には試験曳(ひ)なども行われ、祭り一色になる。

 だんじり祭りに関する回答では「伝統行事への参加と裁判への参加は両立しないわけではない」といった意見のほか、「準備を含めて行事を変更するのは難しい」「祭りに関する役職が多い」など祭りを重視するとみられる声もあった。

 同支部は「今回のアンケートは、あくまでも参考資料。辞退を認めるかどうかは裁判官が判断する」と説明している。

 このほか、裁判員を務めることができる連続日数は「2日まで」が最多で、参加が難しい月は年末の「12月」がトップで、年度の変わる「3月」「4月」が続いた。

 該当する23市町村の弁護士を全員、だんじり祭りのスタッフに入れるとか、片っ端からスカウトしてまわるというのはどうだろう。弁護士がみんな祭りの方に行ってしまえば、弁護士無しで刑事の法廷は開かれないから期日も入れられなくなるので問題は無いはず。祭り優先の土地柄なのだから、そこで営業するなら郷に入っては郷に従え、とでも言って説得するとか……。いや、何となく思いついて言ってみただけですが^^;)。

提訴の方が教員にとって安全

Posted on 12月 14th, 2008 in 倉庫 by apj

【2012/09/11追記】
 私が巻き込まれたハラスメント問題についての状況説明を公開してあります。時が経って状況が変わったためです。

 発声練習さんのところのエントリーより。この日のエントリーは、OKWaveのアカハラ関連のリンクまとめがあるので、どういう例がハラスメントと認識されるかがわかる。

 どういう行為がアカハラに該当するかは、孫引きになるが、京都第一法律事務所の「教授のアカデミック・ハラスメントが発覚した…」に、

いくつか例をあげると、教授など上位の教員が下位の教員や学生に対して、(1)研究テーマを与えない、(2)自主的研究を認めない、(3)研究の妨害をする、(4)研究成果を奪う、(5)学会や論文などで研究成果を発表することを禁じたり妨害したりする、(6)教育・研究に無関係の雑務を強要する、(7)卒業や進学、昇任などを妨害する、(8)指導を拒否する、(9)侮辱的な言動を行う、などがあります。
  アカハラが行われる背景には、現在の大学における階層構造、研究費や人事権の集中、研究室内での長年にわたる徒弟制文化、研究室の密室性・相互不干渉などさまざまな要因があります。

とある。

 ハラスメント(harassment)は名詞で、動詞にharassというのがある。もともとはアメリカで作られた言葉だが、セクシュアル・ハラスメントを日本語にするとき「性的嫌がらせ」と訳したあたりで、英語のニュアンスが落ちたために、意味が変わってしまっている。そのあと、他のことについても「○○ハラスメント」と呼ぶようになって、ますますズレが生じている。
 もともとの言葉の意味のニュアンスを知るには、英英辞典を調べてみる。ロングマン現代英英辞典4訂増補版には、

harass

1 to make someone's life unpleasant, for example by frequentry saying offensive things to them or threatening them

2 to keep attacking an enemy again and again

harassment

when someone behaves in an unpleasant or threateing way towrds you

とある。動詞の意味まで見ると、単純な嫌がらせではなくて、繰り返しであること、頻繁であること、というニュアンスが含まれていることがわかる。

 日本における裁判例は、「職場のいじめ・パワハラと法対策」水谷英夫著(民事法研究会)が詳しい。私も買って読んでみたが、何らかの法的責任が認められたケースは、問題となる行為がある期間にわたって「繰り返された」ものばかりである。裁判所の判断は、英英辞典にある「繰り返し」や「頻繁に」というニュアンスを反映したものになっている。

 理由もなしに教員が指導を拒否すれば問題になるのはわかる。しかし、私が見たケースでは「博士課程では○○というテーマ以外は研究したくないし、私はどうしても□□先生のところへ行きたいのに来るなと言われた」と延々しつこく言いまくる学生が居て、教員の言い分は「○○は自分の専門外なので博士課程ともなると指導はできないから、それをやっている先生の居る大学を受験してほしいと言ってるのにどうしても話が通じない」だった。
 この状態でハラスメント認定されたのでは、教員はたまったものではない。しかし、上に引用した法律事務所の定義のようなものを鵜呑みにしたのか、その学生はハラスメントだと言い出して、学内で処理手続きを踏むことになったらしい。幸い、きめ細かな相談により別の先生のところで指導を受けることで納得し、円満に解決したと伝え聞いている。
 
 上に引用したような内容で学内の教員に対してハラスメントの知識を普及させるということが大学で行われているが、書かれた内容が一人歩きすると、客観性を伴わないまま、学生が気に入らないことを教員がやったらハラスメント、という基準で訴えが起こされまくるということになりかねない。受け取める側の基準のみで判断するのではなく、客観性が必要だということと、元のハラスメントが含んでいる「繰り返し」「頻繁」というニュアンスを落とさないようにして伝えないと、混乱が起きる。
 ただ、客観的に見てハラスメントではなくても、受け止める側がハラスメントだと主張している時点で、人間関係には十分亀裂が入っている。ハラスメントの処理手続きに載せると、大学が関わってくることになるが、人間関係の亀裂を調整するのが大学の役割かというと、それも釈然としない。就学環境の改善という意味では何かしなくてはいけないのだろうけれど。

 発声練習さんのところのリンク集なのだけど、興味深いものがあった。「モンスタースチューデントの問題と大学教育の危機

昨今、教育的指導の範疇であるにもかかわらず、自分に都合の悪いことがあると、アカハラ/パワハラを受けたと訴え出る学生が急増しており、大学教育の危機を招来しています。また、こうした学生を利用して、その教員を加害者に仕立てて追放しようとする周囲の教員もいます。このような現象は、全国的に見られており、社会問題化しています。
私が勤務する大学では、ハラスメント委員会の調査は、外部識者を入れずに聴聞が行われるため、調査の公平性、透明性、適正性などは担保されません。つまり、冤罪が簡単に起こってしまう危険性が高いのです。これでは安心して教育活動に従事することはできません。どうすれば、こうした由々しき事態を改善し、大学教育を正常化できるでしょうか?妙案があれば是非教えてください。

 

 さて、以下、少々歯切れの悪い書き方になる。というのは、私が、夏前から上のOKWaveと類似のケースに巻き込まれた当事者となっているからであり、守秘義務もあるので具体的なことは述べられないからである。何をどこまで言えるかは、現在進めている保有個人情報の開示手続きでどこまで大学が開示するかにもよる。

 まず、巻き込まれた教員の心構えは、従来の徒弟関係を前提にするのではなく、法的手続きに迅速に移行することを目指して最初から動く、ということである。ムラ社会的な人間関係や伝統的な徒弟制度のもとでは、あからさまな法的紛争ではなく内輪でなあなあで解決することが好まれる。しかし、いろいろな大学が持っているハラスメント処理手続きに処理を委ね、第三者である委員(弁護士など学外専門家が含まれることもある)を加えて解決を図るという方法は、ウェットな人間関係を前提に解決する方法とは、まるで文化を異にする。一定の手続きに載せた以上、それは法的紛争につながる道でもあり、「ある程度濃密な人間関係を前提にしてなあなあで解決を図る」というやり方は既に却下されたのであるという認識を持つべきである。この思い切りができないと、対処が遅れることになる。

 一旦、大学の調査でハラスメントの加害者であると認定されて何らかの処分をされてしまうと、教員が大学を訴えて撤回を求めた場合の勝率は2割程度だ、というのが、知り合いの法科大学院の先生にうかがった話である(統計をとったわけではないが、そういう感触だそうだ)。教員にとっての最悪の事態は、ハラスメントの加害者にでっち上げられて何らかの処分をされた後で、裁判所で処分撤回を求めることになる、というものだろう。従って、ハラスメントの実態が存在しないことを調査の時に大学に対して主張するだけでは不十分で、「裁判所で争って大学に対して処分撤回を求めることになった場合、今何をしておくとその時に有利になるか」ということまで考えて対応することになる。

 加害者教員の勝率が低いのは、大学相手に争っても「委員会による調査には瑕疵がない」とされることが多いので、大学の過失というハードルを越えるのが難しいからである。従って、最初にするべきことは、学内のハラスメント申し出の手続きを使い、学生が使ったのと全く同じルートで、学生や関わった教員を対象として、でっち上げ行為自体がハラスメントであると訴えておくことである。身に覚えのない申し出をぼんやり見ていたのでは手遅れで、争う意思表示を初期のうちに明確に出す必要がある。この手の書類はかなり上の方まで行った後で委員会に回るから、同じ手続きで申し出書類を出しておくと、真っ向から対立する状態であることが大学にわかる。身に覚えのある人が申し出られて言い訳を考えている状態なのか、身に覚えがないのでとことん争うつもりでいる状態なのかで、大学の調査も違ってくるはずである。もし、争いがあるとわかっていて一方的な調査結果を出したということになれば、その部分に穴を見つけて大学の責任を問うことができる可能性が出てくる。また、調査されることを受動的にあいまいに受け入れて処分が出た後で反論するというのは、いかにも後付けで往生際が悪く見える。最初から争っていた、というのとは、いざというときの裁判官に与える印象は随分違ってくるだろう。いずれにしても「最悪の場合」の、訴訟の進行にかなり効いてくる。

 次に、証拠を集めることである。ハラスメントとされた実行行為そのものについて、可能な限り、書類やその時の状況を示すものを集めておく。調査が進むと、担当者との間で状況を知らされることがある。内部調査だと、内容が確定していないという理由で書面がもらえない場合があるので、話をするときは、必ずメモを持って行き、示された資料の丸写しが無理でも、要約をきちんと書いて日付とともに残しておく。
 周りの教員によるでっち上げが同時に行われている場合、問題の持ち込み先は、裁判所以外には人権擁護局や労働局(労使紛争とはずれているが、敵対的労務環境なので)といったものも考えることになる。いずれにしても、学外の第三者に、何が行われたかを立証しなければならないことに変わりはないので、それに耐えられるだけの証拠を集めることを目指す。仲間内であれば陰口や告げ口だけでも人は動くかもしれないが、規則通りの処理をやるには必ず書類が必要なので、後に証拠が残る。自分が何を主張したかを調査する側がきちんと知っていた、という証拠も重要である。聞き取り調査があった場合は、何を話したか文書にまとめられたものに後で署名することになるので、コピーをつくっておく。他に何か主張がある場合には書類で出して、手元にコピーを保管する。でっち上げにどこまでの教員が関わっているかによっては、証拠の捏造もあり得ると考えた方がよい。

 調査が一段落すると、結論を出す前に、解決策が提示されることがある。でっち上げ事件の場合は、反対の申し出をしておけば、対学生(そもそものきっかけ)と対教員(書類を出し返した分)の両方について行われることになる。この時の基本的な姿勢は、絶対に妥協しない、ということである。「学生と教員だから」などときれい事を言って妥協を迫られても、そんなものは却下でよい。多少は情緒的な部分を含んだ意味での「学生と教員の関係」というのは、少なくとも双方に相手を陥れようなどという意図が無いことが前提である。その前提が崩れているのだから、残るのは「学生」「教員」という、契約上の関係だけで、それ以外には何もない。悪意をもって他人を陥れようとする相手と人間関係が修復できるなどという甘い考えはさっさと捨てよう。対教員についても同様で、妥協して双方が譲歩して決着をつけるというのではなく、したことの責任を追及した後で許す、というつもりで行うことになる。
 ただし、不誠実な態度で交渉するのはいけない。あくまでも冷静に、後から裁判官の前でこの交渉の実態を述べても心証を悪くしないかどうかに気を配っておく。

 一連の対応の間、同僚には極力相談しないということも大事である。つい愚痴をこぼしたくなったりするかもしれないが、その内容が、進行中のでっち上げを仕組もうとした人に伝わらないという保証はない。相手にむやみに情報を与えないということは、戦略上大事である。また、学外に相談できる人をつくっておくことも大切である。大学の状況もわかっているが利害関係が全く無い別の大学の教員や、プロである弁護士を相談先にするとよい。
 最悪のケースである訴訟への対策として反対の申し出を出しておく、ということを書いたが、これをやるメリットはもう1つある。でっち上げをやる側は、でっち上げがうまく決まってハラスメントであることを当該教員に認めさせることが当面の目標であり、あわよくば処分を狙っている。だから「対学生の問題なので円満な解決を……」「職場内の問題なので……」という一見まっとうな意見を非公式に言う、あるいはそのような内容を周りの教員を通じて説得させようとする動きが必ず出てくる。対教員の申し出をしておくと、もはや処理手続き以外のルートで第三者である教員が何かを言うことができなくなる。ハラスメントの問題を解決するために周りが何らかの圧力をかける行為は正規の処理規則外の行為であり、新たなハラスメントであると認定される可能性が出てくるからである。

 学内処理が決着したら、一連の行為の中で責任追及できそうなものを選び出して、どういう形で責任を追及するかを考える。学内のハラスメント処理は、就学環境の改善や人間関係の修復といったことを目指して行われるので、でっち上げによって生じた損害をどうするか、といったことは学外でやることになる。このあたりは、何が行われたかによって、変わってくるので、一般論は無い。専門家への相談と、民事も刑事も考慮しておく、といったあたりか。

 OKWaveの質問への私からの答えは、まずは個別の努力によって「でっち上げをやっても割に合わない結果になる」という事実を積み重ねるということである。今はおそらく過渡期だが、全く根拠のない理由でハラスメントの申し出をするとそれなりのリスクがある、ということが知れ渡ってくれば、落ち着くところに落ち着いていくだろう。併せて、冤罪が発生しないように処理規則を見直していく。これくらいしか対処方法はないと思う。

 さて、このエントリーのタイトルの意味について。

 相手に、他人を陥れようとする意図がある場合は、ハラスメントの申し出がある前も後も、下手に反論すると「ハラスメント」という言いがかりを追加される危険がある。相手が上に引用したようなハラスメントの基準を拡大解釈し、ハラスメント=嫌がらせ=受け取る側が嫌だと思うこと全て、というつもりでいる場合は、際限がなくなる。周りの教員がでっち上げをしようと考えている場合は、さらに紛糾する。このような場合は、下手に反論するよりも、相手のやったことの証拠をつかんだら、遠慮無く提訴する方が、教員にとって危険が少ない。法的手続きであれば、相手がいかにそれを嫌がろうと、やった側がハラスメントを行ったと認定されることは無いからである。面と向かって反論するとハラスメントと言われかねないが、裁判所であれば、いかに徹底的に反論しても、それは弁論であってハラスメントではない。
 まあ、学生が気軽に教員のハラスメントをでっち上げて告発するようになれば、教員だって学生を気軽に提訴するようになるという、ただそれだけの話である。

【追記】
 攻守所を変えたハラスメントの申し出を行って真っ向から争ったケースは、ウチの勤務先では私が最初だろうということである。学生によるハラスメントの申し出を利用して教員が別の教員を陥れるという行為は、2003年に出版された「大学教授は虚業家か」という本で既に取り上げられている。他の大学では既に攻守所を変えた申し出をした人居るかもしれない。もし、これをやった人がいらっしゃいましたら、差し支えのない範囲でコメントをいただけると嬉しく思います。

 心構えや対応方法について,直接ではないが参考になる本として、「プロ法律家のクレーマー対応術」がある。

レッテルを貼る奴を見ると無条件に攻撃したくなる

Posted on 12月 13th, 2008 in 倉庫 by apj

 国籍法関連の話題2つで、どうせあちこちでニセ科学批判と関連づけていろいろ書かれるだろうと思うが、面倒なので探し回る気はない。

 ただ、1つだけ宣言しておく。類似のことを私は今後もやる、と。

 何故なら、レッテルを貼る奴が嫌いだからだ。これは、私のもうちょっと奥深い感情というか情念のレベルの話だから、このことを批判されても受け入れるつもりはない。私の存在意義がそこにあるから。

 とりあえず、ニセ科学批判者というレッテルはお断りしたっけか。ニセ科学と呼ぶのは、レッテル貼りじゃなくてレッテル剥がしだとも書いたことがある。
他人を右翼だの歴史修正主義者だのと呼ぶ奴は私の敵だ。だから、そんな主義者が本当に居るのかと反論する。
他人を左翼と呼ぶ奴も私の敵だ。お前がレッテルを貼ってるのは本当の左翼かと問い詰めに行く。
とりあえず、他人を○○主義者、と呼ぶ奴は、それがジョークでない限り私の敵だ。

 自分で○○主義者を名乗る場合は、それを尊重するが……。

判決を探さないと……

Posted on 12月 13th, 2008 in 倉庫 by apj

 Yahoo経由産経新聞の記事

ネット上の裁判傍聴記は著作物にあたらず 最高裁
12月11日18時26分配信 産経新聞

 インターネット上で公開した裁判傍聴記が、情報通信大手ヤフーの運営するブログに無断転載され、著作権を侵害されたなどとして、筆者の男性がヤフーにブログ削除などを求めた訴訟で、最高裁第1小法廷(涌井紀夫裁判長)は11日、男性の上告を受理しない決定をした。

 傍聴記の著作権を認めなかった男性敗訴の1、2審判決が確定した。

 2審知財高裁判決などによると、男性はライブドア事件の裁判を傍聴し、証人尋問のやりとりをネットで公開。この傍聴記がヤフーの運営するブログのなかで無断掲載された。

 男性は傍聴記について、「創意工夫し、情報の取捨選択も行った著作物」と主張したが、知財高裁は「創作性は認められない」などと、創作物であることを認めず、著作権侵害にも当たらないと判断していた。

 裁判サイトを作っている身としては、どういう判決なのか追っかけておかないとまずいのでとりあえずメモ。

これは焦る……

Posted on 12月 13th, 2008 in 倉庫 by apj

 Record Chinaの記事より。マイミクさんからネタ頂戴。

赤っ恥!科学誌の表紙に「不適切な店」の宣伝コピー、中国語わからず―ドイツ

2008年12月10日、世界的に有名なドイツの科学専門雑誌「Max Planck Forschung」の最新刊・2008年第3期号の表紙に印刷された中国語の「詩」は、いかがわしい店の「宣伝コピー」である可能性が高く、これを目にした中国人を不快にさせているという。「中国新聞網」が伝えた。

問題の雑誌はドイツのマックスプランク研究所(Max Planck Institute)が定期発行している。最新号は中国特集で、表紙も中国風にアレンジ。表紙中央には、赤地に白抜きの繁体字(旧字体の漢字)で中国語の五行詩らしきものを載せている。しかし、その内容は「若くて可愛い子(青春玉女)」や「北方佳麗(北方美人)」、「魅惑的な体(身材惹火)の人妻(家住少婦)」など「凄い美女が本日登場(風騒迷人即日登場)」というもの。

9日付の英紙「インディペンデント」は、この「詩」について「マカオにあるストリップ劇場の宣伝文」だと報道。科学誌の編集委員会はこの件について「恥ずかしさの極み」とコメントした。発行元の同研究所は、ただちに中国人読者に向けた謝罪文を公開し、「この『五行詩』を載せるにあたってドイツ人の中国語学者に確認をとったところ、『繁体字なので問題はない』と言われた」として故意ではないことを強調した。そして「我々は今になってこの『詩』の意味がわかりました。そこで中国人読者の皆様に不快な思いを抱かせてしまったことに対し、率直に心から謝罪するものであります」と述べている。(翻訳・編集/本郷)
2008-12-11 17:08:43 配信

 問題の表紙はこれ。
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 まあ、不快感というのは公式のクレームとして、最初に見た中国人&中国語のわかる人は、びっくりしたんじゃないか。大学紀要とか、○○センターニュースといった冊子の表紙にストリップ劇場の宣伝ビラが掲載されていたようなものだし。「今度は一体何の研究を始めたんだーっ!」「何が起きたんだ」と思うわな普通は。
 まあ、状況が状況だから故意にやったとは誰も思わないだろうが、『繁体字なので問題はない』という判定が意味不明。問題は字じゃなくて内容だろうに……。
 しかし、どこからそんなチラシが紛れ込んだのだろう?誰かがイタズラで混ぜておいたら、本当に表紙に出てしまって大騒動とか……?謎だ。

どんな主張をしたのだ?

Posted on 12月 12th, 2008 in 倉庫 by apj

 asahi.comの記事より。

中日新聞社に賠償命令 「あるある」番組内容の報道巡り
2008年12月12日20時37分

 東京新聞に虚偽内容の番組を製作したとの記事を掲載されて損害を受けたとして、東京都港区の番組製作会社が約2370万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が12日、東京地裁であった。笠井勝彦裁判長は「真偽を確かめる取材をした形跡がない」として、東京新聞を発行する中日新聞社(名古屋市)に275万円を支払うよう命じた。

 この製作会社は、捏造(ねつぞう)が発覚した関西テレビの情報番組「発掘!あるある大事典II」のうち、手のひらで悪玉コレステロールの有無を判定する「手のひら判定」を紹介した番組(05年6月放送)を製作。東京新聞はこの番組内容が虚偽だと指摘する記事を07年1月31日朝刊に掲載した。

 笠井裁判長は、番組を監修した大学教授が手のひら測定の有効性を主張していたのにもかかわらず、教授本人への取材をしないまま記事を掲載したと指摘。「取材をすれば医学界に対立する意見があったことを認識できた。報じた内容が真実だと信じる相当の理由がない」と結論づけた。

 判決は、「手のひら判定」の有効性そのものについては「判断するに足る証拠がない」とした。

 中日新聞東京本社(東京新聞)の深田実編集局次長は「判決内容には承服しがたい部分もあり、よく検討したうえで今後の対応を決めたい」とコメントした。

 てのひら判定は見るからに怪しいのだが……。捏造じゃないかということを報道した東京新聞の記事を引用したblogを見つけたので、記事を貼っておく。日付も2007/01/31と一致しており、この記事が、訴訟の原因になった記事っぽいのだけど、本当のところは訴状を見ていないのでわからない。

手のひら判定もウソ 捏造疑惑まだ『あるある』

 実験データの捏造(ねつぞう)が発覚して打ち切られた関西テレビ制作の情報番組「発掘!あるある大事典2」で、動脈硬化の原因物質となる超悪玉コレステロールを紹介した放送分でも「超悪玉コレステロールを持っているかどうか手のひらを見れば分かる」などと虚偽とみられる情報を流していたことが三十日、出演した学者の証言で分かった。
 
 二〇〇五年六月十九日に放送された「身体の危険度シリーズ第2弾 『知られざるコレステロールの恐怖』」で、病院に行かなくても超悪玉コレステロールをチェックできるという方法を紹介。テーブルの前に座り両手を足の上に置いて十秒後、手のひらをテーブルに載せて血色を確認。赤い人は要注意で、霜降りの人は危険信号と超悪玉コレステロールが多い可能性があるとした。

 番組前段で超悪玉コレステロールについて説明した東邦大学医学部の芳野原(よしの・げん)教授は「取材に来たスタッフに『手のひらで分かるんですよね』と尋ねられ『血液を採って調べないと分からない』と答えた」と言う。同教授は番組全体は知らされていなかった。放送された番組には手のひらチェックがあり「そんなことで分かるはずがない。専門家の意見を無視した内容だ」とあきれたという。

 さらに番組では「手のひらの血色チェックは、超悪玉コレステロールができる原因となる肝機能の低下をみるためだとも理由づけていたが、そのような判断ができるという理論は医学界には存在しない」としている。

 関西テレビは「過去の分についてはまとまった段階で回答をしたいので個別のケースには答えられない」としている。

 記事通りなら、手のひら判定を紹介した芳野教授に話を聞きにいっていることになるので、「教授本人への取材をしないまま記事を掲載した」と食い違っている。あるあるの捏造を報道した記事の3段落目の内容が新聞社による捏造だったということなのだろうか。

【修正】
 芳野先生は、手のひらチェックの回には関わっておらず、別の先生が出演・監修していたとのこと。であれば、芳野先生のところに取材したが、別の先生の方に行かなかったのだろうと考えられる。詳しくはこのエントリーの最後へ。

 手のひら判定そのものについては、判断に足る証拠がない、というのが裁判所の判断になったということは、「手のひら判定は客観的に見てインチキ」という立証はしなかったか、したけど失敗したということなのか。特定の研究者だけが主張していて普通の医者は全く認めていない検査方法であるという立証ができれば、内容が虚偽、と記事を書いても、真実相当性を認めてもらえるのではないかと思うのだが……。

 ところで、手のひらでコレステロール測定については、いきいき健康 NIKKEI NETにこんな記事がある。

(4/24)皮膚のコレステロール検査で心疾患リスクを評価 手のひらからわずかな皮膚細胞を採取するだけのコレステロール検査で、健常者の心疾患リスクを評価できることが報告された。この検査法は、血液中のコレステロールと分子的に関連した物質である皮膚のステロール値に着目するもの。 9,055人を対象とした試験の結果、皮膚ステロール値とHDL(善玉)コレステロール、および炎症マーカーで心血管疾患の危険因子(リスクファクター)とされるC反応性蛋白(たんぱく、CRP)の値との間に強い相関が認められた。グラクソ・スミスクライン社のDennis L. Sprecher博士が、米アトランタで開催された米国心臓協会(AHA)動脈硬化・血栓症・血管生物学会議でこの知見について発表した。

 今回報告された検査法は、カナダPreMD社が販売する既存の皮膚ステロール検査に改変を加えたもの。旧型の検査は現在ヨーロッパ、カナダで用いられており、米国では限定的に使用されている。この検査では、小型のプラスチック器具を用いて手のひらの表面から死んだ角質細胞を剥離し、細胞内のコレステロール値を測定する。

 2005年、米ウィスコンシン大学のJames H. Stein博士が、この旧型検査により得られるコレステロール値が、超音波で測定した動脈壁の厚さおよび狭窄の評価と相関していることを報告しているが、新型の検査についてはこのような超音波での評価は実施されていない。また、旧型ではその場でコレステロール値がわかるが、新型の検査は検体を研究室に搬送して分析する必要がある。PreMD社のMichael Evelegh氏は、新型検査はまだ臨床試験を始めたばかりと説明している。

 Evelegh氏は、この方式の検査は「保険加入の際などに、血液を採取せずにコレステロール検査をしたい場合に有用」と述べている。今回の研究は、生命保険加入のために検査を受けた被験者を対象とした。皮膚コレステロール検査が有効である理由は、血液中のコレステロール値よりも、血管壁に蓄積されるコレステロールが重要であるためだという。コレステロールが血管壁に蓄積されるなら、皮膚をはじめとする全身の組織にも蓄積されると同氏は説明している。

 また、従来のコレステロール検査では検査前に絶食する必要があったが、この検査では絶食の必要がなく、朝食の内容によって結果が左右されない点も長所の1つだという。

 これが実用化されれば、血液を採らなくてもコレステロール値がわかることになる。残念ながらこの記事は放映の3年ばかり後で、まだ報告されただけの段階である。
 もちろん、あるあるの「血色による確認」とは何の関係もない。

【追記】
「タブー無き医療特集」のページに、この件について書かれていることをNATROMさんより教えていただいた。関連部分を引用する。

誤解生む放送「ビックリしました!」 
― 今回問題になっている「発掘!あるある大辞典2」の過去の放送に、芳野先生もご出演なさっています。
その放送でも、事実が歪められた部分があったとか。
私が協力したのは、コレステロールについて放送された回です(2005年6月19日放送「身体の危険度シリーズ第2弾
『知られざるコレステロールの恐怖』」)。コレステロールにもいろんな種類があります。
よくいわれる悪玉コレステロールに加え、最近はさらに悪性度が高い「超悪玉コレステロール」の存在を、
私たちが提唱しています。その時は「悪性のコレステロールについて紹介したい」ということで依頼が来ました。
趣旨自体には賛同できたので、ご協力したんです。
― 同番組は関西テレビの制作ですが、取材に来たのは別の会社だったのですね?
はい。系列の制作会社です。放送の数ヶ月前でしたか、30歳代くらいの若い人たちが3人くらいやって来ました。
誤解のない様に言っておくと、彼らは私の話を一生懸命聴いてくれました。
視聴者に分かりやすい内容にするため、とても頑張ってくれたんです。
―え!? そうなんですか?
若いスタッフたちは皆さん熱意を持って取材してくれて、専門的な話もよく理解してくれました。
悪玉コレステロールの生成過程についてアニメーションまで作ってくれて、正しく、分かりやすく伝えてくれました。

― 虚偽と思われるのは、確か「手のひらを見れば、超悪玉コレステロールの有無が分かる」という
内容だったと思いますが。
そうです。その部分には私は関わっていませんでした。
別の先生が出演・監修されていたので、私の名前も使われていません。
ただ番組は、前半が私の出演による「悪玉・超悪玉コレステロールの説明」で、後半に「手のひらでそれが分かる」という内容が続いていました。
私が関わったのは前半だけなのですが、その流れだと後半の内容についても私が認めているように映ってしまった……
そこが問題であり、困惑したところなんです。
― なるほど。
言ってもいないことが、さも先生の主張のように誤解されてしまう放送内容だったのですね。
制作会社のスタッフは、私にも「手のひらで、超悪玉コレステロールの有無が分かるのですか?」と聞いてきました。
もちろんそんな事で分かるはずがありません(笑)。
「血液をとって調べないと分からない」と言っておいたんです。
ただどうしてもこの筋書きで番組を作る必要があったのか、後半には別の専門家が出演し、「手のひらで分かる!」と検証しています。

―う~ん、ムチャクチャな番組制作ですね……。
ただね、制作会社側には責任がないと思うんですよ。
後半部分に協力した3人の専門家が、「手のひらで超悪玉コレステロールが分かる!」とお墨付きを与えているんですから。
むしろ誤った情報が流れてしまった責任は、専門家にあるはずです。
この専門家がねぇ……3人のうち2人は、皮膚科の先生だったんです(笑)。
皮膚科の先生は悪玉コレステロールについて、よくご存じないはずですよ。
― 専門外の事柄について、お墨付きを与えていた事になりますね。
もう一人は確かに代謝・内分泌系の先生でした。
しかしその先生が「手のひらで超悪玉が分かる」なんて論文を出しているわけではありません。
学会でそんな理論は全く認められておらず、「ナンセンス」の一言です。
― 研究による立証など、しっかりした根拠がないわけですね。
そもそも悪玉コレステロールの概念が出てきたのが20年前くらいで、超悪玉に関してはごく最近なんです。
超悪玉は、悪玉の中でも特に小型で重いものを指しています。
これは非常にタチが悪く、動脈硬化を引き起こす可能性も高い。とても危険な存在です。
新しい説だからこそ、その内容と注意点を、一般の方にしっかりお伝えしなくてはいけないのです。
なのに、誤った意見がまかり通ってしまうと……(ため息)。
― 患者さんが、誤った情報を真に受けてしまうこともあり得ますね。
実際、私の外来患者さんでもいらっしゃいました。
「先生、手のひらで分かるんですか?」って。
先にも述べたように、番組は、私までがその内容を認めているような流れでしたからね。
さらにはね、息子にまで誤解されたんですよ(笑)。
「お父さん、スゴイね!超悪玉コレステロールは手のひらで分かるんだね」なんて。
「いやいや、そうじゃないんだよ(汗)」って、患者さんにも息子にもいちいち説明しなくてはなりませんでした。
― テレビ局に抗議なさろうとは、思われなかったんでしょうか?
ただ私が関わっている部分(前半部分「悪玉・超悪玉コレステロールの説明」)については、 正しい内容を伝えてもらっているんです。 問題の後半部分は、あくまで他の先生の出演・監修でした。 その誤った部分が私の主張と混同されたのは迷惑でしたが、かといって私が抗議する筋合いでもないですからね……。 ただ私が関わっている部分(前半部分「悪玉・超悪玉コレステロールの説明」)については、 正しい内容を伝えてもらっているんです。 問題の後半部分は、あくまで他の先生の出演・監修でした。 その誤った部分が私の主張と混同されたのは迷惑でしたが、かといって私が抗議する筋合いでもないですからね……。

議論のテーマが違う

Posted on 12月 11th, 2008 in 倉庫 by apj

 「ニセ科学批判してる先生の発言がニセ科学信者とさほど変わらない件について」で言及されたので改めて書いておく。

 そもそもガキの国籍の話が何故出入国管理の話になるのかわからねえんですけどね。事象のレイヤーが違う話だろ。この辺もニセ科学信者の議論のすり替えと変わらないよね。

そんでもってそこらへんって、根本的に今回の国籍法改正に全く関係ねえ話。

 そもそも「ガキの国籍の話」なんかしてなくて、「国籍法改正に反対する人が目立って出てきた理由」の話をしていたのだからレイヤーが違うのは当たり前。国籍法改正の是非については、最初から議論するつもりは全く無かったので、エントリー内にも何も書いていなかったはず。国籍法改正の議論だと勘違いしたコメントに対応していて引きずられたのは私の不手際なので、それを見て国籍法の話だと思われたのなら仕方がないのだけど。とにかく、私が最初に書いた内容(コメント以外)は、改正反対運動の動きが派手だった理由は出入国に対する不信感の蓄積では・不信感を払拭するには出入国管理をもっと厳しく厳格にやるべき、ということを書いただけで、国籍法改正そのものについては何も書かなかった。思想的背景がそんなに無い人が、好き勝手されかねないという不安から反対の主張を安易に受け入れた結果、反対する人の数が増えたのでは、と思ったもので。 ってかさ、国籍法と関係のない入管の話をしているってところまでわかったのなら、そもそも国籍法は議論のテーマではないってことに気付いたらどうかと。
 入管についての私の認識(思い当たる節として列挙した内容)が間違っているという指摘があるのはわかる。実際、コメント欄の方で、入管の状況そのものについていくつか教えていただいたし、そのことは受け入れている。

 すると、私が想定した「不信感」は前提が間違っているから実際には無いので反対者がたくさん出てきた理由にならない、ということになったとしても、国籍法そのものの話とはやっぱり何の関係もない。入管はもう十分きちんとやっているのでこれ以上対策の方法がない、という結論になったとしても、国籍法の話とは関係がない。

思想的にアレな人もかなり混じってるよ。なんつーか、必死に薪くべてる感じなんだよね。

 ここでいう思想的にアレな人、というのは、私が説得不可能と考えている人と重なるんじゃないかな。原理主義的なゼノフォビア、といった呼び方もしたけど。 ただ、反対意見の書かれ方からは、思想的にアレな人と同調してるだけの人が混じってるように見える。 404 Blog Not Foundのエントリーにはこうある。

けれど、なぜ「デタラメな情報がネット上に飛び交って、議員も巻き込んでの大騒動」になった理由が、未だに理解というか得心できない。なぜこれほど外国人好きの国民が、いざ外国人に国籍を与えるとなるとあれほどかたくなになるかということだ。(中略)

だから、「そもそもそう簡単に外国人を入国させない」ことであればまだ話はわかる。「既得権を守りたいから」という理解が出来る。私がそれをよしとするつもりはないが、少なくとも理解は出来る。「日本のおいしいところだけもって」行かれたくなければ、外国人を入国させないのが一番よいのだから。しかし日本はそうではない。入国だけであればむしろ合州国などよりも簡単だという声もある。

 思想的にかたくなな人は存在するだろうが、そんなに数が多いのか?いくら煽ったところで、かたくなな人だけだったら大騒動にはならないだろうし、同調している人が居るのではないか。じゃあ、同調する人が出てきたのはどうしてか、と考えて、入管に対する不信感があるのではないか、という意見を書いた。

 思想的にかたくなな人の活動だけで大騒動になる、ということであるなら、同調した人が居たからここまで騒動になった、というのが私の思い込みということになるのだけど。

 

 ・・・つーかさ、頼むからまとめサイトばっかり見てるんじゃなく、実際に現場に関わってる人の意見も見て考えたほうがいいんじゃないか。

 反対している人が多いこと、反対の主張が広がったことの理由について引っ掛かっていたので、反対の立場の人の主張を見ていた。日本人の血統が云々、という方向の主張や、いたずらに外国人を嫌っているだけの主張があって、それ以外に、ズルして勝手なことをされたくない、という感情から出てきたらしい主張もあった。外国人を排斥したいという主義の人は説得したって反対の主張を変えないだろう。しかし、後の方を主張している人は、ズルできるようにはなっていないことが普段から伝わっていたら、現場の人の意見を知らなかったとしても、反対しなかったんじゃないかと思う(証明はできないけどね)。

 現場に関わっている人の意見は、国籍法改正そのものを考えるには読むべきものだと思うが、反対する人がたくさん出てきて騒動になった理由とは直接関係しないのではないか。当たり前だけど、反対意見の多くは、現場に関わっている人の意見とは最初からまったくかみ合っていない。「反対者が単にわかっていないだけ」ということしか出てこない。わかってない、ということが、今回、反対者増えて騒いだ原因であると考えていいのか?それだけじゃないと思ったから、反対する人が多くなった理由を考えようとしたのだけど(多い、といっても人数を数えるのも無理なので、反対者の存在が記事になるほどには多いとか、反対を主張するサイトの数やコメントの数とか、送られたFAXの数が業務妨害として問題になる程だ、というあたりで多い、と言うことにする)。

 あともう1つ。「下心率」(?)ということで、「普通に好きな人ができて結婚するつもりで、という状況を想定してます」の検証方法として書いたものについて、

・主語は誰なんですかね この場合、主語は「日本人の男性」と「外国人の女性」の複数ケースあるんだが。・A国→B国だけでなくB国→A国もあるのだけど・結婚可能な年齢、結婚離婚に関する制度は国レベルでめちゃくちゃ違ってくるんですがね。・そもそも「普通に恋愛する」という定義が曖昧・そもそも、極端に(y)/(x)の値が大きいのと「普通に恋愛」とはいえないことの相関性は?
・そもそも統計として帰納不可能なほど一般化しづらいんじゃないんですかね。恋愛ってのは。

とツッコミが入っている。
 「下心率」(?)の計算は、話の流れの中でこんな感じか?ということで出してはみただけのもので、穴があるのが当たり前。こう考えたら一体どうなる?という出発点に過ぎない。なお、その後のコメントのやり取りで、変動をもたらす要因があれこれあって使えないし必要もない、という結論が出たので既に下心率(?)の計算については捨てた。その後は持ち出していない。
 問題の部分は、コメントの流れの中で「普通に好きな人ができて結婚するつもりで、という状況を想定してます」というのを受けて書いただけである。「普通に」は曖昧さが入るから決めようがないので、想定を議論の前提にすることに無理があるだろうと考えた。しかし、「普通に」の中身の議論を始めても話がそれるだけになりそうだったので、敢えて定義(っぽいことを)して、どれほど無理が出るか見ようとした。この場合、曖昧で定義できない・やってみても別の要因が多すぎて使えない、等々、失敗することがはっきりすれば目的を達することになる。何を検証するつもりかなどという分けのわからないツッコミがなければ、回り道をせずに、使えない・あるいは実は決めようがない、という結論に至ったはず。

 正直、語るに落ちたなという感じ。普段非難してるニセ科学信者の連中と五十歩百歩なんじゃないんですかね。少なくとも俺にはそう見えるんだけど。

 と言われる理由は無いな。最初に出した方法で意味のあるものが計算できると言い張ったのならともかく。 ってか、普段ニセ科学を批判している人間には、バカなアイデアを出してみてダメならさっさと捨てる、ということすら許されないのかね?
以下は私の意見・立場
 国籍法に反対する人のうち、思想に基づいて反対している人は、説得しても意見を変えることはないだろう。今後も何かあったら、思想通りの主張をするだろう。
 思想的背景は無いが、出入国管理に対する不信感から(好き勝手されるんじゃないかと不安になって、あるいは好き勝手されそうだと思って不満を持って)反対している人については、不信感さえ払拭できれば、対話が成立し、説得すれば反対しなくなるのではないか。不法就労や不法滞在が継続的に起きたり数が増えたりすると、不信感が強化されそうである。これを防ぐために、法律通りの出入国管理が実現するように(違反者を減らすように)取り締まりを強化してはどうか。違反者の現状がどうなっているかと言うことも、広くわかりやすく伝えるようにして、普段の不信感を取り除くようにしたらどうか。
 今回は国籍法がネタになったが,不信感がつのった状態をそのままにしておくと、次に何かあったときに、同様の反対運動等が起きるかもしれない。しかし、むやみに外国人を排斥したがる人が増えるのは良い結果にはならない。説得可能な人たちが居るなら、ゼノフォビアに染まる前にこっちに呼び戻したい。

【追記】
 ごんべえさんの指摘をいただいたので、コメント欄でソースに言及した。出入国管理に不信感を持つ人が改正反対の主張を信じてしまうのでは、と思った理由は、反対派の議員連盟のウェブサイトの個条書き部分(懸念として書かれている)。単なる排斥主義だと(私が思った)主張は、たとえば、炎上した河野議員のblogコメントの方に含まれている。他にもたくさんあるだろうけど。

思い出話

Posted on 12月 11th, 2008 in 倉庫 by apj

 ポケコン哀歌を聴いていたらいろいろ思い出したので、段ボール箱を開けて、MICRO創刊号を取り出してイメージスキャナで取り込んでみた。

 MICRO創刊号が出たのは1984年1月。私は高校2年生で、3ヶ月後には理系(物理・化学選択or化学・生物選択)文系クラスの振り分けを控えていた。

 パソコンがマイコンと呼ばれていた時代、友人は先にカシオのポケコンを買って、プログラムを書いていた。電気部の部室のマイコンのテレビ画面に、BASICで線を引いたり動かしたりしている2年上の先輩を感心して見ていた。まだ、一度もプログラミング言語を学んだことがなかった私にとっては、その先輩は「プログラムを自分で考えて作れる凄い人」だった。あと、目につく範囲でマイコンを持っていたのは物理の先生だけで、物理準備室を覗くと、動かしているのを見ることができた。落下実験の測定装置を作って、重力加速度の実測デモを見せてくれたのを覚えている。電磁石で保持した金属製のボールをパソコン側の制御で落とし、床にぶつかった音を測定し、落下時間を計測するというものだった。

 高校1年生の時に、出版されたばかりの「さよならジュピター」を図書館で借りて読んだ。長編SFをあまり読んだことが無かったので、珍しさも手伝って、夢中になって読んだ。ブラックホールが太陽系に突っ込んできて、地球と衝突しそうになったため、木星をぶつけて軌道を逸らすという設定が興味深かった。その後、「さよならジュピター」が映画化されるということを知った。
 MICRO創刊号には、「さよならジュピター」の、ブラックホール突入のシミュレーションが出ていた。しかも、運動方程式を立てて、プログラムのソースコード付きだった。シミュレーションという言葉は知っていたが、中身がどうなっているのかという実例を、このとき初めて見た。
 小説の中の設定を、実際の物理学に基づいて計算して予測できるということに、驚くと同時に感激した。自分でもできるようになりたいと思った。

 高校2年の3学期は、基礎解析の微積分に入ったところだった。MICROに書かれた微分方程式の意味すらわからなかった。かろうじて物理の教科書に出ていた運動方程式だという見当はついたが、なぜそのように式を書くのかもわからなかった。調べようにも、本が無かった。大学の無い街に住んでいたから、専門書は手に入らなかった。地元の図書館にも資料となりそうな本は置いてなかった。本を買うために遠出する旅費も無かった。

 MICROのシミュレーション記事への興味もあって、クラス分けでは、物理・化学選択の理系クラスを選んだ。例年、女子の物理選択希望者が少なすぎる(2,3人程度)ため、物理化学選択は男子のみのクラスとされ、女子の理系希望者は化学生物選択クラスにふりわけられることになっていた。ところが、私の学年は物理の履修を希望する女子が十数人居たので、女子も物理化学選択クラスに入ることができたのは運が良かった。

 MICROの記事の内容は、高校物理の範囲を超えていた。物理をやれば理解できるようになるだろうと思って突き進もうとしたが、しかし私は物理の出来が悪かった。私は、高校の教科書では物理を理解できなかった。高校の教科書で勉強すると、細かい個別の公式を覚えて、試験問題に当てはめるという作業ばかりになってしまう。これがどうしてもうまくできなかった。結局、駿台文庫の山本義隆の本を買って独学し、小出昭一郎の物理概論を独学し、やっと模擬試験で点がとれるようになった。微積分を使って物理法則を記述するという、当たり前の方法で進まない限り、理解できなかったのである。

 高校在学中に、私もポケコンを買った。本当は、MICROに出ていたシミュレーションをやってみたかったのだけど、マイコンは高くて買えなかった。ポケコンに移植して計算だけでも、と思ったが、微分方程式の数値解法など知るはずもなく、手出しができないままだった。それでも、プログラムだけは知っておこうと、1行しかない液晶ディスプレイでBASICを独学していた。

 進学先は理学部物理学科を選んだ。MICROだけが理由というわけでもないが、動機付けとしてはかなり大きなウェイトを占めていた。さらに、独学で結構はまってしまったことと、就職するにしても物理ならつぶしが効くという打算の両方であった。もっとも、人工臓器を作りたいとか医工学をやりたいといった思いもあったし、受験しなおして医学部に行こうかと考えたこともあった(徹底的にそっちに向いてないことは後にわかったが)。

 大学に入った時、下宿することになって、実家からMICRO創刊号を持って行った。大学でなら、コンピュータを使って,書いてあるプログラムを動かせるだろうと思ったからである。プログラムはPC-8801やPC-9801のBASICで書かれていた。サークルはME研で、入ってしばらくしたら、医学部の第一内科のデータベース仕事を請けることになってしまった。そっちの対応に追われている間に、パソコン付属のBASICではなく、MS-DOSで動くBASICやCやPascalが出回るようになった。どの言語をやればいいのかと、大学の物理の先生に相談したら、「これからはUNIXでも使われているCが良いのでは」と言われたので、C言語の本を買ってきて、またまた独学することになった。当時は、大学でも、情報処理やプログラミングの授業はポピュラーではなかった。

 重力場の散乱は、教養の物理学のレポート課題だった。専門の力学では、ランダウの教科書を使い、最初から解析力学を勉強することにした。座標系のとり方で符合を間違えたりするうっかり者だったから、一般化座標でラグランジアンを作って微分方程式までが一本道の方が間違えないで済む。

 この頃になって、友達にMICROを見せて、知り合った先生の所に一緒にお邪魔して、ソースコードを入力して実行することができた。ずっと見たかったものをやっと見ることができた。

 PC-98シリーズは全盛期を迎え、私もVXユーザーとなった。主な使用言語はC。修士に進学して、計測とデータ処理のプログラムを書いていた。博士課程在学中の、前半はまだPC-98シリーズの勢いがあったが、Windowsが出て、IBM-PCの互換機が増え始めた頃、Macを使い始めた。

 その後、PC-98シリーズがすたれてしまった。私もあちこち引っ越すことになり、引っ越しの度に買い集めたコンピュータ雑誌を捨てることになった。しかし、MICRO創刊号だけは捨てられなかった。SFのSの方が冗談抜きの科学で、シミュレーションの中身を最初に見せてくれた雑誌の衝撃が大きかったので、そのまま宝物にして今まで持っている。

 もし、今後MICROのプログラムを実行するなら、完全にCに移植(XCodeを使うから)するか、Mapleなどの数式処理ソフトでさくっと書くしかないのだろうな、と思いつつ……。

 

統計力学

Posted on 12月 10th, 2008 in 倉庫 by apj

 培風館の新物理学シリーズの統計力学I統計力学II、生協で見つけて購入。田凬さんの書いた本。
 フォーラムで会った時に年内に出るという話だったので、ちょくちょく生協を見ていたら、入荷していた。amazonにはリンクしてみたけど品切れで、入荷次第発送になっている。

 ということで、ちゃんと出ましたよ、と勝手にアナウンス。