Archive for the ‘法律’ Category

postheadericon 民法改正についてのメモ

 民法の平成18年改正について。大幅な変更は、38条から84条までが削除され、その内容に対応するものが「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律」(一般法人法)として定められた。

postheadericon お手軽な法哲学

 「よくわかる法哲学・法思想」深田三徳・濱真一郎編著(ミネルヴァ書房)978-4-623-04848-9。
見開き2ページで1テーマをまとめてある。高校の時に使っていた倫理・社会の資料集のような趣である。素人が簡単に全体を見渡すには使いやすい本。参考文献も充実している。

【追記】
 読み始めた。で、高校の時の教育に今さらながら感謝。
私の学年は、共通一次試験の社会科は、現代社会(倫理社会・政治経済)+世界史・日本史・地理から1科目選択だった。が、高校は、理系文系を問わず現代社会、世界史、日本史、地理をフル履修させてくれて、どれを選んで受験するかは生徒の判断に任せてくれていた。細かい年号はもはや覚えていないから、今試験をされるとかなりやばいが(汗)、世界史の流れやら思想家の名前くらいは頭に残っているから、今、上記の本を読むときに、そんなにハードルを感じずに入っていけている。
 高校での世界史未履修が問題になっていたが、将来どんな分野に進むにしても、高校の内容は全科目可能な限りフル履修すべきだろう。大人になってから別分野に手出しするときの基礎体力として効いてくる。

postheadericon 別の意味で役立つ試験問題集

 法学検定2級の過去問集を買ってきた。試験科目ごとに分けてあり、出題の範囲やら傾向やらも書いてあるのだが、同時に参考書リストがついていて、これが意外に役立つ。
 六法と呼ばれるものについては、大体定番の教科書がどれであるか見当がつくし、知財やら行政法やらも少し調べれば定番が何かは大体わかる。わからないのは、法哲学や法社会学や海外の法といった、法学の文化のような部分で、一体何を読めば常識的なことを知ったことになるのかわからない。検定試験問題集では、法学基礎論と呼ばれていて、各ジャンル事に参考書リストがついている。これが読書ガイドとして役立つ。試験の目的も、学部卒業でちゃんと勉強した人向けの内容ということだから、教養としての法学を身につけるには、多分、過去問集の参考書ガイドに沿って追っかけていくのが良いのだろう。

postheadericon 答案(違)提出

 絵里タンに準備書面の草稿を提出した。前半を当事者参加の弁論,後半を不法行為に関する弁論に分けて,証拠書類も一応は揃えて,証拠説明書も作ってみた。素人のやることなので冗長だったりピントを外してたりするだろうし,主張の順番やら削除追加もあるだろうということで,丙号証の印を押した後,番号は薄く鉛筆書きして出しておいた。書面の方は12ポイントA4で19ページほど。
 ネットの議論と違うところは,相手を論破しようとする必要はなく(まあ,ネットでも本当の相手がギャラリーの方だという場合もあるけど),裁判官の心証形成ができればそれ以上やる必要は無いということ。とはいっても,論理に説得力がないとだめだろうし,極端な議論はしても受け入れられないので,「常識の範囲」というアナログな部分を入れて,かつ法的に間違ってない範囲で書かなければならない。
 絵里タンにはどこまで主張するかも含めて検討してほしいと頼んだので,書面の分割もあり得る。今回、原告と被告には裁判所から宿題が出ているが、独立当事者参加人には特に宿題は出ていない。だからといって何もしないで居るのが良いとも言えないし、主張を全部一気に出すのが戦略上良いかは検討課題だし、かといって、あんまりのんびりしていると「時機に遅れた攻撃防御」といって反撃を喰らうことになる。まあ、最初のうちはそんなに急がなくてもいいのかもしれないけれど。
 しかし,絵里タンがどう直してくれるかが,興味深くもあるしちょっと恐ろしくもある^^;)。何て言うか,厳しい先生に実験レポートを提出して採点を待つ学生の気分だ。ともかく,プロの目を通るとどうなるかを直接知る貴重な機会なので,積極的にやり方を学んでおきたい。

 モトケンさんのところについていたコメントの表現をお借りするなら,裁判官は料理評論家かあるいはお客様,料理人は弁護士,私は材料の下ごしらえをして料理人に届ける役,ってところか。

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postheadericon 訴訟の多数当事者関連で出題された例

 旧司法試験の過去問より。
平成6年度第2問。

訴訟告知の存在意義及び効果。

平成13年度第2問。

 甲は乙に対し、自己の所有するA土地について偽造書類によって甲から乙に所有権移転登記がされているとして、甲から乙への所有権移転登記の抹消及びA土地の所有権確認を求める訴えを提起した。
1.乙の債権者である丙は、甲乙間の訴訟に補助参加することができるか。
2.甲乙間の訴訟の係属前にA土地を乙から買い受けたと主張する丁が、甲乙間の訴訟に参加した。この場合に、丁は、それまでの訴訟の中で乙が自白した事実を争うことができるか。

・訴訟の結果と利害関係について検討すること。
・共同訴訟参加と共同訴訟的補助参加←判決効が及ぶ立場でないとできない
・訴訟承継←前後関係を検討
・補助参加←訴訟物の判断に限定、判決文中の理由の判断は該当せず。
・独立当事者参加←自らの請求を立てられる場合。

 紛争発生の際は訴訟告知せよ、という学内規則を作った場合、何か不具合は起こりうるか?

postheadericon 円谷「不法行為法」

「不法行為法 事務管理・不当利得」円谷峻著(成文堂)4-7923-2482-3
189ページの阪神電鉄事件判決。

X2(Aが死亡時には胎児であった子)の請求については
(略)
Yは、X2の出生後にX2のためにBの行った処置についてX2が契約の利益を享受する意思を表示したという事実を主張していないし
(略)

X2ってこの裁判の時は赤ん坊?幼児?そりゃ普通は「契約の利益を享受する意思を表示」するのは無理というものでは……。何で判決にこんなことが書いてあるのだ?

postheadericon 民法の聴きどころ(その1)

「民法の聴きどころ」米倉明著(成文堂)4-7923-2421-1
 大学1年生を対象とした、民法の講義をどういう心構えで受講するかについて書いてある。

「担当教師が指定した教科書」というのはもとよりその最新版をさしているのであって、旧版をさしているのではない。(17ページ)

 つまり、判例変更やら追加やらがあるので、学習内容にもそれを反映させないと危ないという話。工学部やら理学部の講義が、最先端は論文レベルで変わるとしても、学部レベルの講義内容が最近の論文のせいで大きく変わったりすることがないのと比べ、法律を学ぶには最新の情報収集にも労力をかけないといけないという話。
 準用やら読替やらがやたら多い条文は、担当の役人ですらそのままでは理解できず、現場じゃ書き直したものを使っているという話に吹いた。やっぱり、普通の国語力を持った国民が読んで分かる程度のものを提供して欲しいよなぁ。
 最近、法律の勉強の仕方のようなものを読んでるのは、いざ教科書から自分でノートを作ろうとしたとき、どうするとうまくいくか考えているからだったりする。メモせず頭に入るほど私ゃ賢くないし、予備校のサブノートの丸映しじゃしょうがないし……。

 てことで、電車の中で読みながら移動。

postheadericon 入門リーガルライティング(その2)

 37ページ。法律要件分類説。実定法を「権利根拠規定」「権利障害規定」「権利消滅規定」の3つに区分する。
 55ページ。「したがって」「よって」の使い方。

「したがって」「よって」というのは、最終的な結論を指示することばである。このことばが出てくる前には、結論に至る分析と事実へのルールの当てはめがすでになされていなければならない。また、このことばに後続するのは「結論」であって、しかも前段との関係が密接でなければならない。

 日常の文章でも技術系の文章でも、この部分は結構曖昧だが、法律文書は結構厳密ということらしい。
 121ページ。「破棄判決の理由を詳細に検討すると、ある法律問題についての限界が浮かび上がることがあるから、破棄判決は、伝統的に判例研究の重要な資料となってきたことも指摘しておきたい」。裁判所の判断を調べるのに、破棄判決が大事だとは意識してなかったのでちょっと目から鱗である。

 この本は、弁護士の業務が、訴訟以外に意見書やら通知書やら契約書やらを作ることであるのをふまえ、法科大学院の学生向けに、どういう注意をして文書を作ればいいかについて書かれている。ところで、弁護士の使い方については、一般に出回っている情報が少ないように思う。地方公共団体が提供している無料法律相談や、弁護士事務所での有料法律相談というものがあることは誰でも知っていて、何がしかのアドバイスが受けられるというイメージはあっても、具体的なサービスの内容までを知っている人は少ないのではないか。それ以前に、相談できる弁護士を探すという段階が、既に一般の人にとっては敷居が高かったりするわけで……。
 ということで、この本は、「弁護士から受けられるサービスには具体的にどんなものがあるか」を知るためのガイドブックとして活用するならば、一般人にとっても有用な本であるといえる。

postheadericon 入門リーガルライティング(その1)

「入門リーガルライティング ー法科大学院テキストー」坂本正光編(有信堂)4-8420-4509-4
 ちょっと気合い入れてそっち方面の文書を書かなきゃならなくなりそうなので、この際きちんと考えようということで、毎晩ちょっとずつ読んでいる。
 (自分トコの学生には「知的な科学・技術文章の徹底演習」塚本真也著(コロナ社)4339077844を、本多勝一の「日本語の作文技術」とセットで読むように薦めていたりする。)
 分野が違うとこうも文章作法まで違ってくるのかという意味で面白い。さらに、ところどころに書かれる法律に関する一般的な記述が、専門外の私には興味深い。どちらも、「学校の作文」で書かされがちな情緒的な文章とは正反対に位置する。
 弁護士事務所がクソでかくなったせいで知らないうちに事務所内で敵味方に分かれるケースが出てくる、ってな話は何だかなあ、と。アメリカじゃ巨大ローファームが珍しくないからマジで起きることがあるらしいが……。
 31ページの記述。

 民事上の紛争はすべて、権利と義務の関係として把握される。そして、権利と義務は、法律に定める一定の要件が備わった場合に、発生すると考えることになっている。情誼や主観的な感情などは、排除されなければならないというのが、わが国の法律の根底にある発想で、これは「近代法」と呼ばれているものに共通である。法律実務家は、例外なくこのような思考をしているから、権利と義務の要件と効果をペアにして、常に、考えることになる。

 学部時代の教養で受講した法学でも、最近になってはまっている民法の基本書でも、この内容を知ることができたが、あらためてこうすっきりと書かれると何となく見通しが良くなった気分である。

 「近代」とは何かということを少し考えてみたいのだが、実務に近い本よりは、法哲学の領分のようだ。手元に何冊かあるので、そのうちきちんと読み返してみる予定。高校の社会科では……習ったかもしれないが、当時はあまり意識しなかったらしく、記憶から抜けている。

 しかし、お堅い本のはずなのに、まえがきの「本テキストには類書にないことがチョーたくさん書いてあるはずで」って砕けっぷりはどうかと思うぞ^^;)。

postheadericon 法廷傍聴へ行こう

 「法廷傍聴へ行こう」[第三版]井上馨著(法学書院) 4-587-03202-6
裁判のしくみ(三審制など)を簡単に説明し、訴訟記録の閲覧の手続きの仕方と、裁判の流れを、簡単な書証の例を添えて、刑事訴訟と民事訴訟に分けて紹介している。巻末には裁判所一覧が付いている。
 やさしい本なので、高等学校の公民の副読本に使ってもよさそう。中学生が使うには、漢字の読み方や言い回しのハードルがちょっと高いかもしれない。
 出版が2002年なので、弁護士報酬に関する記述の部分などが多少古くなっている(訴訟額の何%、といった弁護士会の縛りが外れた)。