やまがたEM環境ネットワークとの面談が流れた件

やまがたEM環境ネットワークから私への面談要請があったのだけど結局話が流れた。そのいきさつを,私の側からわかる範囲でまとめておく。

面談要請をしてきたのは,これまでにも,私のネットでのEM批判について,再三,勤務先の山形大学にクレームを入れてきていた「やまがたEM環境ネットワーク」の中の人で,「地球環境共生ネットワーク」(こちらは全国組織)の理事をやっている五十嵐氏。調べたところ,元南陽市議であった。

連絡は,私に直接ではなく大学に来た。理学部事務部に最初に連絡があったのか,本部を通して理学部に転送されたのかははっきりしない。私への連絡は理学部事務部からあった。連絡の内容は,私から直接意見を聞く場を設けてもらえないかというもので,日程調整についての問い合わせだった。

私としては,話をすることについては差し支えがないと考えたが,内容について後で言った言わないの勘違いが生じることは避けたかったし,何か興味深い話がきけたら広く共有したいとも考えたので,「面談内容は双方で録音し公開もあり得ると言う条件でなら会って話をする」と事務に伝えた。

話し合いの場所としては,理学部長室を使って良いというのが学部長の提案だった。五十嵐氏は,面談の際に理学部長の同席も求めてきた。しかし今回の面談は,大学が責任を持って業務として行うものではなく,大学は単なる連絡役をするのと場所を貸すだけなので同席はしないというのが理学部長の考えで,このことは先方に伝えたようである。

このまま面談が実現するのかと思っていたら,今度は,大学本部が,面談に理学部長室を使ってはいけない会うなら学外で,とダメ出ししてきた。ウチの理学部事務部は親切(むしろお人好しと言ってもいいくらい)なので,学外の面談場所を予約する方向で進めるつもりらしかった。しかし,よく考えると,本部が学内で会うことまかりならんという相手と会うのに,ただでさえ忙しい理学部事務が場所のセッティングを進めるというのもおかしな話である。私は,本部が学内で会うなという相手と面談するために,理学部がリソースを割いて場所を学外に設定するというのも妙な話なので,ウェブの問い合わせフォームなりSNSなりで直接私とスケジュールと場所の調整をするように改めて連絡してほしい,と理学部事務に伝えた。

そうこうするうち,録音して公開が前提という条件を団体内で検討した結果今回の面談は取りやめたい旨の電話が五十嵐氏からあった,という連絡が理学部事務経由で届いた。

EM普及団体のおかしなところは,批判的な意見を持つ相手に対して,決して直接文句も反論もせず(左巻氏が出口氏に訴えられたがこちらの方がむしろ例外),そのかわり,所属組織には何回も熱心にクレームをつける,というところである。国立天文台の大石さんによると,何回も所属組織である天文台にEM関係者からクレームがきていたのだが,天文台が組織を通さず直接苦情を本人に言ってくれとやったとたん,苦情がぴたっと止まってしまったとのことだ。今回もその特徴がしっかり発揮された。五十嵐氏とやまがたEM環境ネットワークは,これまでに何回も山形大学にクレームをつけている。やっと私に直接苦情を言うつもりになったかと思ったのだが,内容録音と公開前提,と伝えたら,直接苦情を言うチャンスを自分から取りやめてしまった。

五十嵐氏は元南陽市議なので,記録に残ることが前提で発言をすることには慣れているはずである。また,五十嵐氏と私が会ったとして,公開されて困るような内容,たとえばお互いのプライバシーに関する内容や企業秘密に関わる技術的内容が話題になることは想定しがたい。面談の内容が公開された方が,EM側としても,五十嵐氏がいかにちゃんと広報活動をしたかがわかるわけで,むしろ都合が良いはずである。また,最初の面談の要請は,事務の伝言が正しければ「天羽の話をききたい」である。これが言葉通りに実行されるなら,私が,どんな理由でEMに批判的な立場をとっているのかをきちんと説明した内容が録音に残ることになる。それが公開されたとしても,私がこれまでネットに書いたのと同じ内容が一つ増えるだけだから,EMにとっても私にとっても特に何も変わらない。もし,私が,つい口を滑らせてまずい発言をすれば,EM普及側がそれを公開して私を批判することができるチャンスでもあった。ところが,双方で録音して公開が前提なら面談は取りやめだと言われてしまった。後で公開されるとまずいような内容で面談するつもりだったのか,私が直接反論しているやりとりが出ること自体がまずいと考えたのか,それとも他の理由なのか,五十嵐氏の考えをむしろ知りたいところではある。

今回のことで,やまがたEM環境ネットワークという団体に対する本部の見方が,学内で教員が会うこと自体がダメな相手だというものだとはっきりしたわけで,これは一つの収穫だった。教員の話をきく面談はそれなりにあって,取材その他もろもろで訪ねて来られる方や企業の方が来ることもよくある。私も含めて皆さん普通に学内の空いている部屋を使ったりして対応しているわけで,学内で会うな,とわざわざ本部からお達しが来る団体というのは,まあ何というか「よっぽど」だと思われてる気がする。本部がここまで塩対応するのか(わからんでもないけど),と,ちょっと笑ってしまった。

さて,今回の面談要請の内容が「天羽の話を直接ききたい」であったことは,やまがたEM環境ネットワークがこれまでに大学に対して行ったクレームの内容,即ち「EMはこんなに良い物なのになぜ天羽は批判するのか」などと言ってEM普及活動のきれいなパンフレット(これは本当。印刷クオリティが良かった)などを置いていったことと整合性がとれている。私に対して直接批判の理由を確認できるチャンスだったにも関わらず,EM環境ネットワークの方から面談を取りやめると言い出したいきさつは,理学部も(多分本部も)知ることになった。今後,大学にクレームをつけにきたら,理学部も本部も,直接確認するチャンスを自分からやめたくせになぜ組織にはクレームをつけにくるのか,という疑問を持ったまま応対することはまず確実なので,そのことは承知しておいていただきたい。というか,今後も大学にクレームをつけるつもりなら,次のクレームの時に録音と公開がなぜダメなのかを本部や理学部にきちんと説明しない限り,一体今更何しに来たんだという目で見られても仕方がないと思う。

【追記】

本部の塩対応っぷりが妙に手慣れてる感じなんだけど,これは文系学部があるからだろう。文系の場合,普通に研究発表しただけで,思想的政治的に立場の違う「政治団体」「宗教団体」「活動家」「市民団体」などから大学にクレームが来ることがある。理系よりもむしろ文系の方がこの手のクレームはあるっぽい。多分本部はもっといろいろ対応してるんじゃないかな。でもって,この手のクレーマーが文系の先生達と学内で会うことを本部が了解するとも思えないから,今回,やまがたEM環境ネットワークも同じ扱いをされたのではなかろうかというのが私の見解である。