教授にメールは無意味です

 「落単した大学生必見!教授に救済措置お願いのメールの書き方とは」という記事が,誤解を招く内容なので,大学教員の立場を述べておくことにする。(批判を書いて1時間経たないうちに元記事が消えてしまったが,私が書いた内容自体は一般的なものなので残しておきます。)

教授にメールを送ってみると、意外と救済措置のレポートを出してくれたりします。
そこで今回は、落単したであろう時に教授に
救済措置をお願いする時のメールの書き方について紹介していこうと思います。

で始まっており,救済をお願いするメールのテンプレートとして,

件名:(授業名)の期末試験について (授業名)を履修しているCIELです。

本文

〇〇教授(または先生)
お世話になっております。
(授業名)を履修している(学年)の(名前)と申します。
本日の期末試験のことなのですが、事前に勉強をしていたつもりではあったのですが
残念ながらあまりいい手応えを感じることができませんでした。
〇〇教授のされている〜〜〜〜という研究内容にすごく興味を持ってこの授業を履修させていただきました。
そこで、誠に勝手であることはわかっているのですが
レポートや再試験といった救済措置を取っていただくことは可能でしょうか。
もし救済措置を取っていただけるのであれば、全力で取り組みたいと考えております。
また、今後このようなことがないように次の学期はさらに日々勉学に励んで行こうと思っています。
お忙しいところ申し訳ございませんが、よろしくお願いいたします。

○○大学○○学部○年

CIEL
メールアドレス

というものが出ている。

 が,このようなメールを送ることは全くの無駄であり,従って,これを送られた教員の機嫌を損ねる可能性が極めて高い。以下にその理由を説明する。

 単位認定の基準は公平かつ公正に行わなければならない。基準の設定や内容(試験とレポートの点数配分など)は教員の裁量に任されているが,大前提として公平かつ公正,ということが求められている。特定の学生から,単位を落としたので救済措置を求めるメールを受け取ったからといって,その学生だけに救済措置を行ったら,それは不公正な単位認定ということになり,教員にとっては大学から処分されるリスクを負う行為となる。そのようなメールを教員に送ることは,教員に向かって不正な行為をしてくれと依頼することに他ならない。不正の依頼を堂々としてくる学生への(成績表には表れない倫理的な部分での)評価がどうなるかは,まあ誰にでも想像がつくだろう。

 学生が救済措置を求めるメールを送ってきたとして,たまたま不合格になった人が例年よりも多く,本当に何らかの救済措置が必要だと教員も考えている状況だったとしよう。その場合には,全受講生に対して,方法や救済後の評価について公平にチャンスを与えなければならない。具体的な救済措置の実施の方法については学内の掲示板などで全員に知らせるので,そちらを見ていればよく,個別にメールで問い合わせるのは全くの無駄である。

 いずれにしても,「あなた個人」だけに対する救済措置としてのレポートや追試はあり得ません,という回答以外は無い。もし,個別メールでのお願いに対して追加課題で単位認定をしている教員がいたり,そういう方法を容認している大学があるなら,それは単位認定について欠陥を抱えた大学ということに他ならない。