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大学教員の学会加入費用は必要経費として認められるのか?

Posted on 8月 1st, 2009 in 倉庫 by apj

 国立大学法人が予算を削られまくっていて、地方大学の研究環境が壊滅しつつある。たとえば、図書の予算が年々減らされてしまい、購読していた雑誌も止めることになり、リファレンスの検索や利用に支障を来しつつある。
 ウチの大学でも、頑張って電子ジャーナルを入れているのだけど、私の分野で必要で主力論文誌であるJ. Chem. Phys.も、J. Phys. ChemのA,B,Cも本文は読めない状態である。
 これでは話にならないが、組織で購読すると高額の費用をふんだくられるので大学に頼んだってまず無理だろう。仕方がないので、個人で、APSやACSに入り、バックナンバーも含めた購読料を支払うことを考えているが、学会の会費と購読料の合計で、日本円にして年間10万円近くかかりそうである。校費でもたっぷりあればそこから捻出可能か事務に相談するのだが、校費が年間15万円という状況では、それも無理である。個人のポケットマネーで支払うしかない。

 この費用を、せめて必要経費で落とせないか?というのが今考えている問題である。税務署に認めさせた成功例があるかとか、どういう手続をすれば良いのかといったことを知りたい。誰か成功してる人、いませんかね?

 大学が貧しすぎて必須の文献を購読できないので個人で買うハメになったから必要経費として認めて下さい、という主張をしたいのだけど。


ここからは旧ブログのコメントです。


by ごんべえ at 2009-08-00 20:42:00
Re:大学教員の学会加入費用は必要経費として認められるのか?

「校費でもたっぷりあればそこから捻出可能か事務に相談する」校費から個人向け購読料で購読するのは、出版社との契約上許されないですよね。それができるなら、一回大学に寄付すれば、所得から控除することはできるでしょう(寄付金控除)。必要経費は、給与所得に対しては、だめでしょう、、他の講演、執筆による所得があってそれに必要ということなら、認められなくもないのではないでしょうか。

「大学が貧しすぎて必須の文献を購読できないので個人で買うハメになった」
伝統に従えば図書館に複写依頼しても紙コピーもらえといわれそう。


by apj at 2009-08-40 23:19:40
Re:大学教員の学会加入費用は必要経費として認められるのか?

ごんべえさん、

>校費から個人向け購読料で購読するのは、出版社との契約上許されないですよね。

 あ、この部分は誤解です。契約上許されなくなるのは、個人向け購読料で利用しているものを他の人達も利用することが起きた場合に許されなくなるだけで、元の金の出所で決まるわけじゃないでしょう。

>それができるなら、一回大学に寄付すれば、所得から控除することはできるでしょう(寄付金控除)。

 その手がありますね。学会&雑誌の分だけ自分自身に寄附金入れて控除を狙うか。

 学会加入費用を大学の経理を通して出せなかったらアウトですけど。

>「大学が貧しすぎて必須の文献を購読できないので個人で買うハメになった」
>伝統に従えば図書館に複写依頼しても紙コピーもらえといわれそう。

 私が見たい雑誌はそれなりにメジャーなので当分大丈夫でしょうけど、マイナーなものだとこの伝統も早晩崩れそうです。今、大学はどんどんオンラインジャーナルに移行して紙の雑誌を切っていますから。他大学もオンラインジャーナル&オンラインジャーナルはその組織しか使えない契約、となったらどうやってコピーするのかが問題ですね。pdfを渡すのはダメだけどpdfを印刷したもののコピーを郵送するならOKとかってあり得るのかなぁ。


by mishi at 2009-08-29 01:23:29
Re:大学教員の学会加入費用は必要経費として認められるのか?

>学会&雑誌の分だけ自分自身に寄附金入れて控除を狙う
予算科目を紐付けできなければ、寄附だけできて購読できずに泣き寝入りにならないかと心配です。

>大学はどんどんオンラインジャーナルに移行して紙の雑誌を切っています
学会によっては紙の雑誌を廃止するところも出ていますし・・・

それにしても、こんな状況なのに財務が国立大学に埋蔵金があるなんてよく言うよなぁ・・・


by ごんべえ at 2009-08-27 06:45:27
Re:大学教員の学会加入費用は必要経費として認められるのか?

「あ、この部分は誤解です。契約上許されなくなるのは、個人向け購読料で利用しているものを他の人達も利用することが起きた場合に許されなくなるだけで、元の金の出所で決まるわけじゃないでしょう。」
おそらく条件は雑誌によって異なるだろうとおもいますので、そこは法律マニアの天羽さんが一つ一つご確認なさればいいでしょう。

「予算科目を紐付けできなければ、寄附だけできて購読できずに泣き寝入りにならないかと心配です。」
こちらはあまり心配することはないと思います。昔から委任経理金というやつがあるでしょう。

「学会によっては紙の雑誌を廃止するところも出ていますし・・・」
でも、最新以外は無料でアクセスできるようにするのが世の流れではありますから。

「それにしても、こんな状況なのに財務が国立大学に埋蔵金があるなんてよく言うよなぁ・・・ 」
え、運営費交付金を削っても先生が寄付しえくれて運営は破綻しないのでね:p
あとは、大学を半分くらい閉鎖して、土地を売れば、、、田舎に引っ越した大学の土地は二束三文でしょうが、運営費交付金を半分削減可能か?

「マイナーなものだとこの伝統も早晩崩れそうです。」
国内に一部もない雑誌だったら、見る機会はたまにしかないでしょうから、
一本千円~3千円くらいで一篇購入オプションの利用じゃないでしょうか。オンラインジャーナルは大抵一篇購入オプションやら、1日購読オプションがありますよね?大抵クレジットカード決済しかないというのが厄介ですが、手順を尽くせば私金立替処理は可能でしょう。


by apj at 2009-08-19 09:30:19
Re:大学教員の学会加入費用は必要経費として認められるのか?

ごんべえさん、

>おそらく条件は雑誌によって異なるだろうとおもいますので、そこは法律マニアの天羽さんが一つ一つご確認なさればいいでしょう。

 元の金の出所は関係なさそうですね。IDとパスワードを発行されて、その人しか使うな、という条件になるだけなので。

>え、運営費交付金を削っても先生が寄付しえくれて運営は破綻しないのでね:p

 給料も上がらないので、教員ごと破綻するのが目に見えていますね。というか、必要経費を削れば業務自体が回らなくなるのが当たり前ですから。これは民間企業でも同じではないかと。

>あとは、大学を半分くらい閉鎖して、土地を売れば、、、田舎に引っ越した大学の土地は二束三文でしょうが、運営費交付金を半分削減可能か?

 それをやった場合、文科省が財務省から持ってこれる運営交付金が半分にされてしまうのは確実でしょうから、相変わらず貧しいままの大学が、数が半分になった状態で残るだけになりそうですね。

>でも、最新以外は無料でアクセスできるようにするのが世の流れではありますから。

 それがそうでもないんですよ。
私の分野では今のところ、古いものでも有料のものがほとんどです。


by apj at 2009-08-38 09:42:38
というか……

>え、運営費交付金を削っても先生が寄付しえくれて運営は破綻しないのでね:p

 従業員から寄付を集めてそれを資金にして運営している民間企業の例を知りたいです。


by がんのすけ at 2009-08-36 10:43:36
基礎研究に国家予算を!

ずいぶん昔に、たまたまですが、ある世界的な化学者にインタビューしたことがあります。1998年初頭に物故なさったその化学者は、「基礎研究に力を入れないと、日本の科学の先行きは暗い」とおっしゃってました。
そのときは失礼ながら、そんなものか、という程度の感想しか持ち得ませんでしたが、下村脩さんのオワンクラゲの研究内容を新聞などで知って、一見役に立っていないように見える基礎研究も、応用というか他分野との組み合わせによっては、とんでもないブレークスルーをもたらすのだなあ、と、昔のインタビュー内容を思い出して感慨深かったことでした。

万人受けする成果が見込めるかもしれない研究とか、役人(たぶんほとんどは科学に素人)が納得する研究だけに助成金を出す、てな橋本徹大阪府知事的単純短絡的節約的発想が幅をきかす昨今の我が国で、apjさんのような思いを持っておられる研究者は、きっとたくさんいらっしゃるのでしょうね。えてして真面目な人ほど、お金を集める手法に疎いようですし。

それはさておき、頭脳集団たる人々に頭脳を使わせないように予算的にもがんばる(?)というのは、国策としても、経済対策としてもけっして好ましいことではないでしょう。行政も立法も、学者の研究内容を精査して(つまり役人が今よりもっと賢い判断をするという本来の仕事をきちんとこなして)、資源に乏しい我が国をもり立てていってほしい。もう昔々の教科書に載っていた「加工貿易国」なんていう幻想は持たないほうがいい、遅まきながら(食糧自給を念頭に入れつつ)頭脳立国を目指すべきだ、そのためにもっと国家の予算を割くべきだ、と考える昨今です。

なんか、言いたいことが多すぎて分かりにくくなりましたね。ごめんなさい。国政選挙の前に言いたいことが山盛りにあった、ということで許してくださいな。^^


by RBの残党 at 2009-08-32 11:20:32
Re:大学教員の学会加入費用は必要経費として認められるのか?

大学も知的財産に目覚めて、特許権・著作権侵害訴訟をバンバン起こすべきではないかと。
まず、知的財産管理セクションと法務部を作るところからですわ。
世の中で訴訟ほどめんどくさいものはないので、時間を貴重視する研究者は普通訴訟から逃げがちですものね(例外はある)。
apj殿、法務部長手当で本を買うということでどうでしょう。


by apj at 2009-08-13 11:29:13
むしろ必修単位の話です

がんのすけさん、

 大学は教育機関です。理工系の場合、4年生は卒業研究が必修の単位となっています。卒業研究に必要な費用くらいは、経常の経費でまかなえないとまずいんじゃないですかね。科研費をとれとか外部資金をとれという話もありますが、これらの資金は、教員が研究をするための資金であって(実態として学生や院生が作業しているけれどそれはタテマエとは違う)「必修の単位を出す教育のための資金」じゃないんです。基礎研究をしたければ教員個人の甲斐性で外部資金をとってこい、と言われるのならわかります。でも、学則に書いてある単位を出すための費用を教員の甲斐性で何とかしろ、というのは、話が違うと思います。
 最近の予算の削られ方を見ていると、卒業研究を必修にできない状況になっていくのかな、とも思わないでもなく。

 学生一人当たり、卒業研究をするのにいくらの予算が使用可能なのか、という金額の公表を大学に対して義務づけるくらいのことをしてもよさそうな気が。


by apj at 2009-08-18 11:36:18
最初から負け戦

RBの残党さん、

>まず、知的財産管理セクションと法務部を作るところからですわ。

 法務はともかく、知財は、どこの大学でも担当が居るはずです。社会連携を担当するところと一緒になってたりするかもしれませんが。

 一時期、特許で儲けろという主張が出ていましたが、大学の場合、そもそも資金不足で無理なことが多いんじゃないですかね。出願して維持するだけの費用が無かったりします。

 基本特許はなかなか出せるものではありません。
 企業間の特許は、同業他社で関連特許を出しまくって、競合しそうになったら双方が持っている数を出してバーター取引をして、巨額のライセンス料による共倒れを防ぐ、といった形で使われています。製造部門のない大学がこの争いに参加しても勝ち目はありません。特許の物量作戦を展開するだけの資金が無いので。

 手っ取り早く稼げるのは、特許じゃなくて実用新案のようですし。これでいくなら、すぐ実用化できる小技を連発して稼ぐ、という戦略になりそうです。


by がんのすけ at 2009-08-51 12:17:51
なるほど

研究以前に教育のための原資すらまかなえない、ということでしたか。
文意が読み取れず、失礼しました。

しかしそうであればなおさら、国は予算はつけるべきだと私は思います。
基礎研究が必ずしも特効薬的な成果をもたらすわけではないですし、人材への先行投資が十分な(経済的)見返りを約束するものではないですが、それをしないことには……ということです。
本気で勉強している若者には、十分な支援を行わないといけません。

私のような隠居には、apjさん達がんばれ、としか言えないので申し訳ありません。


by apj at 2009-08-09 12:59:09
扱いの違い

 学生一人当たりの費用と、教員への校費配分と、外部資金は、別物なのですが、使用状況について、厳密な区別はしていません。できない、ということもあるのかもしれませんが。

・卒業研究:必修単位であり、座学の必修講義等と制度上は同じ扱い。

・科研費:申請の時に(実態としては一緒に実験等をするかもしれない)学生の数の報告は不要。あくまでも、その時の制度で決められているポスドクや常勤職員のみが申請者になる。エフォートを記入する場合も、学生に対する実験指導が含まれていることを前提にする形にはなっていない。
・外部資金:契約で決まるもの。契約の当事者に学生は入らない。何らかの作業を一緒にした場合は、知り得た秘密について守秘義務が課されることはあり得る。

 教員が、卒業研究の指導を放棄した場合はまず間違いなく懲戒処分になる。一方、科研費や外部資金による研究をしなかった場合、処分はない。つまり、制度上、卒業研究は大学の通常の営業活動として提供しなければならないもので、科研費や外部資金による研究はオプション扱い。

 なまじ、教員の研究の手足に学生を使うことがまかり通っていた反面、費用についても混同して当然、という状況が長く続いていたので、全体に歪んだように見えます。
 学生を教員の研究の手足にしてはいけない(教育目的を達成するための研究をさせなければならない)代わりに、そのための資金は現実的な額を教員の研究費とは区別して出す、というのが正しい制度のあり方ではないかと。


by apj at 2009-08-02 13:15:02
補足

私>学生一人当たりの費用と、教員への校費配分と、外部資金は、別物なのですが、使用状況について、厳密な区別はしていません。できない、ということもあるのかもしれませんが。

 不正経理と誤解されるといけないので補足を。
 例えば、外部資金で、測定装置や器具や試薬を買ったとします。それらは当然、その資金の使用目的に沿ったものであるのですが、その装置を学生が使うことで経験を積んで学ぶ、という機会を得ることも普通にあります。そのような使われ方は禁止されてはいないし、もし、禁止したら現場が回らない上に、装置の二重購入が必要になったりという無駄が発生し、大学が機能不全に陥るでしょう。こういう意味で、「厳密な区別はしていない・できない」と書きました。

 学生への教育目的で、実験の結果を学生に発表させる、ということも行われます。この時、旅費が問題になります。4年生で国際会議というのはまあ滅多にないでしょうが、国内の、それなりに初心者に敷居の低い場所に連れて行く、となった場合、学生が赤字にならないような旅費を出さなければなりません。4年生では少ないとしても、博士前期課程なら最低1回は発表が必要でしょう。もし、この旅費すら自腹を切らない限り、学生(院生)一人当たりの費用から捻出することが非現実的だという事態になったら、そのことを評価項目にするのは、むしろ不当なことになるのではないかと思います。

 競争原理や外部資金獲得の掛け声のもとに、(それらの資金で穴埋めがなされていれば問題が問題として目立たないために)経常の経費では教育が不可能になる方向に進みつつあるように見えるので、この先大丈夫かと危惧しています。


by tadys at 2009-08-11 16:59:11
Re:大学教員の学会加入費用は必要経費として認められるのか?

実用新案は昔と運用の仕方が異なってきたので実利は薄いです。
あいぎ特許事務所のHPでは以下のように書いてあります。

>以上のように、実用新案権は権利行使の上で大きな制約があり、知財部門のない事業者が活用するにはリスクが大き過ぎる、というのが現状です。したがいまして、あいぎ特許事務所では、特段の事情がない限り、実用新案登録をお勧めしておりません。
http://aigipat.com/um/

「発明」を行った者には「特許を受ける権利」が生じますのでこの権利を譲渡して対価を受け取るのが資金力の無いものが取りえる最良の方法でしょう。
契約時にそのような条項を入れておくのが良いと思われます。

自分で出願すれば16000円で済みますので、譲渡先の見込みが無い場合には出願だけしておいて審査請求の期限の3年の間に譲渡先を探す方法が取れます。

申請書の作成にはある程度の慣れが必要です。
あまり条件を付けすぎると特許を逃れやすくなるし緩すぎると特許になりません。
審査請求をすると大抵の場合拒絶の通知が来ます。
これに対し拒絶に当たらない理由を答弁するわけですが、その際申請書に書いていない項目を追加することは基本的に出来ません。
そこで申請書には十分な内容を書いておく必要があります。
答弁の仕方を含め、この辺のテクニックにはかなりの慣れが必要です。
自分ではやりたくないです。弁理士に依頼するのもこの辺りが理由の一部です。

「発明」をしたときに権利化できる見込みが無い場合には公表をして他者が同じ発明を権利化するのを防ぐという消極的方法もあります。


by ごんべえ at 2009-08-52 17:54:52
Re:大学教員の学会加入費用は必要経費として認められるのか?

「従業員から寄付を集めてそれを資金にして運営している民間企業の例を知りたいです。 」民間企業では寄付金控除にならないし、最初から払う給料を減らすでしょう。従業員(秘書)から寄付を集めるとは政治家業の多くで行われていることでしょう。なお、私が「国立大学に埋蔵金がある」と思っているわけではなく、そのような言明の意味するところは半分閉鎖かな?ということです。

「一時期、特許で儲けろという主張が出ていましたが、大学の場合、そもそも資金不足で無理なことが多いんじゃないですかね。出願して維持するだけの費用が無かったりします。」さすがに特許の一つや二つ維持できないわけはないでしょう。
「製造部門のない大学がこの争いに参加しても勝ち目はありません。」製造部門がないので巨額を払う側に回る心配はなく使ってもらえる特許を少数でもとって換金するということはありうるのですが、採算のあう特許とあわない特許の推定が難しすぎますよね。

科研費の場合「学生や院生が作業しているけれどそれはタテマエとは違う」かというと、大学院生は研究協力者として明示的に入れることができますので建前としても、すでに一定の研究能力を持っていてそれを実施することでより経験を積むということが期待されていると考えていいでしょう。学部生は、教育対象なだけでしょうね。15万円は、外部資金を取らない限り、実験はするなの世界でしょうから、紙とえんぴつと共通のコンピュータで理論の研究だけしてくださいということか。


by apj at 2009-08-03 21:51:03
Re:大学教員の学会加入費用は必要経費として認められるのか?

ごんべえさん、

>採算のあう特許とあわない特許の推定が難しすぎますよね。

 難しすぎて現実には機能しないのなら、やっぱりその方針には無理がありますよね。実用新案もうま味は無くなってきたということだし、どーしたもんだか。

>大学院生は研究協力者として明示的に入れることができますので

 あ、これは失念していました。上記の私のコメントを訂正します。でも、これができるようになったのは最近ですよね。

>学部生は、教育対象なだけでしょうね。15万円は、外部資金を取らない限り、実験はするなの世界でしょうから、紙とえんぴつと共通のコンピュータで理論の研究だけしてくださいということか。

 誤解されるといけないので補足を。15万円は、校費の分です。博士後期課程の院生一人当たり使える金額も15万円です。博士前期課程の院生の金額はもっと少ない(手元に資料が無いんですが、確か5万円前後くらいだったか)で、4年生については一人分はもっと少ないです。
 当然、校費から持ち出しで、4年生用の試料を買ったり旅費を払ったりということをするわけです。もっと校費が潤沢だった年も、そのようにして、4年生や院生が自腹を切らなくてもいいように援助してきました。

>15万円は、外部資金を取らない限り、実験はするなの世界でしょうから、紙とえんぴつと共通のコンピュータで理論の研究だけしてくださいということか。

 あるいは、卒業研究の実験を止めてゼミだけにしろ、という世界になりそうです。


by anonymous coward at 2009-08-04 19:02:04
埋蔵金

大学に埋蔵金があるというのは,大抵の大学では本当だと思います.ほとんどの大学では,1%削減を実現するためという建前で,それ以上の割合で校費を削り込み,内部留保しています.これを目的積立金と言います.勤務先は○○大学ですが,そこでも億の単位で目的積立金があるという噂です.ところが,今年は,法人化してから最初の中期計画5年間の最終年度で,今年度から来年度にかけては,この目的積立金の繰越ができません.それに加えて,補正予算で色々な予算がついたので,各所の大学で今年度1年度限りの「箱物」予算が大量執行中のはずです.人件費と教育費(校費)に予算をつけてくれと言っても,90年代以後の自己責任論・構造改革論の論調がまだ消えていない状況では,どうにもなりません.


by apj at 2009-08-04 19:35:04
実はもっと変な話です

anonymous cowardさん、

 きくところによると、ウチの場合、学部レベルに来るはずの予算総額は昨年とさほど変わっていなかったらしいんです。それが、配分で激減したのは何故かというと、「重点配分」をすると上が決めたことが原因です。つまり、ほぼ大多数の人の予算を、卒研も危うい状態にした上で、浮いた分を大きな研究費をとった(学内でも数人の先生?)ところに割り振るというやり方をしたらしいんです。
 埋蔵金の繰り越しの問題ではなさそうです。


by anonymous coward at 2009-08-45 10:48:45
Re:大学教員の学会加入費用は必要経費として認められるのか?

apjさん
>重点配分
「重点配分する」という決定には,「貢献度合いは測定可能であり,その貢献度合いに基づいて重点配分できる」という信憑が隠れています.でも私は,これこそが現在の教育現場を蝕むガンだと思うのですよね….確かに,明らかに意欲不足で何もしていない教員は存在する.でもだからと言って,安易に貢献度評価を導入すると,何もしていない教員だけでなく,他の大多数の普通の教員も窒息してしまう.だから,何もしていない教員への予算配分は「必要経費」として割り切ってしまって,なるべく同等の予算措置をした方が全体としての費用(事務費用含む)は最小化し,士気は上がると思うのですがねえ.
と言うか,それ以前に人件費も何とかして欲しいですけど.多分,国立大学教員の実際の所得って,世間のイメージとは1桁違ってます.


by anonymous coward at 2009-08-50 10:52:50
Re:大学教員の学会加入費用は必要経費として認められるのか?

すみません,追記.
apjさんが言われたような重点配分だとすれば,「そもそも教育用予算の配分と,研究用予算の配分は別であるべきだ」という大前提すら守られていないわけで何というか….最近だと,大前提を主張したら「抵抗勢力」呼ばわりされることが増えてやってられませんな.