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健康本で新たなネタを提供

Posted on 5月 24th, 2022 in 疑似科学・ニセ科学 by apj

ツイッターを見てたらこんなのが。

Tseet

で、この本の広告に推薦文が出てたとのことで、アマゾンに出ていた画像がこれ。確かにアマゾンにあったということを示すため,ブラウザで表示させた状態で貼っておく。

Amazon

「あれれ〜、印鑑の下に鉛筆で何か書いてあるよ。これ本当におじさんが書いたの?おじさんが自分でこの推薦文をいたのなら、どうして印鑑の下に”印”って鉛筆で下書きされてるの?普通そういうのって、別の人が書類を作った時にやるもんじゃない?」って、名探偵コナン君の声で脳内再生されたwww。

なおツイートが正確なら、本のタイトルと推薦文に書かれたタイトルが違っているので、推薦者が本当に本を読んだかどうかも疑わしい。検証が待たれるところ。

なお、磁石を2個ずつペアで入れただけの何の工夫もない装置をNMRと理屈つけて原価の100倍とかそれ以上の値段で売る商売を、この文言で評価することになった先生、既に100歳超えなので、もっと慎重になれというのは無理ゲーかも。なお理系の教員は、卒研が卒業に必要な単位に入っていることから、卒研生を選べないことがほとんどだったりする。

日本システム企画株式会社、RikaTan検索避けをしたせいでめでたくいつでも提訴される立場にw

Posted on 5月 21st, 2022 in 法律,疑似科学・ニセ科学 by apj

RikaTanに掲載された、「謎水装置」NMRパイプテクターに翻弄される人々(小南秀雄)は、RikaTanサイトhttp://www.rikatan.com/NMR.pdfと、小波氏のサイトhttp://konamih.sakura.ne.jp/Documents/PipeTec_Rikatan2019.pdfの両方で公開されている。この2つのサイトが、名誉毀損を理由に、Googleの検索結果から除外された。

除外されていることの確認をするには、まず、Google検索に上記2つのURLのどちらかを入力する。すると、検索結果の一番下に、

Google 宛に送られた法的要請に応じ、このページから 1 件の検索結果を除外しました。
ご希望の場合は、LumenDatabase.org にてこの要請について確認できます。

と表示される。「この要請について確認」の部分がリンクになっているので、クリックする。そうすると、Lumenのサイトが表示され、次のような画像が出る。

Defamation

NOTICE TYPEがDefamationとなっていることから、名誉毀損の申し出によって検索から除外されたことがわかる。

日本システム企画株式会社は、スラップ訴訟を仕掛けてこないどころか、従業員が社長に向かって我々を訴えろと言ってもちっとも訴えてこないことがわかっている(退職した従業員がこっそり教えてくれた)。この会社、どういうわけか訴訟を嫌がっているとしか思えないのだ。例外的に、日本システム企画株式会社を反社呼ばわりした某氏は告訴された。これは、企業が反社と関わっているとなると、銀行の取引が不可能になり、経済活動からほぼ完全に排除されることになるので、敏感に反応するのは当たり前ではある。しかし、それ以外の、ニセ科学だという批判に対しては、クレームは出すもののこの二十年以上、全く法的措置をとろうとしてこなかったという「実績」がある。

しかし、この検索避けが実現したせいで、日本システム企画株式会社は、小波氏、左巻氏の両名からいつでも提訴される立場を獲得した。その理由を説明しておく。私も最近YouTubeにゆっくり解説「NMRパイプテクターを分解してみた」NMRパイプテクターの分解を公開したので、他人事ではないのだが……。

名誉毀損とは、ネガティブな情報を「公然」と広めたら、それが真実であっても原則として成立する。これだと何も言えなくなるので、免責要件が確立している。細かいことは法律の専門書を見てもらうとして、およそ、(1)公共の利害に関する(2)公益目的(3)内容が真実、の3つを示せば免責される。(1)と(2)は大抵セットで認められることがほとんどである。従って、名誉毀損の争いというのは、人違いを除いては、免責要件を満たすかどうかの争いになる。

これをRikaTanの記事にあてはめてみよう。企業が広く商品を販売している状態であれば、大勢の人に影響が及ぶので、その営業活動は公共の利害に関することになる。その営業実態、宣伝の内容に科学的根拠があるかどうかなどを明らかにすることは、公益にかなっているといえる。企業の活動について言及するときは、(1)(2)を満たしていると判断されやすい。また、内容に嘘がなければ(3)も満たすことになる。裁判に100%は無いが、RikaTanの記事は名誉毀損については免責されることがほぼ確実と私は予想している。

さて、今回、名誉毀損を理由に小波氏・左巻氏のサイトの文書が検索から除外された。このことによって両氏は不利益を被っている。特に左巻氏は出版業もしているので、商品である本の宣伝が妨害されている状態であるといえる。ここで、免責要件を満たすということをGoogleに向かって主張しても、Googleは裁判所ではなくただの企業なので、認めてくれる保証は無い。しかし、判決があれば話は別だ。日本の裁判所が、もし、RikaTanの記事は名誉毀損の免責要件を満たす、という判決を出してくれれば、Googleはそれに従うだろう。小波氏も左巻氏も、当該記事が名誉毀損ではない、という判決を得ることによって利益を得られるという立場となった。

訴訟というと、損害賠償請求とか金返せとかを思い浮かべる人が多いのだろうけど、債務不存在確認訴訟、というものもある(最近ちょっと知名度があがりつつある)。民法では、債権債務は、契約で生じるもの以外に、不法行為・不当利得・事務管理でも生じる。名誉毀損は不法行為にあたるので、契約とは関係なく債権債務が発生する。債務不存在確認訴訟というのは、名前の通り、債務が存在しないことを確定させる訴訟である。記事を公開した側は、名誉毀損という不法行為で生じる債務が存在しないことを確定させるための提訴ができるのである。

とはいえ、まったく揉めていない記事について債務不存在確認訴訟を提起しても、訴えの利益が無いとされてしまう。しかし、名誉毀損を理由とする検索結果からの除外という結果が既に生じているのであれば、除外された記事の著者らに訴えの利益がある(判決をもらうことで検索の除外を解除してもらえるから)ことになる。この検索避けが続く限り、小波氏も左巻氏も、日本システム企画に対し、当該記事が名誉毀損ではない(不法行為ではない)という内容で、日本システム企画株式会社に対して債務不存在確認訴訟をいつでも提起できる立場となった。

債務不存在確認だけなら、敗訴しても賠償金をとられることはないから経済的ダメージは少ない。しかし、応訴の手間はしっかりかかる上、日本システム企画株式会社がこれまで避けまくってきた訴訟に突入することになり、内容の真実性が裁判所でまで認められる結果になれば、今後の宣伝で不利にはなるだろう。

重要なことは、検索からの除外をもたらしたのが誰の通報によるものであっても、訴訟は両氏と日本システム企画株式会社の間でやるしかない、ということである。名誉毀損の免責要件を満たすかどうかの争いは、記事を出した側と記事で言及された側の間で確定させるしかなく、そこに他人の入る余地はない。

つまり、ユーザーや従業員の誰かが、日本システム企画株式会社を応援するつもりで、当該記事が名誉毀損だと通報し、検索からの除外という結果を発生させた場合、会社からの指示が何もなかった場合でも、会社を被告にしてしまう可能性がある、ということである。通報する時には、通報によって日本システム企画株式会社を被告にしてしまう可能性があることは認識すべきだし、訴訟に巻き込まれるリスクのある立場に会社をおく以上、通報前に一言会社に断っておいた方が良いのではないだろうか。

今回のRikaTanの検索避けがどういう経緯で生じたものかはわからない。もし、社長の指示なら、避けまくっていたはずの訴訟のリスクを自分で上げにきたわけで自業自得である。IT担当の従業員も居るようだが、もし、担当者の判断でGoogleに通報したのなら、訴訟リスクを発生させたことについて今から社長に説明しておいた方がいいと思う。また、もし、社長からGoogleの検索をどうにかしろと指示されたのであれば、担当者は、訴訟のリスクが生じることを説明すべきだっただろう。通報したのがシンパなら……見事に日本システム企画が望んでいない結果をもたらしたことになる。

私としては、自分がこのパターンで検索避けされたら、是非とも提訴してみたい。現状、この手の通報の本人確認がどの程度厳格かはわからないが、権利侵害された当事者だという確認が甘かった場合、「愉快犯」の通報で、通報者とは別人の間で確認の訴えが行われるという結果になる。シンパのふりをした誰かのせいで訴訟リスクが上がるというのは、あまり健全とは言えない状態だ。ただ、そういう訴訟が増えれば、Googleなども、権利侵害を申し出ている人が本当に侵害された当事者か、という確認を厳格に行うようになるだろう。こちらは望ましいあり方だと言える。

ネット総会屋対策協議会(日本システム企画株式会社の裏サイト?)が5.11tacticalをdisっている件

Posted on 5月 21st, 2021 in 疑似科学・ニセ科学 by apj

【2022/05/29追記】

小耳に挟んだ情報なのだが、投資家・評論家のやまもといちろう氏がこのサイトに対して発信者情報開示請求訴訟を提起したところ、発信者と判明したのは日本システム企画株式会社の従業員で、どうやらIT担当の人らしいということだった。これ、訴訟になったら従業員も原告になるリスクがありますよねえ。別に悪口書くなとは言わないが、業務命令でやっているならリスクは会社が負わないとねえ。

【2021/07/01追記】

日本システム企画株式会社(NMRパイプテクター)が匿名裏サイトを作ってまで顧客のプライバシーを侵害(2021/06/25)」に書いた通りの状況から,ネット総会屋対策協議会は,日本システム企画株式会社の匿名裏サイトであることがほぼ断定できた。


NMRパイプテクターの日本システム企画株式会社と同じところ(かそれにごく近い人)がやっているとおぼしき「ネット総会屋対策協議会」というサイトがある。

ここ,暗黒通信団(こんな同人誌を発行しているサークル)を中傷する記事を出しているのだが,「ネット上で「ネット総会屋」と検索して主に登場する、山本一郎氏と「暗黒通信団」との密接な関係が浮上しました。」という記事中のリンク先で,なぜか5.11tacticalの製品をdisる,ということをやらかした。

やらかしがあまりにアホなので,後々の笑いものにするため,URL付きのスクショを保存しておく。

Screenshot 01

これ,TOKYO MXに出た時の放映時の画像だが,私が来ているシャツを見て,「中国共産党の正装で登場か?」とコメントしている(爆笑)。

正解は,米国のミリタリー・パラミリ・法執行機関向けブランドの5.11tacticalという会社の出している,「Taclite® Pro Long Sleeve Shirt」か,「5.11 Stryke™ Long Sleeve Shirt」のどちらかである。ここ数年,買い換える時に,このどちらかから,サイズと色の好みの合う在庫がある方を選んでいるので,このときどちらだったかは正確に覚えていない。

ということで,ネット総会屋対策協議会は,米国のミリタリーブランドのシャツを事もあろうに人民服呼ばわりしているのである!!

まあ,見た目から勝手に人民服を連想した挙げ句に,暗黒通信団が中国と関係あるという妄想を書いたわけで,これで人民服じゃなく米国発のミリタリーアパレルだという素性がわかったわけだから,同じ論法でいくなら,今度は米軍と関係あるとか民間軍事プロバイダーと関係がある,といった記述に書き換えるんでしょうかね(爆笑)。

どういうブランドかは,5.11taceicalの日本代理店のサイトを見れば一目瞭然なんだがw

せっかくなので,「Taclite® Pro Long Sleeve Shirt」「5.11 Stryke™ Long Sleeve Shirt」のココが良い!を列挙しておく。

  • 丈夫で長持ち,洗ってもすぐ乾きやすい!
    夏場,毎日洗濯しても乾燥機なしで翌朝着られる程度には乾いている。
  • 両側に大きなポケットが2つあって便利!
    左ポケットをペンやら印鑑やらUSBメモリ,右側はカードケースを入れることにしている。
  • ポケットのさらに下に大きめの隠しポケットがあってすごく便利!
    旅行の時は音楽プレーヤーとイヤホンを入れるのに使っていた。コロナが流行ってからは旅行できなくなり,今度はマスクを入れる場所として重宝している。予備も含めて両側に入れられて便利。
  • 袖をめくり上げた後,ベルトで止められるので作業中下がってこなくて便利!
    袖のところにループが,袖内部にボタン付きのベルトがあって,止められるようになってるので,夏場の作業が快適。なお,自転車通勤で直射日光にさらされたくないので長袖は外せない条件。
  • 襟の下にボタンがあって,ループタイがずれなくて便利!
    ネクタイ通しておけてずれないようにできるのが良い。
  • 左腕にペンを刺せるようになってて作業中に何かと便利!

とまあこんな具合なので愛用している。10年以上前は,ノースフェイスなどのアウトドアブランドのシャツを好んで使っていたのだけど,一時期,ノースフェイスが,日本人向けにポケットの小さいシャツやポケットの数の少ないシャツを出したので,私の要求に合わなくなったため,両側ポケットのそこそこのクオリティのシャツをあれこれ探していたら,これを見つけて乗り換えた。毎回,2着セットで買って交互に洗濯して着ている。これに乗り換えてもう10年近く経つ。実は,5.11tacticalの日本代理店ができる前から,米国のサイトで商品をチェックし米国のショップから通販で取り寄せて使っていた。

私の体格だと,米国サイズのメンズのXSが割と合うが,大抵の日本人女性には袖が長すぎると思う。私は体格(身長や肩幅など)に比べて腕が長いので,袖の長さがちょうどいい程度なのだけど。だから,腕が長めで肩幅に合わせてシャツを買うと袖の長さがいつも足りなくて,という人にはお勧めしたい品である。

科学っぽいデタラメが理解できなくても、嘘つきから物買わない方がいいよね、ということになりかねない

Posted on 9月 13th, 2019 in 事件,疑似科学・ニセ科学,科学,裁判 by apj

 サイト全体が見えなくされてたRikaTanだが、現在、無事に復活している。もちろん、『「謎水装置」NMRパイプテクターに翻弄される人々』へのリンクもトップページに復活。本文pdfもRikaTanサイトにある。まあ、プロバイダからのメールを左巻さんが見落としてた(ゴミ箱に入っていたということなので、スパムフィルターが悪さをしたのだろう、多分)というチョンボがあったので、一時的に公開停止になったのは仕方がない面もあったが、きちんと編集部見解を説明することで、完全復活を遂げた。喜ばしい限りである。技術士会にも是非見習っていただきたいところ。

 日本システム企画株式会社は、RikaTanの記事を仮処分で消させたことを宣伝していたが、数日でさくっと完全復活してしまったことを、今後どう説明していくつもりなのか、ぜひ伺いたいところである。

 まあ、最大限善意に解釈するとして、RikaTanのサイトが一時的に消えたことを、仮処分の効果だと思いこんでいたのは本当かもしれないので、削除させたことを宣伝したこと自体を嘘だというつもりはない。

 問題は今後である。完全復活しているということは、仮処分を突っ込んでみたが「RikaTanの記事は意見論評」等の理由で仮処分が通らなかったということなのだろう(最初、仮処分まで至っていなかったのではないかと疑っていたが、RikaTanサイトの方に「プロバイダ宛に投稿記事削除仮処分命令申立があった」とあるので、申し立てたことは本当のようだ)。ということは、今後、NMRパイプテクターを販売する時の宣伝で、RikaTanの記事を法的措置で消させました、などと述べるとそれは明白な嘘ということになる……そう、この後実際に左巻さんを訴えて削除まで持ち込まない限りは。

 でもって、もし、このまま訴状が来なかった場合、本気で訴訟する気も無いのに仮処分をプロバイダに突っ込んだりして、ハッタリの削除要求ばかり出している企業、という評価が、徐々に確定していくことになると思うのだが、どうだろう。

 NMRパイプテクターの原理が科学としていかにおかしいかは、説明してもなかなか分かってもらえない場合がある。エネルギー保存則を破っているし、高校の教科書レベルの物理をねじ曲げているのは明らかなのだけど、画期的な装置だと堂々と開き直られたり、NMRや水和電子といった、正確に理解している人が少ない、科学でも使っている用語を使っているからだ。劇的な効果があったというパンフレットや、導入実績を示されると、よく分からないが有りそうに思えてきたりもするのだろう。また、説明があまりにも科学としてはおかしいため、多少科学の知識のある人の方が、説明を理解しようとしたがさっぱりわからない、ということになったりする。

 しかし、日本システム企画株式会社の社長や幹部クラスの人が、法的措置をとる、訴える、告訴する、と営業をかけた先で吹聴し、そのまま何もしなかったとしたらどうか。人前で軽々しく法的措置をとると言い、しかもそれが口先だけのでまかせだという人を、普通は、信用するわけにはいかないだろう。堂々と客先で嘘を言って平気でいるということを意味するからだ。

 現状でターゲットになっているのは、私、小波さん、謎水氏、左巻さん、あたりかな。やまもといちろう氏も入りそうではある。半年経ってもこのうちの誰一人、訴状も受け取っていなければ、警察や検察から事情も訊かれていないということになれば、今度は、科学以外の部分で、日本システム企画株式会社の社長や幹部が皆嘘つきだということが確定することになる。既に、小波さんを告訴したと言いふらしているのだが、小波さんの方には今になっても何の事情聴取も無い、という実績がある。

 この記事の日付に注意してほしい。日本システム企画株式会社が批判記事を出した相手に仮処分を積極的に行い始めたのは、2019年の6月〜8月にかけてである。もし、売り込みを受けて、ネットに批判があるという話になって、対処を法的にやるという発言が出たら、事件番号とどこの裁判所でやっているかを訊いてみてほしい。今から向こう2ヶ月ぐらいなら、まだ訴状を準備しているという言い訳も成り立つだろうが、半年経っても明確な答が返ってこなかったら、会社の人達は嘘をついていると判断しても良いし、批判に対処するというのもハッタリだと考えて良いだろう。

 今から半年ほど経てば、批判に対して内容でも反論せず、訴訟や告訴でどうにかするというのさえも口先だけの出まかせだという相手と、安心して物買う契約を進めていいんですか?ということが問題になるかもしれない(訴状が来なかった場合は)。そして、この問題であれば、科学っぽい説明が理解できなかったとしても、大抵の人は理解できるのではないだろうか。

 

日本システム企画株式会社はSLAPPを行う企業ではなくむしろ逆(今までずっと)

Posted on 9月 3rd, 2019 in 疑似科学・ニセ科学,裁判 by apj

先週から今週にかけて,いろいろ動きがありました。左巻さんのRikaTanサイトがクレームで見えなくなったのに続いて,公益社団法人日本技術士会千葉県支部が公開していた見解文書が削除されるということが起きた。何が削除されたかわからないと議論もできないので,個人的に保護していた文書を一時的に公開した。

見解の主な内容としては2つあって,NMRパイプテクターを分解してみたら永久磁石しか入っていなかったので,会社の主張とは異なり,いわゆる磁気活水気と違いがない構造であったことと,磁気活水気の構造しかないもので赤錆は防げないだろうということが書かれていた。この見解は,横浜市水道局が試験的に導入し,設置数年後に装置の上流側と下流側で管内部の錆の状態を調べたら差が無かったという結果と矛盾していない(関連文書一覧)。

直前の左巻さんのサイトへのクレームや,ツイッターアカウント@Material300の凍結の件があるために,日本システム企画株式会社がSLAPP訴訟で脅してくる会社だというイメージがネットの方では先行してしまっているのだが,それは違うだろうという話を一応書いておくことにする。というのは,この先,SLAPPを怖がって対応を間違えても良い結果にはならないだろうと思うからである。このことは技術士会の中の人にも認識しておいてもらいたいところである。

私が見た限りでは,日本システム企画株式会社は,SLAPPを連発するような企業とはむしろ対極にあり,直接訴えるということをちっともしてこない会社である。少なくともかれこれ20年近くはそんな状態である。

日本システム企画株式会社の社長が私宛にクレームを送ってきたのは,2001年のことである。そのときから,信用毀損だ業務妨害だと主張していたし,クレームの直後はいろんな理由から文書の固有名詞を外したものの,その後暫くしてまた復活させ,反論も公開したた。それからずっと批判を続けている。と学会本にも寄稿したし,マンションに売り込みがあって住民から相談される度に,宣伝資料のおかしい部分を指摘する文書を作って渡してきた。つい先日も,Material300氏凍結の件について書いたことで,勤務先大学宛にクレームの文書が送られてきた。その文書の中で,ツイッター社に対して仮処分を行ったことが書かれていたので,その話も改めて書いた

これだけ長期間批判をしているのだし,最初のクレームもそれなりに勢いはあったから,訴状の1通でも届いていても良さそうなものなのだけど,待てど暮らせど送ってこない。最近になって,元・中の人とやりとりする機会があったので,なぜ訴えないのか訊いてみた。そうしたら,従業員はさっさと訴えろと社長に言っているようなのだが,なぜか社長が拒否しているということらしい。拒否している理由の説明は従業員にもなされていない様子だった。

twitter社への仮処分は,(リンク先で書いたように)twitter社がいちユーザーのためにわざわざ手間と費用をかけて本訴訟に進むはずがない状況で行われている。RikaTanのコンテンツについては,発信者情報から調べなければならない匿名ウェブと異なり,責任者が誰であるかがはっきりしているので,本来ならプロバイダではなく左巻さんに直接仮処分を突っ込む方が手っ取り早い。しかし,日本システム企画株式会社はそれを避けて,プロバイダの方に対応を求めた結果,プロバイダが過剰反応して逆に騒ぎが拡大した。

RikaTanに批判記事を書いた小波さんの状況は,このツイートの通りである。公明党の議員秘書から社長の熊野氏に対して,小波さんと面談するように何度も勧めたのに,小波さんに連絡は無かった。しかも,議員秘書に向かって,社長は「小波教授とは話し合って解決済み」と言ったそうだ(実際には話し合いの場が持たれたことは一度も無い)。小波さんが直接電話をしても社長は不在ということで,面談は実現しそうにない。その一方で,小波さんを刑事告訴したと触れ回っていたりする。しかし小波さんのところに警察からも検察からも何の照会もないところをみると,告訴が行われたかどうかがそもそも疑わしい。

これらの行動を見ている限り,日本システム企画株式会社は(というか熊野社長は),SLAPPを行うのではなく,むしろその逆で,批判的な人と直接やりとりすることを極力避けまくっているようにしか見えない。よく考えてみたら,私も,直接手紙がもらえたのは2001年の最初にもらった分だけで,その次に来たのは弁護士名義で母校のお茶の水大宛だった。

技術士会がどういう理由で見解を削除したのかはわからない。プロバイダに対する仮処分云々をちらつかせた程度なら無視してもその先何もしてこないだろう。ただ,もし,仮処分を本当に裁判所に出してきてそれが通ったのであれば,そのままにせず,起訴命令の申立てを行い,本訴訟を提起するかまで確認した方が良いと思われる。そこで訴えてこなくて仮処分が外れて再度見解を公開できるようになる可能性は8割以上あるだろうと私は予想している。これまでの会社の対応を見ている限り,理由はわからないが,直接訴訟で争うことを徹底的に避けてきている。見解の内容も問題があるようには見えないので,怖がらずに争ってみる方が結果が良いのではないだろうか。

ロリポップの責任が絶賛発生中です

左巻さんのRikaTan読者サポートサイトが非表示にされて見る事ができなくなっている。後日のために、ぜひ見に行って、サイト全体が見えないことを確認しておいてほしい。

経緯は、NMRパイプテクターの会社が、RikaTanに出た批判的な記事を削除せよという仮処分を突っ込んできて、プロバイダであるロリポップは左巻さんに連絡を入れたのだけど、不運にもメールがゴミ箱に分類されていた(スパムフィルターに引っかかったものと思われる)ため、気づくのが遅れ、期限内に返答できなかったということらしい。

問題のRikaTanの記事は小波さんによるもので、こちらから全文公開中

この件については、左巻さん本人がfacebookに記事を書き、そのことをツイッターでも呟いている。ちょっと長くなるが、左巻さんのfacebookに引用された、ロリポップからの照会内容を引用しておくので必要に応じて参照してほしい。

日本システム企画株式会社が削除を求める仮処分を突っ込んでくるのは、まあ向こうにもそうする権利もあるわけだから改めて議論なり批判なりをするとして、問題はプロバイダであるロリポップの対応の方である。削除要求は、当然のことながら、RikaTanサポートサイトのうち、NMRパイプテクターに批判的なことが書いてある部分のみである。プロバイダからの問い合わせに対する回答が遅れたのは左巻さん側のチョンボでもあるので、削除要求があったページのみが一時的に見えなくされたとしても、それは仕方がないだろう。JICAですら引っかかるような商売の批判なのだから、プロバイダに正確な判断を求めるというのもまあ酷な話ではある。ところが、ロリポップは、独断で、削除要求とは関係のない部分まで巻き添えにして公開停止にしている。つまり、ロリポップが、削除要求に関係のないところを「人質」にして、記事を削除しないと再公開させないという圧力をかけていることになる。日本システム企画株式会社から袖の下でも貰ったか、弱みでも握られてるのかと勘ぐりたくなるような対応である。権利侵害が起きたから削除せよと言われていない部分まで独断で公開停止にしているので、現在進行形で左巻さんのRikaTan関連の業務妨害をしているわけで、目下損害発生中である。この分の賠償責任についてはプロバイダに対する免責は無いだろう。

プロ責法が運用されて随分経つのに、こんな杜撰な削除をやらかすプロバイダが営業しているとは思わなかった。日本システム企画株式会社以上に、ロリポップの方がヘンな問題企業という話になりそうだ。最初は、日本システム企画株式会社が狡猾だったのかと思ったけど、そうではなくて、ロリポップが予想以上に馬鹿だったというオチに見えて来た。

【追記】

JASRACのせいでロリポップのアカウントの停止された件」てのがあるので、昔からロリポップは、権利侵害だと言われていないページまで巻き添えにするプロバイダということらしい。みんなで責任追及しまくらないと改善されなさそう。あるいはとっとと使うのを止めて他に移るか。

町村先生のブログでも取り上げられました。「#パイプテクター からみで #ロリポップ が契約違反?」プロ責法の詳しい議論があります。

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【ロリポップ!】侵害情報の通知兼送信防止措置に関する照会

さて、この度、お客様が管理されていたウェブサイトから発信された情報の流通により権利を侵害されたとする方より、弊社に対する投稿記事削除仮処分命令申立事件(事件番号:令和元年(ヨ)第2513号)が東京地方裁判所にございました。

【掲載されている場所】
債権者は、以下の通り主張しています。
「http://www.rikatan.com/wiki.cgi」
「http://www.rikatan.com/NMR.pdf」

【掲載されている情報】
債権者は、以下の通り主張しています。
「*社会的ニーズが高いと要望がありましたコンテンツを無料で提供しています。
「謎水装置」NMRパイプテクターに翻弄される人々←クリックでpdfファイルがダウンロードできます」
「「謎水装置」NMRパイプテクターに翻弄される人々 小波秀雄」
「Rika Tan【理科の探検】2019年4月号の

【侵害されたとする権利】
債権者は、以下の通り主張しています。
「人格権」

【権利が侵害されたとする理由】
債権者は、以下の通り主張しています。
「(1)本件投稿2の本件記事において、債権者の取扱製品であるパイプテクターには防錆効果がない、科学的根拠がない等とするものである。
(2)また、本件投稿1自体、前述のとおり、「特集 ニセ科学を斬る!ファイナル」と題する本件雑誌(RikaTan【理科の探検】)2019年4月号とその目次を紹介する内容であり、本件投稿2の本件記事のタイトルである「「謎水装置」NMRパイプテクターに翻弄される人々」を記載して本件記事を紹介し(疎甲6の1)、またリンク先から本件記事のPDFファイルをダウンロードできるようにしている(疎甲6の2、7の1、7の2)。
本件投稿1自体も、債券者の取扱製品であるパイプテクターは防錆効果がない、科学的根拠がない等とする記載である(疎甲6の1)」
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 見ていなかったので回答もせずにいたら、次に
【ロリポップ!】お客様のサイトを非表示にいたしました
というメールが来て、非表示にされていました。
 それでゴミ箱から上のメールを見つけ出したのです。

 回答しないでいたのは、ぼくのせいなのかもしれませんが、昨日次の回答をしました。
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ご利用状況 ロリポップ!ユーザーです
ご利用のURL http://rikatan.com
ご用件 その他
お問合せ内容
【ロリポップ!】お客様のサイトを非表示にいたしました 8/28 17:58が来たので、【ロリポップ!】侵害情報の通知兼送信防止措置に関する照会 8/23 18:51 を「ゴミ箱」に分類されて読めなかったので2019/08/29回答します。

2019/08/29やっと【ロリポップ!】侵害情報の通知兼送信防止措置に関する照会 8/23 18:51を見られたので回答します。
裁判所の判断が決定されたらその時点で裁判所の決定に従います。
それまで非表示にしないでください。
****************<回答フォーム>***********************************
[回答内容](いずれかに○)※
( ○ )送信防止措置を講じることに同意しません。
( )送信防止措置を講じることに同意します。
( )送信防止措置を講じることに同意し、問題の情報については、削除しました。
[回答の理由および本件に関する詳細な事情]
・小波秀雄氏は『RikaTan(理科の探検)』誌編集委員であり、物理化学を専門とする科学者です。
 編集委員会でも内容を検討していますが問題があるとの指摘はありません
でした。
 内容に小波氏は自信をもっており、ダウンロードして広く判断の材料にして
貰いたいと希望しました。
 内容はあくまでも科学的な検討です。
 その該当の製品企業は科学的な根拠を元に議論すればよいと思います。
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これへの返事は未だ来ていません(8/30 12時現在)。

DNDと出口氏に関する疑問

Posted on 10月 4th, 2015 in 疑似科学・ニセ科学 by apj

EM批判をするとクレームをつけるために直談判に来ると噂の出口氏について。情報の整理と疑問など。

出口氏は産業技術知識基盤構築事業(デジタルニューディール、DND)に関わっていた。

このプロジェクトでは、「産業技術知識プラットホーム」というのを、http://www.rieti.go.jp/dnd1にて運用していた。内容は「アカウント登録制のグループウェア」「ユーザが立ち上げたプロジェクト内に設置されたBBS、スケジューラ、ファイル共有、リンク集」(経済産業研究所の20億円Sourceforgeモドキ、2002年2月24日)。ところが荒らされたらしくプロジェクトが片っ端から削除され404だらけになってしまった。システムには18億円かかっているので値段に比してかなりお粗末だったといえる。

こちらによると、

2002年4月:
独立行政法人経済産業研究所出向、DND運営事務局長就任、大学発ベンチャー支援サイトを開設。毎週水曜日、DNDメルマガを配信(現在に至る)。

2003年6月:
産経新聞社退社(早期退職制度)。独立行政法人経済産業研究所DND事務局長再任。
2003年12月:
(株)デジタルニューディール研究所設立。

2004年4月:
(株)デジタルニューディール研究所開設、代表取締役社長就任、(財)ベンチャーエンタープライズセンターDND事務局長。

これは本人が公開しているプロフィールだから間違いは無いだろう。

ファイル名から見ると、2003年4月24日のものらしい「新産業を創出する「場」としてのデジタルニューディール」を見ると、「環境技術:食、安全、健康」プラットフォーム(電子会議室)の主催者として出口氏の名前がある。ここでのプラットホームとはrite.go.jpで運用されていたものだろう。この報告書の最後の方に 

そして今年度、出口担当マネージャーが推進したDNDは、昨年度までの「場の提供」という性格に、「顔が見えるリーダーシップ」という新たなイノベーションを加えたと評価できる。当初DNDは場の提供に徹し、中立であることを強調した。しかし中立を強調しすぎると、事業の目的やメッセージ性がはっきりせず、参加者を引き寄せる力が弱くなってしまう。
 この利用状況に対応し、出口担当マネージャーは自ら「環境技術・食・健康・安全」と題するプラットフォームを主催して活発な議論をリードした。その他、自ら執筆したコラムを掲載したメールマガジンを毎週発行し、参加者に事業の現在を伝えるメッセージを送り続けている。

とある。主催したプラットフォームはrieti.go.jpで作られたものだと読めるが、メールマガジンについては、大学発ベンチャー支援サイトつまりdndi.jpを開設し、それと同時にDNDメルマガを配信開始したと読める。

ところがこのDNDプロジェクトはサイトが閉鎖されて中断したとある(消えた国策プロジェクト)。中断した後、数億円余っているはずの予算処理が不明であるとも指摘されている。ここに「GLOCOMの所長代理(当時)が経産省の官僚を過剰接待するなどの不正経理問題が起こった。所長代理は解任され」と書かれているが、名前は挙がっていない。2008年9月6日付けの「東京地検の捜査を受けた公文俊平の正体」によると、過剰接待というか口利き料を出すことを提案した所長代理氏が山内康英氏、贈賄との指摘も顧みずに出せと命じた所長が公文俊平氏とわかる。

表に出ている情報を見る限り、rietiのDNDポータルサイトがヘタレだったのは出口氏とは関係ない。出口氏がポータルサイトで活発に活動する前から既にヘタレサイトとして作られ荒らされていたことがわかる。

2004年3月30日付けで、デジタルニューディールのウェブサイトがdndi.jpに変わったとの記述がある(https://web.archive.org/web/20040413002131/http://dndi.jp/)。古いアーカイブなので画面表示が乱れたりしているが、内容を見る限り、http://www.rieti.go.jp/dnd01/にあった内容あるいはそこに置くべき内容ではないかと思われる。思われる、というのは、当時の記録が残ってなくて比較のしようがないからで、アーカイブ等を確認してもhttp://www.rieti.go.jp/dnd01/はどれもdocument not foundで、むしろまともなサイトがあった形跡がまるで無いからである。この有様で当時18億円かけてました、って、一体何の冗談かと思う。また、dndi.jpが稼働した時に、デジタルニューディールは掲げてはいるものの、大学発ベンチャー起業支援サイト、とも書かれている。元々のDNDは大学発に限ったものではなく、大学発ベンチャー支援は後からDNDに追加されたミッションである。

dndi.jpに掲載されていたお知らせによると、

平成19年度よりDNDは、経済産業省との委託事業契約が予定通り、 終了致しました。今後は、運営責任をデジタルニューディール研究所、後援が(財) ベンチャー・エンタープライズ・センターに変わる予定です。サイトの内容に変わ りはありませんが、自立的な運用という趣旨から、バナー広告や有料のお知らせな どが入ってくることがあります。

とある。つまり2006年度内で経産省のプロジェクトは一旦終了している。予定通り、とあるので、契約期間満了に伴う終了、ということだろう。

そうすると、矛盾が出てくる。池田信夫ブログによると、DNDは中断して余った予算処理がどうなっているか不明だとされている。一方、dndi.jpによると、委託事業契約は予定通りに行われたことになる。プロジェクトが中断されているのにdndi.jpとの契約がそのまま、というのは不自然である。後から追加されたミッションである大学発ベンチャー支援だけが続いたということなのだろうか。どうもはっきりしない。

2008年4月18日のdndi.jpを見ると、運営が「(財)ベンチャー・エンタープライズ・センター 講演:経済産業省」となっている。2008年12月11日のdndi.jpでは、運営は(株)DND研究所のみとなっている。2008年の4月から12月の間のどこかで、dndi.jpの後援は無くなり、出口氏の会社のみが運営するようになったことがわかる。

元のDND自体が、ポータルサイトを売りにして始めたにもかかわらず早々にサイトが機能しなくなったヘタレプロジェクトであるのに、その名前を引き継いで今に至るまで運用するのは出口氏にとってむしろデメリットだろう。ちょっとネットを探せば、元のDNDへの批判がすぐに見つかるわけで、そこと関係があったことを強調して何がしたいのかがわからない。

もっとわからないのは、何故出口氏がEMに入れあげているのかということ。大学の先生だって全員がまともとは限らず、中にはインチキに荷担するのもいれば山師も混じっている。大学発ベンチャーを支援するなら、インチキが紛れ込まないようにする、というのは信用を維持する上で最も重要な要素のはずなのに、とても科学とはいえず充分なエビデンスもないEMに対して批判している大学の研究者のところに、(来るなと言っても)出口氏は強引に押しかけてクレームを付けるということを繰り返している。EMを支持する立場をはっきりさせた時点で、出口氏には、研究の内容がまともかどうか、その研究者がまともかどうかを選別する能力が全くないということを自ら公表してしまっている。科学技術の内容について選別眼が全く無いとみられる行動をとっておいて、起業を支援します、と言われても、不安要素しかない。起業を応援される側としては混じってるトンデモと一緒にされたくないだろうし、出資する側としても玉石混淆が甚だしいとなるとうかつに支援できないのではないか。