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日経サイエンス12月号

Posted on 10月 30th, 2009 in 倉庫 by apj

 ブックレビューを見ていたら吹いた。104ページ。

<白い虚塔 201X編>
教授「財前君、これ以上逆らうと、君を私の後任教授にするよ」
准教授「東先生、そこまでお怒りなんですか」
医局員「じゃ、教授、私は辞めますので。明日からがんばってね」
研修医「5時になったので帰ります」
患者「治療費はつけておいて。そのうち払うから」
警察「病気を治せない場合には逮捕し起訴します」

 医療崩壊ここに極まれり、みたいな。

新型インフルエンザ対策

Posted on 10月 30th, 2009 in 倉庫 by apj

 新型インフルエンザ対策で、今年度の入試は再試験をする方向でどこの大学でも調整が続いているはずなんだけど……。
 話を見聞きした限りでは、
   試験監督者である教員が感染して何人も抜けた場合にどうするのか
が一切触れられてもいない件。
 受験生が感染することは想定していても、教員が感染することは全く想定していないように見える。しかし、毎日大人数を集めて教えているわけだから、教員は感染については高リスク群だろう。

 また、去年だったか、季節性インフルエンザでセンター試験を別室受験になった受験生の試験監督をした教員が、監督後にインフルエンザを発病している。別室受験については監督者も学生もマスク着用などを行っているが、効果がなかった。無事に治ったから良かったのだけど、今のままだと、多少毒性の強いインフルエンザが流行した場合、万が一教員が死んでも死に損なのだが……。

 感染源が受験生だということになったら、教員の労災申請の件数がはね上がりそうな気も。

 感染症対策という観点からは、現状の大学入試のうち、特に大人数を1箇所に集めるセンター試験は見直した方が良いのでは。大学ごとの試験なら、センター試験ほどの人数が1箇所に集中することはないし。

宇都宮先生の本

Posted on 10月 26th, 2009 in 倉庫 by apj

 「弁護士、闘う―宇都宮健児の事件帖」を書店で見つけたので衝動買い。

弁護士、闘う―宇都宮健児の事件帖 (単行本)

 確か、消費者庁を作る時の集会(名前を忘れたが、福田首相(当時)も挨拶に来られたイベント)の後の懇親会で、宇都宮弁護士と会ったことがある。たまたま席が前だったので、beyondさんと一緒に握手してもらった。「当分この手を洗えない……」とアイドル扱いになってたことは内緒w。オウム真理教の被害者救済をやった弁護士だということは知っていたが、その時はそれ以外の活動いついては知らなかった。

 それはともかく、水関係でマルチ商法の会社を相手に訴えたり訴えられたりだという話をしたら、宇都宮先生に「悪徳商法の批判をやっているのなら、悪徳業者から訴状が来るのは勲章」と言われてしまった。

 今回、本を読んでみて、世間で大被害を出して話題になった消費者被害の救済を他にも数多く手がけてこられたことがわかった。また、消費者庁の設置のための活動も続けておられたことがわかった。訴状が来るのが勲章だという意味も、よくわかった。

株式会社アートコミュニケーションによる削除要求についてもっと知りたい

Posted on 10月 24th, 2009 in 倉庫 by apj

 株式会社アートコミュニケーションによる削除要求についての情報を知りたいので、ご存じの方がいらっしゃいまいしたらぜひお教え下さい。
 私のところの状況は、直前に書いた通り。もともと話題が出たのは2006年7月頃。削除要求が来たのは、今年の10月である。
 私のところだけかと思ったら、「背徳のろくろ師のブログ」の管理人さんのところにも、今月、削除要求があった模様。内容証明で名誉毀損だと主張するものをもらったらしい。管理人のバクステールさんのところでアートコミュニケーションが話題になったのは、2005年12月で、その後議論が続いた後、2007年03月14日で一旦議論が終わっている。

 私は、「株式会社アートコミュニーションが、過去の批判的な記事に対して片っ端から訴訟をちらつかせて削除を求めはじめた」のではないかと疑っているが、サンプル数は現在2件である。

 過去に、株式会社アートコミュニーションの商売のあり方などについて問題がある、あるいは批判敵な議論をしたというサイトの管理人さんで、最近になって名誉毀損だと主張するなど訴訟をちらつかせた削除要求をもらった方が他にもいらっしゃるかどうかを知りたい。このネタをまとめているサイトがあったらぜひ訪問したい。何か知っている方がいらっしゃいましたら、ぜひお教え下さい。

 消費者センターへの問い合わせ内容が分かれば、もっといろいろ出てきそうだし、いざ紛争になった場合は相手が悪徳だというところまで証拠を示して言えれば楽になるんだけど、さて、どうすりゃいいのか……。

アートコミュニケーションから削除要求(追記修正あり)

Posted on 10月 24th, 2009 in 倉庫 by apj

 私が大学の方でやっている、TOSSウォッチング掲示板に、次のような投稿がなされた。これについて、株式会社アートコミュニケーションから削除要求が来ている。一連のスレッドの流れは次の通り。

 このまま紛争ということになると、何はともあれ証拠(名誉毀損で争う場合は文言の特定が重要になる)が必要なので、印刷イメージのPDFファイルを作っておぃ。関連ツリーの本日のスナップショット(pdf)。まあ、やるなら、相手方が甲号証として出してくるんだろうけど、念のため。

[705] 教室ツーウェイ最新号
ID = 060221776ec036958b7466c4f3efceba ( 851937dbba924903b31e16be2c780026 )
ドラゴン のコメント: 2006-07-10 09:50 :
最新号の目次などです。
http://www.meijitosho.co.jp/zasshi/shosai.html?bango=20327

「特集 中学生宮廷画家(ハプスブルク家)を誕生させた酒井式描画指導法」
だそうです。
次号予告も含めて、向山氏は、権威がお好きなようです。

[706] 無題
ID = 060221776ec036958b7466c4f3efceba ( 851937dbba924903b31e16be2c780026 )
ドラゴン のコメント: 2006-07-10 18:03 :
まだ現物は見ていないので、推測です。
EU市民交流年行事として参加したようなのですが、たぶん「新世紀宮廷芸術博覧会 2005」でしょうか。インスブルックで、美術系のイベントはこれくらいです。
http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/eu/report/calendar/austria/03.html

この主催者のハプスブルク芸術友好協会と(株)アートコミュニケーションは、ちょっと問題な団体のようです。
http://www.artcommunication.jp/habsburg.html
http://www.artcommunication.jp/index.html
協会は、アートコミュニケーションの中にあるようで、お金を払えば会員となって(審査はあるようですが)、宮廷芸術会員となれるようです。(言い回しが微妙なので、判断に困りますが)
アートコミュニケーションの業務もよくわかりませんが、社員募集とQ&Aを見ると、芸術家に電話をかけて展覧会や図録への参加を呼びかけるようです。歩合制の給料のようです。

こんなところでも話題になっています。
http://www.marin21.com/akutoku/cgi-bin/akubbs/treebbs.cgi?mode=view&code=5231
http://blog.livedoor.jp/sophya/archives/50288816.html?1141528976
http://academy4.2ch.net/test/read.cgi/gallery/1033411664/

ちなみに協会の原語で、検索しましたが、日本のリンクばかりです。ドイツのヤフーでも引っかかりませんでした。
今回の特集と関係があるかはわかりませんが、ちょっとした情報です。

[707] 無題
ID = fa4aa60f0430b3701fcbc2162675a2d9 ( b51a08d6a1b09b53eb004a99c3bc13e3 )
NOBITA のコメント: 2006-07-12 01:44 :
ドラゴンさんの言いたいことは、この特集は、悪徳商法に引っ掛かったのを知らずに自慢しているか、悪徳商法に荷担しているか、どっちかということですね。
どっちにしろ、批判能力がないというか、トホホですね。

[708] よくわかっていないようです
ID = 060221776ec036958b7466c4f3efceba ( 851937dbba924903b31e16be2c780026 )
ドラゴン のコメント: 2006-07-12 13:48 :
小心者のうえ、推測なので、断定的に言いづらかったので、情報提供のような形にしました。
わかりづらくてすみません。
8月号見ました。
向山氏は、「ハプスブルク家が酒井式の絵を買い上げた。だから宮廷画家の誕生だ」ということで、あとは酒井式の賛美と反酒井式の批判です。
宮廷画家になったという子どもの原稿では、
�酒井式で描いた絵を、年齢を隠して出展していた。
�いくつかの団体から、パーティや出展の話がきたが断っていた。
�ハプスブルグ芸術友好協会のエヴァ博士から推薦がきた。
�協会に入会して、盾が贈られてきてハプスブルク家宮廷芸術家の仲間入りをした。(中二)
�翌年、オーストリアの展覧会に無審査出品ができるとの案内がきたので出した。
�10月にオーストラリアの会場へ行くと自分の絵が展示されていた。
�会場では素晴らしいパーティが開かれ、国会の議長などの偉い人が来ていた。オーストラリアはすばらしかった。
ということです。
本人はいたって満足しておりますので、悪徳は言えないでしょう。

ただ、これをもって酒井式が高いレベルとして認められたというには、無理があるようです。
先にあげたリンクを見ると、ある程度のお金を出せば、できる範囲のことのようです。
この子が本当に認められたのかどうかは、これだけでは実際にはわかりません。
印象として、向山氏(TOSS中央事務局)は、ことの顛末をよく理解していないように思います。

ハプスブルク芸術友好協会と(株)アートコミュニケーションは、問題のある団体のようですので、TOSSが教育団体を名乗るなら、この関係は明らかにする責任があると思います。同様にこの雑誌の出版社も確認する責任があったでしょう。

[709] タイポが…
ID = 060221776ec036958b7466c4f3efceba ( 851937dbba924903b31e16be2c780026 )
ドラゴン のコメント: 2006-07-12 16:45 :
オーストラリア→オーストリアでした。
失礼しました。

 問題となっているのは、「アートコミュニケーションは、問題のある団体」という部分だそうで、あとは、関わっている子ども達のことを問題にしたのがまずいと主張している。

 また、削除要求の文書中に、提訴の準備をしている、とあり、さらに、

「当サーバ上のページに関する問い合わせや苦情のメールは公開することがあります」と書かれておりますので山形大学様に問い合わせさせて頂きました。大変お手数ですが、この掲示板の管理者と弊社を仲介して頂きたいのですが、可能でしょうか。

 と書かれていた。また、

このままこの記事が放置されますと、この記事の作成者だけではなく、掲示板スペースを提供している大学も含めて訴えなければならなくなります。

と書いてあった。

 大学は、要求の通りに私に仲介したので、要求の内容も同時に全て判明することになった。

 削除要求の文書は、メールしか無いらしい。プロバイダ責任制限法のフォーマットには則っていない。文言の特定は大甘で、このままで名誉毀損の訴状が書けるかどうか他人事ながら気になるくらい。また、訴訟の準備をしているのなら、代理人弁護士名義・代表取締役の名前も示した上で、メールではなく書面で要求があるのが普通だと思うのだけど、メールしかなく、しかも、相手方会社の担当者名も無い。
 この要求が弁護士に委任する前であるとしても、普通なら、こういう文書は代表取締役名義で出すものだろう。代表者名義で訴え、訴えられるのが日本の民事訴訟制度だから、訴訟するつもりなら法人代表者の名前が無いと話にならない。その前段階の交渉が代表者名義で行われないなら、文書を受け取った側は、相手が本当に訴訟するつもりがあるかどうかの判断がつかない。代表者を出すのが大げさなら、せめて法務部の担当者の名前でも書かれていないと、相手の本気度が予測できない。

※山陰地方の某社とやったときは、代表者がなかなか出てこなくて困ったことがある。訴訟する気があるのかどうかにつき、代表者宛に会社に手紙を送っても代表者名義の返事が来ず、担当者の返事しか来ないために、訴訟する気があるのかどうかの意思確認ができなかった。最後は、登記簿謄本を調べ、会社に送っても担当者からしか返事が来なくて意思確認ができないという事情を説明し、代表者の自宅に内容証明を送ってやっと確認がとれた。訴訟に発展するかもしれない交渉事なのに、代表者の決裁を通っているかどうかが見てわからない文書がやってくるのは困るし、余計なトラブルの元でもある。

 さらにわからないのは、訴訟の準備をしていると書き送ってきているのに、削除要求を公開されるのがイヤでわざわざ削除要求を大学に送ったらしい点。訴訟が始まれば、削除を求める対象となった文言およびその理由はオープンになるわけで、知れ渡るタイミングがせいぜい1,2ヶ月早いか遅いかの違いでしかない。訴訟の準備中だと通告しておいて、削除要求の内容の方は秘匿したいと考える相手のセンスは、私には理解不能である。個人のプライバシーの部分や企業秘密に関わる項目を除外すれば、正当な権利主張をこっそり行う必要は無いはずである。

 いくら「訴訟の準備をしている」と文面にあっても、権利侵害であるとの指摘の部分が曖昧では、本気かどうかが疑わしいし、受け取った側としては「準備不足だなあ」とか「ひょっとして訴訟云々は口先だけで、実は準備なんかしてないんじゃないの?」と思うだけである。逆に、「訴訟の準備をしている」などとわざわざ書かなくても、権利侵害の主張の内容が明確で、どういう訴状が来るか予想のつく形で書かれていたら、受け取った側は「これは訴訟の準備をしているに違いない」と判断することになる。

 以下一般論。
 削除要求については、大学に求めようが、民間のプロバイダに要求しようが、処理は同じ。要求の内容がわからない限りどうすべきかの回答もできないので、後のトラブルを避けるためには要求の内容を全て発信者に伝えることになる。大学を通せば削除要求をしたことを隠しておけると思っている節があるが、そんなことはない。

 もし、「仲介」の意味に、大学が私に対して今の段階で回答以外に何かを要求することを期待していたのだとするなら、それは勘違いというものである。大学は文字通り「仲介」しかしない(し、多分、すべきでもない)。大学は裁判所ではないので、表現が権利侵害かどうかを判断すべきではない。その判断は裁判所の仕事である。大学が出てきて何らかの判断をすると、今度はその責任が発生し、いたずらに紛争に巻き込まれる結果になる。

 なお、掲示板の一連の内容・相手方からの削除要求の文書・私の回答は、弁護士に見せて相談をしておく予定である。訴えられたら応訴しないといけないし、今回は私を外すつもりはないらしい。また、大学まで訴えるつもりなら、あんまり下手な対応もできないし、事前に状況を知っておいてもらった方がいいだろう。
 ただ、吉岡氏とやりあったときの大学の対応を考えるに、顧問弁護士があのままだとすると「問題の掲示板のあるサイトは大学のサイトじゃないからウチは無関係」という準備書面を出してきそうな気が激しくするわけだが。

 手続きは踏まないといけないので、大学には、既に書面で回答した。

 ところで、このような場合に大学がどこまでの法的責任を負うかという判例・下級審裁判例をなかなか出せないでいる。吉岡氏との件も、吉岡氏は大学の管理責任を問うたが、私達が当事者参加して争い、「書き込み内容に違法性がない」という結論になったため、大学の管理責任が問題にならなかった。今回、アートコミュニケーションが大学も訴えてくれば、大学側は多分「そこまでの管理責任はない」という立場で争うだろうから、裁判例を1つ出せる可能性がある。この意味では、大学も含めて紛争をやった方が、ネットを巡る法解釈の発展には役立つかもしれない(いやまあ、判例を出すのは大学の仕事じゃないと言われるだろうけど)。ただ、文言が違法でないということになったら、やはり管理責任までいかなさそうで……。私としても、大学の管理責任の及ぶ範囲をはっきりさせる目的で、明らかに違法な書き込みをわざとに放置するといった、本末転倒なことまでする気はないし。

【追記】
 掲示板投稿で「話題になっている」と取り上げれた他サイトさんのうち、「背徳のろくろ師のブログ」を見ると

アートコミュニケーションから、この記事に寄せられた一部書き込みコメントの削除要請が内容証明郵便にて届きました。指摘されたとおりに記事は削除完了しました。それらの書き込みが削除されても十分本位は伝わるだろうとの判断です。それと共に「当社の名誉や営業を回復するのに必要な処置をおとりくださいと」との要請もありました。それに関しては、名誉回復の機会は「投稿書き込み」により与えてます。まずその機会を利用もせず、「名誉毀損だ」というのはお子様論法で成立しません。と言うのがこちらの見解です。
Posted by バクステール at 2009年10月04日 20:51

 のような状況らしい。

 最近になってあちこちに削除要求出しまくりということなのだろうか。

【追記2011/08/22】
 このエントリーに対してしつこく行われている投稿ですが、投稿元はこんな感じです。

 2011/06/25 14:58:31 の東欧ヨーロッパ
nslookup 220.107.174.1
1.174.107.220.in-addr.arpa name = p7001-ipad4kokuryo.gunma.ocn.ne.jp.

011/08/21 21:49:56のGuten tagは、
nslookup 221.184.44.226
226.44.184.221.in-addr.arpa name = p1226-ipad05kokuryo.gunma.ocn.ne.jp.

おそらく同一人物でしょう。

これまでに、アートコミュニケーションがらみでおかしな投稿をしてきた投稿元は、
125.174.252.87 p2087-ipbf213aobadori.miyagi.ocn.ne.jp.
と、
116.91.8.228 d228.FtokyoFL102.vectant.ne.jp
でした。

 はっきり言ってこのしつこさの方が異常です。この手のやり方で嫌がらせをして、悪い評判を出させないようにしてきた会社ではないかと疑ってしまいます。そしてそのことは、おかしな削除要求を出すという会社の行動とも矛盾しません。興味深いので、サンプルとしてこのエントリーは残し、今後何件この手の投稿があるか調べるのに使おうと思います。

石教研養護教諭部会 理論研修会

Posted on 10月 23rd, 2009 in 倉庫 by apj

 表題通りの研究会で、「飲料水の科学とニセ科学」というタイトルで講演してきた。
石狩管内の養護教諭の集まり。正しい健康情報を、生徒や保護者に対して発信する立場の方々なので、怪しい健康情報をしっかり見抜いて啓蒙していただけると大変助かる。その役に立ちたいと考えて、話をしてきた。

Business Media 誠が水素水に関するデマを広めている件

Posted on 10月 21st, 2009 in 倉庫 by apj

 Business Media 誠の水素水の記事より。

銀座に「バー」まで登場……「水素水」ブームの予感
一般にはまだなじみの薄い「水素水」だが、最近は愛飲するトップアスリートが増えているという。都心にも「水素バー」が登場するなど、ブームの様相を呈している。

 住宅建材大手のパナソニック電工と九州大大学院薬学研究院は先ごろ、水素を含む水をあらかじめ飲用することで、パーキンソン病などの脳神経疾患の予防と治療に有用な可能性があると発表した。一般にはまだなじみの薄い「水素水」だが、最近は愛飲するトップアスリートが急増。都心のど真ん中にも「水素水バー」が登場するなど、ブームの前夜の様相を呈している。

 検証結果によると、水素水を飲用することで、パーキンソン病に見られる脳の神経細胞の脱落を抑制できたという。0.08ppmの低濃度でも効果が見られたうえ、神経細胞の脱落の原因となる、活性酸素によるDNAの酸化損傷を抑制することも確認されたため、米オンライン科学誌に結果を掲載した。水道水の電気分解時にも水素が生成されるため、パナソニック電工などが販売するアルカリ浄水器(実売価格2万9800円)で電気分解された後の「電解アルカリ水」にも水素が含まれるという。

 水素水の効用は、トップアスリートやエステティシャンの間では以前から知られていた。体内に蓄積した活性酸素は疲労や老化、重大疾病の原因とされる。それを水素が持つ強力な還元力で抑制。細胞やDNAの損傷を軽減することで疲労しにくい体を作るほか、高い美容効果も実証されている。そのため、市販の水素水を日常的に愛用したり、水素水を精製する浄水器を導入する事例が昨年以降増えているのだ。

 180ミリリットルパウチタイプの高水素濃度ウオーター「SWAT」(メディカルパートナーシップ、10本3000円)を愛飲するプロテニスプレーヤーの中野佑美(21)は、「1試合で最低6本は飲んでいますが、試合中に疲れにくいうえ、翌日の目覚めが最高に快適。プロスポーツ選手はもちろん、スポーツ好きな方や体調管理に自信がないサラリーマンの方にも良いのでは」と話す。

 テニスのクルム伊達公子やプロ野球の高橋由伸、大相撲の豊ノ島など多くのアスリートたちも愛飲。そんななか、東京・銀座6丁目に今月、「水素水バー SUISOS(スイソス)」がオープンした。

 代表の立花守満氏は日本で唯一、水中の水素含有量を限界値(1.8ppm/7度)まで高めることに成功した水素水の第一人者。同店では常時、専用サーバーで水素水を無料供給するほか、500ミリリットル700円の専用真空容器を購入することで、営業時間の午前11時から午後7時まで何度でも店内のサーバーから高濃度水素水「SUISOS」をくむことができる。

 立花氏は「近隣のエステティシャンやホステスさんはもちろん、高級日本料理店の方なども1日に数回、水素水を調達にこられます。日ごろから体の疲れや肌荒れ、持病やメタボ体形に悩みを持つ方は、ぜひ利用してほしいですね」と言う。「水素」が新時代のキーワードになりそうだ。

 パーキンソン病への効果については、このエントリーで紹介したが、パーキンソン病そのものへの治療を行ったわけではなくて、「パーキンソン病と同様の神経破壊を起こさせる薬の効果が軽減された、しかも動物実験でありヒトでは(そんな実験は倫理的に問題があるからそもそもできないので)未確認」というだけである。この記事の書き方だと、読んだ人が間違った情報を信じることになる。
 活性酸素であれば、どの分子種も寿命は短いので、体内に蓄積することはあり得ない。すぐに他のものと反応して無くなってしまう。
 水素ガス(水素分子)の「還元力」は、アスコルビン酸のような、フリーラジカルを直接消去するような強いものではないので、強力な還元力、という書き方は間違っている。このあたりは、活性水素検証の実験を行った杏林大の平岡さんが指摘している。

 ところで、共通教育の「科学リテラシー」の講義では、「食卓の安全学」(松永和紀著、家の光協会)をテキストにし、期末レポートでは、この本に書かれた科学記事の見極め方をまとめる、というものを課題の一つにしている。その章の最初の目次のいくつかはこんな具合だ。

1 有名人のお墨付きにはご用心
2 「体験談は信用度ゼロ」と思え!!
3 動物実験にごまかされてはいけない
4 記事広告にも気をつけて
5 数字、単位、グラフのトリック

 記事内容が正しいかどうかを判断するために列挙された項目の最初の3つが、松永さんの本を見てわざとに書いたのかと思うくらいに、そのまま当てはまっている。
 私の講義を半期受けた学生なら、この記事を信用することなど無いだろう。また、この記事をネタにすれば楽勝でレポートが書けるだろう(注意:私が既にここで書いちゃったし、ネット情報の丸写しは大幅減点だから、残念だけどこの記事はレポートのネタにはならないよ>受講生全員)。

 仮に、何かの病気の治療法として水素が有効であることがわかったとしても、治療法≠健康法であるのが普通だから(∵例えば癌予防のために普段から抗がん剤を飲むことを健康法として実行する人などいない)、水素水を常用した場合の結果が保証されているわけではない。水素水の健康に対する効果を調べたければ、水素水を摂取した人とそうでない人でその後のどんな病気になるかに差があるかを追跡する、大規模な疫学調査をしないと結論は出ない。今のところ、前向きコホート研究が行われたという話は無い。根拠が何もないのに、水素水が健康にいいかのように装った商売をすることにもそれを助長することにも問題がある。

特異所在不明者

Posted on 10月 15th, 2009 in 倉庫 by apj

 時事ドットコムの記事より。

友人や雇い主も可能に=不明者届け出、幅広く受理-警察庁
 警察庁は15日、所在不明者の捜索を求める届け出について、親族や後見人などに限っている現行制度を改め、親しい友人や恋人、同居人、雇い主にも拡大することを決めた。単身世帯の増加に加え、生命や身体に危険が迫っている恐れのある「特異所在不明者」が増え続けているため、届け出を幅広く受理することで不明者を漏れなく把握し、迅速な発見につなげる。
 不明者の捜索は1976年の通達を基に運用してきたが、新たに国家公安委員会規則を制定。規則案に関する意見を16~29日に募る。
 同庁によると、年間の所在不明者は56年以降8万~11万余で推移。2008年は8万4739人で、6年連続で減少した。一方、特異不明者は増加傾向が続いており、08年は3万4710人(全体の41%)で、人数、割合ともに統計の残る02年以降で最多だった。
 規則案では、現在使っている「家出人」の表現を「所在不明者」に改め、犯罪や事故などに巻き込まれた恐れがあることを明確にする。警察署長が発見に関する責任者であることも明示した。(2009/10/15-10:20)

 事件を早期発見できるのなら歓迎だが、運用次第かなぁ。事件性がはっきりしないと動けません、とやられたのでは意味がないし、かといって不明者全部を捜索するだけの人手は警察にも無いだろうし。

 それはともかく「特異所在不明者」という呼び方を初めて知った。

教員養成課程が……

Posted on 10月 14th, 2009 in 倉庫 by apj

 この話題のコメントとも関連する。asahi.comの記事より。

教育実習1年・大学院2年必修を検討 教員養成で文科省
2009年10月14日15時11分
 教員養成をめぐり、文部科学省の政務三役は、大学の学部4年間だけでなく大学院の2年間も必修とし、修士号を免許取得の条件とする「教員養成課程6年制」を導入する方向で検討を始めた。現在は2~4週間の教育実習についても1年間に延ばす考えで、子どもと向き合う経験を増やし、よりていねいに教員を養成する方針だ。

 文科省の政務三役は、10年に1度、現役教員に大学などで講習を受けることを義務づける教員免許更新制を10年度限りで廃止する方針を固めており、教員養成の6年制化はそれに代わる教員の質向上の手だてと位置づけている。

 民主党の総選挙のマニフェストにも盛り込まれており、大学院修了後、最初に取得する一般免許状のほか、8年以上の実務経験を積んでから取得できる専門免許状を設けることも想定している。文科省は、現在の教員免許更新制で講習を受けた教員の受講分について、将来専門免許状を取る際の単位に振り替えられるようにすることも検討する。

 ただ、6年制の実現に向けては、大学院側の受け入れ態勢が整うか、1年間にわたる教育実習の受け入れ先が確保できるかという問題があり、相当の準備期間が必要になるとみられる。(青池学)

 現行の教員養成課程を、教育学部以外の立場から見ると、負担が中途半端に増えたために他学部の学生が教職の単位を取る負担が極端に上がっている(教職+学部の分が学生の負担になる)。それでも「教員になる資格もとれます」と大学案内に書かねばならないために、教職の単位を取ることが可能なように時間割編成をしなければならず、このため、学部本来の授業時間割の編成がえらく大変なことに……。教育学部なら小・中が主な対象だろうけど、いっそ高校まで含めて、学部4年間での資格取得が不可能な程度のカリキュラムをたててくれた方が、学部で変に悪あがきして教職の単位をそろえなくても良くなるので、それぞれの学部教育に集中できるんじゃないかな。

 6年間学費を払っても採用試験の枠は増えず、金が無駄になる可能性が高い、となると、見事に法科大学院の二の舞で、志願する人そのものが減りそうな予感がするが。

【追記】
 毎日新聞にも記事が出た。

教員:養成課程を6年に延長 民主党政権が導入へ

 民主党政権が導入する新たな教員養成制度の概要が分かった。大学院修士課程(2年)の修了を教員免許取得の条件とし、養成課程は計6年に延長。教育現場で実習する総時間を現行の2~4週間から1年程度に増やす。また、10年程度の現場経験を積んだすべての教員が、大学院などで1年程度研修を受け「専門免許状」を取得することを事実上義務化する。早ければ11年にも関連法案を成立させ、新制度に移行する。【加藤隆寛】

 鈴木寛副文部科学相は14日の政策会議後、報道陣に「来年度、教育現場と教員養成現場から意見を聞き、相当精力的に検討する。拙速にはしない。教員に不安を与えないようにしたい」と話した。

 10年ごとに教員に30時間の講習受講を義務付ける教員免許更新制度は、今年度スタートしたばかりだが、新制度移行後は専門免許制度に吸収される。鈴木副文科相は「(受講の実績は)専門免許取得時に単位換算するなどの配慮をする」との方針を示した。

 新制度の核になるのは全国24校の教職大学院。教育学部だけでなく他学部卒業生も受け入れ、実習を中心とした2年間のカリキュラムを組む。

 教育現場での実習は大学1年の段階から長期的に実施できるか検討する。「小1で出会った子が小6になるまで成長を見守るのが理想」(鈴木副文科相)という。

 教職大学院は現職教員再教育の場にもなる。専門免許は「学校経営」「教科指導」「生活・進路指導」の3種を想定し、各コースで高度な実務能力を養う。文科省は47都道府県に教職大学院を最低1校設置したい考えで、指導教員確保や能力向上、カリキュラム見直しなどを急ぐ。来年度実施予定の更新講習は縮小せず、3コースを意識したものへの変更を促す。

 民主党は「教員の質と数の充実」をマニフェストに掲げたが、教職員定数について文科省は、来年度概算要求に5500人の増員を盛り込むことを決めた。前政権下で8月に行った要求と同じ人数。今後、11年度以降の大幅増員と少人数学級の実現を目指し、複数年度にわたる定数改善計画を策定し、採用のあり方も抜本的に見直す。

 ◇教員志望学生や教育委員会から懸念の声
 教員養成期間の2年間の延長には、教員志望の学生や採用する側の教育委員会などから「負担が大きい」「教員希望者が減るのでは」と懸念する声が上がっている。

 早稲田大学の教員志望者でつくるサークルの代表で、教育学部3年の豊田昂希さん(21)は「6年間に延ばして何を学ぶことになるのかも、はっきりしない。現在の学部の教育の質を高めることが先決ではないか」と疑問を示す。同じサークルで1年の柴田直樹さん(20)は「経済的負担が増えることが心配。金持ちだけが先生になれるということになれば問題だ」と指摘する。

 東京都教委も「採用後4年間、一人前の教師に育てるための独自の研修システムがすでにある。今のままで十分」(選考課)と延長に否定的な立場。団塊世代とその直後の世代の教員が今後10年間、毎年2000人以上退職する都教委にとって、教員の確保はただでさえ懸念材料だ。「教育学部を避けたり、教員になることをあきらめたりする学生が増えれば元も子もない」と語った。

 鈴木副文科相は、志望者が減少するとの指摘に対し「今は年10万人強が免許を取得し、実際教員になるのは2万人強。6年制にすればより強固な意志を持った人たちが教員を目指すことになり、実習で受け入れる側の熱意も高まるだろう」と説明している。【井上俊樹】

 ◇日本教職員組合委員長は賛同
 民主党の支持母体の一つでもある日本教職員組合の中村譲・中央執行委員長ら幹部が14日、川端達夫文部科学相ら文科省政務三役を表敬訪問した。

 終了後に会見した中村委員長は「教員の質は、現場で鍛えられることと研修制度、採用や養成のあり方で、総合的に作られていく。免許更新制で作るものではない」と述べ、民主党の改革案に賛同した。

 また「意見を何が何でも聞けという態度は取りたくない。『ワン・オブ・ゼム』の現場の意見として受け止めてほしい」と文科相らに伝えたことを明らかにし、一定の距離感を保っていることを強調。中川正春副文科相は「ベタベタくっついていくのではなく、緊張感を持ちながらやろうと確認できた」と話した。【加藤隆寛】

ネット上の実名匿名論争

Posted on 10月 14th, 2009 in 倉庫 by apj

 勝間和代のクロストーク「ネット上でも実名で表現を」を読んで。
 これまでさんざん議論になってきたネタだが、勝間さんの主張もそれに対する反論も、両方とも議論のポイントが違うだろうと思ったのでまとめておく。なお、クロストークの方には、実名賛成の立場でコメントをしてきた。

ネット上でも実名で表現を2009年10月04日

 インターネットはここ数年、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)、ツイッター、動画投稿サイト「ユーチューブ」など、さまざまなツールの出現により、単なるメールとウェブ閲覧の手段から、人と人とが直接つながるメディアへと発展してきました。

 一方、ネット内ではまだ、匿名やニックネームが中心で、実名での表記はまれです。その結果、健全な助け合いが本来、ネットメディアの望ましい姿であるにもかかわらず、一部には、過激な中傷があとを絶ちません。「炎上」という形で多数の人から非難された結果、閉鎖するブログもあります。

 しかし、ネットがメディアとしての信頼性を高め、既存のメディアと肩を並べる存在になるには、表現者が自分の名前を開示し、責任の所在を明らかにすることが不可欠だと私は考えています。匿名コミュニケーションのままでは、いつまでもネットは周辺メディアの位置にとどまるでしょう。

 もちろん、ネット上のすべての表現について実名を開示する必要はありません。しかし、少なくとも人とのつながりを目的とした利用においては、できる限り実名を明らかにするのが好ましいと考えます。

 一方、実名にすると気軽なコミュニケーションが阻害され、あるいは、個人情報の漏洩(ろうえい)につながるのではないかと考える人もいるでしょう。しかし、クロストークも開始以来1年間、実名主義を貫いてきましたが、活発で的を射た討論が続いています。さらに、実名であることにより、複数のトピックにわたって投稿くださっている方の考えを追うこともできます。今のところ、問題は生じていません。

 もちろん、他人の名前をかたる人物が現れたり、名簿が売買されたりするリスクはゼロにはなりません。さらに、企業に勤務をしている方の場合には、社内情報の漏洩や、立場上まずい発言をしてしまうなどの問題も起こり得ます。しかし、これらはすべて、ネット外の実社会(オフライン)でも同じことです。他人の名前をかたることや、会社の守秘義務に反することは、どのような場であれ認められないのです。

 ネット上で実名主義をとるにあたって、プライバシーをどう守っていくかは、今後の課題です。しかし、自分の名前を開示して、発言に責任を持つことは、相手とのかかわりを深め、理解を求めるための必要条件と考えます。

 ネットを過激な陰口の場にしないためにも、思い切って、実名主義を進めてみませんか。それによって、コミュニケーションが円滑になるほか、ビジネス面での利用の際の信頼性も高まると確信しています。

 ネットで実名制をとったからといって、誹謗中傷が減ることは特に期待できない。実名を背負っている分だけ、対立が激化することがありうる。また、信頼性が高まるかというと、「面と向かってウソをつく」人だっていくらでも居るのだから、実名にしたところで発言の信頼性が高まるわけではない。ネットで実名にしようが膝詰め談判しようが嘘つきは嘘つきのままだろう。

 ネットで実名制をとった場合の最大のメリットは、事が起きた場合の責任追及に必要な手間が減る、という点にある。
 現状では、発言の責任を追及する場合、
(1)掲示板やblogのコメント欄なら、まずは管理者に頼んで書き込み元のIPを開示してもらう
(1)’無料ウェブサイトなら、利用者の個人情報が正しく登録されている保証はないので、やはりサイトのサーバ提供者に書き込み元IPの開示をしてもらう
(2)次のそのIPを使ってプロバイダに対して発信者情報の開示を求める(場合によってはここで訴訟になるし、ログ保存の仮処分が必要になったりする)
(2)’有料サーバなら支払情報から本人特定できるが、やはり業者に対して開示請求の手順が必要になる。
(3)本人特定の上で、書いた内容についての責任を追及する
という手順になる。本当にやりたいことは(3)なのに、(1)や(2)で手間と時間をとられるというのが、ネットの発言に対して責任追及する場合に問題となる。しかも、ログ保存期間を考慮すると、やろうとした場合は時間との戦いになることもある。実名制にすると、本人特定の手段は明らかに増えるし、その分だけ特定が楽になり、より少ない手間で本来の目的である(3)を実行できる。これが実名制のメリットである。

 なお、実名制の定義があやふやだと困るので補足。訴状の送達が可能な情報と結びついていることがベストだが、それにつながるかなり強いヒントも可、といったところ。だから、実名の代わりに国民総背番号にしてIDと発言が結びつくようにしておいて、そのIDに対して特別送達が可能である(本名は後から判明)といった制度が作れるなら、日本人ぽい名前が具体的に出てこなくてもかまわない。
【補足】
 この点、単に日本人らしき名前を名乗ればそれで満足するのかといった屁理屈による反論が行われることがある。もちろん、アルファベットのハンドル名を名乗るかわりにそれらしい名前を記載したところで、その人物を特定して訴状が送達可能でなければ何の意味もないので、そのような反論はガキの屁理屈以下でしかない。実名制とは、つまりは特別送達可能あるいは送達先につながる重要なヒントが示されていることを意味する。

 実名匿名論争では、発言に責任を持つ云々という話が出てくるのが常で、責任とは発言者が自発的に負うものだとされてきたように思う。これは間違いで、この場合の責任とは、被害を受けた側が加害者に対して強制力を伴う方法で負わせるものだと考えるべきである。
 実名制で誹謗・中傷が減るという主張は、発言の段階で権利侵害が起きないようにすることが可能だという意味である。勝間さんもそう考えているらしい。実際には、そうではなくて、事後の救済の手続きの負担軽減の方がメリットとなる。

 では、匿名制のメリットは何か。

 刑事や民事の手続きが必要な状態になれば、本人特定を免れることはまず不可能なので、匿名で言いたい放題言えるというまでのメリットは無い。追求される場合のハードルを上げるというメリットはあるだろう。

 逆に、匿名が相手の名誉毀損が成立するかを考えてみた。この場合の匿名とは、ネット上にのみ存在する、いわゆるハンドル名のみがわかっているサイト制作者やblog主で、実社会の人格との結びつきが明らかになっていないものとする。
 ハンドル名のみの誰かを中傷した場合、相手が匿名に隠れようとしている限り、責任追及される可能性はまずない。ハンドル名だけでは告訴状も書けないし被害届も出せない。ハンドル名×××で○○○サイトの管理者が被害者だが、どこの誰かはわからず、1人なのか複数なのかも不明という状態では、書かれた内容について罪に問おうとしたって公判が維持出来るはずがない。民事訴訟だって、ハンドル名だけの訴状はそもそも受け取ってもらえない。つまり、被害者となる相手が匿名でいようとすればするほど、加害者にとって安全という結果になる。これを、加害者にとってのメリットと呼んで良いかどうかは微妙だが……。それでも、匿名によって訴訟までの手間を増やしてハードルを高くするというメリットを享受するかわりに、「人」として尊重されない(法的救済を受けられない)というデメリットを背負うというのは、バランスはとれているように思う。

【追記】
 加害者特定が時間との戦いになる、と書いたが、警察も同じ理由で困っていることが記事になっていた。
毎日.jpの記事より。

 ネット犯罪:ログの90日間保存を プロバイダーに要請へ

2009年10月15日 15時0分 更新:10月15日 15時9分

 インターネット上に犯罪を助長するサイトが横行していることを受け、警視庁は国内の大手プロバイダー事業者にネットの通信履歴(ログ)を最長90日間保存するよう要請する方針を固めた。振り込め詐欺に悪用される預金口座や携帯電話などの売買の摘発には、容疑者の特定につながるログの保存が不可欠と判断した。通信の秘密が侵されるなどの理由で事業者が難色を示すことも予想され、事業者の対応が注目される。

 警察による正式な要請は初めて。16日に警視庁で開催する「違法・有害サイト対策官民会議」で、出席したプロバイダーに保存を求める。

 日本は01年11月、「捜査機関が、90日間を限度に保全を命令できるような法整備を行う」とする条項を盛り込んだ「サイバー犯罪条約」に署名した。法整備が進まず、プロバイダーにログの保存義務はないが、警視庁は「保存期間が短かったり、保存していない業者もおり、捜査に支障が生じている」(捜査幹部)と要請を決めた。

 16日の官民会議には、プロバイダーや通信事業者など17社が参加予定。違法サイトへの広告掲載が実質的にサイトの運営を支えているとして、広告代理店に仲介の中止を求めることも事業者に要請する。また、違法な書き込みを削除しないサイト管理者との契約解除を積極的に進めることなども要望する。

 警視庁によると、08年に寄せられたネットの違法・有害情報は約3万7000件あったが、立件できたのは約400件。このため、警視庁は先月末に「違法サイト対策統括事務局」を設置し、振り込め詐欺に使われる口座のほか、違法薬物や児童ポルノ画像などの売買を持ち掛けるサイトの情報を一元的に集めている。警視庁幹部は「通信の秘密への配慮やコスト増の懸念からログ保存をちゅうちょする事業者が出ることも予想されるが、違法サイトの蔓延(まんえん)は看過できず、協力をお願いしたい」としている。【川辺康広】

 通信の秘密、というのは、送った側と受け取った側が双方内容と通信があったこと自体を秘匿している場合なら意味がある。しかし、送った情報が公開済みである場合にまで適用することに意味があるか、というのは、議論の必要があるだろう。改憲の時には再検討してもらいたい項目である。

 本気で追求する場合は、ログ保存の仮処分を突っ込んで(これは民事手続だから被害者が自分でできる)、プロバイダに関連ログを保存させてから、警察に届け出る、といった工夫が必要になる(実際に、私は以前この手で証拠を保存してから告訴状を出した)。