何かいろいろ出てきている体罰問題

 いろいろ考えたんだけど、違和感の正体は、近代社会の規範を守るという姿勢が生徒からまったく出てこないということかなあ、と。まあ、生徒はまだ未熟だから仕方ないとしても、それならば、大人が規範を教えて、学校ムラ社会の論理を表に出さないようにするということはできそうなものなのに、それもないということ。酷い体罰をする教師が居たということも橋下さんのやってることの是非も別にして、この学校が公教育としての体をなしてなさそうだということが実は一番の問題ではないか。

 体罰という名の事実上の暴力で押さえつけようとする大人は居ても、今規範をはずれた発言をネットでしたらどうなるかきちんと説教できる大人が居ないらしいことが不幸だよなあ。

FNNニュース

大阪・体罰自殺問題 体罰記録のバレー部OBが当時の状況語る

大阪市立桜宮高校の男子生徒が、部活動の顧問から体罰を受けた翌日に自殺した問題。高校のOBが、部活動での執拗(しつよう)な体罰の詳細を記録していたことがわかった。同じ高校で、かつて壮絶な体罰について訴えた元生徒が、当時の体験と学校側への不信感を語った。
桜宮高校で「体罰」を受けていた元生徒は「陰湿なやり方だったと思っています。人目のつかないところ、(顧問に)『倉庫に入っとけ』と言われて。倉庫でびくびくしながら待っていて、ドアが開いて、先生が入ってきて、(周囲から)見えないところで何発もビンタされる。多いときは、40発とかありました」と話した。
繰り返されたビンタの数は克明に記録され、時には、「けり8発」や「10発以上のゲンコツ」までもが、一度に浴びせられていたという。
その理由については、「審判をやっていて笛の音が小さいという理由」、「うっとうしそうな顔すんなと言われ、しているつもりはないのに」などと記録されていた。
そうした体罰について訴えたのは、バスケットボール部のキャプテンが体罰を受けた翌日に自殺をした桜宮高校で、かつて男子バレーボール部に所属していたOB。
桜宮高校全体に漂っていたという、体罰容認の空気。
その独占告白によって、体罰が繰り返された背景が見えてきた。
元生徒は「周りは体罰をやっているのを知っている人ばかりなので、体育科の先生方は…。その中では、当たり前のようにやる状態。(生徒が)唇から血を流していても、それは知らんぷりです」と話した。
大阪市の橋下市長は12日、自殺した男子バスケットボール部キャプテンの家を訪問した。
再発防止を誓う中で、「知事になってからも、市長になってからも、ずっと考えていたところではあるんですけど、手を上げることもあるんだろうなと。特に、体育会系のクラブの指導においては。僕自身も…、認識が甘かったのかなと」と述べた。
現場全体に求められる意識改革。
桜宮高校では、ほかの部活動でも体罰がなかったか確認するため、当面の間、全ての部活動を自粛することを決めた。
同じ桜宮高校のバレーボール部では2011年秋、6人の部員に対する、顧問による体罰が発覚した。
30代のその顧問が、停職3カ月の処分を受けた。
さらに、同じ顧問は、復帰後も再び、部員に体罰を加えていたことも判明した。
「スーパーニュース」では、かつてそのバレーボール部に所属し、市の教育委員会に体罰被害を訴えた元部員の1人に、話を聞くことができた。
元生徒は「僕は、桜宮高校に入る時は、指導の一環として、気持ちが伝わってくるのであれば、(体罰)1~2発は別にいいやという気持ちではあったし、部活の成績を残していくぞという意思もあるので、多少のことは耐えないといけないなとは思っていたんですけど、これは本当に意味のある体罰なのかと。これはもう、絶対指導じゃないと思っていたわけですから」と語った。
当時、彼ら部員は、ある数字をノートに書きとめていた。
「35発ビンタ」、「8発けり」、「2メートルほど飛ばされる」、「ビンタが強すぎて唇から出血」など。
部員らが記録していたのは、受けた体罰の詳細だった。
そこには、2010年1月から2011年3月分までが、びっしりと書き残されていた。
さらに、当時の体罰には、あるキーワードがあった。
元生徒は「『倉庫イン』という言葉が、僕たちの中ではあったんですけど、(顧問に)『倉庫に入っとけ』と言われて、倉庫でびくびくしながら待っていて、ドアが開いて、先生が入ってきて、(周囲から)見えないところで何発もビンタされる。(頬が)赤く腫れて、唇が切れて、血が出るときもありますし」と語った。
バレーボール部での体罰は、倉庫以外にも、体育館、更衣室、そして階段でも行われたという。
そうして繰り出された体罰の理由は、さまざまだった。
元生徒は「(チームメートが)試合で審判の役をやることになって、笛を吹くんですけど、笛の音が小さかった、それだけで、『倉庫入っとおけ』と言われて、ビンタされる。明らかに理不尽なことがありましたし」と語った。
「ミスするごとに、『倉庫ね』と言われた」、「その日の機嫌が悪いと、理由をこじつけてビンタする」。
次第に増えていった体罰の記録。
当初は、自分たちの気持ちが少しでも楽になればと書きとめていたということで、告発をしようとは思っていなかったという。
しかし、学校全体にはびこる体罰容認の空気に、部員たちの気持ちが変化していったという。
元生徒は「その陰湿さにも、僕たちは不信感を募らせていって。横には、体育科のほかの先生がいて、血を流していても、それは知らんぷりです。それが当たり前というのが、学校の中に染みついている」と語った。
そして、2011年3月、バレー部の部員たちが、当時の校長や教頭に改善を求め、翌4月には保護者も加わり、高校側に申し入れを行ったが、明確な回答が得られなかったという。
そこで部員側は、この体罰の記録を市の教育委員会に提出し、ようやく体罰が明るみに出た。
その後、問題のバレー部の顧問には、停職3カ月の処分が下された。
しかし、元生徒は「(停職3カ月を明けて、学校へ来てから謝罪は?)ないです。正直、また何か起きるだろうなという気持ちで卒業しました」と語った。
そして、当時の部員たちが部を引退したあと、顧問は再びバレー部に復帰し、2012年11月に、再び体罰が発覚した。
しかし、それについて学校側は、教育委員会に報告しなかったという。
その理由について、桜宮高校の校長は、10日の会見で「(バレー部顧問)本人も、非常に若い教員でございますので、将来的なことも少し頭をよぎりまして、市教委に(報告を)上げなかった」と説明した。
そうした学校側の対応に、元生徒は「教頭先生、前校長先生と話す機会があったんですけど、その時も、『これから絶対そういうことがないように、指導していきます』と、はっきり言われていますし、ようそんなことが簡単に言えたなと」と語った。
生徒の自殺という最悪の結果を迎える前に、断ち切ることができたはずの体罰の連鎖。
教育現場の答えが問われている。
(01/14 18:03)

 体罰はもちろんいけないのだが、その後の対応の報道を見ると、やっぱり何かおかしいと思う。で、実はその方がもっと問題ではないかと。

 時事ドットコム

「結論覆す」、決意の反論=高校生8人、入試中止で会見-大阪市

 大阪市教育委員会が橋下徹市長の要求通り、市立桜宮高校の体育系2科の入試中止を決定した21日夜、同校3年の男子生徒2人と女子生徒6人が記者会見に臨んだ。「私たちは納得いかない」「学校を守りたい」。8人は「まだ結論を覆せるかも」と、橋下市長と市教委に対し、決意の反論を展開した。
 市役所5階の記者クラブで午後7時半から1時間余にわたった会見。8人はいずれも運動部の元キャプテン。制服のブレザー姿で横一列に並んだ。
 「体育科に魅力を感じて受験したいと思う生徒がほとんど。普通科に回されるのは、私たちは納得がいかない」。女子生徒が口火を切った。橋下市長が同日朝、全校生徒を前に説明したが、「具体的な理由がなく、私たちの声も十分に聞いてくれなかった。思いは1時間で話せるわけがない。『生徒、受験生のことを考えて』と何度も繰り返したが、在校生と受験生のことを考えたらもっと違う結果があったんじゃないか」と訴えた。
 橋下市長が体罰の背景に「生徒たちも容認していた」「勝利至上主義」などと発言していたのに対し、女子生徒は「容認していないし、勝つことだけが目標ではなく、礼儀など人として一番大切なことを教えてもらっている」と反論。自殺問題について「心の傷は深く、重く受け止めている。傷を癒せるのは先生」として教諭の総入れ替えにも反対し、「多くの生徒が学校を守りたいと思っている」と強調した。
 男子生徒は「今回の結果が覆せるんじゃないかと、強い思いを持ってきた」と会見の動機を語った。別の女子生徒も「今まで続いている伝統は今でも正しいと思っている」と力説した。(2013/01/21-22:36)

 体罰という暴力を容認したことについての反省も、自分達は体罰を今後一切認めないし起きれば潰すという決意も無し。挙げ句に伝統が正しいと居直り。最初にすべきことはその伝統とやらの総括でしょうに。
 「傷を癒せるのは先生」って、仲間が死んでるのに癒やしは教師任せ?というかそれって癒やしの対象になることなの?
 「今まで続いている伝統は今でも正しいと思っている」って、このタイミングでこの文脈で言っちゃったら「暴力的指導やリンチをするのは正しいことだから今後も続けるし、もし自分が指導者になったら生徒に同じようにやります」宣言だよなあどう見ても。本当にこんなこと言ったのかしら。報道も最近不正確なことが多いから……。
 自殺した生徒への言及なしに「礼儀など人として一番大切なことを教えてもらっている」と言ったのだとしたら、この学校の教育は根本的に間違っているのでは?というか、暴力放置して何が礼儀なんだか。
 結局、生徒が、自分達の現状維持したいというエゴしか見えない内容になっている。学校ムラの論理全開、社会規範は無視します、という方向での発言になっている。
 また、こんなことを言いだす人が運動部のキャプテンをしていたのでは、体罰の被害者はさぞ被害を言いだしにくかっただろうとも思う。こういう主張をすること自体が体罰隠蔽の方向に働くという自覚が、事ここに至っても生徒の側に無いのはどういうことなのか。

 生徒がこれなのはまだ未熟なので仕方がない面もある。問題は、こういう規範の優先順位を間違えた発言を記者に向かってすることについて、大人が教育しなければいけないはずなのにそれが機能してないということ。これでは公教育としてダメだろう。

こちらはFNN

大阪・体罰自殺問題 安倍首相「明らかに一線を越えていた」

大阪市の橋下市長は21日午後、教育委員会に対し、あらためて大阪市立桜宮高校の体育科などの入試の中止を訴えた。
桜宮高校の入学試験を行うか、それとも中止とするか。その結論が21日に出される。
桜宮高校バスケットボール部のキャプテンが、体罰を受けた翌日に自殺した問題で、橋下市長は、体育科など2学科の入試を中止するよう、教育委員会に要請していた。
橋下市長は17日、「越えてはならない一線を越えてしまったという認識のもとに、これまでの流れを断ち切る。そのためには最低限、普通科入試をやるにしても、校長はじめ、教員は、全員入れ替えてもらわなきゃ困ると。今いる体育の教師が、もし2013年度いるということであれば、体育教師分の人件費は執行しないと」と述べた。
教育委員会側は、橋下市長の発言に対し、「在校生や受験生を混乱させかねない」として、これまで結論を保留にしていたが、21日、期限を迎えた。
21日午前、橋下市長は事件後初めて、桜宮高校を訪れ、体育科の入試中止を強く求めるような内容を、生徒らに説明したという。
非公開で行われた説明会で、橋下市長は在校生に対し、「クラブで勝つより重要なことがある。気持ちはわかるが、入試を継続すれば、大阪の恥」などと話したという。
訪問後、橋下市長は「(生徒からの意見は?)在校生や、その保護者の声をもっと聞いてほしい。在校生や、受験生の立場にもっと立ってほしい。在校生や受験生は傷ついていますという強い訴えを受けました。僕の発言で、一方的に傷つけたという点があるのであれば、そこは改めるべきところは、改めるけど、しかし、受験生や在校生の声だけで、物事を決めていくわけにはいきませんよと。大人として、政治家としての役割がある以上、先生が間違っている、学校が間違っているというところを、正していくのが、僕の役割でもあるということを伝えました」と述べた。
また、インドネシアを訪問していた安倍首相は、安藤優子キャスターが独占インタビューした際にも、体罰の問題に触れていた。
安倍首相は18日、「体罰によって、それを苦にして自殺したわけですから、明らかに一線を越えていたのは事実ですね。この事件については、ちゃんと真相究明をしていく必要がありますね。どこに責任があったのかというのを、はっきりしなければいけません。政府に本部を近々つくります。教育再生実行会議においてですね、議論をしてまいりたいと思います」と述べた。
一方、波紋が広がる橋下市長の方針に対しては、下村文科相が18日、「よく言えば発信力があるといいますかね。厳しく言えば、1人で全部会見で表明している。あのようなことはですね、関係者の方々に、いろんな騒動を起こすきっかけになっているのではないかというふうに思います」と述べた。
しかし、橋下市長は強硬姿勢を崩していない。
橋下市長は17日、「(高校受験も2度目はないが?)生きていたらチャンスはあります、いくらでも。そんなの命があれば。1度や2度で人生が全部つぶれるようなものではないんです。そういうことを教えるのも教育ですよ。これが駄目だというんだったら、選挙で落としてもらうしかないです」と述べた。
そんな中、21日午後、大阪市教育委員会と橋下市長との意見交換会が行われた。
ここでも橋下市長は、体育科など2学科の入試の中止、そして全教員の入れ替えを行うよう強く訴えた。
橋下市長は「教育委員会が禁止だ、禁止だって言っていることが、全く、桜宮高校のクラブ活動の現場においては、それは無視されている状況です。これはなぜなんでしょうか。今の中学校の現場では、とにかく入試をやれ。生徒が希望しているんだから、まず入れろ。これは僕は進路指導としては、絶対に間違っていると思います。今ここでやらなければいけないことは何なのか。やっぱり一度ここは、一呼吸おいて、この桜宮高校体育科のあり方を、根本的なところから考え直していく」と述べた。
橋下市長は、「教育委員会に結論を委ねる」と言い残し、退席した。
そして午後4時15分、市教育委員会の臨時会議が始まった。
同じころ、桜宮高校在校生の保護者らが大阪市役所前に集まっていた。
桜宮高校在校生の保護者は「今してほしいことは、子どもたちの人権(を守ること)です。今700人以上の子どもたちが、どんな思いで暮らしているか。それを考えたときに、橋下市長をどうしても許せません」と訴えた。
(01/21 18:32 関西テレビ)

 この親にしてこの生徒、ってことかしら。親の方も人権の意味をはき違えている。ここで学校ムラ社会の論理を振りかざして一体どうするんだと。