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フリーダム株式会社へのコメント【2014/11/04】

 

【注意】このページの内容は商品の説明ではありません。商品説明中に出てくる水の科学の話について、水・液体の研究者の立場から議論しているものです。製品説明は、議論の最後にある、販売会社のページを見てください。

水素吸引装置ENEL-92を販売している。

ここの説明によると、

水タンクにミネラルウォーターを入れてください。
タンクは8リットルまで入ります。
水道の水は入れないでください。何故ならカルキ(石灰)が入っているので目詰まりを起こします。
電源を入れてから約10分で650℃の高温ガスが出始めます。このガスを20℃まで急激に下げ、カニューレから水素ガスを吸引できるようになります。

 とある。

水を直接熱分解して水素と酸素を作るには、2000℃以上に加熱しなければならない。水を単に650℃まで加熱しただけなら、出てくるものはただの水蒸気で、水素ではない

単なる熱分解ではなく、途中の反応を工夫し熱化学分解反応を使うことで、水分解に必要な温度を下げる研究はなされている。ナトリウムと酸化マンガンを使うやり方で1000℃まで下がり、ナトリウムと金を使って400℃まで下がるが、いずれも研究段階で、スケールアップには成功しておらず、ナトリウムの腐食の問題等もあって、繰り返し長期の使用に耐えるものではなく、実用化はまだだいぶ先のようである。

ENEL-02の説明のどこを見ても、加熱以外に何をしているか書いていないので、この装置は水を加熱しただけで分解はできていない、つまり水素発生装置ではないと考えるしかない。

その上、リンク先に飛ぶと、水素吸入療法の使用例として、糖尿病、子宮ガン、花粉症、アトピー、突発性難聴などが列挙されている。この装置も水素も、ガンに対する治療効果が認められたわけでもないし医薬品でもない。これは明らかに薬事法違反の宣伝である。こんなものに頼って治療を怠ればガンが手遅れになって、適切に手当てすれば生きられる患者も死んでしまう。

まあ、水を一旦650℃に加熱すれば大抵の雑菌は死滅するので、そうやってできた水蒸気の温度を下げて速やかに(再度雑菌が繁殖しないうちに)吸引するのなら、感染症の危険はかなり少ないとは言える。それでも、吸っているものはただの水蒸気であることにかわりはない。安全な加湿器にこのお値段、と考えると、高い買い物ではある。

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