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電解水資料室:論文紹介

文献を利用するときは必ず原典にあたること。ここに書いてある要約を一人歩きさせないように!
カテゴリ 論文
資料名 Atsushi Hiraoka, Masumi Takemoto, Takahiro Suzuki, Atsuko Shinohara, momoko Chiba, Mika Shirao, and Yoshihiro Yoshimura : Studies on the Properties and Real Existence of Aqueous Solution Systems that are Assumed to Have Antioxidant Activities by the Action of "Active Hydrogen" , Journal of Health Science 50(5) 456-465(2004)

平岡厚 「活性水素による抗酸化作用がある」と宣伝されている諸水溶液系の性状と実体、及び試験管内の抗酸化作用のメカニズムの検討 ー2002年度及び2003年度研究助成の報告ー、Journal of the JAPAN SKEPTICS 『超自然現象』を批判的・科学的に究明する会 2005 vol.11
要約

(1)材料
・ホシザキ社の三曹型電気分解装置を用いて食塩水を電解して得た陰極側の水
・日本トリムの「アイムファイン」
・新しい水の会より購入した「活性水素君」を脱イオン水で抽出して調整したミネラルスティック水
・日田天領水(日田天領水株式会社より購入)

(2)実験
2−1:生体物質の酸化反応阻害効果の確認
 (a)ヒト血清脂質の2価銅イオンによる酸化にもとづく過酸化脂質の生成
    (対照はカフェー酸水溶液)
 (b)ヒト血清ビリルビンの空気中酸素による酸化にもとづく減少
    (対照はL−アスコルビン酸水溶液)
 (c)フラボノイド化合物ルチンのポリフェノールオキシターゼの触媒作用による酸化にもとづく減少
    (対照はL−アスコルビン酸水溶液)
2−2:ミネラル成分の定量分析
 原子吸光法:ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム
 プラズマ波誘導質量分析法:その他の微量金属
 イオンクロマトグラフィー:陰イオン類
   (対照は東京都内の水道水)
2−3:スーパーオキシドラジカル(O2−)と水酸ラジカル(・OH)の消去効能をESRにより測定
2−4:煮沸前後、及び分子量1万以下の溶質のみを通す限外濾過前後で抗酸化作用が変化するかどうかを確認。ナトリウムと塩素濃度が電解還元水とほぼ等しくなるように調整した水溶液と、マグネシウム濃度がミネラルスティック水とほぼ等しくなるように、金属マグネシウム及び水酸化マグネシウムを溶かした水溶液の抗酸化作用を確認した。

(3)結果
3−1:4検水とも、(a)(b)(c)の各反応系において、定量的に検出しうる抗酸化作用を示したが、その効果は100μMのカフェー酸またはビタミンCと比較して著しく弱く、また、経時的に減退する傾向もみられた。
3−2:
・電解還元水では、ナトリウム濃度が高かった
・ミネラルスティック水では、マグネシウム濃度が高かった
・「アイムファイン」では、バナジウム(V)、ルビジウムなどが、水道水より高濃度で検出された
・ 日田天領水では、リチウム、V、ルビジウムなどが、水道水より高濃度で検出された
3−3:4検水とも、O2−に対しては一定の消去効果を示したが、・OHに対してはほとんど消去効果を示さなかった
3−4:
・煮沸により、電解還元水とミネラルスティック水の抗酸化活性は完全に消滅したが、「アイムファイン」と日田天領水では活性の一部が残存した
・限外濾過は抗酸化作用に影響しなかった
・ナトリウムと塩素が電解還元水と同じ濃度になるように調整した、水酸化ナトリウム/食塩水水溶液は抗酸化作用を全く示さなかった
・マグネシウム濃度がミネラルスティック水と同じになるように調整した、水酸化マグネシウム水溶液は抗酸化作用を全く示さなかった
・マグネシウム濃度がミネラルスティック水と同じになるように調整した、金属マグネシウム水溶液は、ミネラルスティック水と同じ酸化作用を示した

(4)考察
・4検水ともに、試験管内では一定の抗酸化作用があるが、ポリフェノール、ビタミンC、トコフェロールや、白畑グループが想定した「活性水素」のような強力な、「酸素ラジカルと直接反応して消去する」能力を持つ物質は存在していないと考えられる。
・原因物質は、高分子や固形混在物ではなく、限外濾過膜を通過する低分子の溶質である。
・電解還元水及びミネラルスティック水では、それぞれ、電気分解および金属マグネシウムの溶解によって生じた水素ガス(水素分子)が原因物質と考えられる。
・「アイムファイン」および日田天領水では、溶存している分子状水素に加えて、還元性ミネラルも抗酸化作用の発現に関与している可能性がある(Vイオンは水溶液中で2価から5価までとり、2価と3価が還元性)
・もし、溶液中に金属のナノコロイドが存在すれば、抗酸化作用の増強因子にはなりうる。
・起きている現象は、普通の分子状の水素および還元性カチオンの作用により説明可能であるので、「活性水素」を想定しなければならないような現象は起きていない。
・水溶液中では、金属粒子が電子を放出して水素と結合する反応が起きるが、原子状水素が溶質として存在しているわけではないので、「活性水素」と呼ぶことは誤解を招きやすい。

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コメント  いずれにしても「活性水素」というネーミングは、誤解を招くものだということ。原子状水素が溶質になっているわけではない。
抗酸化作用についても、試験管で少しだけあることが確認されただけで、飲んでどうなるかはこれからの研究による。
 なお、白畑教授の実験は、製品として販売されている電解装置とはかけ離れた条件で水を調整していることがあるので、論文や学会発表の話をそのまま製品の効果だと思うのは危険。個別の確認が必要。