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夫婦別姓に対する反対理由の「家族の絆が……」がどうしても理解できない

Posted on 9月 30th, 2009 in 倉庫 by apj

 時事ネタになるんだけど、選択的夫婦別姓法案に対する反対理由の一つ「家族の絆や一体感が失われる」が、いくら考えても理解できないので困っている。

・選択制なのだからそう考える人がの家族が一つの姓にすることを選べば良いだけの話。他所の家族までそうだと決めつけて反対理由にするのは単なる大きなお世話でははないのか。別姓にしたことで他所の家族の絆や一体感が失われることが心配だという主張なら、その主張をしている人の家族観の貧困さが現れているようにしか見えない。一緒に暮らしていろんなことを経験して思い出も作って心のつながりもあるから家族なのであって、そういう部分って、別姓だから揺らぐものではないと思うし、逆に、心のつながりが無ければ姓が同じでも家族は壊れるものでは。
・もし、別姓が認められることになったら自分の家族が別姓を言い出して、その結果絆や一体感が失われると考えての発言だとしたら、その人は、自分が満足する状態を維持したいために制度に頼って他のメンバーを抑圧している(あるいはそうしたいという希望を述べている)ことになるのだが、それを堂々と主張しているのは恥ずかしいことだという自覚はあるのか。そういう抑圧を平気でやっていれば、そのうち家族の関係はうまくいかなくなりそう。たとえ同性であったとしても。
・社会一般についての意見だとした場合。現状の制度のもとでも、家庭内離婚だ仮面夫婦だとかいろいろあるし、子供に対する虐待もある。これらのことが、別姓にしたことで更に増えるという意見なのか?あんまり関係なさそうだけど。
・結婚して相手の姓に変えて心機一転、と楽しみにしていても、相手が同意しなかったらできなくなりそう、という場合。そういう気持ちを理解しない人を伴侶に選んで、この先やっていけると思う方がそもそも問題なのでは。
・子供が疎外感を感じるという主張である場合。自分の姓が嫌とか、こんな親と同じ姓なんてイヤだ、という子供に対するケアを行ってはいないという現実があることを考えると、子供の疎外感を持ち出すことの重要性がわからない。

 発言している人の立場をどのように仮定しても、支持すべき合理的理由が出てこない。新聞を見ても、「家族の絆が……」くらいにさらっとしか触れていない。子供の姓をどう扱うかという技術的問題がある、という指摘はよくわかるのだけど、「家族の絆」だけは、どう考えてもわからない。誰か、わかりやすい説明をしてくれているのだろうか。


ここからは旧ブログのコメントです。


by nomad at 2009-10-26 11:00:26
Re:夫婦別姓に対する反対理由の「家族の絆が……」がどうしても理解できない

「家族の絆」を情緒的にとらえるのではなく、経済単位としてとらえるべきかな、と思います。

その上での「割れ窓理論」の一つではないでしょうか。
ただでさえ緩んでいる家族と言う枠組みをさらに緩める効果がある、という。
家族と言うコミュニティは一定の拘束力をもって成り立っている部分があり、その拘束力を緩めてしまっては社会の中の経済単位の下層構造が不安定になる、と。

社会的弱者の保護や教育という点について下層構造が不安定になったら「大きい政府」が肩代わりしなくてはならない。スウェーデンみたいに。
まあ、それはそれでいいんですけども、そういう社会を国民が明示的に望んでいるのか?っていうと、そうでもないみたいなんで「家族の絆は大丈夫?」っていう言い方になるんじゃないでしょうか。


by apj at 2009-10-38 23:32:38
割れ窓理論ですか

mimonさん、

>「家族の絆」を情緒的にとらえるのではなく、経済単位としてとらえるべきかな、と思います。

 経済単位と考えたとしても、消費も生産も個人単位のものになってしまっているので、あまり強力な理由にならないように思います。
 ただ、おっしゃることがヒントになりました。ひょっとしたら「法的な管理の単位」と捉えるべきなのかな、と思いました。コミュニティを壊して、家族関係に契約法を適用するような発想で規律しようとした場合、紛争が倍増じゃすまなくなりそうです。ただ、それが姓と結びつくかというと、ダイレクトには結びついていないわけで、やはり割れ窓の話になるんでしょうね。


by いいじま at 2009-10-04 02:57:04
中国・韓国見れ

中国や南北朝鮮では、昔から夫婦別姓なんですよね。で、なぜ別姓かというと、「姓」は自分の血筋を示すものだからで、結婚で血筋が変わるわけではないので、生まれたときの姓を維持するわけです。

日本(や欧米)では、苗字は血筋に関係なく、「どの家(=経済共同体)に現在所属しているか」を示すものなので、結婚したら苗字を統一することになっているわけです。「Family name」という英単語はその発想に基づくものです。

この辺を踏まえて、韓国や中国の事情をきちんと調べてみれば、いま挙がっている反対意見が的を射ていないことは明白でしょう。

(おまけ)
朝鮮半島については日本統治時代に、日本の戸籍制度とのすり合わせのためでしょうか、「一家で苗字を統一しろ!」という政策が実施されました。「創氏改名」の前半の「創氏」の部分です。新しい苗字を決めてそれを届け出てもいいし、期限までに手続きをしなければ戸主の姓を一家全員の苗字(「氏」)とする、という内容です。

「創氏改名」の後半「改名」に踏み込むと夫婦別姓とは全く別の話になるので、省略します。


by apj at 2009-10-56 03:39:56
横道:小さな政府

mimonさん、
 そういえば、小さな政府の方だって、どこかで「小さな政府とは、隣人が騒がしかったら、自分の顧問弁護士に電話して、顧問弁護士から隣人の顧問弁護士に連らくを入れてもらい、静かにするよう促す(つまり警察を呼んだりしない)社会」だと書いてる人が居たような。国民の方にそこまでの覚悟があっての「小さな政府」なのか、という疑問も出てきますね。


by apj at 2009-10-54 03:55:54
民法第4編

いいじまさん、
 民法第4編を見ていると、財産管理については
・第三者の権利を害さない限り夫婦間の契約はいつでも取り消し可。
・法定財産制と異なる管理をする場合は契約で定める。
・共有財産の分割などでは登記が第三者対抗要件。
・婚姻費用の分担は収入などを個別に考慮。
・日常の家事に関しては連帯債務になる。
・婚姻前からの財産は特有財産、不明のものは共有財産。
で、基本は個人単位なんですよ。多分、戦後になって家制度廃止でこのへんが変わったんでしょう。
 そうすると、「家族であること」が登記されて公示されてさえいれば、経済共同体であることを示すにはそれだけで足りてしまい(ついでに重婚を防ぐこともこれでできて)、もはや同じ姓にする理由は無いことになりますね。

 ただ、日本について考えると、中国とも韓国とも事情が違っていて、支配階級以外の大多数の人はそもそも姓は持ってなかったし、姓のある階級の人達はというと元服で名前の方が変わってみたり。もっと昔だと、本当の名前は教えない(教えると名前を呼ぶことで支配されるという言霊文化が理由で)だったわけで、このへんまで踏まえると、今の反対運動はどう考えても的外れに見えます。


by mimon at 2009-10-09 07:14:09
お呼びですか?

apjさん、
> mimonさん、
>  そういえば、小さな政府の方だって、
それは、nomadさんの事ですね。先に横道を書かれても、それに合わせるのは、難しいので、適当に私の意見を述べます。

選択的夫婦別姓制には、基本的に賛成です。
chem@uさんの言われるような実用性もありますし、
http://blog.goo.ne.jp/chemist_at_univ/e/5c1df0d681c6296efd9f65a8461124d2
そもそも、核家族化が進み、少子化も進んだ現代に、昔の「家」制度の象徴である「苗字」というのは、意味が薄れ、個人を特定するための「姓」でしかなくなったのですから、選択の自由が増えるのは、悪い事ではないと思うからです。
もっというと、選択するのを結婚の時だけに限る必要すらないと思っています。
例えば、女性(男性でも同じですが)が独身の時のキャリアを有効活用したいと思って、結婚の時には、別姓を選んだとしても、その後、事情があって(子供に手がかかるとか、仕事に飽きたとか、)、離職して専業主婦(主夫でもいいけど)になったとき、同姓の方が便利だと思えば、同姓にできるくらいの自由度はあってもいいと思います。
あまり、自由すぎましても、ちょくちょく姓を変えるやつが出てきて、個人の特定すら難しくなりますと、少々問題ですから、一回の結婚につき、一度だけ変えられるくらいがちょうどいいのではないでしょうか。どうしても、もう一度変えたければ、いったん離婚して、すぐに同じ相手と再婚することだって、不可能ではないのですから。


by zorori at 2009-10-39 08:11:39
Re:夫婦別姓に対する反対理由の「家族の絆が……」がどうしても理解できない

百年ほど昔では、苗字帯刀が許されたのは武士のみで、一般庶民は性は無くて、屋号みたいなものがあったわけですね。屋号というのはそれなりに便利で実用的な意味があったと思うのですが、家族の一体感とか絆とか言われるとなんじゃそりゃですね。

どうでもいいじゃんとしか言いようがありません。apjさんが既に説明済みのように法的に性の機能は全くないわけで、だからこそ「絆」としか言いようがないのでしょう。


by zorori at 2009-10-54 08:17:54
Re:夫婦別姓に対する反対理由の「家族の絆が……」がどうしても理解できない

連投失礼します。
私には姓の機能がほとんど無いように思います。
ですから「夫婦別姓」というのもなんだか中途半端で妙な気分です。いっそ姓は廃止すればいいんじゃないかと。屋号で十分じゃないでしょうか。


by altnk at 2009-10-52 09:08:52
古くて長い

この問題は統治システムの根幹に関わると思います。いつまでカビ臭い事を、と思います。イエはもうありません。日本に住んで、永住権があって、税金を払っていれば日本人でしょう、目が青くても、黒くても。


by apj at 2009-10-34 09:20:34
日本には今のところ無いけど……

altnkさん、

>日本に住んで、永住権があって、税金を払っていれば日本人でしょう、目が青くても、黒くても。

 日本には今のところ制度が無い(作る予定もなさそう)ので表に現れてきませんが、もう一つ必須の条件としては「(もし将来できた場合には)兵役の義務を果たすつもりがある」が必須でしょう。「○○(国の名前)人」とされるための一般的な条件としては。


by apj at 2009-10-12 09:24:12
そういう時の家庭裁判所

mimonさん、

>あまり、自由すぎましても、ちょくちょく姓を変えるやつが出てきて、個人の特定すら難しくなりますと、少々問題ですから

 というか、これで経歴を詐称したり前科があるのを誤魔化したり詐欺につかったりという悪用も可能になりますので、変更にあたっては家庭裁判所を通すことを条件にして、変更履歴を登記するみたいな形で管理すればいいんじゃないですかね。どうしようもない状態とか、誰がきいてももっともだという理由で変える羽目になった人は多少回数が多くなっても認めるけど、怪しげな理由は裁判所ではねる、と。


by 酔うぞ at 2009-10-17 21:17:17
イザの記者ブログに興味深い見解が

http://abirur.iza.ne.jp/blog/entry/1249889/

    >夫婦別姓については、特に働く女性から要望が強いことは
    >承知していますし、私の周囲(社内)の女性からも、
    >それを望む声があります。
    >ただ、私は個人的な体験もあり、これには慎重です。
    >この問題は、大人の側の論理ばかりが強調されていて、
    >子供の視点が欠け落ち気味だとも感じています。

なるほど、確かにこういう視点の議論は少ないですな。
と思ったのであります。


by apj at 2009-10-40 01:51:40
子供が別姓の家族

酔うぞさん、

 子供が別姓の家族を知ってますが、特に問題はなさそうに見えています。事情を説明するのが面倒だという話をちらっと聞いた覚えがありますが、制度上可能だということが知れ渡れば、逆に、事情を説明する手間は必要なくなりそうです。
 実際に子供の姓が違う場合にどんな対応がなされているか(それがどの程度の手間か)を調べる方が先じゃないですかね。現実に行われている対応で足りているなら杞憂でしょうし。


by nomad at 2009-10-32 10:49:32
Re:夫婦別姓に対する反対理由の「家族の絆が……」がどうしても理解できない

nomadです。

消費が個人単位になっている、というのは何を指しているのか今いちピンときません。ので有効な反論になるかわかりませんが。
例えば車を買うときにはスポーツカーはやめてミニバンを買うとか、住宅を買うときには二世帯住宅にするとか食器は人数分同じものをまとめて買うとか食材は家族全員分買うとかついでにパートナーの好物のお菓子を買うとか旅行に行くときにはパートナーと行くとか。
などを考えると、家族になれば購入するモノの傾向も量も変化するわけで、そういう意味で経済単位だと思います。

ところで、中国での夫婦別姓の家族の絆について。
中国では政府というか社会を信用しない傾向があると聞いたことがあります。極端な言い方をすれば「信じられるのは家族だけ」なんて。
強いコネ社会なので幇とか学閥とか家族とかの共同体に属さないと社会的にやっていけない。
大きな社会の「絆=インフラ」が弱いので家族という社会の絆を強くせざるを得ないのでしょうね。

てことは、日本の社会のインフラがどの程度整っているかによって、家族のありようも変わってくるでしょうね。
あ、だからスウェーデンは家族制度が崩壊したのか。


by nomad at 2009-10-30 11:22:30
Re:夫婦別姓に対する反対理由の「家族の絆が……」がどうしても理解できない

> 兵役の義務

先進諸国では国民皆兵の制度をとっているところはほとんどありませんよ。スイスとイスラエルくらいじゃないかな。
スイスは「永世中立」のため。イスラエルは紛争真っ只中のため。

徴兵制にしても、現代の軍隊は専門化され高度な訓練がいるため、無用であるとされています。現代の先進国家間同士で総力戦になる状況がまずありえないということで、現在徴兵制をしいている国も志願兵制へ移行していく傾向にあります。

http://obiekt.hp.infoseek.co.jp/peacemaker/draft_3.html


by mimon at 2009-10-16 15:06:16
慣れの問題かと思います

酔うぞさん、
現在の制度では認められていない、「佐藤君のお母さんが田中さんだったらどうか」なんていう質問を今の子供に投げかけたら、「違和感がある」のは、当然です。制度が改められて、それが普通になったら、子供も(というか、子供のほうが先に)慣れて、何の違和感も抱かないと思います。
細かい事を言い出したら、キリがありませんで、姓の異なる夫婦が結婚式に呼ばれたときの祝儀袋は、中身の合計金額は同じでも、二つに分けるべきかとか、姓の異なる夫婦が亡くなったときに、同じお墓には入れるのかとか、今の制度を前提とした風習は、馴染みにくそうにも思えますが、別に、風習に合わせて制度を決めるわけではなく、制度に応じて風習ができて行くわけですら、そんな物は、足かせにならないと思います。
アンケートなんて、深く考えずに、その場の感覚で答えるものですから、どうしても、「現状維持」が優勢になるのは、しかたがありません。政策としては、そんな物に惑わされずに、「あるべき姿」を目指してほしいと思います。


by apj at 2009-10-14 15:35:14
Re:夫婦別姓に対する反対理由の「家族の絆が……」がどうしても理解できない

nomadさん、

 徴兵制が廃れる傾向なのは知っていますが、まあ、ものの例えです。うまく表現できないんですが。もっとあからさまに言ってしまうと、その人の元々の出身国と日本が揉めた時に日本側につくようなら日本人と認めても良いだろう、ということです。そこで、しかし元々の出身国が……と迷うようなら、外国人のままで居てくれ、と。どこかの共同体に属するというのはそういうことではないかと。何て言うか、「自分はもうこっちの国に所属して今後もやっていきます」という思い切りというか吹っ切れた部分というか、そういうのが欲しいな、と。
#隣の韓国も兵役があったはず。スウェーデンだかノルウェーだか、北欧の方にもあったと思ったんですがやめたのかな。

>てことは、日本の社会のインフラがどの程度整っているかによって、家族のありようも変わってくるでしょうね。
>あ、だからスウェーデンは家族制度が崩壊したのか。

 日本の場合は未婚率の上昇で、家族制度の崩壊というよりも、そもそも家族を持てない人の割合が急上昇しているような……。それを崩壊と呼ぶべきかがよくわからないのですが。
 


by 酔うぞ at 2009-10-43 21:41:43
Re:夫婦別姓に対する反対理由の「家族の絆が……」がどうしても理解できない

まあ、わたしは夫婦別姓でも、その部分だけは構わないと思うのですが、どうもっとやっかいなことがあるようで、実際に夫婦別姓が主になるような社会は日本では受け入れられないだろう、と考えています。

そのやっかいな問題とは、戸籍制度です。

戸籍法が、ある種の「どうにもならない」ところを規定していて、それが社会の単位である家庭を定義している、とも読めるのです。
本当は、真面目に勉強しなくてはならないことかもしれません。

とりあえず、夫婦別姓は戸籍法の原理はさわらないはずですから、戸籍は維持されます。

戸籍法の考え方は、どうも「家」そのものを問題にしているように見えます。
つまり、江戸時代と同じ仕組み。

そこから、家督と勘当といったものを除いたもののように見えます。
(養子がそのままのようですね)

本人が生きている間は、なんでもないのですが、本人や親兄弟などが死んでしまった後についても、戸籍はたどれるのですね。
つまり、家単位で繋がっている、家系図になるわけです。

そうなると、家があって、妻(夫)が別姓を名乗っていた、という注釈の範囲に止めざるを得ません。

これでは主力にはなり得ない。

そもそも、家単位で戸籍を作るのが妥当なのか?
という話になってしまうように思いますが、そうなるとどうやって過去のつながりを追跡できるようにするのか?

えらい難しい問題になってしまうわけです。

仕事上の都合などで、結婚後に姓を変えるのが不都合だ、ということであれば、現状でもあまり問題はないでしょう。

一方、戸籍の考え方そのものをぶち壊すのは無理だ、となるとその中間に夫婦別姓が来るわけで、それは一体どういうものになるのだ?
とは思いますね。

どうなるのだろう?


by apj at 2009-10-59 02:19:59
必要性

酔うぞさん、

>そうなるとどうやって過去のつながりを追跡できるようにするのか?

 つながりを追跡する必要があるとしたら、「相続」と「近親婚を避ける」ためですよね。戸籍のない海外でここをどう処理しているかが、その答えにはなりませんか?


by kiriko at 2009-10-25 15:23:25
親と子の姓が違う

以下は「家族の絆」論への反論ですが。

未婚の子と親の姓が異なるケースは現状でも生じます。
親が離婚し、母親が子を引き取る。母は結婚前の姓に戻り、子の姓はそのまま、という場合です(子の姓を変更するには家裁に申し立てと料金が必要)。
現状でも親子の姓が違うことがあるのですから、「親子の姓が違うと絆がなくなる」は別姓反対の根拠として説得力がないように思います。
(注:離婚の際は結婚前の姓に戻るか結婚中の姓を続けるか選択できます)

子どもの視点というなら、親が離婚・再婚した場合の子の姓を考えてみたらどうでしょうか。「常に夫婦・親子は同姓」であるためには、子は親の離婚再婚のたびに姓を変えなくてはいけません。乳幼児はともかく、学齢以上の子は「自分と親の姓が違う」ことより「自分の姓が変わる」ことのほうに違和感を感じるのではないでしょうか。変えたい人は変えればいいので、どちらも選択できるのが望ましいでしょう。


by nomad at 2009-10-24 09:57:24
Re:夫婦別姓に対する反対理由の「家族の絆が……」がどうしても理解できない

オフトピになってきてますが…
CIAでは世界の兵役制度を総合的に紹介しています。
現在の法制上の制度を網羅しているだけなので、実際はどのように運営されているのか、今後はどんな傾向なのか、などについてはわかりませんが、ご参考にどうぞ。

https://www.cia.gov/library/publications/the-world-factbook/fields/print_2024.html


by 酔うぞ at 2009-10-14 05:02:14
Re:夫婦別姓に対する反対理由の「家族の絆が……」がどうしても理解できない

apj さん

    >>そうなるとどうやって過去のつながりを追跡できるようにするのか?
    >
    > つながりを追跡する必要があるとしたら、
    >「相続」と「近親婚を避ける」ためですよね。
    >戸籍のない海外でここをどう処理しているかが、
    >その答えにはなりませんか?

ある意味その通りなのですが、戸籍のあるなしの合理性は多分だれも考えていないでしょう。
相続と近親婚ではないと思います。
両方とも戸籍があろうが無かろうがコントロール出来ます。

戸籍が威力を発揮するのは、本人に接している人が全く無くなってしまったような場合でしょうから、普通の意味での相続はとっくの昔に終わっているし、近親婚なんてもの4代も過ぎれば関係ないですよ。

わたしが、この問題に気が付いたのは一種の偶然で、戸籍法を読んでいて「人よりも戸籍が重要と見ているのだ」と感じました。

確かに、現在の戸籍制度は追跡可能にするために出来ているとしか思えないのです。
その意味は不明だし、戸籍法にも書いてません。

で、現在は戸籍法が基準で個人が特定されて、ありとあらゆる個人の権利や義務が定義されているわけです。
そして、それに反対する人はいない。

そこに、夫婦別姓を持ちこむと、戸籍の筆頭者とかもそのままなわけです。
だから、戸籍上の夫と妻となっていて、その姓はという注釈のレベルでの別姓しか有り得ない。

じゃあ戸籍無しで行けるのか?というと、夫婦別姓論にそんな話は出てきませんよ。
というわけで、ここまで考えると夫婦別姓の法的な実現方法とその意味、というのはけっこう面倒な問題だと思うわけです。

酔うぞ拝


by tsgr7 at 2009-10-53 18:21:53
呪術なので。

「家族の絆が……」は、「同じ名前をつけたものは同じモノになる」「夫婦は同じモノになるべきだ」「だから夫婦には同じ名前をつけるべきだ」という呪術的な感覚からきているものに理由をこじつけているだけなのでそのタテマエだけ見ても理解できないんじゃないかなーと思います。


by apj at 2009-10-05 18:52:05
私を探さないで

酔うぞさん、

>戸籍が威力を発揮するのは、本人に接している人が全く無くなってしまったような場合

 そういう場合って、本人の方が「もう探さないで下さい、ほっといて」状態じゃないんですかね。誰とつながっているかを探して一体誰が得をするんですか。何か、本人の意思に反して嫌がらせをするためのツールのように見えてくるんですが。

 「反対する人が居ない」というのはおかしいと思いますよ。せっかく「逃げて」いたのに戸籍を辿って発見されちゃった人にとっては大迷惑でしょう。
 そういえば、部落差別には大変有効なツールでしたね>戸籍。


by 酔うぞ at 2009-10-31 03:27:31
だから戸籍とはなんだ?というところになってしまって

apj さん

    >そういう場合って、本人の方が「もう探さないで下さい、
    >ほっといて」状態じゃないんですかね。
    >誰とつながっているかを探して一体誰が得をするんですか。
    >何か、本人の意思に反して嫌がらせをするためのツールのように
    >見えてくるんですが。

少なくとも、本人とか親兄弟とは関係ないですな。
それでも、土地が誰ものかといったことを追跡できるところに、社会はメリットを感じているのでしょう。
もちろん、本人のことなんか(死んじゃっているのだから)知ったことではない、という状態で追跡可能だということで、それにメリットがあるから契約などに戸籍が出てくる。

だから、戸籍法は変わらないでしょう。
そうなると、夫婦別姓はいわば枝番のような扱いになる。

と考えているわけです。

戸籍を分離したままで、痕跡も残さないということだと、法律上の結婚は避けるしか無いですね。
その場合に、夫婦別姓の逆で婚姻関係なしに戸籍を合わせることが出来るのか?
なんて話にもなるわけですよ。

とにかく、わたしの今の視点は「意外と頑丈な戸籍法」に向いちゃってます。

    >戸籍法 第16条〔婚姻による戸籍の変動〕
    >
    >婚姻の届出があつたときは、>夫婦について新戸籍を編製する。
    
    >但し、夫婦が、
    >夫の氏を称する場合に夫、
    >妻の氏を称する場合に妻が
    >戸籍の筆頭に記載した者であるときは、この限りでない。

こんな規定があるわけですわ。
何がなんでも、戸籍が続いていくようになっているわけです。


by apj at 2009-10-08 04:32:08
Re:夫婦別姓に対する反対理由の「家族の絆が……」がどうしても理解できない

酔うぞさん

>それにメリットがあるから契約などに戸籍が出てくる。

 滅多にないケースじゃないんですかね。実際にメリットがあったというのは。本人死亡、相続でもたどれない状態で一体どういうメリットがあるんでしょう?

 どうも私には、酔うぞさんが戸籍に幻想を見ているようにしか見えないんですよ。これまでの人生で戸籍が住民票とダブってて、二度手間でしかなかった経験しかしていない私としては。
 惰性で続いているだけで無くても差し支えない代物にしか見えないんですけど。


by まぁ at 2009-10-04 08:45:04
日本独特といえば

こんばんは。横入りしてしまってすみません。
酔うぞさんの

>確かに、現在の戸籍制度は追跡可能にするために出来ているとしか思えないのです。
>その意味は不明だし、戸籍法にも書いてません。

を読んで、ふと思ったのですが。

日本独特の問題として天皇制というのがありますが、
日本の天皇というのは遡れるんですよね。
どこの女性を娶って、どの子が生まれて。
その女性自身も、両親の名前とか先祖はどこに連なっているとか。

これは戸籍を追跡するメリット?としてあるのではないかなぁ、と。
一般の人にとって戸籍はあまり必要性を感じないと思いますが、
日本の制度として、ある意味必要?だったんではないのでしょうか。
日本人としては、そんなに凄い事とは思わないのですが、
他の国からすると、天皇の系図がしっかりしていることって
凄いことらしいんですよ。(最初が怪しいと思うのですが、
それでも数百年はしっかりわかっていますので・・・)

これが「「意外と頑丈な戸籍法」」の原点かな?と
考えてしまいました。


by 酔うぞ at 2009-10-30 16:11:30
Re:夫婦別姓に対する反対理由の「家族の絆が……」がどうしても理解できない

apj さん

> 滅多にないケースじゃないんですかね。
>実際にメリットがあったというのは。
>本人死亡、相続でもたどれない状態で一体どういうメリットがあるんでしょう?

大誤解ですよ。
ほとんど全ての重要な契約に、何らかの形で本籍とか要求しているじゃないですか、その根拠はすべてが戸籍ですよ。

戸籍が無いとすると、もう住人登録ぐらいしか無いことになります。
だって、人が生まれてから死ぬまでの記録が無いわけですから。

つまりは、この人がいることが確かで、他の人ではない、という契約上の重要な部分を担保しているのは、戸籍という仕組みがあるからですよ。
目立たないから、気づいていないだけです。

教会に記録が残っているなんて話が出てきますが、あれを役所がやっているわけですよ。
そして、法律だから法律上のルールになっていると。

そこをいじらないのだから(戸籍法を無くすという議論は出てきていない)どうなるの?ですよね。


by 酔うぞ at 2009-10-36 16:24:36
Re:夫婦別姓に対する反対理由の「家族の絆が……」がどうしても理解できない

>一般の人にとって戸籍はあまり必要性を感じないと思いますが、
>日本の制度として、ある意味必要?だったんではないのでしょうか。

明治になって、名字を義務づけられるわけですが、それまでは貴族・武士など特権階級以外の庶民は「ナニナニ村の誰それ」で個人を特定するだけで、実用上は不便は無かったわけです。

明治時代に個人を全部国に登録するようになったわけですが、じゃあそれ以前はどうなっていたのか?というと、基本的には土地が基本であったのでしょう。

どの土地は(租として)問題であっても人手(庸)については数だけだったのでしょう。

それが、土地も人手も全部を国に登録する、とした場合に「誰の土地か」が重要になってしまった。
土地は無くならない(不動産)であるが、人は確実に亡くなる。

この矛盾したものを一体化するために「○○家の土地」のようにするのが簡単だから「○○家」というのと同様に「戸籍筆頭」といったことにしたのだと思っています。

要するに、個人的なメリットはほとんどない。
死後や生まれる前に、土地があるのと同様に戸籍がある。
という考え方じゃないかと思います。


by apj at 2009-10-51 03:05:51
米国方式

酔うぞさん、

>つまりは、この人がいることが確かで、他の人ではない、という契約上の重要な部分を担保しているのは、戸籍という仕組みがあるからですよ。

 それなら、生まれた時に国がunique IDを振ればよいのでは。周りとのつながりまでは必要ないわけで。アメリカの、社会保障番号みたいなものを導入すれば済みそうですよね。個人単位で管理なら、個人にIDを降る方がしっくりきますけど。


by 酔うぞ at 2009-10-40 04:53:40
Re:夫婦別姓に対する反対理由の「家族の絆が……」がどうしても理解できない

apj さん

>それなら、生まれた時に国がunique IDを振ればよいのでは。

そう思います。
それを戸籍でやっているわけです。
そして、戸籍の概念は「家が続く」にあると思っています。

で、話は夫婦別姓に戻って、夫婦別姓に何を求めるのか?
という話になっちゃうと思うのですよね。

夫婦同姓と夫婦別姓はイコールではない。
夫婦別姓はあきらかにハンデがある。
それは戸籍の概念を変えない限り動かない。

さて、どうする?
というわけです。


by apj at 2009-10-07 05:26:07
話を整理すると

酔うぞさん、

 個人に対する一種の登記としての機能と、契約関係には登場しない「家」が残っていることが話をややこしくしているんじゃないですかね。この2つは切り分けないとダメでしょう。土地が家のもの云々といっても、現在は、せいぜいが「個人の共有名義」が可能なだけであって、家のものであるという登記はできないわけですから、どう考えても「家」概念が余計なものでは。

・契約の問題については、国が国民にIDを振ればよい。
 契約相手が誰であるかを特定するということと、家がどうのといった話は関係がない。現在の契約法では、相手は人(自然人あるいは法人)であって、「家」は関係ない。
・家制度はとっくに無くなっているから「家が続く」という概念自体がもう過去のもので、今後有効に機能するとは思えない。
・重婚や近親婚を防ぐには、結婚の事実を登記する制度があればよく、この登記にあたって同姓を要求する理由はないはず。
・相続関係については、何親等かまでたどれば済む。この場合も同姓で云々は関係がない(そもそも、相続が発生する頃には親兄弟で既に別姓はめずらしくない)。
・相続関係は婚姻によって発生し離婚によって消滅する。

 こんなアルゴリズムが思い浮かびました。

・個人にIDを振る。
・相続関係はID間の双方向リンクリストで表現する。
・死んだ人のIDについては、相続・被相続のリンクが双方向ではなくて1方向になる。死んだ人のIDには死亡フラグを立てておく。相続関連手続き終了でリンクを削除。
・離婚・離縁の場合はID間の双方向のリンクを削除。婚姻・養子縁組の場合はID間の双方向リンクを生成。
・相続関係のリンクが全て消滅していて、かつ、死亡フラグが立っているIDを永久削除する。


by mimon at 2009-10-33 07:22:33
(横道)^2

まぁさん、
皇室には、戸籍がありません。一般的な姓もなく、それでは学校などで不便ですから、就学している間だけ、仮の姓を名乗っていたはずです。
その代わり、皇統譜がありまして、これを遡りますと、当然、神武天皇に行き着きます。それどころか、さらに「世系」を遡りますと、なんと、天照大神がその第一だったりするそうです。
ここまで来ると、戸籍が不要というか、超越しちゃってますね。


by nomad at 2009-10-35 08:11:35
Re:夫婦別姓に対する反対理由の「家族の絆が……」がどうしても理解できない

>・相続関係のリンクが全て消滅していて、かつ、死亡フラグが立っているIDを永久削除する。

IDの削除はOK.でもlogは残す=戸籍wwwww


by altnk at 2009-12-22 10:30:22
超亀レスですが

apjさま
今のアメリカでも徴兵義務は無いです。もし将来できた場合、っていうのは前提を変えてますので、じゃあ何を言いたいんでしょうか。それではなんでも言えるのではないですか?


by apj at 2009-12-30 04:02:30
Re:夫婦別姓に対する反対理由の「家族の絆が……」がどうしても理解できない

altnkさん、

 じゃあ、例をお隣の韓国にしましょうかね。兵役の義務はしっかりあります。

>じゃあ何を言いたいんでしょうか。

 金払うから、だけじゃそいつは信用できないってことで、何かあった時に人も出すなら同じと認めるって意味ですよ。それは世界の標準でしょう。
 湾岸の時に、金だけ出した日本の立場がどうだったか思い出せばいい。


by apj at 2009-12-39 04:14:39
足りないってことですよ

altnkさん、

>日本に住んで、永住権があって、税金を払っていれば日本人でしょう、目が青くても、黒くても。

 これだけじゃ足りないってことですよ。何かあったときに人を出す覚悟があるかどうかまで問題にすべきです。まさかの時に裏切りそうな相手を仲間とは認めない、というだけの話です。とことん利害を共にする覚悟をした上で日本国民として振る舞います、というのであれば、認めていいんじゃないですか。


by apj at 2009-12-45 04:20:45
条件が足りないってことですよ

altnkさん、

>日本に住んで、永住権があって、税金を払っていれば日本人でしょう、目が青くても、黒くても。

 これだけじゃ一般論としては足りないってことですよ。

 まず前提として、世界中どこの国もいいので仮にX国としますが、「X国にに住んで、永住権があって、税金を払って」いる日本人をそのX国がX国人と認める、としている場合に限っては、日本に住んでいるX国人について、永住権があって税金を払っていれば日本人とみなす、で良いかと。扱いは対等であるべきだと思いますので。

 この条件が満たされない場合には、何かあったときに人を出す覚悟があるかどうかまで問題にすべきだと私は考えています。まさかの時に裏切りそうな相手を仲間とは認めない、というだけの話です。とことん利害を共にする覚悟をした上で日本国民として振る舞います、というのであれば、認めていいんじゃないですか。


by rin at 2010-09-21 20:33:21
今さらですが

夫婦別姓と家族の絆 ってことを考えていたらこのサイトにたどり着きました。今さらですが・・
離婚しても元夫(戸籍筆頭者)の姓を名乗れますよね。
でも離婚した元夫婦は同姓でも他人。
というのは 私が今度結婚予定の相手の男性はバツイチで、元妻は彼の姓を名乗っています。
私自身、なんだか元妻が他人になりきれていないと思いいい気はしていません。権利なので仕方がありませんが。

選択的夫婦別姓について 家族の絆が失われるとかどうとか言うけど、だったら離婚しても同姓を名乗っていたら家族なわけ? とか思って いまいち説得力がないと感じています。

ちなみに私は 夫婦同姓派です。
だからこそ、本音を言えば 離婚後も婚氏継続が可能という制度には反対です。まあ、そこに子供への配慮が含まれるようなので一概に言えませんが。