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日本システム企画株式会社(NMRパイプテクター)が匿名裏サイトを作ってまで顧客のプライバシーを侵害(2021/06/25)

(2021/06/28)関連ページが一旦削除された様子だけど、そのうちしれっと復活の可能性もありますね……。

事件の経緯

 千葉県のマンション在住の人が,居住するマンションにNMRパイプテクターの売り込みを受け,商品が信頼できないと判断したので批判活動を行っていたところ,つい勇み足で一線を踏み越えて刑事告訴(おそらく名誉毀損)されてしまう,という事件が起きた。

 どういうツイートをしていたかは,「@Material300凍結の件(2019/06/24)」で取り上げた。今回告訴されたのは,このMaterial300氏である。

 刑事事件で名誉毀損を争う時は,普通は表現の特定をかなり厳格にやる。単に批判しているだけでは告訴状すら受理されない。今回のケースでは「④真相は不明だが、日本システム企画社は暴力団フロント企業の恐れがある。立派なホームページや、正々堂々たるメディア露出など、普通の会社のように見えるが、今やこの程度の“カタギ偽装”は珍しくもない。現代では、普通の企業かフロント企業か見分けるのは警察でも難しい。 #NMRパイプテクター」が該当する。一般に,反社でない企業を反社と呼んだり,マルチ商法をしていない企業をマルチだと呼んだりすると,簡単に名誉毀損が成立する。今回はおそらくこの部分の一点突破で告訴したのだろう。Material300氏は他のブログなどでも批判を展開していたが,実名は明らかにしていなかったので,発信者情報開示請求から特定(ここが後で重要!)されたものと考えられる。

 なお,日本システム企画株式会社は相変わらず全方位トンチンカンな主張ばかりしているが,これまで見てきた限りでは反社との関わりは全く認められないということは,既に上記リンクで指摘した通りである。これまでずっと日本システム企画株式会社の批判をしてきた私が言うのだから,それなりの信ぴょう性を持って世間で受け止めてもらえることを期待している。

 問題は,この事件を受けての日本システム企画株式会社本体と,日本システム企画株式会社が社名を出さずに作っている裏サイトの対応の方である。

 まず,日本システム企画株式会社本体の方から見ていこう。

 

日本システム企画株式会社が被告人の実名を自社サイトで晒した

 日本システム企画株式会社のウェブサイトの2021年6月25日のスクリーンショットを示す。青く塗りつぶした部分に,Material300氏のフルネームが書かれていたが,当サイトでは,プライバシーに配慮して塗りつぶしておく。

 

fig-nmrp-06-01.png

 

 Material300氏は,日本システム企画株式会社がNMRパイプテクターを売り込んだ先のマンションの住民の一人である。つまり,日本システム企画株式会社は,客先の人間の個人情報を平気で晒したのである。刑事告訴のハードルを越せる表現は,暴力団のフロント企業ではないかと疑ったが事実に反していたという部分ぐらいしか無いのに,他への萎縮効果を狙って,どの表現で告訴を通したかを全く特定せず,「誹謗中傷」という書き方で,批判すれば刑事事件にするぞということを全力でほのめかしている。騙されてはいけない。

  刑事事件自体を明らかにすることは,内容が真実であれば,詳細を明らかにすることについては公共性も公益性も伴うので,名誉毀損の免責要件を満たしている。だから,事件詳細も刑事事件の判決も,毎日,普通にメディアで取り上げられている。

 一般のメディアによる刑事事件の報道とは事情が異なり,日本システム企画株式会社にとっては,被告人は客先の一人,即ちパイプテクターを売りつけようとした先のマンションの住民である。日本システム企画株式会社が被告人の実名を挙げて情報公開することは,顧客のプライバシーを侵害したことになるのである。

 

日本システム企画株式会社が裏サイト(ネット総会屋対策協議会)を作って被告人の実名を晒した

 日本システム企画株式会社は,自社サイトで被告人となった顧客の実名を晒すだけでは足りず,無関係を装った匿名の裏サイトでまで同じことを行った。裏サイトへの掲載はごく短期間で,現在は削除済みであるので,証拠として,こちらで保存したものを示す。

 裏サイト,とは,ネット総会屋対策協議会のことである(リンクを踏むと飛ぶので注意)。なお,スクリーンショットには個人名が出ているので,塗りつぶし処理を行っておく(クリックで拡大)。

 fig-nmrp-06-02.png

 

ネット総会屋対策協議会のサイトは日本システム企画株式会社の匿名裏サイトである

  では,なぜこのネット総会屋対策協議会のサイトが日本システム企画株式会社の裏サイトであるとほぼ断定できるのか,証拠を以下に列挙する。

被告人の名前は日本システム企画株式会社しか知り得ない

 今回,Material300氏は,ツイートや関連ブログで実名を示していなかった。Material300氏の実名を知るには,発信者情報開示請求をするほかはなく,それができるのは日本システム企画株式会社だけである。つまり,匿名裏サイトのネット総会屋対策協議会の中の人がMaterial300氏の名前を出すには,日本システム企画株式会社から情報が渡っていなければならないのである。

 しかし,まだ,別の可能性が残っている。日本システム企画株式会社とネット総会屋対策協議会の中の人が別で,日本システム企画株式会社が個人情報を渡した可能性や,ネット総会屋対策協議会の中の人が日本システム企画株式会社のサイトを見て記事を書いた可能性も(まだ)ある。

全く同じ内容が56秒差で公開された

  さすがにそっくり同じ内容だと運営元が同一とバレると思ったのか,現在は多少手が加えられているが,公開された直後の日本システム企画株式会社のページと,ネット総会屋対策協議会のページは,全く同じ文章が公開されていた。

 どの程度同じかというと,こんな具合であった。

fig-nmrp-06-03.png

  文章がそっくり同じである。これが単なるコピペではないことは,公開されたすぐ後の,両ファイルのヘッダを見ればわかる。

fig-nmrp-06-04.png

  

 日本システム企画株式会社のページの投稿日時が,「2021-06-23T05:10.36Z」,ネット総会屋対策協議会のページの投稿日時が 「2021-06-23T15:11.32Z」。なんと,裏サイトの方がわずか56秒遅いだけに過ぎない。裏サイトの中の人がいくらがんばって日本システム企画株式会社のページ更新をリロードしながら見張っていたとしても,表示させてコピペして自分の所に投稿しようとした場合,読んで,内容を把握して,この内容ならウチにコピペするぜ,ってやってる間に1分ぐらいは簡単に過ぎてしまう。56秒という時間は,日本システム企画株式会社とネット総会屋対策協議会のページの制作者が同じでないとあり得ない時間である。

 

時間以外にも証拠はある

  ネット総会屋対策協議会のヘッダをもう一度見てみよう。

 ヘッダ引用画像の上から5行目,「<link rel="canonical" href="https://pipetector.com/ankokutsushindan/">」とある。canonical属性タグというのは,検索エンジンに対して正規ページのURLをインデックスするように伝えるタグである(URL正規化・canonical属性とは? <link rel=”canonical”>タグのしくみと使い方)。つまり,ネット総会屋対策協議会のページは,自ページを,日本システム企画株式会社のページとしてインデックスするように設定されているのである。

 さらに,下から4行目に「<meta property="og:url" content="https://pipetector.com/ankokutsushindan/">」とある。これはOGPといって,SNSでシェアした際に,設定したウェブページの情報を伝えるためのものである。つまり,ネット総会屋対策協議会のページをSNSでシェアすると,日本システム企画株式会社の作った暗黒通信団に関するデマページを表示するようにSNSに伝わるということである。

 独立にサイトを運営しているのであれば,ネット総会屋対策協議会のSEO対策はネット総会屋対策協議会のサイト内で閉じるはずであり,日本システム企画株式会社のサイトとしてindexされたり,SNS共有で自サイトではなく日本システム企画株式会社のサイトが表示されるような設定などあり得ない。


 以上から,ネット総会屋対策協議会のサイトは,日本システム企画株式会社が匿名で運営している裏サイトだと断定できる。というかむしろほぼ一体なんじゃないかこれは。

 

まとめ

  暴力団と何の関わりもない企業に対し,暴力団のフロント企業ではないかという噂を立てれば,名誉毀損のハードルを簡単に越えてしまう。その点では,Material300氏は軽率であったと思う。

 しかし,日本システム企画株式会社は,匿名裏サイトまで使って,開示請求でわかったMaterial300氏の個人名を晒した。これは,一般のマスコミが事件報道をするのとは事情が異なり,顧客のプライバシーを晒す行為である。しかも法廷のスケッチ付きで,いかにも重大事件の法廷だというのを装っている。ここまでやれば,客先に対する単なる嫌がらせだろう。購入反対派を牽制する意図だとしても,どう見てもやり過ぎである。

 また,刑事事件の名誉毀損というのは,表現を相当絞り込んで特定しないと告訴状が通らないのが普通である。パイプテクターの説明や販売形態への正当な批判に対し,「誹謗中傷だ」と主張するのが日本システム企画株式会社の常套手段であるが,刑事事件を伝えるにあたっても,意図的に,どの文言で告訴したかの特定を避け,あたかも批判全体が告訴の対象となったかのような印象作りに余念がない

 個人に対して商品が販売されるのであれば,個人単位で「買いません」「要りません」と意思表示すれば済む。しかし,日本システム企画株式会社の販売先はマンション管理組合や理事会で,買うためにも買わないためにも議決が必要となる。そうであるなら,パイプテクターを買いたくない人による反対運動が起きるのは当たり前である。運動しない限り,望まないものを買わされる結果になるからである。その上,どういうわけか,パイプテクターの導入を決めた人は妙に強硬になり,反対する住民に集会の開催を知らせないとか,管理業務への参加から排除するといった不公正な扱いをするようになったりする(謎水氏のケース)。一旦売り込みを受けて,管理組合や理事会が購入側に傾くと,撤回させるのが相当難しいのである。また,導入を決めた側が,当然答えるべき質問にもまともに答えなくなったりする(浦安市のケース)。第三者として見ていると,まるで,パイプテクターが何かのカルト宗教で,その信者になってしまったように見える。一般論として,こういった振る舞いは,商品を買った人間に儲けを約束するマルチ商法ではしばしばみられるのだが,購入側に利益を伴わない通常の商品の販売過程で起きるのは,珍しいのではないだろうか。千葉のマンションで「信者」とのトラブルがどの程度熾烈だったかはわからないが,一線を踏み越えたMaterial300氏の投稿を評価するときには,レアな現象が起きていて対抗が難しいということも,背景事情として知っておく必要がある。そうすれば,これまでネットで炎上もなく激しい批判など展開してきた様子もないMaterial300氏がなぜかいきなり名誉毀損のハードルを越える内容を書いた,という部分のギャップを埋められるのではないか。

  日本システム企画株式会社とは,匿名裏サイトを作ってまで顧客のプライバシーを晒す会社である。反社と無関係であることは確かだが,この会社と関わると,購入に反対する住民のプライバシーが危険にさらされることになる。住民のことを少しでも大切に思うのであれば,マンション管理組合や理事会は,日本システム企画株式会社と関わるべきではない。大体,匿名裏サイトを作って独立な味方がいるように装う株式会社って,やり方が姑息だし,パイプテクターの説明がニセ科学だという以前に,そもそも行動自体が不審だろう。

補足:刑事事件について明らかにすること自体に公共性と公益性が伴う

 上で、刑事事件について実名報道すること自体は、真実であれば通常名誉毀損にはならない、って書いたし、実際、大きな事件の報道はその通りなんだけど、この部分について多分即座にわかる人は少ないんじゃないかと思ったので補足。私は法学者じゃないので素人説明であることはご容赦いただきたく。

 ものすごくざっくり言うと、刑事事件、というか刑法で定めているのは「他人(社会)に波及する」ことがらのうち保護法益があって処罰に値するもの、ってイメージで大体把握できる。例えばAさんのとろに泥墓Xが入った、ってことが起きると刑事事件なわけだけど、Xを放置しておくと次はBさん宅が泥棒に入られるかもしれないので、きちんと捕まえて事実関係を明らかにして処罰もしないといけない。また、罪刑法定主義ってのがあって、これで処罰するよ、と事前に法律の条文として知らされていない理由で国民が逮捕されたり処罰されたりすることもないようになっているので、どんなことをすると引っかかるかは実例含めて広く知らせることに公共性公益性もある。

 一方、民事事件、というのはおよそ当事者以外に波及しない。たとえば、AさんとBさんが隣人同士で土地の境界線どう決めるかで揉めてます、ってなっても、3軒隣のCさんには何も波及しない。じゃあ、常に他に波及しないかというとそうでもなくて、例えば取引のトラブルだと、単発で起きているなら当事者間の話で大抵は済むけど、大勢の消費者と常にトラブルが起きるとなるとそのうち詐欺が疑われたりして刑法の出番になる。どこまで民法でどこから刑法か、というのはこういう場合はなかなか線引きできない。

 名誉毀損(社会的評価の変動、が要件だから刑法に入ってる)だと、刑事事件とは別に民事の不法行為として損害賠償請求することもある。また、個別の民事事件を広く知らせることが、裁判所の判断がどうなっているかを知らせることになって、場合によっては公共性や公益性を伴ってくることもある。違いを述べようとするともっと厳密に議論しないといけないのだけど、およその傾向として、刑法で扱うようなものは他人(社会)に波及するので公共性公益性を必然的に伴う、民法で扱うものは本質的に当事者間にとどまる、というイメージで把握してから細部を詰めた方が見通しは良いと思う。