おうちに机が届いた件

 今年の1月に注文した机がやっと届いた。人生できちんと机を買ったのはこれが3回目である。

 最初の机は小学校に入る時に親が買ってくれたいわゆる勉強机で、引き出しや本棚がついているもので、高校卒業まで実家で使った。
 2つ目の机は大学に受かって下宿する時で、学習机は移動が大変なので持って行かず新規購入した。千葉の(今は無き)セントラルプラザで、キャスター付きの使わない時は折りたたんで収納できる白い机を選んだ。天板を支える角度を3段階くらいに変えられるようになっていた。
 引っ越しに備えて折りたためばすぐ運べるものを選んだのは正解で、その後寮住まいの2年間は実家で保管したことがあったが、結局今までずっと使ってきた。

 ところが、最近になって狭い上に不安定で仕方がなくなってきた。

 およそ三十年前に机を買った時は、パソコンがやっと普及し始めた頃で、ノートパソコンはまだ無く、パソコンは専用のパソコンラックに入れることが多かった(それをせずこたつの上に置いていた友人は熱暴走に泣いた)。学生時代にパソコンを買った時は、パソコンラックも同時購入して収納した。机には、本とノートとペン立てとスタンドが置ければ十分だった。しかし最近は、パソコンがすっかり文房具と化して常時机の上にあるのが当たり前になってしまった。ノートパソコンを使うことにしても、本来、B5ノートとA5の本くらいしか広げる予定のなかった机の上で常にA4程度の面積をとられるわけで、どうしても手狭になる。作業を楽にするために大きなディスプレイをつないだり、ゲーム用の別のディスプレイを置いたりしようとすると、もっと狭くなる。ついでに本自炊のためのスキャナまで机の上の面積を要求する。
 さらに、ほかの作業の時は一時的にディスプレイの位置を変えたいので、エルゴトロンのディスプレイアームで机に固定したら、重心が上がって不安定になった。静かに置いておく分にはいいが、ちょっと揺れると机ごとひっくり返りそうになる。震度4くらいで惨事になりそうだ。しかもさすがに古くなって、足を載せる板がたわんできている。
 これは狭い上に危険だということで、新しい机を探して購入することを決めたのが、今年の新年早々だった。
 条件は、現状で使っているものよりは大きいものであること、どの方向からでもクランプでアームを固定できること、ディスプレイの位置を変えた時に不安定にならないこと、キャスター付きの机であること。
 大して難しい条件をつけたつもりはなかったのだが、条件に合うのがなかなか見当たらなかった。
 大きさとクランプで固定できる条件を満たすものは、プラスやらコクヨやら内田洋行などオフィス家具のカタログにたくさん見つかったのだが、キャスターが無いものばっかり。たまにキャスター付きパソコンデスクが見つかると、幕板のところにケーブルを収納するためのあれこれがついていたり、天板をささえる枠があってクランプ取り付けと干渉しそうだったりでやっぱりダメ。ネットを探しまくったら、GARAGEというオフィス家具の通販ショップでfantoni MEというシリーズを見つけた。

 構造を見ると、テーブルの内側から斜めに脚が出ている感じで、天板のほとんどは板のまま、つまりクランプ固定し放題という素敵な仕様。製品紹介の写真はキャスター無しのものばかりだったが、サイズや天板の種類、サイドテーブルなどのオプションパーツを好きに選べると書いてあって、私が見た時はキャスター付き脚を選べると記載されていた。それで購入を決定した。
 ところが、購入申し込みしようとするとキャスター付き脚が選べない。そこでお客様センターに電話したら「ちょっと前まではキャスター付き脚も売ってたのだけど販売を中止する」ということだった。私が見たキャスター脚オプションのページは、販売変更に伴ってサイトを変更していたのが直って無くて見えていたということだった。「キャスター付きが欲しくて散々探してやっと見つけたので残念だ。キャスター無し脚で買って自力でどっかに工作依頼して頑丈なキャスターを取り付けられそうな脚の構造ですか?現物どっかで見れますか」などと粘ってみら「イタリアではキャスター脚を作っているから受注生産で輸入は可能」とのこと。それで、キャスター脚・天板白色・幅160cmのものを注文した。
 イタリアから船便で送るので届くのに3〜4ヶ月はかかる、と言われた。4月下旬に、GW頃に届くことを期待して「その後机どうなってますか」と電話してみた。ところが、折り返し担当者からの電話は「キャスター脚は無事に届いたんだけど天板の確保忘れてたテヘペロ」。担当者は恐縮していたが、私の方は、何だその絵に描いたようなベタな展開は、と、電話で話しながら爆笑してしまった。天板は国内販売品と共通パーツだし、即納できるって書いてあったので油断していたら、どうもたまたま売り切れたらしい。イタリアに発注はかけているということで最大2ヶ月待ちくらいだという説明だったので、3ヶ月待った商品が多少延びてもどうってことないので待つことにした。
 こんないきさつで、部品が全部揃って発送できますという状態になったのが6月下旬。連休の作業の方が何かといいので本日届くように手配してもらっていた。

 天板と脚が別々に梱包されて届いたのだが、やたら思い。天板は引きずるのがやっと。組み立ての注意事項として「重量があるので2人以上で組み立ててください」。カタログによると、キャスター脚じゃない方の同サイズのもので総重量45kg。ふざけんじゃねえ実験物理学者舐めんな、ってことで、古い机を拭いて畳んで片付けて部屋の床を空けてから天板を引っ張りこんで脚を取り付けた。逆さま向けて脚を取り付け、90度回すまでは楽勝。天板側にスペーサーを入れて、手が入るようにしてから気合いで立てたら何とかなった。足の上に倒してたらほぼ確実に骨折だろうし、安全靴が欲しいところではある。これで怪我したら恥だが、無事に作業終了。
 昨日買っておいたビニールのテーブルマットを載せて、クランプでディスプレイ2つ、ノートパソコン1つを固定。さすがにこの重量だとびくともしない。ScanSnapを置いても余裕の広さ。安心して使える。しかし部屋は狭くなった(←当たり前だ)。
 さて、部屋を広くするため自炊作業を進めるか……。