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無断リンク禁止を主張するバカがまだ居た、しかも教師

Posted on 10月 30th, 2005 in 倉庫 by apj

 ネット上の情報に対するリンクについては、普通に見えるものである場合はそもそも自由でだというのが基本だが、それを理解しない教育関係者が後を絶たない。このネタの元はslashdot.jpのこのトピックである。

 堂々と無断リンク禁止と主張して憚らないのが、「北九州市立中尾小学校インターネット利用規程」。内容はこんなの。

○ 外部サイトより中尾小学校ホームページのリンク依頼があった場合には,市運用規定及び本校利用規程に照らして,教育的意義を考慮し,校長に承認を得るものとする。また,校長の承認を得ていないリンクが判明した場合には,校長の指導を受け,該当サイト公開組織に対して必要な措置を講じる。

 まるで、リンクしてくれと言わんばかりの「釣り」に見えるのは私だけか?とりあえず、校長先生以下全員、東北大の後藤さんの解説「リンクは自由」でも読んで出直せと。しかもトップページにはご丁寧に警告まである:「警告 本ページ及び以下のページへのリンクは、校長の承諾を得てください。」だとさ。
 リンクというのは外部からの参照に過ぎないわけで、それを嫌がるなら、ネットになんか出てこなければいい。校内LANのみの公開にすればいいだけの話だ。

 というわけで、このblogからしっかり2カ所に無断リンクしてさしあげることにした。さあどうする?「必用な措置」とやらを講じてみるかい?法的には何の問題もない上、ネットのモラルとしても主張できないようなことを、どうやって他人に要求できるわけ?不勉強で恥さらしてるのは、はっきり言ってあなたがたの方じゃないかと。

 わざわざ書いたのは訳がある。こんなことを、他の学校やら教育組織やらが右へ習えされたのではたまらないから、とりあえず人目に触れるようにし続けることには意味がある。それに、教育機関がこれでは、生徒にネットに対する誤解を植え付けてしまう可能性もあるから問題だ。
 これまでに、この手の無断リンク禁止を主張した有名組織には、たとえば日本弁護士連合会や、愛・地球博の公式ページがあったが、いずれも批判が殺到して、結局リンク制限の主張を撤回している。それを知った上での無断リンク禁止なのか?それならそれで別の意味でチャレンジングだとは思うが。批判殺到に耐えられるだけの理論武装をしているのなら是非それを見せていただきたいものだ。

 そうそう、ついでに言っておく。本日の内容について、もし学内からクレームつけられた場合は徹底的に手段を選ばずそのことも具体的に公開する。他人の嫌がることをするななとかなんとか、勘違いする人がこの先出てこないとも限らないしねぇ。

【追加】
 風呂入りながら考えたのだが、「オフィシャル度」みたいなものがあるんじゃないか。例えば、個人が趣味でやってるサイト、ペットの写真があったり趣味の話題があったりするものをオフィシャル度1とする。個人の名前を出して仕事をしている人、実名あるいはペンネームが認知されてる人が仕事の一環でやってるサイトをオフィシャル度2とする。個人ではなく、法人や団体が内部で会議したりや規約を作ったりして運営しているものをオフィシャル度3とする。無断リンク禁止をして叩かれるのは、オフィシャル度3や2の場合が多かったと思う。反対に、私人が細々とやっている趣味のサイトに「無断リンクしないでください」とあっても、そんなに批判はされていない。「ああ、リンクをきっかけにして同好の士を募りたいのね」とか「まあそっとしといてあげれば」という扱いになってると思う。個人がリンク禁止を主張するにしても、基本のところでリンクが自由なシステムの上でやってるのだということを意識しておくに越したことはないが(そうでないと、ついうっかり、間違った「ネチケット」を他人に説いて回ってトラブルの元になるから)。
 この分類は例えばの話なんで、3つじゃ足りないとかその区切りじゃだめとか、異論は出てくると思うけど、こういう発想で扱いを変えている面もあるんじゃないかな。

勧誘電話ウゼェ→ガチャ切りで対応

Posted on 10月 29th, 2005 in 倉庫 by apj

 職場の電話にマンションのセールスが今週2回もあった。会社名はいい加減に聞き流したら忘れてしまったが、担当者は「トウカイリン」と名乗っていた。
 一回目はこんな感じだった。
営業「天羽先生でしょうか」
私「はい」
営業「***のトウカイリンと申します」
私「何でしょう?」
営業「(あんまり印象に残らない前口上開始)」(このへんでろくでもないセールスと判断)
私「で、どういうご用件で?何を売りつけるつもりなんです?」
営業「マンション購入の案内ですが……節税のために(云々)」
私「住みもしないマンション買う趣味は無いです。ほんじゃ(ガチャ)」

 何か、教職員の方にお電話を……のようなことを言ってたので、山形大学をターゲットにして営業してるようだった。ただ、きっぱりガチャ切りしたので、脈が無いことはよく伝わったはずだから、もう二度とかかってこないだろうと思っていたら、金曜日に二回目があった。

担当者「この手の電話ってよくありますか」
私「ありますねぇホントに迷惑してますよ」
担当者「特に山形大の先生にお勧めしている理由を説明したいのですが」
私「興味ないので結構です(ガチャ)」
 こういうのは、相手が話し続けていても構わずガチャ切りするに限る。話を聞かせることができれば相手にとっては第一段階クリアなわけで、裏を返せば説明聞いた時点でこっちの失点1ということになる。
 もっとも、ガチャ切りするほうがある意味親切でもある。営業にもノルマがあるはずだから、買う気ナッシングな相手に延々時間をとらされる方が実は痛いはず。とっとと切って次の人に営業できるようにする方が、お互いにとって時間の節約、ダメージが少なくて済む。

 しかし、今回のは、口ぶりからして、大学の職員名簿ででもかけてきてるのか。とりあえず、毎年配る職員名簿の処分について、裁断して捨てるように徹底した方が良くないか?セキュリティ上の問題で、自宅住所やプライベートの電話番号は、どんな名簿にも一切載せないようにしているのだけれど。

 ところで、2ちゃんねるで話題になった有名(?)ニート君の「働いたら負けだと思っている」にインスパイヤ(笑)されてみた。

  「話を聞いたら負けだと思っている」

本日のメモ

Posted on 10月 28th, 2005 in 倉庫 by apj

 All about JAPANより。「あなたを襲うゾンビ PC の恐怖 PC はすでに死んでいる !?
ウイルスに乗っ取られてspam業者のお手伝いをしてしまうPCの話。Windows環境を対象にしているが、実は数日前、ちょっとやぱかったかも。お茶の水の方で立ててるatom11のpostfixのバージョンが古くて、件数は少ないが数日間踏み台にされてたっぽい。open relay checkはやってみて異常なしなのを何度か確認したが、毎日デーモンが送ってくるメッセージで、見知らぬアドレスに対して配送できなかったというアドレスが数件残っていた。同じセグメントのパソコンが何かに感染したのかと思ったが、どうもそうではなかったらしい。ただ、本気で踏み台にされると配送にしくじるメールが数件じゃ済まなくなるので、悪さをされていたとしても数は少なかっただろうと思う。とにかく怪しいので、すぐにpostfix abortして、最新版に入れ替えたら、その日から配送待たされてるというログが来なくなった。もちろん、向こうの管理者の冨永先生には報告済み。

 中西氏の雑感より。多比良和誠さんの論文に疑いがもたれている件についてだが、その多比良さんの書かれた内容が引用されている。そこからさらに引用。

実験担当者はほとんどの生データをコンピューター上に直接取り込み、整理された実験ノートとしては、記録を残しておりませんでした。そのため実験結果を裏付ける強い物的証拠を提出するには至らず

という部分がひっかかった。捏造疑惑云々はさておき、オンラインでデータ取り込みをやるようになるとこういう事も起こりうるわけで、どうやって記録を残すのがいいか、ということが問題になる。
 この件について、最適な参考書としては実験ノートの書き方・まとめ方 広川化学と生物実験ライン (28)があるが、残念なことに品切れなので、ぜひまた増刷してほしい。共通で使う機器のログノートとか、特許が絡んでくる場合のノートの管理とか、とにかく丁寧に解説されている。
 原著はWriting the Laboratory Notebook で、まだ入手できる。ただ、Amazon直で新品が手に入らないところを見ると、向こうでも品薄なのか。前期の化学英語Cのテキスト候補として自費で1冊買ったが、結局テキストにはしなかった。
 翻訳の方を知ったのは、軽部研に居たころだった。ちょうど、会社から来ていた社会人院生の人が、会社フォーマットのノートを作っていて、どう書いて記録を残すかというポイントを教えてくれた。そんなときに翻訳を買って、やっぱり同じようなことが書いてあるので、管理は大事だなあと思った次第。

 あと、バイオじゃ役立たないかもしれないが、波形解析で愛用してるIgorProは、装置に直接パソコンをつないでデータを取り込む機能も持っているが、Notebookというワープロみたいな機能もあって、データファイルとセットでデジタルでノートを書くことができる。それでも、HDDクラッシュすれば終わりなので、バックアップはしっかりしないと激しくやばいわけだが。

「日本の科学者」って一体……?

Posted on 10月 28th, 2005 in 倉庫 by apj

 一般名詞じゃなくて日本科学者会議編集発行の、「日本の科学者」という雑誌の10月号の件。中西裁判の掲示板の方でネタ提供があった。この話を掲示板の方でやるのは、裁判の話と外れるし、むしろネット上の表現の問題も含むのでこちらでまとめることにする。
 ここに書いたということを、掲示板の方にも投稿した。もし、以下の内容に大幅変更がかかった場合は、私宛に何らかの「圧力」か「恫喝(笑)」があったと判断してかまわない>皆様。

 問題の論文は「最近の環境問題の「まきかえし」を検討する」(畑 明郎)である。知り合いの人にコピーを送ってもらって全文を読んだ。中身は中西氏や安井至氏の考え方に対する批判で、そっちは私の専門外だから突っ込んだ議論をするつもりはない。突っ込みたいのは、畑氏が、国立環境研究所環境健康研究領域長(現東京大学大学院医学系研究科教授〉の遠山千春氏を擁護している部分である。該当部分を引用する(但し遠山氏のメールアドレスは削除)。

 2004年12月12日に安井至は,主宰する「市民のための環境学ガイド」というホームページの「ダイオキシンで暗殺」の中で,「13日月曜日の7時のNHKニュースに,国立環境研の遠山氏が出てきて,このニュースの解説をしていた.ダイオキシンの毒性について,例の言葉『サリンの数倍』を繰り返していた.もともとは,『サリンの2倍』だったはず,これがなんと強化されている.
……いずれにしても,ダイオキシンの専門家は,なかなか『ダイオキシンは怖くない』とは言わない.なぜなら,これまで嘘をついていたのか,と非難されるからである.特に,財務省からの非難は大変怖いぞ!!!」と記載した(http://www.Yasuienv.net/).
 これに対して,国立環境研究所環境健康研究領域長(現東京大学大学院医学系研究科教授〉の遠山千春は,「正当な根拠なく他人を嘘つきと呼んだり,脅したりしないという人間として最低限のルールは守るべきであり,自らに過ちがあるときは,深く過ちを認め,是正する位の誠実さと品位を持っていただかないと困ると思っているだけです.」などと,安井氏とメールや私信で論争した.しかし,安井氏が論争内容をホームページに公開しなかったため,遠山氏は論争内容をメールで公開した.
 このように,かれらの矛先は,私など市民サイドの研究者だけでなく,中立的立場の研究者の松井三郎や遠山千春などにも向けられており,環境問題を科学的に研究し,解決策を見出そうとする研究者に桐喝を加える卑劣極まりない行為と言える.真摯に環境問題を研究する私たちは,これらの桐喝に屈することなく,研究に適進していきたい.

 これの何が変かというと、書かれている遠山氏の行動がどう見ても変だと思うわけで。どういうネタで専門家同士がメールで議論を戦わせようが自由なのは当然だが、「安井氏とメールや私信で論争した.しかし,安井氏が論争内容をホームページに公開しなかったため,遠山氏は論争内容をメールで公開した」というのが何なのかわけがわからない。遠山氏の論争相手はやりとりの内容をウェブで公開するのが当然だとでも?誰でも気軽にウェブサイトを作れる時代なんだから、ウェブで公開したけりゃ(あるいはその必要があると考えたのなら)他人を頼らず、遠山氏が自分でやればいいのに、そこは他人に頼って当然という考え方をしているのか?で、相手が公開しなかったからメールで公開って、何でそういうデタラメな行動になるのか。メールのやりとりの公開の是非はひとまずおくとして、普通は相手がウェブで公開しなかったことが気に入らないなら自分トコでウェブで公開、となるものではないのか。
 一方、安井氏の方はこの件について、「予測と実証、「まきかえし」」の中で、

そこに書かれていることは、遠山千春氏側の主張に過ぎない。論争内容をホームページに公開しなかったのは、「私信」とは何かということで遠山氏と合意に到達できなかったためで、遠山氏自身も、最終的に、「公開することも公開しないことも、当方の判断で良い」、ということに同意したのだ。当方は、遠山氏の名誉にはならないことだと判断して、あえて公開をしなかった。
 一方、遠山氏はすべてを公開すべきだ、と主張しながら、すべてではなく、自分の都合の良いところだけをメールで公開した。このことは、当方の承認なしに行われた。メールでの公開なら良いとでも思ったのだろうか。

と書いている。実はこの件については、別ルートで、遠山氏がメールをお仲間に送った際遠山氏の手によって内容の編集がなされたという証言ももらっているので、「自分に都合の良いところだけ」という表現には当事者である安井氏の主観が入っているかもしれないが、そのままの形でやりとりの全てが流れなかったことだけは確かである。
 公開討論を挑むつもりがあるなら、電話番号など公開するとセキュリティ上問題のある部分は伏せ字にするとしても、それ以外の全てをまずは編集無しで公開するべきではないのか。自分が情報を出すときは編集済みのものをメールが届く範囲にだけ送る、などという遠山氏がやっている行動は、議論の内容の妥当性とは無関係に、外から見ている限り、単なる「卑怯」ではないかと思う。それを堂々と擁護して、畑氏は恥ずかしくないのだろうか。
 「日本の科学者」という雑誌は、今回この件で教えてもらって存在を初めて知ったのだが、こんな記事が堂々と載るのであれば「日本の科学者」とやらの仲間には絶対に入りたくないものだ。それ以前に雑誌のネーミングは何とかならないのか。発行部数にもよるが、科学者がこんなのばっかりだと思われたんじゃたまらないわなぁ。ついでに言うと、どうもこの手の人々は「日本の」とか「国民……」といったネーミングが好きなようである。名前の付け方を見るたびに、そのセンスはどうにかならんのか、ちょっとは身の程をわきまえてくれと思う。勝手に国民やら日本やらを名乗って、何かの代表のような気分で居られても、「そんな仲間には入りたくない一緒にすんな」と思うのは私だけではないはずだ。

 遠山氏のようなパターンを示す人というのは、実は結構他にもいる。私が、ちょっと前に遭遇したのは、シンポジウムで発表したら、私が会場に着く前に発表を済ませていた人からクレームをもらったというものである。「聞いてもいないのに発表内容を批判した」というメールを送りつけてきた上、「私が管理しているウェブサイトでやりとりが公開されていない」と言ってクレームをつけてきた。勿論「聞いてない発表を批判するのはそもそも不可能」「公開したけりゃオマエガヤレ、但し編集すんな」という返事を送ったのだけど。
 表現の内容以前に表現の形式、つまり意図的な編集をしないとか、公開したけりゃ自分でやるといった、基本的な姿勢が抜けている人は、内容の議論とは別のもめ事を引き起こしているように見える。昔なら少しくらいズルしてもバレなかったかもしれないが、これだけネットが普及してきて人の目が行き届いてくると、下手な編集をやって情報をゆがめようとしても即座にバレる。平気でこういうことをやる人は、バレるリスクやバレた時のダメージを全く考えていないのだろうかと不思議に思う。実際、私は畑氏とも遠山氏とも面識が無いが、遠山氏がメールを編集したって話がしっかり私のところまで届いていたりする。
 この手の形式上の問題というのは、どうまとめたらいいのだろう(内容の問題になれば、名誉毀損の判断基準など、一応のチェック項目があるのだけど)。

疑似科学と科学の哲学

Posted on 10月 27th, 2005 in 倉庫 by apj

 「疑似科学と科学の哲学」が届いたので読んでいる。
 科学と疑似科学を振り分けるというのは難しいし、誰もが納得する疑似科学や科学の定義はない。いくつかの判断基準については、いろんな人がいろんなことを言っていて、教養の講義のあとの方でまとめて紹介しているが、これで必要十分というものでもない。読んで少し考えてみたい。

 科研費の書類締め切りでまだちゃんと見ていないのだが、今週の教養の講義の学生からのコメントに「実験を見せてくれ」というのがあった。登録者が200人近い講義で一体どうせよと?と思ったり、次回の内容は中性子線回折だの質量分析だの、見せようがないがなというものだったりで、ちょっと手の打ちようがない。

 が、それ以前の問題として、ちょっと前から個人的にから引っかかっているのは「実験を見せられて信じる」ということの危うさだったりする。mixiのコミュで、「水にありがとう」結晶ネタで、「実験を見て信じた人はどのていどいるか?」と訊いてみたが不発に終わってしまったんだけど。
 つまり、見せられた実験の内容と、それにくっついている科学の体系……とまではいかなくても、まあ理科で扱う内容の広がりのギャップが大きいまま、つまり「その実験から得られる情報<科学の体系的知識」な状況で教えられる知識を受け入れるという経験を積んでしまったら、今度は、いい加減な(あるいは意味のほとんどない)実験を見せられてくっついてるのが実はホラ話でも、信じる方に行ってしまうのではないかということだ。このあたり、理科教育の方ではどうやって解決しているのか、疑問を持っている。
 研究のときの泥臭いexperimentの積み重ねと、教育用のdemonstrationでは意味が違うのだが、その違いを一体どこで認識するのか、ということが疑問なわけで。教育学部ではこの手の問題はとっくに解決済みなんだろうか。

授業公開

Posted on 10月 26th, 2005 in 倉庫 by apj

 10/20に、授業公開はいつでも誰でもOKだと書いておいたら、今は中学校の先生をしている卒業生の青山氏がきてくださった。何でも、北高での説明会に出席したついでがあったとのこと。OBに関心を持ってもらえるというのは、大変ありがたいことである。
 終わった後、いろいろ怪しい商売の広告ネタを見せてもらった。何でこんなのでだまされるのだろうという内容のものばかりだった。最近の流行はゲルマニウムらしい。やはり、インチキに騙されないように地道に理科教育するしかないということのようである。

行列とか群とか

Posted on 10月 25th, 2005 in 倉庫 by apj

 量子物理化学なんてものを担当してるので、ちょいと表記法になれてもらおうと思って、行列力学の初歩をやってるわけだが。で、波動関数が実はベクトル空間を作ってるとか、演算子が行列で表現できるといったことをやってみたら、さっぱりわからんという学生さんが質問しにきてくれた。よくよくきいてみたら、高校ではベクトルと行列はまったく別物として教えられているのだそうな。ということは、ベクトルに行列を演算するとか、ベクトルを行列で変換するという発想自体が抜けている、と。それで、もっとよく訊いてみたら、教養のあたりで線形代数をやらなくても進級できる制度になっていたりすることがわかった。こりゃもう学生さんの責任ではなく、明らかにカリキュラムの穴というかバグの問題である。
 おかげでこちらも、一体どこから話をすればいいのかがわかって、却って助かったわけであり、質問に来てくれた学生さんには、実は感謝している。何せ来年から、高校数学との橋渡しを教えることになって、今、講義内容をどうしようか悩んでいる真っ最中なので「ギャップが大いにありまっせ」という情報は非常に役立つ。
 だがここで、ちょいと引っかかるものがあった。私が担当してるわけじゃないんだが、ウチの学科には「群論」という講義がある。化学の群論だから、当然、分子の対称性と基準振動解析を扱っている筈である。それでは、ということで「線形代数でやってなくても群論では行列が出てくるよね。行列の演算って群になってるよね」と言ったら、学生さんがポカーン。「行列なんか群論の講義でちっとも出てこなかった」と言われてしまった。行列無しでどうやって化学で使う有限群の表現をやるのか、行列の部分対角化無しでどうやって振動モードを求めるのかと思ったわけで。赤外とかラマンとかやってる見としては、振動解析欲しいなあ、と。
 多分、線形性という概念を身につけるのが、数学系以外を狙ってくると最近はなかなか難しいようなので、表現の話に行くよりも目に見える形を示すという方向の方がなじみやすいということもあるかもしれないけど。

 ついでにネタを振っておく。私が学部の時に思いついたジョークで「仮面ライダーの変身ポーズの全体は群をなす」ってのがある。授業始まる直前にこれを口にして、少し後ろの席の奴(S野君)に思いっきり顔をしかめられてたわけだが。ちょうどその頃、仮面ライダーBlack とBlack RXがリアルタイムで、欠かさず見ていたわけで、ポーズのいくつかを取り出すとそれっぽい感じにはなる。厳密にやると足りないから群にはなってないが、「変身」のかわりにポーズを構成する動作を取り出して「変換」で各ライダーのポーズを作れないかと思った次第、単位元やら逆元やら積が定義されてりゃいいわけで……。たとえば単位元はぼーっと突っ立ったまま(爆)。ちなみにコレを言った相手は、物理科一の特撮アニメ好きの奴で、「西千葉駅の前でライダーの変身ポーズをやったら周りの友達が全員他人のフリをした」と言ってたが(I上、お前のことだぞ……)。
 クウガ以降はポーズの雰囲気が変わったので、今じゃますます当てはまらない。困ったものだ(って一体何が?^^;)。

おもっくそ現実逃避してるわけだが

Posted on 10月 24th, 2005 in 倉庫 by apj

 科研費申請書類書きの真っ最中なので、本当はblog書いてる場合じゃないわけなんだが。
とりあえず、先週末から見舞われていたPalmのHotSyncトラブルは解決した。やはりクレードルが壊れた模様。クレードルに刺して、HotSyncボタンを押しても反応無しなので、スイッチ仕込んでるコネクタ付近が断線でもしたのか。本日、注文しておいたHotSyncボタン付きケーブルが届いたので、そいつを使ってみたら問題なく動いた。ってことで、クレードルにいわゆる「SONY Timer」が発動したっぽい。

「大学の話をしましょうか」

Posted on 10月 23rd, 2005 in 倉庫 by apj

 「大学の話をしましょうか」森博嗣著、中公新書ラクレ ISBN4-12-150195-0を、理科教育ML ver.2で薦められたので買ってきた。一通り読んでみたが、私の実感にも合っていると思った。

 それで、ふと思い出したことを一つ。
 高校までに習った先生方の世代は、ちょうど全共闘やら全学連やら学生運動を経験した人たち、あるいはその雰囲気が残っている時代に学生時代を過ごした人たちだった。大学に入っても、学生運動を経験して知ってる人たちが沢山いた。学生側でも、まだそれなりに自治会が機能していた(つか、当時の千葉大は中核革マル解放のトリオに、民青に共産党青年部に原理研=統一教会、と見本市状態だった)。それで、私は「大学の自治」というのが、ある程度確固たるものとしてあるのだと思っていた。
 それがくずれ去ったのが、ウェブ移転騒ぎでお茶の水大を訴えた時だ。当時は法人化前で、まだ国立大学だった。訴状を出したとき、てっきり、学長の代理人が応訴してくると思っていたら、国立大学を訴えると行政訴訟になるから話は文部科学省→法務省に行って、法務省の訟務検事が応訴してくることがわかった。つまり、大学は訴訟の当事者になれなない仕組みになっていた。このことに大いにショックをうけて、冨永教授をつかまえて「訴訟の当事者にもなれない集団が、一体どうして大学の自治などと主張できるのか?大学の自治は実は幻ではなかったのか。(最終的に訴訟になった時に)当事者能力もないのに自治なんかそもそも無理ではないのか」とさんざん問いつめてみた。そうしたら「実は大学に当事者能力は最初から無かった、学園紛争の時から無かった」という話になって、目からウロコが10枚ばかり落ちた気分になった。道理で、法人化反対の動きがあって「大学の自治」云々を主張していた人たちもいたけど、説得力を持たなかったわけだと自分なりに納得した。
 だから、私にとっての大学法人化とは「民法上の意味で法人格が付与され、普通に訴訟の当事者になる資格を得た」ということに尽きている。大学も、やっと社会の一員になったか、と思っている。

ミニ公開授業・検討会への協力依頼が来てるわけだが

Posted on 10月 20th, 2005 in 倉庫 by apj

 教養教育改善のための公開授業&公開検討会をやってはどうか、という連絡が、学内の教育方法等改善委員会からきていた。
あらかじめ、数人の先生に声をかけて、自分が決めた特定の日に参観してもらって、そのあと30分位検討会を行ってもらうものだそうな。で、それを書類に書いてあらかじめ申請せよということらしいのだが……。
 このblogに書いて学外にまで公開しても意味があるのかどうかわからないが、一応書いておく。
私が担当しているのは「科学リテラシー(化学A)」毎週水曜4コマ(14:40-)、教養222番教室にて。
いつ、どなたが参観してくださってもかまわない。もちろん、学外の人でもかまわない(学内に入る時に何か言われそうなら、このブログを印刷して持ってくれば多分OKだと思う。ってか講師がOKしてるのを大学が邪魔する理由はないだろうし)。ってことで、近場でどなたか興味のある方はいつでもどうぞ。
 ただし、毎回プリントを配ることにしているので追加何部印刷が必要か知りたいし、研究会などとぶつかって休講ということもあるので、前日までにメールで連絡してほしい。意見・コメントは、終わった直後に出していただいてもいいし後からメールでくださってもかまわない。講義内容に関するQ&Aとともに、回答が必要なものには回答した上で、ウェブで全て公開する。