学生のケアを

 「高大連携でマイナスイオン:八戸大学」で取り上げた件について、10月29日に八戸大学の担当窓口に電話で問題点について伝えた。詳細は後ほど文書で、と連絡したが、別書類の締め切りやら、弁護士事務所に持って行く書類制作やらに追われて、完成はしたが発送する余裕がなく、週明けにでもと思っていたら、11月2日に対応済みとなっていた。
 まず、学部のトップページからこの件が消えた。さらに、学長からお詫びと訂正が出た

高大連携奥入瀬渓流マップ作成プロジェクトについてのお詫びと訂正

 地域での調査・実習を通じた学生のフィールドワーク活動(高大連携事業の奥入瀬マップ作成事業、平成24年10月20日実施)において、マイナスイオン(空気イオンカウンターで測定した数値を使って)マップ作成を行う予定でおりましたが、マイナスイオンそのものが明確な定義のない用語であるため、マップ作成は行わないことと決定いたしました。
 また、過去に実施したフィールドワークで作成した「奥入瀬渓流 マイナスイオン物語乙女の記録」は配布先より自主回収を行い、今後、マイナスイオンの調査・実習は実施しないことと致します。
 今回及び過去の奥入瀬渓流における実習活動において誤解を生む用語を使ったことをお詫び申し上げるとともにマイナスイオンは明確な定義のない用語であることを合わせてお知らせ致します。

平成24年11月2日
     
八戸大学学長 大谷真樹

 大谷学長の迅速な対応がなされて良かったのだが、気になったのは、とても楽しそうに測定していた学生・生徒さんたちに何と説明すると良いのかということである。
 単に、チェックが甘かったとか流行に(だいぶ遅れて)つい乗っかった、ということになると、がっかりするか立腹する人が出てきそうである。まあ、情報の取捨選択をするプロであるはずの教員についてはがっかりしても立腹しても自己責任だと思うが、学生・生徒さんは育てなければいけないので、自己責任というわけにはいかない。
 こればっかりは、実際に企画が動いた時にどうだったかがわからないとケアの計画が立てられない。

 「マイナスイオン」の正体を実験的に調べる、だと高大連携のテーマとしては多分難しすぎる。「マイナスイオン」と自然放射線の関係は、だと、理科としては正しい方向だが、放射線恐怖症に陥っている人が全国各地に多々いる現在、奥入瀬にマイナスイメージを与える結果になりかねない。
 テーマを変えて空気イオンの利用方法(あるいはイオナイザの利用方法)、というテーマにして、健康にいいとか○○に効くといった話とは全く違うものについて使い方が確立してるんだよ、というのは有りかもしれないが、だからマイナスイオンでも良かったんじゃん、と思われてしまうと元の木阿弥になるから注意が必要だろう(それほどに「マイナスイオン」が定着してしまっているため)。
 積極的に関わった学生さんが落ち込まない、かつ、奥入瀬のイメージダウンにならないケアをやっていただけることを願っている。
 同時に、なぜチェックできなかったのか、ということは、運営側でしっかり調べて欲しい。学長のお詫びは「マイナスイオン」のもたらした問題について突っ込んだものではないが、まあ、一般的に「学長のお詫び」とはこういうものである。しかし、実働した人達がこれで終わってしまうと、次に別の変なネタに乗っかってしまうかもしれない。過去に「水からの伝言」が学校教育に持ち込まれ、学外から批判が出た時、実践していた学校の先生達は理由の説明もなぜひっかかったかの検証もせずにただその実践例を削除しただけだった。で、次は学校の環境教育がEM菌に乗っかるというていたらくになっている。大学と小中高では文化が違うが、削除して無かったことにして終わる、というだけだと別ネタにひっかかる可能性が大きいままになりそうで心配である。