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株式会社ユーピー(2002/07/04)

【注意】このページの内容は商品の説明ではありません。商品説明中に出てくる水の科学の話について、水・液体の研究者の立場から議論しているものです。製品説明は、議論の最後にある、販売会社のページを見てください。

 「磁活水の力」というページに原理の説明がある。このページの一番の見所は、多数の磁気活水器の宣伝では「磁石の影響で水のクラスターの乱れを整える」と主張しているところだ。大多数の同業他社の説明と全く逆である。図を見ると、水が水素結合でキレイに規則的につながった絵が描いてあるが、水がこんなになった状態は、もちろん氷である。

磁石や鉄やニッケルなどの金属を近づけると引きつけられます。磁石が発する目に見えない不思議な力。この魔法の力が水に微妙な影響を与えることは古くから知られており、13世紀の医師が残した文献にすでに指摘されています。

 何度も書いたが、水は反磁性体である。鉄やニッケルは磁性体だから、水に対する磁場の影響を考えるのに、鉄やニッケルを引き合いに出すのは間違ってると思うぞ。13世紀の医師が残した文献にすでに指摘されてるって、えらく古いんですが。どの文献か知りたいですね。てゆか、昔の医学って、今から振り返ると正しいことも含まれてるけど、結構トンデモな治療(瀉血とか水銀を飲ませるとか)もあったはず。13世紀の指摘が必ずしも当てになるとは限らない。

最近の研究によると、磁気が水に効く仕組みは、磁場が流水に作用すると自由電子が誘発され、その自由電子が水のクラスターの乱れを細かく整え、穏やかな還元反応を進めるためと考えられています。

 一体どなたの研究でしょう(激謎)。「自由電子が誘発」って一体?クラスターが乱れてるかどうかは、X線散乱でも測定すればわかるが、図に書いてあるほどの規則構造が実現していたら、結晶みたいな測定結果になるはずなんですがね。誰が測定したんでしょうか。いやその、液体なのに結晶類似の回折パターンが出てきたら文句なくnatureものなんですけども。

その水は、基本的に中性指向。効果的な磁気処理によってクラスターが緻密によく整えられた、生体と相性のよい水です。太古の昔から人類の健康を支えてきた自然の水、生命の水に限りなく近づいた水ですから、健康が気になる方にとっては、健康生活の良きパートナーとなります。

 「中性指向」って言われても。「指向」って一体?と思うわけで、普通書くなら「中性」だけでしょうが。それとも、中性からずれてるからわざわざ指向しないと中性になれないとか?訳がわかりません。「太古の昔」がいつの話かも気になります。「生命の水」なんて軽々しく言ってるけど、今の理解では、地球上に原始生命が誕生したころの環境が人類の生存に適していたって話にはなっていない。そもそも酸素濃度が低すぎたし。人類の健康を支えてきた、と言われても、ちょっと前(江戸時代以前程度)までの平均寿命を考えると今の方がよっぽど健康じゃないかと。水がそんなに健康を支えてくれるなら、昔の死亡率とか寿命とかはもうちょっといい状況であってもいいように思うが。果たしてこれで宣伝になってるのでしょうか。

 「水を蘇らせる技術の証明」に書かれている装置構成では、磁石部分に至るまでにきっちり濾過するという仕組みのようだ。浄水器としての基本的な性能があれば、使えば水はきれいになるでしょうね。分子が配列する効果とは無関係に。

 囲み部分がいい味出してます。

特に高山の麓から湧き出した雪解けの水が格別においしく感じられるのは、水分子のクラスターの中に、雪の結晶構造が幾分か「記憶」として残されているためとされています。
 水に「記憶」が残る事実はからり以前から知られています。水分子は磁気に敏感に影響されます。そして受けた影響は「記憶」として残されます。(これを“残磁性”と呼びます)泉からこんこんと湧き出す水には、雲から雨や雪となって地上に降り、長い時間をかけて地層を通ってきた「記憶」が残されています。だから母なる大自然の味がするのです。

 水は反磁性体だから、磁気が残留したりしないって。結晶構造を記憶しているという話にも根拠はない。「以前から知られている」の内容が、ウチで紹介している「幻の大発見」という本で触れられているネタなら、そりゃ以前から知られてはいただろうけれど、残念ながら間違っている。

 雪の結晶構造は別に特別なものではない。Ice Ihという、冷蔵庫で作る氷と基本的には同じはずだ。ただ、結晶成長の条件が違うから、いろいろキレイな形になるだけだ。雪の結晶構造が記憶されるなら、氷水で代用しても差し支えないことになる。ついでにいうと、まずい水でも温度を下げるとまずさが目立たなくなることが多いですが。

もっとも、水が液体である限り、形を記憶することはあり得ない。岩を通ってきた水はミネラルが含まれているからおいしい、って素直に考えちゃいけないんでしょうかね。「母なる大自然」と言われても、「大自然」が人間にとって都合がいいという保証は何もない。人間がはびこってきた歴史は大自然を壊してきた歴史に他ならないのだ。やっぱり宣伝になってないような気がする。

 六角仙石(ろっこうせんせき)の説明部分は、「水を瞬時に活性化する効果の他、消臭効果や高い遠赤外線効果、」とあって、「活性化」「遠赤外線」と、お約束のキーワードが並んでいる。大体、遠赤外線の発生をどうやって確認したのかが謎である。水は熱容量が大きいから、水を通過させたら、濾過材料と水の温度は速やかに同じになって、遠赤外線を一方的に照射するようなことは起きない(温度が違う場合は、放射という形で熱を失うので、このとき赤外線や遠赤外線がまわりの物体に照射されることは起こりうる。温度が同じならこういうことは起きない)

 トップページを見ると、この会社、電解水製造装置も扱ってるらしいけど、とりあえず磁気活水器に注目しておく。


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