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「みみん」のホームページ(2001/06/07)

【注意】このページの内容は商品の説明ではありません。商品説明中に出てくる水の科学の話について、水・液体の研究者の立場から議論しているものです。製品説明は、議論の最後にある、販売会社のページを見てください。

 「ハーモニーウォーター」という水の製造装置を売っている。ご購入方法を見ると、まず会員登録をしてから1割引で購入することになっているようだ。価格は20万円弱と、他の浄水器・活水器に比べて高い方に入る。

 ハーモニーウォーターの詳しい説明を見ると、なかなかにすごい水のようだが、説明が少なくてとっても物足りない(涙)。

 まず、

生命進化にとって一番都合のよい水とは、大自然の摂理に基づいてつくり上げられた「自然水」です。46億年の進化過程でつくり上げられたこの「自然水」は、地球誕生から今日までのすべてを記憶しています。

とくる。水が何かを記憶することがないのはまさに水が液体だからだ、というまっとうな科学的ツッコミをするのは、このページに関しては野暮というものだろう。

 よく考えると、地球上に生命が誕生しない状態だって随分続いたわけだし、生物の進化を考えると、カンブリア爆発があったりして、奇天烈な生物が多数棲息していた時代もあるわけで、そんなものを一切合水に記憶されても、ちっともうれしくないんですけど。

 装置については、簡単に、

大自然の法則と摂理に基づく水の自然における「循環システム」と「新たなる水の科学」の応用と融合によって開発しました蘇生エネルギー情報水調整装置

であるとされている。まあ、地球上での水の循環は今でもまだ研究されているのでいいとしても、「新たなる水の科学」の中身は一体何だろう?水の研究者である私としては、非常に興味がある。もっと詳しく情報を出してほしい。一体いつの間に水の科学がそんなに進んだのか?

 装置の作用は、

蘇生エネルギー情報水調整装置は、水道水を生命進化にとって抵抗現象や歪波等のない「本来の水の姿」に蘇生チャンネル化させ、生命を生み出した情報とエネルギーを持った水に再生誘導するものです。

だそうな。なんだかありがたいものらしいという雰囲気は醸し出しているけれど、読めば読むほどわからない。「生命進化にとっての抵抗現象」「生命進化にとっての歪波」って一体何?「蘇生チャンネル化」って一体何?始めて見る用語が並んでいて、何のことだかさっぱり理解できない。こんなおもしろそうな用語を並べて説明を省くのは、はっきり言って不親切である。

 ページの最後の方に、やっと具体的な装置の効果が書いてある。

地球上の自然元素マテリアルをアモルファステクノロジーによって非結晶半導体化し、通過する水道水を一瞬にして水分子の結合角を104度から165度に変換し、

「自然元素マテリアル」って具体的には何だろう。何でもかんでもアモルファス半導体になるわけじゃない。そこが企業秘密なのかもしれないけれど、何でできているか位簡単に紹介してくれてもいいだろうに。水分子の結合角が変わると書いてあるけど、どういう測定で確認したか書いてない。やっぱり確認方法も書いてほしいなあ。化学の分子軌道の話を覆す内容なんだからさぁ。...っていう以前に、その結合角の物質って既に水じゃないんじゃないか。

 これには注釈があって、

 現在地球は、一般的な水(H2O)の結合角度が104度31分であると発表されていますが、五億年前の水の結合角度は145度であったことが、難局の氷のボーリング結果としてわかっています。そして、十億年前は165度であると報道されています。

 あれれ?水のH-O-H結合角って昔から104.5度なんじゃなかったっけ?「難局」は多分「南極」の変換ミスだと思う。南極氷のボーリングだけど、確かに行われていて、氷そのものの性質や構造、氷に含まれている昔の大気などの研究が進んでいる。でも、水の結合角が145度だって話はきいたことがない。

 南極氷をボーリングしたのは2カ所しかない(2001年6月現在)。ボストークとドームフジで、それぞれフランスと日本のグループがやった。日本の場合だと、2000mまでボーリングした。男性数人が、半年間、太陽が全く射さない平均気温−70度の基地で働いて取ってきたそうな。1回のボーリングでは2mしか進まない。その氷は、北大低温研の−50度のサンプル室に保管されていて、この間の研究会の後、見学させてもらった。南極氷を使った研究の話は、そこのグループのヘッド(本堂@北大低温研)から直接聞いているのだが、水の結合角が145度だという話は出ていない。もちろん、165度でもない。研究はいろんなところでなされているが、試料を持っている北大との共同研究になるので、情報は全部集まることになる。当然、フランスのグループの情報だって伝わる。結合角の違う水が発見されてたら、とっくに論文になっているはずだ。

 ともかく、南極氷のボーリングをやったのはフランスと日本だけなのだから、そこ出てこない話が報道されたとしたら、何かの冗談か間違いだろう。いつ、誰が、どんな形で報道したのか知りたいものだ。「報道された」と書くのなら、引用元を明記してほしい。

 ハーモニーウォーターの特徴は、読むと実に楽しい。

1)イオン反応が起こらず、異常といえる環境でも生物を生活させる。
2)バアクテリアフリーで微生物が生きられない。
3)大腸菌やBODの高い環境を自然環境に戻す。
4)抗原抗体反応により動植物を活性化する。
5)動植物の成長促進、永代維持機能の促進。
6)タンパク質合成の場と触媒作用をもつ。
7)帯電防止、防錆、防腐、防カビ、脱臭等の作用をもつ。

 1)と2)が正反対のことを言ってるんですが。生物を生活させるのか生きられないのかどっちなんでしょう?大腸菌の高い環境ったって、大腸菌はもともと自然環境中にも居るもんだし。抗原抗体反応が起きるときは、体内に異物が入ってきて動植物は防衛の真っ最中ということなので、活性化(って何?)どころじゃないと思う。防腐・防カビ作用と、動植物の成長促進も矛盾している。微生物が棲息できない環境を作ったら、動植物にも有害な環境になるんですけど。6)は何のことだか意味不明だし。ここに引用した内容の「明確な反応が見られます」と書いてあるけど、測定結果は何も出ていない。だから、このページを読んでも、私にはちっとも明確じゃないんだけど、どうすればいいんだろう?

 お約束の体験談もちゃんとある。現在ドクターグループが臨床中であり、今後いろいろな病気にたいするデータが増える予定と書いてあるが、どこでどういう試験をしているのか具体的な情報は何もない。あれが治った、これが改善した、と書かれている体験談が事実だったとしても、そういうことは普通に治療しても起こり得ることばかりである。この体験をした人たちが、他にどんな治療を受けていたのかがわからないと、何の意味もない。水を飲むと同時に医者にかかっていた場合、薬で治ったのか水の効果なのかがわからないのだ。だからこそ、効果があるかどうかの判定には臨床試験が必要になる。体験談は、これから試験をしてみよう、という動機にはなっても、効果があるかどうかの評価とは何の関係もない。

 ともかくこのページ、摩訶不思議な水の効果がちっとも説得力を持って伝わってこないので、もうちょっと詳しい情報まで書いた方がいいと思う。そうでないと、「思いつきをただ並べただけ」に見てしまうんですが。

【2002/12/27補足】

このコメントを読んだ方から、

「46億年の進化過程でつくり上げられたこの「自然水」は、地球誕生から今日までのすべてを記憶しています」という件の水を「十億年前」の水の状態に戻して意味があるのか?という突っ込みがしたくてたまりませんでした。

 

という、メッセージをいただきました。


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