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環境ホルモン濫訴事件:原告の支離滅裂

Posted on 4月 17th, 2006 in 倉庫 by apj

 先週、第六回口頭弁論が行われた環境ホルモン濫訴事件について。
原告(松井三郎京都大教授)の主張は、原告がシンポジウムで行った発言について、「原告が、環境ホルモンは終わった。次はナノだ」と被告に書かれたことが名誉毀損にあたるというものらしい。原告代理人は裁判官の前で口頭で「環境ホルモンは今でも重要な問題で、原告は環境ホルモンをずっと研究してきた。原告が次はナノだと言うはずもないし言う立場でもない」と力説した。
 しかし……松井教授は、2005年度に、ナノ粒子の有害性をテーマとする科研費を得ていたことが判明した。雑感343によれば、日本学術振興会の科学研究費補助金採択課題・成果概要データベース http://seika.nii.ac.jp/ にアクセスし、「松井三郎」で検索すれば出る。

研究課題名 ナノ素材の毒性・代謝機構とその環境影響評価
研究代表者 松井 三郎  (マツイ サブロウ) 京大・教授

 (;゚Д゚)ハア!?
 次はナノだと思ってるだろ!って指摘されたって、本人がやってることがまさにその通りなんだから、怒る理由が全く無いぢゃないか!つか、次がナノだと思ってないなら、何でこんな科研費申請してるわけ?代理人弁護士はこのことを知ってて「次はナノなんて言うはずないっっっ!」て叫んでたのか?
 毎回毎回予想の斜め上いく裁判で、第六回は比較的穏やかだったと思ったんだが、考えが甘かった。やっぱり今回も予想のかなり斜め上。まさか、ナノ粒子の有害性で研究費をもらっておいて、「次はナノだと言った」と指摘されたことで逆ギレして相手を訴えるなんて……何がしたいのかさっぱりわからん。これで、訴える内容としては、どうひいき目に見ても「環境ホルモンは終わったと言ったと誤解された状態で文章が書かれた」しか残らない。一体この先どうするつもりなのだ?


ここからは旧ブログのコメントです。


by newKamer at 2006-04-33 06:16:33
Re:環境ホルモン濫訴事件:原告の支離滅裂

私も「雑感」を読んで…オイオイオイオイオイオイオイオイ…と思いました。
ダメダメですよねぇ。これは。


by qur at 2006-04-01 06:30:01
Re:環境ホルモン濫訴事件:原告の支離滅裂

 qurと申します。こちらでは初めてになります。
(ちなみに山大は兄の母校^^)
 勝手に原告の言い分を代弁しますと、「プレゼンでは『ナノ粒子の有害性』については言っていない。だが、内心ではナノ粒子は体外への排出メカニズムに乗りづらく、何らかの害があるかもしれないと思っていた。科研費の申請とプレゼンの内容は無関係である。ついでに言うと、『環境ホルモンが終わった。次はナノ粒子だ』ではない。環境ホルモン問題の重大性はそのままで(ここ重要)、さらにナノ粒子問題が加わり、重大さが増したのだ。だから、ナノ粒子の有害性について研究するのは当然で、その研究には環境ホルモン研究で得た成果が役立つのだ。いや、むしろ両者に共通する問題こそが重要なのである。つまりこれは研究の拡大だ。え?極微量での作用?何のことでしょう?」
 ・・・ダメだ。リスコミの場で「有害と認識している現象についてあえて言わない」でおいて、「研究費の申請では言う」というのは、ダブルスタンダードだ。どちらでも同じ認識を同じように表明していないと。
 もうすこし上手い答弁を考えてみます。


by com at 2006-04-21 06:38:21
Re:環境ホルモン濫訴事件:原告の支離滅裂

こんばんは。
今までの不可解な言動は、これに尽きるのでしょうかねぇ…。
何というか…。


by まいまい at 2006-04-15 06:40:15
Re:環境ホルモン濫訴事件:原告の支離滅裂

そう思われますか。

私もこの科研費のデータベースについては調べてわかっておりましたので、中西さんが募集しておられた応援メールにそのことを書いておきました。

もし、あれらの応援メールが先週の口頭弁論の前に判事、両サイドの弁護士にわたっていたのなら、科研費データベースで確認したことでしょう。そのうえで、今後の公判をどうするつもりですかねぇ?


by kkyama at 2006-04-34 16:52:34
Re:環境ホルモン濫訴事件:原告の支離滅裂

こんにちわ。

環境ホルモン訴訟掲示板にajpさんが書かれているように、
原告と代理人の間がうまくいっていないのでしょうね。
原告は、代理人に全て話していない。
そんな構図が見え隠れしています。
この事実も原告代理人は、知らなかったのではないでしょうか。


by kkyama at 2006-04-32 17:23:32
Re:環境ホルモン濫訴事件:原告の支離滅裂

すみません。
apjさんの名前を間違いました。


by Tama at 2006-04-37 21:39:37
Re:環境ホルモン濫訴事件:原告の支離滅裂

いずれにせよ、民事では主張したことが全てですからね。
原告の主張が「研究テーマを変えたという印象を広く一般に与えたことで、名誉を毀損された」というものであるなら、今回の件があろうとも「公然と事実を指摘し名誉を毀損した」という点ではなんら変わらないと思います。
むしろ、今までは「何が指摘した事実だったのか」という点がわからないというアレな感じだったのが、とりあえず「事実」が浮上したことで、普通の名誉毀損訴訟に近い形になってきたような気がします。
#法律用語の「事実」が別に真偽を問題にしていないのは知っていますが、あえて。

まあ、名誉が毀損されたという証明がまるっきり出来ていないあたりは相変わらずアレなんですが。:)

ところで、松井氏は今までの主張の中で「次はナノだと思っている、という事実は無い」という感じの主張はしてらっしゃるのでしたっけ? もしそういう主張があったら、偽証ってことにもなるわけですが。
#詳しく資料を検討しないとわからないので丸投げしちゃおうかという魂胆(爆)


by apj at 2006-04-30 22:15:30
Re:環境ホルモン濫訴事件:原告の支離滅裂

>松井氏は今までの主張の中で「次はナノだと思っている、という事実は無い」という感じの主張はしてらっしゃるのでしたっけ?

 少なくとも。第六回口頭弁論では代理人が口答で言いまくりました。「次はナノだなどと言う立場でもないし、言う筈もない」って。


by Kosuke at 2006-04-41 22:30:41
Re:環境ホルモン濫訴事件:原告の支離滅裂

研究活動の実際の現場には全く疎いので、ピント外れな指摘になるかもしれませんが。

ナノに関する研究を始めた=環境ホルモンを見限った、ということには必ずしもならないのではないでしょうか。
松井センセの立場に立てば、研究対象を広げたに過ぎないという言い分は成り立つのでは?

原告は今回の準備書面でも

> これは、環境ホルモン物質の一つであるダイオキシンの毒性機構と細胞外への排泄についての原告の研究室が解明した知見が、ナノ粒子の問題の解明に生かされると考えられることの付言であり、
> 環境ホルモンは終わった、次はナノ粒子だ」などという趣旨の発言では全くない。

と主張していますし。


by apj at 2006-04-42 23:43:42
Re:環境ホルモン濫訴事件:原告の支離滅裂

> 環境ホルモンは終わった、次はナノ粒子だ」などという趣旨の発言では全くない。
 このへんが原告の詭弁なんですよ。
1)環境ホルモンは終わった
2)次はナノ粒子だ
の2つが含まれているんですが、原告の主張は1)、2)両方とも言ってないというものです。で、今回、2)についは「次はナノ」を裏付ける行動をしていたことがわかったわけですから、せいぜい1)について誤解されたことがどうか、という以外に問題は無くなりました。
 研究対象を広げたという言い訳をしたいのなら、1)だけにして2)は言っちゃだめでしょう。


by Kosuke at 2006-04-30 01:34:30
Re:環境ホルモン濫訴事件:原告の支離滅裂

(余計なことかもしれませんが、私も今回の松井氏の提訴は濫訴だと考えていることを明記しておきます)
あくまでも、裁判における松井氏の主張と、裁判と平行してナノ粒子の有害性をテーマとする科研費を申請することが矛盾するかどうか、という点についてのみ考察します。

> 原告の主張は1)、2)両方とも言ってないというものです。

そのあたりは結構ビミョーかも。
あちらとしては、
「単一の文をそのように二つに分けることは間違いだ。」
「我々は、被告の書いた文章『松井氏は環境ホルモンは終わった、次はナノ粒子だと言った』を一つながりのセンテンスとして問題にしているのであって、仮に『次はナノ粒子だと言った』だけであれば問題にしなかったのだ。」
というような主張が成り立つ気がするんですが。
つまり、
「『次はナノ粒子だ』とは言ったが『環境ホルモンは終わった、次はナノ粒子だ』とは言っていない。」
という主張。そしてそれは確かに正しい。「環境ホルモンは終わった」は中西氏の感想ですから。


by 酔うぞ at 2006-04-31 05:01:31
Re:環境ホルモン濫訴事件:原告の支離滅裂

う~ん、しかし裁判は「面白くないという気持ち」そのものを測るのではなく、「事実がこれだから、そりゃ面白くないだろうね」という論理の世界なんですよね。

その意味では「環境ホルモン」「ナノ粒子」といった「ブツ」に着目して「それをどうしたのか」とやることになります。

その段階で「いや、ブツの問題じゃないんです」となってしまうと、基本的に「今までの話は無かったことにする」ぐらいにしかなりません。

これじゃ「いったい、何を裁判しているのだ?」になってしまうわけで、どう考えようと個人の自由でわたしはそれを最大限に擁護する立場ではありますが、裁判という公的な場では「批判するのがけしからん」だけでは困るわけです。

本当に今後どうなってしまうのでしょうか?


by Tama at 2006-04-19 21:16:19
Re:環境ホルモン濫訴事件:原告の支離滅裂

>「『次はナノ粒子だ』とは言ったが『環境ホルモンは終わった、次はナノ粒子だ』とは言っていない。」
>という主張。

それはその通りなんですが、事が「名誉毀損」であるわけですから、言った言わないではなく、中西氏が書いた文章により名誉毀損がなされたかどうかが問題なんですよね。

名誉毀損があるとなった上ではじめて、その発言が、松井氏の発表を聞いた人ならそう考えても仕方が無いものなのか、中西氏が普通では導けない結論を作ろうとしたのか、そういったことを争うのだと思います。
#あるいは中西氏の発言が公益にあたるかどうか、ですね。

で、本当ならそういう論争は、裁判になる前に当事者が散々やりあってなければいけないはずなんですよ。それでどうにもならんとなったときに、はじめて裁判が発生するべきで。

この場でそういう点が議論になる、というだけでも、この訴訟が濫訴であることの証明なんだろうと思っています。

ましてや、次はナノだなんて言うはずがない、って主張しちゃってるんだったら、もうどうにもならんでしょう(笑)
科研費申請は、訴訟を起こした時点での訴状の内容とは矛盾していないと思いますが、その訴訟内で主張している内容や訴訟に至った背景とは明らかに矛盾しているということだと思います。


by zorori at 2006-04-36 21:51:36
Re:環境ホルモン濫訴事件:原告の支離滅裂

>代理人が口頭で言いまくりました。「次はナノだなどと言う立場でもないし、言う筈もない」って。

これは、「次はナノだ」と言えば、言外に「環境ホルモンは終わった」を意味すると原告側も思っていることを、うっかり白状してますね。

本心とは裏腹に、「次はナノだ」と言っても、「環境ホルモンは終わった」を意味しないと主張する為に、原告側は松井教授がどんな人物であるかという背景をだらだらと説明しています。松井教授自身がどう考えているかなど関係無く、シンポの場で中西さんを含む聴衆の受け取り方が問題なのに、とんちんかんもここまで来ると滑稽。自分の表現の悪さを棚に挙げて、誤解する方が悪いと難癖をつける。ところが誤解じゃなくて正解だったら、単なるとんちんかんではなくて悪意ですね。誤解でも、中西さんは、感想として書いているので何の問題もないですが。

まあ、被告側が主張しているように、そもそも雑感の主題は「次はナノです」であり「環境ホルモンは終わった」はどうでも良いことです。
リスコミのテーマで、専門家が十分な根拠もなく、一般大衆の不安を煽るような発言をしてはいけない、というような議論をしている最中に、「次はナノです」からね。テーマから外れているどころではない、テーマを潰す妨害行為ですよ。これには中西さんならずとも驚きますね。
意見書にはそんなことを書きました。