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「熱」

Posted on 5月 31st, 2006 in 倉庫 by apj

 教養教育の方で「熱って何」という質問が出た。一行でコメントするなら、分子や原子の運動の激しさの指標だよ、とでも言うしかないが、当然これでは足りないので、あとは「熱学思想の史的展開」でも読んだらどうかと、参考文献として薦めておいた。しかし今見てみたら値段がすごいことになってるな……どうやら品切れになったらしい。

 そんなこともあって「ボルツマンの原子」を衝動買いして読んでみた。熱を運動学的に理解するというのは、今ならすんなりいくけど、実験データが足りなかった頃はえらく受け入れがたく、紆余曲折があったんだなあということが、割と手軽にわかる。教養教育の受講者だと、中学以来理科をやってない人もいるので、「物質は原子からできている」も怪しかったりする。すると、この本の、原子の実在がまだはっきりしない状態で熱をどう捉えるか悩むというのと似たような状況になっているのかもしれない。それなら、昔の偉い人だって苦労したんだよ、ということを知るのもいいかもしれない。迷い方というか入り組んだ風景が見えるだろうし。

ガラス細工のT字管

Posted on 5月 30th, 2006 in 倉庫 by apj

 学生実験のガイダンスをやった。
 担当してる実験の課題の一つにガラス細工があり、T字管を作って提出すると合格する。見たこともないことをやれというのは無茶だから、ガイダンスの時に教員が手本を見せることになっている。
 亀田・臼杵の両教授はとても巧いので、毎年妙技を見せてくれるわけだが、何と今年はデモ役が私に回ってきた。器具出しをして練習してからやろうと思っていたら、器具出しの前にやらなければならないことになった(汗)。
 ガラス細工が必要な実験などほとんど無かったので、T字管の接合をやるのは、自分が学部の時の学生実験で作って以来である。そういえば、学部の時は時間内に終わらなくて、別の日に実験室に忍び込んでこっそり作って提出した記憶がある。一方、先輩が捨ててあった作品を拾って提出した同級生もいたなぁ。そいつは理論系に進み、私は実験系に進んだというオチがついた。
 デモの方は、出来は決して美しくはないが、失敗はせずに済んだ。解説加えながら工作なので何だか落ち着かなかったが。ともかく、学部の時の実験課題に感謝……ってか今頃こんなところで役立つとは思わなかった。

掲示板spamがうるさいので

Posted on 5月 29th, 2006 in 倉庫 by apj

 中西応援団の方に設置している掲示板にspamが来はじめたので、書き込み時のメールアドレス欄に何か入れるとスクリプトを終了するようにしてみた。それ以後、spamは来ていない。どうも、botで書き込まれているらしく、内容は似たようなものなのだが、毎回リモートホストのipアドレスが違うので、アドレス決め打ちではじくこともできなかった。2ちゃんねる風のアク禁も考えたが、それだとゲートウェイ経由で見ている人を軒並み閉め出してしまう。何日かパターンを観察して、一番影響しなさそうなメールアドレスのところではじいてみることにした。
 普通の人なら、掲示板投稿でメールアドレスを書くことは好まないだろうし、どうしてもメアドを晒したければ本文中に記載すればいいので、これが一番問題が起きにくいだろう。もちろん、100%防げるわけではないが、大部分を防ぐことができればそれで管理はかなり楽になる。
 まあ、あとはNGワードの設定をするように書き換えるとかすれば、もっと防御できるだろう。

空港でひっかかった

Posted on 5月 27th, 2006 in 倉庫 by apj

 東京でちょっと買い物したかったので、白浜シンポジウム修了後、酔うぞさんに南紀白浜空港まで送ってもらって、一足先に東京に向かった。で、空港のゲートで見事にひっかかった。
 もともと、いろんな金属を大量に身につけているので、空港のゲートを通るのは毎回大変である。
・ズボンのポケットの中の財布、携帯電話、鍵束を出してカゴに
・シャツのポケットの中の金属製(と学会エンブレム入り)名刺ケース、チタン製印鑑をカゴに
・スイスアーミーを持っている時は先に申告して預ける
・上着を脱いでホルスターケース(PalmとICレコーダー)をカゴに
・リュックに吊していることが多いipodをカゴに
・リュックを開けて、PoserBookをトレーに
 で、荷物が1回でパスすることはほとんどない。
・二つあるペンケースがひっかかる
・ペンケースの中のレーザーポインタがひっかかる
・ペンケースの中を見せてくれと言われて、刃渡り1cm、幅3mmくらいの超小型ハサミが引っかかる
 大体これで全部なのだが、今回は、謎なものがあると言われて3回くらい通すことになった。
「何か長細いような、丸いものがある。一体これは何でしょう」
「……へ?」
 全く記憶にない。リュックから、折りたたみ傘、ipod充電用ケーブルとアダプタ、電子辞書、電卓、小型LEDのヘッドランプ、モノキュラーまで取り出したが、それでもまだある。とうとう、他の人たちの三倍くらいの面積に荷物を広げて、装置通過後の荷物置き場を半分ほど埋めてしまった。で、問題のブツはリュックのどこに入っているのだ?と検査係が見ているディスプレイの画像を私も覗きこんで、一体どのあたりですかと訊いて、場所の見当をつけて、もう一回リュックをごそごそ……。
 セラミックスのサンプルが見つかりましたorz。もらって入れたのをすっかり忘れていた。
 この間、温泉カワセミさんに、「冷やす時に割れたんでペーパーウェイトにでもしたら?」と言っていただいたヤツ。直径5cmくらい、厚さ5mmくらいのセラミックスの試料で、一部が欠けている。
「これでしょうか?」
 係の人に、何だそれはという顔をされてしまい、
「知り合いの材料屋さんにもらったセラミックスのサンプルです」
って説明した。何でそんなもの持ってるんだという表情をされたが、とりあえずチェックは通過した。

白浜二日目

Posted on 5月 26th, 2006 in 倉庫 by apj

 白浜シンポジウムで、ほとんど一日講演を聴いていた。夜はナイトセッション。セキュリティが金になるのか?といったことを議論していた。コの業界を去って久しいので、他のセミナーがどんな様子かは全く知らなかったのだが、東京当たりで行われるセキュリティ関連のセミナーは「我が社の製品を使うとこんなふうにセキュリティーが高まる」といったソリューションの展示と売り込みの場になっているのだとか。そうではなくて、もうちょっと引いて全体を考えようという集まりだから、逆に今ひとつテーマがわからない。まあ、技術的なことからソーシャルな面、法的な面まで多岐にわたっているから、絞り込むこと自体が無理なのだろう。

 コンピュータ関係のまとまったセミナーというと、UNIX Summer Schoolに行ったことが今でも印象に残っている。稚内北星短期大学に詰め込まれて、当時のSUNのNFSやNISの管理方法を実習させてもらえた。5日で5万円台(ただし、稚内青年自然の家だかに泊まって、ほとんど合宿状態になる)だったと記憶している。
 教えられる人材が居ればの話だが、夏休みに5日ほど大学に缶詰にして、隔離されたネットワークで攻撃防御の模擬戦をやるのが、技術面では一番力がつきそうである。あとは、ソーシャルをしかけられたらどうするかといったシミュレーションをやる。低価格に抑えて、興味のある学生が個人で参加できるようにすれば、次を担う人材が育つのではないだろうか。

 UNIX Summer Schoolだって、企業向け価格の数十万円が設定されていたら私は受講できなかった。貧乏院生の時代に、時間だけはあるからJRの周遊券で稚内までたどり着いて、受講してまたのんびり帰ってきた。ちょうど学位論文のテーマ変更で揉めてた頃で、もう転職しようかと思って、人脈作り&情報収集を兼ねて参加した。その後、また研究に戻ったが、稚内で学んだことが職を得るまでの間食いつなぐノウハウの基礎となった。

白浜へ

Posted on 5月 25th, 2006 in 倉庫 by apj

 午前中の講義が終わってそのまま山形を飛び出し、羽田経由で白浜へ。白浜シンポジウムに参加のため。着いたら夕方で、初日の昼間のイベントは終了し、ナイトセッションからの参加になった。

出退勤記録

Posted on 5月 24th, 2006 in 倉庫 by apj

 裁量労働制になったので、出退勤時刻を学内のしかるべきウェブ経由で入力せよとのお達しがあった。
 フレックスな上に私が無精というのは致命的で、記録を付けようとしても三日坊主に終わることが目に見えている。かといって労務管理に従わないわけにはいかない。
 そこで、毎日の行動を再確認してみた。Mac OS Xで作業しているのだが、
・出勤してくる
・よほど講義時間が迫ったりしていない限り、まずEudoraを上げる
・一日いろいろ勤務
・帰る時にEudoraを終了し、メールのバックアップをポータブルHDDに記録
・ポータブルHDDを持って帰宅
・家のPowerBookにメールその他の変更ファイルをバックアップ
という流れである。
 オフィスは個室なので、Macにはログインしっぱなしであるから、login/logout時刻は指標にならない。最も勤務実態を反映しているのは、Eudoraの起動状況ということになる。
 いろいろネットを探し回って、LogApplicationUsageというツールを見つけた。こいつを起動項目に入れておけば、Finderからアプリを起動・終了させるたびに、アプリの名前と時刻をPreferenceの中のログファイルに書き込んでくれる。あとはEurdoraだけチェックすれば、出退勤時刻のチェックができることになる。
 まあ、研修や出張があったり、朝イチの会議や講義で昼までメールを見れない時は、逆にそのことを覚えている(し、Palmのスケジュールに記載がある)ので、後からでも記憶をたどっても何とかなるだろう。

#本当は入り口のカギにデータロガーを直結、パソコンでモニタ、日中にも鍵をかけて出掛けたりするので、そういうのはうまくプログラムではじいて、翌日には自動的にウェブサーバをつついて入力、なんてできると一番面倒がないのだが。そういうシステム、どこかに売ってませんかね?素直にホームセンターで自分専用のタイムカードの装置を買ってくることも考えたけど、数万円するし、ずぼらだから絶対カード入れ忘れるに来まってるし。

補習2回目

Posted on 5月 23rd, 2006 in 倉庫 by apj

 高校で数学IIIをやってない人向けの補習を5コマ目にやっている。今日が2回目で、終わった後学生さんと少し話をした。
 通っていた高校が進学校ではなかったので、理科は化学のみで物理も生物もやってない、数学III, Cもやってない。高2から理系文系の振り分けがあって、理系に行くと古文・漢文が全く履修できない。仕方がないからセンター試験対策で予備校に通って短期間でフォローして受験した、という話だった。
 そのくせ、高校の先生は「大学に受かれば後のことは知らない」「受験に出ないからやらなくていい」と履修内容を削りまくっている模様。

 ゆとりが最初におおっぴらに始まったのは丙午の私の代からなんだが(それまでになかった「ゆとりの時間」が導入されたりした)、それでも、高校でのコース分けは3年になってからで、古文だって文系より時間が少ないだけで3年でもやっていた。社会科は、政治経済、地理、世界史、日本史と全内容をやったし、理科は、物理化学は全部、生物地学も高校の内容の半分程度は終えた。数学も、全内容を終えた。公立の進学校だったので、数学については大学入試の問題をやる演習の時間まであった。
 まあ、使わない知識は忘れるから、今では、古文漢文は現役高校生より情けないことになってるし、生物や地学もダメダメだが、もう一回手を出そうと思ったときの敷居が相当低くなっていることは確かである。
 今は高校でやる内容が様変わりして、減らされまくっているので、自分が高校生の時のことを考えてカリキュラムを作ってもどうもにならない。人材しかいない資源のない日本でカリキュラムをがたがたにするなんて、文部科学省は一体何を考えているのか。

 受験だけ考えて履修内容を減らしたら、せっかく大学に入っても進級できずに留年、最悪では進路変更を余儀なくされたりして、学生が悲惨なことになるだけである。大学も大学で、教養部を解体したのなら、大学受験の方を全科目受験にして、全分野にわたるそこそこの知識の水準を確保しないとまずいのだが……。実際には、少子化で受験生を集めるために負担を減らす方向、つまり受験科目を減らす方向に向かっている。

 なお、この2週間は数IIIをやっていて、今週から行列とベクトルの話で数Cの範囲から始める。自分がやっていた受験勉強が今頃になって教えるのに役立つとは思わなかった。というか大学の教員になってから役立つとは思っていなかったよ……。

出会い系のspamにはコメカミに青筋が立ちそうな……

Posted on 5月 21st, 2006 in 倉庫 by apj

 相変わらず出会い系のspamが増える一方である。ろくでもないぼったくり商売なのは明らかだから関わる気はさらさらないし、万に一つ位まともな(ってどんなだ?)出会い系があったとしても、「誰かと出会うなどという手間暇のかかることなんか絶対にしたくない」から、まあ放置している。
 ただ、うっかり開くと脳天気な文面のオンパレードで、脱力することになる。昼間から暇をもてあましているので出会ってあんなことやこんなことをしたい、ってな設定のものを見た時には、さすがにネタだとわかっていても、ハリセンチョップ喰らいたいんかゴルァ!と思うこともしばしばである。いや、最近何かと忙しくて、その合間に仕事のメールの処理しなきゃ、とメールソフトを使うと、暇で暇でしょうがないという設定のメールが飛んできてるわけで「こっちは忙しいんじゃヴォケ!」と心の中でツッコミを入れている次第である。

ゴルゴ13

Posted on 5月 20th, 2006 in 倉庫 by apj

 講義ネタに使っていたというコメントがついたゴルゴ13のコミックスを買ってきた。Niimiさんの指摘通り、SPコミックス64巻で「2万5千年の荒野」が収録されている。内容は、整備不良のまま運転を始めた原子力発電所が、チェルノブイリをやらかす寸前までいったのを、発電所の技術者とゴルゴ13が食い止めるという話で、ゴルゴが圧力を逃がすための弁の部分を狙撃して穴を開けるという内容だった。
 プロの目から見て内容が許容範囲だということは、さいとう・プロがきちんと取材して資料を活用して製作したということなのだろう。

 さすがにこれくらいメジャーな作品になると、近くの普通の規模の書店にも在庫があるのだった。