【ご案内】中野耕一氏の原画展など【拡散希望】

 東北地方つながりということで、福島県でのイベントのお知らせです。
 第1回ふくしま「城」フェスタin 二本松 で、中野耕一氏の原画展&戦国武将イラストコンテストが開催されます。イラストの締め切りが今月末なので、これから描いて間に合わせるのは難しいかもしれませんが、中野氏の原画を見るチャンスです。歴史小説のファンの方なら、挿絵を見たことがあるのではないでしょうか。
 案内のポスターを載せておきます。クリックで拡大するはずです。

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 友人が絵を出している展覧会で中野氏を紹介されて、案内を手渡されたのでした^^;)。

例の「ドブス」騒動について引っかかっていることなど

 顛末はITmedia newsなど。

「ドブス」動画問題、首都大生2人を退学処分に 指導教員にも「厳正に対処」
首都大学東京の学生による「ドブス」動画問題で、同大学は撮影・公開に関与した4年生2人を退学処分に、音楽を提供した院生1人を停学処分とした。

2010年06月24日 18時11分 更新
 首都大学東京の学生が「ドブス写真集完成までの道程」と称して一般人を撮影した動画をネットで公開した問題で、同大学は6月24日、撮影に関わったシステムデザイン学部4年の男子学生2人を退学処分に、同研究科博士課程の男子大学院生1人を停学処分(1カ月)にした。学生に対し指導的な立場にあった教員に対しても関与の有無や指導方針を調べており、「今後厳正に対処する」という。

 問題の動画で、学生は「今日の日本においては、ドブスが絶滅の危機に瀕している」などと「ドブスを守る会」を称し、「ドブス写真集を作る」としてJR立川駅前(東京都立川市)で一般の女性を強引に撮影。女性の顔が分かる形でYouTubeに公開した。

 視聴者から批判が相次ぎ、学生は動画を削除。だが同大学にも抗議が殺到する“炎上”状態になり、同大学は「多大なご迷惑をかけ、深くおわびします」という原島文雄学長名の謝罪文をWebサイトに掲載していた(首都大学東京、学長名で謝罪 学生の「ドブス」動画問題)。

 学生は大学の調査に対し、「不道徳なものから生じるおかしみを追求することで、何かしらの表現ができると思った」と話しているという。

 同大学は、学生2人が「映像作品を完成するという名の下に、被写体となった方々に対し公然と人権侵害をした」「映像を作品として公開することにより、被写体となった方々の精神的苦痛を増大させた」、同大学の「社会的信用を失墜させた」として退学処分にした。

 大学院生は「不適切な内容の映像であると認識しながら、その映像に音楽を提供し、映像の作成に関与」し、その結果同大学の名誉を傷つけたが、積極的に関与したわけではないとして停学処分とした。

 原島学長は「映像は作成目的・意図を問わず社会通念に照らして倫理観、人権意識を著しく欠く極めて悪質なもの。映像を流された方々の人格を踏みにじる行為を行った上、多くの方々に不快な印象を与えた」と謝罪し、「他の学生の良好な学生生活を脅かすに至ったことは痛恨の極みであり、一刻も早く元の安寧な学修環境を取り戻せるよう全力で取り組む」としている。

 私が読んで気になったtogetterのまとめ。ynabe39さんの発言。

 起訴されて有罪になったわけでもないのに退学にしてしまうというのは、「逮捕や起訴,罰金や有罪判決などの客観的な基準に準拠しないといけ」ないところ、まずいのではないかという意見には全面的に同意。これは、手続きの安定性を欠くのが将来的に良くない結果を及ぼす懸念があるから。
 退学させられた学生が裁判で争ってきたら、これまでに確立している退学の基準に照らし合わせて裁判所の判断がなされた場合、大学が負ける可能性が高いのではないか。大学はアカウンタビリティと敗訴のリスクを秤にかけて、アカウンタビリティを重視したように見える。リスクを負う決断をするのは大学の自由だが、上策では無さそう。

 今後、客観的な基準がなくても退学させるという方法をとりたいのなら、入学前に提示する学則に基準を明記して、実際に実行し、何件か訴訟をやって、裁判例やら判例やらを積み重ねるしかないのかも。そこまでやることが前提だったとしても、何をやると退学になるかわからない学則では紛争のもとになるだけなので、何らかの客観的な基準を書いておくことが必要だろう。ただ、事実認定は裁判所の仕事で大学の仕事ではないので、実行可能かというと疑問。外の基準(起訴されて有罪とか)に頼った方が安定しそうではある。

 ynabe39さんがおっしゃる「停学だとその学生が反省し真人間になるまで大学や教員が面倒をみないと世間の批判を浴びます。大学の責任の取り方としては退学の方が無責任とも言えます」はわかるのだけど、今の大学に「真人間でなかった学生を真人間にする」能力があるかというと、一般には期待できないと思う。そんなノウハウは大学にはほとんどないし、昔なら多少はあったかもしれないそういった部分を潰す方向で運用がなされてきている。

 大学がとれる一般的な方法としては、カリキュラムを変えて倫理的な教育を徹底させるようにしました、といった対策でしかない。特定の個人を「真人間にする」と世間に対して請け負うのは無理だろう。教員の誰かを担当に指名して反省文書かせつつ面談もしました、といったことは実行可能だけど、これで学生が改心する保証はない。
 大学が負う責任と負い方にも一定の限度があるので、その範囲を超えて「大学に責任があります」と主張してしまったら、逆にそれは無責任な主張になってしまうから、すべきではない。
 大学がやるべきことは、例えば、ただの愚劣な権利侵害行為を芸術とカン違いする学生が出て来た理由について、教育内容のどこがまずかったかを検討するといったことであって、特定個人が更生するという結果を世間に対して約束することではない(刑務所だってそんなことは約束できていないのに大学に求められても不可能)。

 ここからは私もまだ混乱している部分。
 村社会的徒弟制度が機能していれば、倫理や道徳をたたき込むのは今よりは容易だったかもしれない。ただ、ハラスメントという弊害が出てしまったため、そちらを潰すために、村社会の論理を排除する方向で学内規則が整備されてきている。
 説得だけで倫理や道徳を教育できるとは限らない。昔であれば、法的手段以外の「圧力」を使うことができたのだけど、今では、法的手段以外に「圧力」を用いること=(法的根拠がないから)違法、とされてしまうために、とれる手段がかなり制限された状態にある。倫理や道徳を強制するために違法な手段をとると本末転倒なので。
 大学から、法的手段以外の方法を奪い去っていった結果が、「「学生重視学生優先」を目指してることになっている日本の大学で,学生への懲戒処分がどんどん日常的になり厳しくなっているという矛盾。これはけっして「学生の凶悪化」によるものではないよ。」(ynabe39)につながっているのではないかというのが私の問題意識である。「教育的配慮」の名のもとに曖昧にしていたり、現場で判断したりしていた部分が、権利義務関係に厳密に落とし込んだら違法になったり無効だったりする場合もあるわけで、そうなると「教育的配慮」は減らすしか無くなる。
 今回の件で、退学処分にしたから終わりというわけではないだろうという主張も理解はできるのだけど、私には、大学側が「そこまでの(=倫理や道徳を強制する)教育能力はウチには無い」と宣言しただけのようにも見える。
 一部分だけ法化社会的運営で残りは「教育」という曖昧なもので括っておくことは多分無理だろう。大学だと、成年を預かるのでなおさらである。
 結局、契約書を作って責任の範囲を定める以外に方法が無さそう。「教育的配慮」まで含めて契約書に書け、といった方向でないと、法化社会的運用は不可能じゃないか。もちろんその内容は公開で。それが教育機関の在り方として望ましいかというと異論もあるだろうけど、今更、大学だけ別扱いにはできないので、法化社会的運営に統一する以外の道も無さそう。
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iOS 4アップデートに強烈に時間がかかった理由

 手持ちのiPod touchをiOS 4にアップしようとしたら、バックアップが10時間経っても終わらず嵌った件。
 ネットで調べると、キャッシュを大量に作るアプリが原因の1つだと出ていた。小さなファイルで数が膨大だと時間がかかるということらしい。
 足引っ張る原因の1つはツイッタークライアントで、フォローの数が多いと、アイコンのキャッシュが大量に出来て時間がかかるとか。

 私の場合は、ツイッタークライアントではなくて、「Art」と、「HebrewBible」が原因だった。
 「Art」は、美術の資料集で、著名な画家の絵を見ることができる、美術の授業で使う資料集みたいなものである。こいつの絵は追加分を後からダウンロードできるのだけど、そのときに大量のキャッシュを作るらしい。
 「HebrewBible」は、ヘブライ語版の聖書。本文中からのリンクがいろいろあるんだけど、つついて出る説明とかが全部キャッシュになっているっぽい。暗誦付きのコーランはそれほどでもなかったし、各国語バージョンの聖書もさほどでもなさそう。

 怪しいアプリをいくつか削除して同期させ、それからアップデートし、復元が終わった後で再度インストールする、という手順で、バックアップは30分ちょっとで終わり、全体の所要時間は1時間半程度となった。
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出前授業@会津高校

 先週やった出前授業のまとめ。理学部に進学する場合のミスマッチを無くすための話。

○新しいものを見つけた時、理由を考えるのが理学部、それを利用して役立つものを作ろうとするのが工学部。大まかに言って何に興味を持つかという方向が違う。
○高校の授業内容は、指導要領で制限されて、他の科目の知識を使わないようにわざとに仕組まれている。しかし、自然は1つなので、大学では何でもありで、他分野の知識も動員して進む。高校の教科書という限定されたものだけを見て、得意科目に絞って勉強すると、大学での何でもあり状態に対応できなくて躓くもとになるので、できるだけいろんなことを勉強しておいてほしい。大学で伸びるのは、結局のところ、全科目まんべんなく勉強してきた人。
○大学の数学は、公理論的扱いをするので高校の数学とは違う。高校で数学が得意でも大学の数学に合わないことはある。あらかじめ大学の数学の教科書をいくつか見て、定義、定理、証明で話が進んでいくのを確認した方が良い。なじめそうにないと思ったら、数学以外に行った方が幸せ。
○高校の数学好きな人は大学では物理に、高校の物理好きな人は大学では化学に、高校の化学が好きな人は大学では生物に行くと合うかも。
○物理進学を考えてる人は、駿台受験シリーズの山本義隆の「新・物理入門」を読んでおくこと。この本のやり方についていけそうにないと思ったら、物理学科以外を選んだ方が無難かも。
○個人的な経験。生物系の研究は、個体差によるばらつきが気になって、私には合わなかった。一方、生物系(農学医学含む)で楽しそうにやってる人にいろいろ訊いたら、個体差があることが面白いとか、個体差があることが苦にならないと言っていた。個体差があることが楽しいなら広い意味での生物系、個体差が無い方が良いが個別の物質に興味があるなら化学系、物質も離れて現象に興味がある人は物理系に合う、ということかもしれない。理学か工学かという分類とは別の適性があるのかも。
○東大に行っても山形大に行っても、学部で勉強する内容はほとんど同じ。理学部の場合は分野ごとに定番の教科書がいくつかあって、そのどれかをやる。定番の教科書が翻訳本だったりすることも多く、世界規模で大体同じことを勉強していることになる。
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近況など

 twitterでは呟いてましたが、今週は、火、水、木と、香川大学に出張していた。
 香川大で、TDRの測定装置とパソコンをつないでデータを取り込めるようにし、ディファレンス法の計算をやって誘電スペクトルまで出せるような環境を作って、測定のデモをやる、という作業。
 私の手持ちの計算プログラムがMac用(しかもOS9で動作)なので、OS Xのclassic環境を用意するしか無いのだけど、既に購入されていたNI社のGPIBインターフェースがUSB-GPIBで、こいつのデバイスドライバはOS X用のみでOS9用が無かったために一手間以上かかることに。

 GPIB-ENET(あるいはENET/100)なら、OS9もOS Xもドライバがあってどちらでも動いたのに(つまり現状のソフトでも動いて、そのうち Carbon対応したらそっちでもOKになったはず)、なぜかNIの営業はUSB-GPIBを薦めたそうな。香川の先生が「OS9で動きますか。GPIB-ENETならOS9のドライバもあるようですが」などと訊いたところ、「動きます」と答えた上に「遠隔地の制御をするのでなければGPIB-ENETの必要は無い」と言ってUSB-GPIBを買わせておいて、いざ届いてみたら「ドライバは付属のCD-ROMのもの(OS X)しかありません」ということだったそうだ。
 こんな営業をしたNIの担当のヤツちょっと来い……(怒)。

 で、まあ、NI社のえー加減な営業のせいで、classic環境でそのままデータを持ってこれるはずができなくて、Igor Pro(OS Xで動作)のスクリプトを書いて、Igor Proから測定器のデータを読み出してファイルに保存できるようにし、それをclassic版の計算プログラムで読み込んだら、スペクトルの計算までできるようにしてきた。

 おかげで、行った初日は夕食を食べ損ねた上にホテルに入ったら日が変わってるし、その次の日も昼食どころではなく、名物のはずのうどんにありついたのは、撤収の時に駅ビルの食堂で何とか1杯だけだったという有様……。食い物の恨みは怖いって知ってるよな>NI(笑)。

 まあ、最初、装置側のインターフェースも不具合があって、OS X付属のInteractive Controlで叩いても動かんということがあったりしたわけだが……。何故かdegauss押して本体のメイン電源再投入で治ったという、それはそれで不安要素が残る状態だが、そっちはアジレントにメンテナンスを頼んでもらうしかない。
 計測用のMacはOSの再インストールを2回もする羽目になるし、その他にもいろいろ、まあ大体現場で出そうなトラブルには一通りぶつかったという感じ。

 今日山形に戻ったのだが、明日、午後の講義が終わったら、会津に移動して一泊、土曜日は会津高校で、高校と大学連携のための授業を2時間分こなす予定。

 何だかわからないけど走り回ってる。こんな状況なので、今年のトンデモ本大賞(土曜日に開催)には参加不可能となった。まあ、高校からの依頼仕事優先なのは当然だし。
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敢えて乱暴に

 学生からのコメントを整理していたのだけど。

 「健康にいい」「ダイエット」を謳う製品全てを無条件に却下することにしても、実は、健康には何ら影響が無いのではないか、ということを考えた。
 何せ、平均寿命が80歳の国ですよ、日本は。

 ちょっと調べる必要があるのだけど、体をこわさない基本って、
(1)バランスのとれた食事を適度に食べる
(2)適度に運動する
(3)睡眠不足にならないこと
(4)そこそこ清潔にする (※コメントで指摘しただいたので追記しました)
くらいだろう。既に病気の人は医師の指示に従うとする(食餌療法や服薬など)。
 これらについてのまともで正しい知識をどこで学ぶかというと、(1)は家庭科、(2)(3)は保健体育(たぶん)。どっちも義務教育。(4)は、家庭科の住居関連のあたりで言及されそうで、そもそも体に良い何チャラ製品群とは関係がない(掃除のためのアイデア商品、といったものには関係するかも)。
 (2)(3)を補える商品は今のところ存在しない。運動用の器具を買ったって体を自分で動かさない限り効果はないし、寝具は選ぶと快適かもしれないがそれも人によるので一律にこれ、ともいえない。(2)(3)を補助するまともな商品なら一律に「健康にいい」「ダイエット」ということにはならないだろう。この器具でこれだけの運動をこれだけ継続すると消費かロリーが○○、といった表示になる。
 (1)は、「足りないものを補う」ものを摂取するなら意味はあるが、何が足りないかは人によるので違うので、一律に「これを飲んだら健康にいい」式の宣伝にはならない。
 ダイエットの方は、カロリー制限と運動以外の解はない。「○○ダイエット」で生き残ったものは何一つない。

 義務教育の知識をきちんと身に付けていれば、「健康にいい○○」「××ダイエット」の情報を全て遮断し商品を却下しても健康に生活できる、ということになってるんじゃないの。

 学生から、知識が足りなくてもインチキに引っかからない方法はないか、と聞かれたので、疑似科学広告の4条件(権威のお墨付き、マスコミ、嘘導入実績、特許)に当てはまる宣伝をしている商品は内容ジャンルを問わず却下、と答えたあと、「健康にいい」「ダイエット」を捨てるだけで、かなりの数のインチキを却下できそうだと思ったわけで。
 数が多いので、却下する条件に当てはまるものをまず全部捨てて、残ったものについてじっくり検討、でもよさそうな気が。膨大なクズの山からひょっとしたら混じっているかもかもしれない本物を捜し出す努力をする意味なんか、普通は無いんじゃないの。それが趣味なら止めないけど。

 これで落とせないのは、燃費向上グッズとかかな。「エネルギー系製品の却下基準」も作ってもいいのかも。
 金融系はまた別扱いだよなぁ。解約や清算の時期を選べない(あるいは清算しようとするとバカ高い違約金を支払わせるような種類の)商品には手を出すな、とかいろいろ。
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地味なことをしてました

 最近忙しくてblogの更新も滞っていて、ニセ科学関連の議論も一段落したので更新のペースが落ちている。

 そのかわり、年明けから、ちょっと地味なやり方でニセ科学対策に貢献を試みていた。2件の、他人の間の民事訴訟で、怪しい活水器を売りつけられた被害者側の代理人弁護士に頼まれて、「宣伝がインチキですが何か?」という内容の意見書を書いて提出した。
 事件の筋やら弁論の方法やらで訴訟の行方は左右されるので、結果としてどこまで貢献できることになるかまだ結論は出せない。少なくとも裁判所が採り上げて、被害者救済に役立ってくれれば、専門家による実効性のある対策の在り方の1つになっていくのではないかと思う。
 また、大学に居ると何らかの形での社会貢献を求められるので、意見書を出して被害者救済に役立つ、という貢献も有りだろう。今回の意見書製作はボランティアである。

 ウェブでのニセ科学についての議論は、事前に情報を広めて被害に遭う人を減らすことが狙いであり、それなりに派手だし、専門家でない人でも参加できる。一方、個別の訴訟への対応は、事後の救済であり、専門家としての意見を求められることになって、活動としては地味なものになる。守秘義務があるから代理人が出せる情報も限られているし、私の方も、裁判所に意見書が提出されてしまうまでは、あまり言及できない(ので、今頃書いている)。

 商材の説明のニセ科学性を、民事訴訟の争いの流れに、必ずしもうまく入れられるわけではない。例えば、特商法が適用される場合だと、ニセ科学の議論を持ち出すまでもなく、条文が直接想定している交付書類の不備等によって契約解除&返金に持って行く方が楽な場合もあったりするからである。それでも、ニセ科学に基づいて商売をしたことの立証が被害者救済に役立った、という裁判例を積み重ねることは必要だろう。

 この際のポイントとして、事業者側に「不勉強でした」という言い訳を許さないでほしい、ということを、意見書と同時に弁護士に伝えた。ニセ科学言説が出回るのは仕方がないし、ニセをニセと見抜けと消費者に要求するのは、ハードルが高すぎて、却って事後の救済を妨げる結果になりかねない。一方、事業者は、消費者よりも正しい情報を持っているのが当然であり、「他の業者もみんなが言ってました」程度の知識で他人に物を売ってもらっては困るのである。日本でありふれた生活をしていれば、誰であっても、よく知らない分野の商品を買う消費者になることは普通に起きる。しかし、事業者になって製品やサービスを提供するのは、自分からそうしようと思わない限り、その立場にはならないからである。製品やサービスへの信頼を維持するには、事業者に対して、ニセ科学言説を鵜呑みにして商売すると、過失であってもそれなりに重い責任を問われる、という状態にもっていくしか無いだろう。幸いにして、民事の不法行為責任は、故意でも過失でも問うことができる。

 ここまで書いてふと思ったのだけど、所謂「ニセ科学批判批判」の言論って、事後の救済においても、つくづく何の役にも立たない。「ニセ科学批判批判」を標榜していた人達が、事業者側について意見書を出して来たとしたらどういう展開になるか、と考えてみたら、役立たずっぷりが、より一層はっきりした。
 たかぎFさんの、「ニセ科学批判」批判FAQに沿って答えてみる。
●「そんなものに関わるより科学者としての本業に専念しろ」
 専門家として意見書を出すのは本業の一つ。事前の情報提供でニセに気付いた人が被害に遭わず、結果として紛争を回避できるかもしれないが、その情報提供の方は本業ではない、とされるのは理解できない。
●「○○なんて俺はすぐニセだと解ったよ.そんなの信じるヤツいないよ」
 現実に信じた人が居て、後から気付いて法的紛争に突入している。
●「たいしたことない」「そんなに目くじら立てなくても」
 弁護士費用を払っても賠償させたいと原告が思う程度には「たいしたこと」になっている。ウェブで議論してるだけの人の目くじらの立て具合は、現実に原告をやってる人の目くじらの立て具合に比べたら、比較にならないほど小さい。
●「誰が何を信じようといいじゃないか,自己責任だ」
 話を聞いた時は確かに信じたが、嘘を教えられていたと後で分かった場合、自己責任だから救済は不要、という論理をこの社会は採用していないし、裁判所もそんなふうには考えていない。この場合に「自己責任」を持ち出すのであれば、「自己責任なので事後の救済は不要」というところまで導き出さない限り、言説は無意味だろう。事後の救済が必要なケースが現実に存在するのであれば、事前に注意喚起することにも意味があるということになるからである。
●もっと他に大事なことがある
 しかし目の前の紛争において被害者の救済をすることは大事だ。情報提供によって被害が発生せず、紛争を防げるのなら、それもやっぱり大事なことだ。
●「批判はすべきだが、連中のやりかたはおかしい。自分ならもっとうまくやれると思うが、やる気はない」
 役立たず。
●「俺の脳内信者はそんな説明じゃ説得されない」
 相手を論破する必要も納得させる必要もない。裁判官を説得すればそれで足りる。
●「『信奉者を説得するつもりはない』なんて冷たいんじゃないの?」
 信奉者は騙されっぱなしで主観的には幸せだから、訴えたりしない。ただし、信奉者が、他人に対して被害を与えた場合は、本気で信じ込んでいたとしても、良いことだと思ってやっていたとしても、責任は問われる。
●「ケンカをやめて or 弱い者いじめはよくない」
 訴訟の最中ですがそれが何か?あと、消費者を騙した側は、消費者との力関係においては「強い者」だろう。
●「科学もニセ科学も似たようなもの」「○○がニセ科学かどうかなんてどうでもいい」
 それで金をだまし取らるなど、被害を受けた側の立場は?
●「現代科学では解明されていないことも沢山ある」
 そう思うのなら、解明されている範囲だけ使って商売してくれ。解明されていない部分で嘘をついたり、いいかげんなことを言って商売することは正当化されない。
●「科学は唯一絶対の真理などではない」「何故科学だけが偉そうに他の立場を批判できるのか」
 根拠もないのにインチキを言って商売すれば、批判されて当たり前。というか、批判で済むならましな方で、損害賠償を請求される展開になるのがむしろ普通。
●「科学的な間違いを指摘するだけで済むと思っているのだろう」「科学者は科学だけが正しさの根拠だと思っている」
 意見書では、科学的な間違いに絞って指摘することになる。その他の部分を指摘し立証するのは弁護士の仕事である。

 水関係だけではなく、ホメオパシー(例えば医療ネグレクトにつながった場合)や血液型性格診断(例えば、昇進や配属の差別の原因になった場合)などでも、現実の損害を発生させた場合は、同じ考え方を適用することになる。
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どう突っ込んだらいいかわからない……

 asahi.comのニュースより。

専用機に自分だけ脱出装置 グルジア大統領、国費6億円

2010年6月1日11時31分

 【モスクワ=副島英樹】グルジアのサアカシュビリ大統領が、自分の専用機に緊急脱出装置を約700万ドル(約6億3千万円)かけて設置したのは国家予算の浪費だとして、野党勢力が非難している。

 脱出装置は1人用。インタファクス通信によると、4月にポーランド大統領ら96人が乗った政府専用機がロシア西部カチンの近くで墜落し、全員が死亡した事故をきっかけに導入を決めた。

 ロシア紙コムソモリスカヤ・プラウダは「最も勇敢な大統領が臆面(おくめん)もなくおびえて再び国民を驚かせた」などと皮肉った。同紙によると、既存の機体に脱出用の穴を開ける改修をすれば、かえって墜落の危険度は増す、と指摘する航空専門家もいるという。

 グルジア野党勢力は、大統領はかつて、民間機しか使わないと言っていたのに、約5600万ドル(約50億円)で専用機を購入したとも指摘。「経済危機を口にしながら、自らの快適と安全のために散財している」と批判を強めている。

 自分だけ脱出装置って……。一体何のアニメの悪役だよ、とツッコミ。日本だと、やばくなると部下を見捨てて自分だけドロンするって、悪役側の「お約束」だったような……。
 リアルで実行するヤツが出てくるとは思わなかったわ(笑)。
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