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高校と大学はずれるからなぁ……

Posted on 9月 14th, 2005 in 倉庫 by apj

 ウチの学科の新入生向けに、化学で必用な数学と物理を教えようという話になって、こんな内容でどうかと案を出した。
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1.指数関数、対数関数、三角関数。記号の説明と意味。
  オイラーの式を、複素平面付きで紹介
2.微分の公式。初等関数について。合成関数、積、商の微分公式
  偏微分の記号の紹介
3.積分 定積分と不定積分について
4.微分方程式
  1次反応の速度論、ランベルト・ベール則を例にする。
  記号の説明。解法。
  もし可能なら、1階線形、2階線形で、化学や生物を例にしたものも。
5.ベクトルと行列
  ベクトルの内積、外積。
  2次元、3次元の行列とベクトルの計算
  逆行列の求め方。
  直交座標と極座標。2次元と3次元
6.中間テスト
7.力学
  運動方程式、振動、円運動まで。速度、加速度の導入。
  ポテンシャルと運動エネルギー。
  重力、電気的な力を両方入れるが、電気的な力に重点をおくこと
  換算質量が必要な理由と使い方
  誘電率とは?透磁率とは?(定義)
  波動方程式の解。
8.前期量子論など
  モーメント、回転運動(対称コマ分子の回転のモデルとして)
  光電効果、ボーア模型。
9.期末テスト
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 一番の問題は、高校化学のイメージで、物理や数学はやらなくてもいいと思いこんでる学生が入ってくるというところ。ところが、大学の化学の基本的な部分はむしろ高校物理につながっているので、最初から物理や数学を捨てた人はどうやってもついていけないということになる。大体、量子化学と化学熱力学が基礎にあるし、速度論になると微分方程式必須である。
 高校の先生に頼みたいのだが、高校数学が得意なら大学は物理学科へ行け、高校物理が出来る人は大学で化学に行くと幸せになれる、高校化学ができる人は大学の生物系に行くとうまくはまる、という指導をしてもらえないものだろうか。