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アウトライン機能のあるワープロについて

Posted on 7月 26th, 2008 in 倉庫 by apj

 TeXファイル入力に使える、アウトライン機能を持ったワープロについてまとめる。

 イチ押しはMellel。自動タイトルをどんな形にでも設定できて非常に便利かつ強力である。ワープロとしての機能も十分なので、TeX無しの普段の作業にも使える。TeX入力をするときは、自動タイトルを名前のみ入れ、わかりやすくするためにフォントの色や形を変えるだけの設定にしておく。自動タイトルの最初は%で始まる名前(%texの設定、とか)とつけ、その章には\documentclassから\begin{document}のあたりまでの定型の内容を書き込んでおく。その次からの章立てが実際の内容で、タイトルに\chapter{}、\section{}などと入れて、適宜名前も入れる。アウトラインを見ながら、該当する章や節をクリックすると、文書上でその場所に飛ぶ。章立ての最後の章は\end{document}だけを書いたものにする。その前にbibliographyなどが必要なら、別の章として作り、この場合も章の名前はコメントになるように%で始めるなどしておく。全部書き終えたら、プレーンテキストで書き出すと、UTF-8のファイルができるので、これをコンパイルする。
 章は自由に定義できるし、図や表のセクションを別に作ることもできる。もちろん、pdfや画像を貼り付けておいて見ることもできるので、必要な資料をまとめることも可能である。ただ、データベースではないので(当然)、資料スクラップを本格的にやるなら、先日紹介したCircus PointのNotebookか、Devonthinkを使う方が便利である。

 ちょっと特殊用途だが、StoryMillというエディタが、TeXソース吐き出し目的ではそれなりに使える。特殊用途だというのは、小説やシナリオ書きに特化しているということ。TeXで、\sectionとして管理すべき内容が全部Sceneという使い方をすることになる。他に、人物やら場所やらの詳細を書いておけるようになっているが、一般の文書作成ではとりあえず無視。左側の一覧のトップがChaptersなので、その中に新しくchapterを追加し、%で始まる名前を付け、中に、\documentclassから\begin{document}までを書いておく。もう1つchapterを追加し、\end{document}のみを書くところは、Mellelの時と同じ。本文のために、適宜chapterを追加し、\chapter{}と名前を付ける。文書形式がbookではなくarticleの場合は、名前のかわりに%を入れても良いし、\section{}と名前を振っても良いだろう。chapterの中には直接文章を打ち込めるので、TeXソースを入れてもよい。小説用のSceneを流用するには、Scenesをクリックして新しいSceneを追加し、適当に名前を付けた後、sceneのtextに(注意:noteではない方を選んでおく)、\section{}と書いて、TeXソースを入力する。scene編集画面の右の方に、chapters:とあるので、含ませたい章を選んでおく。sceneごとの並べ替えはできるが、Mellelのように、自動タイトルの段を変更したり、下の段で並べ替えたりということはできない。並べ替えを考えるなら、一番内側の段(subsubsectionあたり?)を単位として、sceneに入れるしかない。入力が終わると、FileメニューからExportを選ぶ。Exportスタイルはいろいろ定義できるので、TeX用のエクスポートとして、

$chapters_view$
%name%
%aggregateText%

という内容を作って保存しておく。これを選んで、exportウィンドウの下のメニューから、plain text exporterを選んで、テキストファイルとして保存すると、コンパイル可能なtexファイルになる。
 Researchという項目があって、そこに資料の画像やpdfファイルを一緒に入れておけるので、作業には便利である。しかし、もともと小説やシナリオ以外の目的に使うことは想定されていないので、本文中に画像を張り込んだり箇条書きをしたりといったことはできるが、表は作れないし、こみ入ったレイアウトもできない。

 もう少し汎用のワープロに近いのが、Scrivener。こちらは、カードに内容を書いて並べ替えるという作業のメタファーで文章製作作業をする。普通に開くとトップがカードデッキなので、その直下に、まず%で始まる名前を付けたカードを作って、\documentclassから\begin{document}までを記載し、別のカードに%で始まる名前を付けて\end{document}を書いておく。Documentメニューからnew folderを選ぶと、左側のメニューにフォルダができる。これに、\chapter{}のような名前を付ける。folderには複数のカードを追加できるので、適宜追加し、カードの名前を\section{}などとしておく。このソフトは、カードに別のカードを含ませることができるから、階層構造を簡単に作れる。その場合、カードの名前は適宜\subsection{}などとしておく。それぞれのカードに内容を入力したら、ファイルメニューからcompileを選ぶ。Contentタブでは、include allをクリックし全てのカードやフォルダを選択し、Pg Break beforeやKeep Formatはチェックしない。Contentは、Marked for inclusionを選び、Document Elementでは、TitlesとTextを全てチェックし、それ以外を外す。Text Optionsタブでは、Single Newlineを選び、Manusucriptでは、Disable auto-numberingのみをチェックする。他の項目はチェックせず、ヘッダやフッタは、No header/footer を選んでおく。Foemattingタブは、plain textでは関係がなさそうだが、一応、Do not indent titlesにチェックを入れておく。Export FormatでPlain Textを選んでExportをクリックすると、コンパイル可能なtexファイルができる。MultiMarkDown->LaTeXというのもあるが、最初からTeXソースで入力するとあまりうまくいかないようである。凝ったパッケージを使わないのなら使えるかもしれないが……。
 こちらも、Researchという項目があり、資料をまとめて入れておけるようになっている。