Feed

血液型の不一致

Posted on 8月 29th, 2008 in 倉庫 by apj

 「血液型性格診断」は、科学的根拠が無いと散々指摘されているにも関わらず、根強く信じられている。
 さて、離婚理由に「性格の不一致」というのが、まあ定番としてあるわけだけど、血液型性格診断がこれだけ根強く広まっているのなら、「血液型の不一致」という離婚理由が出てきてもよさそうなものだが、さすがに見たことが無いなぁ、と……^^;)。
 夫婦双方が血液型性格診断を固く信じていて、裁判所で「絶対うまくいくわけがない。理由は、私が○型で妻が×型だからである。実際こんなことが……(延々)」「○型と×型がうまくいかないのは自明。結婚前に間違った血液型を言ったアンタが悪い」とか延々やって、慰謝料いくらにするかで揉めまくったらどうなるんだろう?「血液型の不一致」って、判決の理由あたりに書かれるのだろうか。


ここからは旧ブログのコメントです。


by TAKESAN at 2008-08-43 10:28:43
あり得そうで怖い…

今晩は。

先日kikulogで紹介されていたやつですが⇒http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1118697761

この質問者さんがマジだとすると、

結婚したはいいが性格が合わない。そうだ、やっぱり血液型の相性が悪いんだから、結局無理なんだ。性格が合う訳無いじゃないか。

なんて考えも持ったりしそうです。


by apj at 2008-08-51 11:24:51
争いが無い事実は判断の根拠になるからなぁ……

TAKESANさん、
 民事の場合は、当事者が争っていない事実は裁判所が判断の前提にしちゃいますから、争い方によっては「血液型が合わないからウマが合わないので別れる」ってな内容が判決に載りかねないです。


by pooh at 2008-08-58 18:50:58
離婚理由にするぐらい信を置いているのなら

結婚前にしつこく確かめるんじゃないですかね?

婚約献血とか結納献血とかしたりして[:あかんべー:]


by なる at 2008-08-37 08:32:37
Re:血液型の不一致

昔そんな映画がありましたね。


by apj at 2008-08-49 08:43:49
どの映画でしょう?

 最近だと似たようなネタが「やまもとひろし物語」(トンデモ本大賞の会場で上映)に出ていたような……。


by complex_cat at 2008-09-48 02:14:48
人間の測りまちがい

この話,大部分の人は,信じる方も信じない方も,基本的に軽く考えるし,飲み屋の話題程度でしょうし,それで良いと思っていたのです。しかし,最近は,何か違うような。韓国での2004年の韓国映画などによる狂的なB型排斥がブームになったのが芸能人通じて流れたのかよく分かりませんが。
 S.J.グールドの著作にある「黒人は大脳組織を見聞するに,頭が悪い」「女性は,創造的な仕事が出来ない」など,膨大なエネルギーを費やして,差別的学説を証明しようとしてきた疑似科学の黒歴史同様,既に十分に人種差別,性差別の闇に通じるレベルで信じ込んでいる人たちがいることに戦慄します。公的な場で発言する田渕氏とか。どうも揺り返しが来ているような。TV,マスコミ的には,視聴者が関心を持ってくれるテーマが出来れば,それで視聴率を多少は担保できるコンテンツを作れるので,トンデモでもなんでも良いというのがあるのではないかと感じております。
 差別と区別は違うというレベルでの擁護もあるようですが,そもそも区別が出来るという話のレベル自体がトンデモなのですが。


by ROMですが at 2008-09-51 16:09:51
Re:血液型の不一致

すみません、通りすがりですが、
>民事の場合は、当事者が争っていない事実は裁判所が判断の前提にしちゃいます
いや、この場合は、判断の根拠とするために必要な事実は「婚姻の継続を困難にするほど両者に性格の不一致がある」ということで、その点について当事者が争っていなければ裁判所の判断の前提とされるということでしょう。他方、その理由は「判断の前提」ではないと思います。ただ、そのような性格の不一致が生じた説明として、「両者とも血液型占いを信奉し」と書かれることはあるかもしれませんが、それは、両当事者の主観的信条を説明したに過ぎず、裁判所が血液型占いの信憑性についていかなる判断を下したわけでも、判断の前提にしたわけでもないでしょう。


by apj at 2008-09-29 18:51:29
読んで笑える判決になりそう、って話です

ROMですが、さん、

>裁判所が血液型占いの信憑性についていかなる判断を下したわけでも、判断の前提にしたわけでもないでしょう。

 そんなことは当たり前で、読んで笑えるあるいは脱力する判決が出てくるかもしれないというネタ話なんですが。

 以前、磁気活水器で養殖ヒラメが全滅して損害賠償請求騒動になった事件の判決の中で「前提となる事実」のところに「磁場に水道水を通過させることによって,水の物性を変化させて活性化した磁気水を造る装置である磁気活水器」と書かれたことがあります。双方がそう信じて主張し争わなかったから、科学的には根拠が無いし証明されたわけでもないことが書かれることになったわけで、これと同じようなことが血液型性格診断でも起きても不思議は無いだろうという話です。
 双方がニセ科学を信じていて争った場合、判決文の中にまでそういう記述が登場しかねないなぁ、と。


by apj at 2008-09-38 18:59:38
読んで笑える判決になりそう、って話です

ROMですが、さん、

>裁判所が血液型占いの信憑性についていかなる判断を下したわけでも、判断の前提にしたわけでもないでしょう。

 信憑性についての判断でないことは当たり前で、読んで笑えるあるいは脱力する判決が出てくるかもしれないというネタ話です。判断の前提になる事実に書かれる可能性はありますが。

 以前、磁気活水器で養殖ヒラメが全滅して損害賠償請求騒動になった事件の判決の中で「前提となる事実」のところに「磁場に水道水を通過させることによって,水の物性を変化させて活性化した磁気水を造る装置である磁気活水器」と書かれたことがあります。
 双方がそう主張し争わなかったから、科学的には根拠が無いし証明されたわけでもないことが書かれることになったわけで、これと同じようなことが血液型性格診断でも起きても不思議は無いだろうという話です。この場合は、磁気活水器のせいでヒラメが全滅したといって争ってるので、活水器が水を変化させることを前提にしないと原告は主張できないし、被告だって「実は変化するって説明は嘘でした」などと言うと今度は詐欺で訴えられかねないので、そう言い張るしか無かったのでしょうけれど。

 双方がニセ科学を信じていて争った場合、争い方によっては、判決文の中にまでニセ科学な記述が登場しかねないなぁ、ってことです。


by ROMですが at 2008-09-34 08:50:34
Re:血液型の不一致

>「磁場に水道水を通過させることによって,水の物性を変化させて
>活性化した磁気水を造る装置である磁気活水器」
>双方がニセ科学を信じていて争った場合、争い方によっては、判決
>文の中にまでニセ科学な記述が登場しかねないなぁ、ってことです。

なるほど、本来裁判官としては、それが両当事者の主観であることを意識した表現をしなければならないのでしょうが、そういった注意をいきとどかせるのにも限界があるということなのでしょうね。争いになっていないだけにそれについて改めて調べようとはしないでしょうから、ニセ科学だときづいていないと、うっかり書いてしまいそうですね。で、それを「裁判所も認めた!」と言いふらす輩もでてくる...ということなのでしょうか。


by apj at 2008-09-49 09:36:49
講演で使う時には指摘しています

ROMですが、さん

>本来裁判官としては、それが両当事者の主観であることを意識した表現をしなければならないのでしょうが、

 むしろ、民事の判決の中に書かれた「前提となる事実」≠客観的らあるいは科学的真実、であるという読み方を、読む側が注意してすべきなのではないでしょうか。

>で、それを「裁判所も認めた!」と言いふらす輩もでてくる...ということなのでしょうか。

 そうです。最初に裁判所も認めた云々、という内容が掲示板に書き込まれたので「民事裁判では当事者が争わなかった事実が判断の前提事実になるので、裁判所が磁気活水器の効果を認めたわけでも何でもなく、単に原告と被告双方が磁気活水器は水を変えると信じていただけのこと」といった内容を書いて説明しました。

 こういうものを見ていたので、血液型でも似たようなことが起きるかも知れないなあ、なんて思った次第です。


by ROMですが at 2008-09-36 15:52:36
わら人形

>むしろ、民事の判決の中に書かれた「前提となる事実」≠客
>観的らあるいは科学的真実、であるという読み方を、読む側
>が注意してすべきなのではないでしょうか。
確かにそうですね。
他方で、
(1)AがBに恨みを抱き、丑の刻参りをする(2)たまたまBが死亡しなくなった後に丑の刻参りの事実を知ったBの遺族((Bも丑の刻参りの事実を最後まで知らなかった)も、呪殺を信じ、Aに対して損害賠償請求訴訟を提起する(3)Aも呪殺を行った「事実」を認め、しかしその正当性(正当防衛とか)を主張する
とかいった事例を想定すれば、裁判所は両当事者が認めた呪殺の事実を前提にすべきではないし、そもそも損害賠償請求自体も認めてはいけないだろうと思います。どのあたりに境界線があるのか難しいところです。


by ごんべえ at 2008-09-23 17:07:23
Re:血液型の不一致

民事では認めるべきなんじゃないかなあ?丑の刻参り殺人による損害賠償。そこに争いが無い場合は。


by ROMですが at 2008-09-41 06:19:41
血液型の不一致

>民事では認めるべきなんじゃないかなあ?
民訴の本で調べてみたら、「経験則」や「公知の事実」に反する自白(民訴では、自分に不利な法律効果をもたらす事実を訴訟の場で認めること、くらいの意味のようです)は認めないのが多数説ですが、後者については認めるという見解もあるようですね。