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親権停止が認められた例

Posted on 3月 15th, 2009 in 倉庫 by apj

 47ニュースの記事より。

即日審判で父母の親権停止 家裁、息子への治療拒否で

 東日本で2008年夏、消化管内の大量出血で重体となった1歳男児への輸血を拒んだ両親について、親権を一時的に停止するよう求めた児童相談所(児相)の保全処分請求を家庭裁判所がわずか半日で認め、男児が救命されていたことが14日、分かった。

 子供の治療には通常、親の同意が必要で、主治医は緊急輸血が必要だと両親を再三説得したが「宗教上の理由」として拒否された。病院から通報を受けた児相は、児童虐待の一種である「医療ネグレクト」と判断した。

 医療ネグレクトに対しては過去に1週間程度で親権停止が認められた例があるが、即日審判は異例のスピード。児相と病院、家裁が連携して法的手続きを進め、一刻を争う治療につなげたケースとして注目される。

 関係者によると、当時1歳だった男児は吐き気などを訴えてショック状態となり、何らかの原因による消化管からの大量出血と診断された。

 病院は「生命の危険がある」と児相に通告。児相はすぐに必要書類をそろえて翌日昼、両親の親権喪失宣告を申し立てるとともに、それまでの緊急措置として親権者の職務執行停止(親権停止)の保全処分を求めた。

 こうした輸血拒否への対応については日本小児科学会など関連学会が08年2月、合同で指針をまとめており、今回のケースでも病院側はこの指針に従って対応した。

2009/03/15 02:07 【共同通信】

 誰が考えても、1歳の男児が宗教的理由による輸血拒否を本人の意思で認めるということはあり得ないわけで。
 放っておけば命に関わり、親が刑法218条、219条あたりの、保護責任者遺棄等・遺棄等致死傷に引っ掛かりそうなケースである。ここまで来ると、さくっと親権停止が認められるというのが、今の裁判所の基準と考えて良いのだろう。


ここからは旧ブログのコメントです。


by 酔うぞ at 2009-03-29 02:25:29
さくっととはなかなからしいです

わたしも取り上げましたが「連携して半日で決定、治療に」というのがニュースなのですね。

逆に言えば、緊急事態でも手続論をやっていたのが、以前の状態だったから報告があったのでしょう。

では、これが「大出血 → 緊急輸血」ではないが問題確実という場合はどうか?と考えると、医療上の非科学と親権の争いはどう決着するの分からないわけです。

その一方で、親に常に医師並みの判断力を求めるのも無理だから、医学知識の不足で子供を死に至らしめた場合に常に刑事責任を追及するべきか?と考えると、さすがに「ものには程度があるだろう」というところに落ち着くでしょう。

灰色の部分は判断が難しいというところは変わらないですね


by mimon at 2009-03-01 03:56:01
戸籍に傷が

東京新聞のほうに、解説が少し載っていますが、
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2009031502000051.html
> だが、一時的でも親権停止すれば戸籍に記載され、親子関係を壊しかねないなどの懸念があり、児相の現場は慎重にならざるを得ない。請求に至るのはまれだ。
この子は、長じて、自分の戸籍を見ることになったら、不思議に思うでしょうね。もちろん、人命が最優先なのですから、今回の処置にいたったのでしょうけれども、法の整備も必要ですね。


by nomad at 2009-03-56 05:09:56
Re:親権停止が認められた例

> 戸籍に傷
むう。
「戸籍に傷」というのをどのように受け取るかによるでしょうねえ
むしろ宗教上の信念への不全感の方が大きいかもしれず

何をもって利益とみなすか、不利益と感じるか、あるいは「手続き上の問題」と思うかは人によっての価値観によるんでしょうねえ


by 緋漫 at 2009-03-34 06:48:34
Re:親権停止が認められた例

エホバの件は頭の痛い問題です
最高裁で負けてから医療機関はいかに自院を守るかの方に
視点をあてて対応ししてます

これも最高裁まで訴えてひっくり返ったらどうなるのでしょう?
中学生で輸血を受けた子がどうなったかは全然わかってませんがどうなったのか。8もうかなりの年齢のはず。。。)
助かったことを後悔しているのかなどきいてみたいと思います


by いいじま at 2009-03-33 05:14:33
戸籍はなんとかなるかも

戸籍は、他の市町村に本籍を移せば現在有効な内容のみが転記されます。
例えば、結婚などで除籍された子供は新しい戸籍には載りませんし、あるいは離婚歴がある人も最初から結婚しなかったかのように取り扱われます。
どうしても必要な場合はそういう手があるということで。


by bugbird at 2009-03-28 08:40:28
Re:親権停止が認められた例

>エホバの件は頭の痛い問題です

いわゆる「カルト」と認定されてる宗教団体に留まらず、輸血について否定的な立場を取る宗教団体は少なからずあります。

まぁ、当然のことながら、今回のように生命の危機に瀕するに至ってまで、なおも教義を強いるような事は無いので、問題とはならないのですが。

# まぁ、その違いが「カルト」の所以たるものなのでしょう