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血液ドロドロで強制捜査

Posted on 6月 12th, 2007 in 倉庫 by apj

 Yahooニュース(産経新聞)より。

「ドロドロ血」商法で数十億円集金 医療会社を強制捜査 警視庁
6月12日8時0分配信 産経新聞

 医師や看護師の資格がないのに採血して「あなたの血はドロドロ。病気になりやすい」と診断し、高額な会員制サービスに加入させたとして、警視庁生活環境課が、東京都千代田区の医療サービス会社を医師法違反容疑で家宅捜索したことが11日、分かった。同社はグループの不動産会社を使い、採血に応じた高齢者らから中国への投資も募り、数十億円を集めたとみられる。健康と資産運用をセットにした新手の商法の被害拡大を防ぐため、警視庁は強制捜査に踏み切った。

 生活習慣病とも関係する血の流れ具合をイメージした「ドロドロ血」問題は健康番組などで注目され、同社もテレビを参考に4年前から採血を始めた。「ドロドロ血をサラサラにする」と高額器具を売りつける商法に全国の消費者センターには相談が相次いでいるが、強制捜査は異例。

 調べでは、同社は「無料で血液検査する」と、都内の富裕層の高齢者を対象に電話で勧誘。栄養士の資格しかない女性スタッフが指先に針を刺して血を採取したうえで拡大した映像を示し、「血がドロドロ」と入会を勧めたほか、営業社員が「このままではがんになる」と診断を下したケースもあるなど、医師法違反の疑いが持たれている。

 同社によると、採血に応じた人に対して鍼灸(しんきゅう)やマッサージにも勧誘。入会金100万円のほか、1~5年のコース別で30万~150万円の費用が必要で、約1600人が登録した。

 さらに、「心身ともに安心できる生活環境につながる」と中国への資産運用も持ち掛け、約1600人のうち約1割の会員から北京や桂林のホテル建設名目で集金。1人につき千数百万~3000万円超を集めた。

 関心の高い「ドロドロ血」と資産運用のセット商法について、警視庁は(1)健康不安を告げる手口に問題(2)1人あたりの出資額が大きい-としており、医師法違反の裏付けと新手の商法の解明を急いでいる。

 同社は平成6年設立でグループ約20社での売り上げは約55億円。同社は取材に対し、「医師法違反というなら真摯(しんし)に受け止めるが、『がんになる』とは言っていない。投資もきちんと説明し、解約にも応じている」としている。

 参考資料として、Sankei Webの記事より。

悪徳商法にご注意…「血液ドロドロ」実はウソ

 医師免許を持たない業者が血液の検査を行い、「血がドロドロです。サラサラにしなければ…」などと不安をあおって、高額なブレスレットやネックレスを買わせる悪質商法に関する相談が増加している。高まる健康志向とともに広がる不安心理につけ込んだ手口で、専門家は「医療機関以外での安易な検査は避けるように」と注意を呼びかけている。(山口暢彦)

「無料なので」

 国民生活センターによると、同様の相談が平成17年度だけで、589件寄せられたという。年々増加傾向にあり、8年度(132件)の約4.5倍に上っている。

 50歳代女性のケース。健康器具販売店を訪れた際、「血液を調べませんか」と店のスタッフに勧められた。スタッフは採った血を顕微鏡で見せながら、「血が動かないですね。70歳代(の血液)です」と説明。

 そのうえで、女性に磁気のある腕輪を身につけさせ、再び血液を調べると、「サラサラになりましたよ」と語ったという。腕輪の効果を信じた女性は、勧められるままに約20万円で購入した。

 ところがその後、病院で検査してもらうと、「血液に異常はなく健康体です」と告げられた。このとき初めて、女性は「だまされた」と気づいたという。

 別の60歳代の女性のケース。業者から「無料で健康チェックをする」という電話があり、自宅に招くことにした。やってきた業者は女性に対し、体に微電流を流し、悪い個所をチェックするという検査を実施。結果、業者は「1カ所だけ悪い値が出た」と語った。

 彼女は脳梗塞(こうそく)を患い、健康を気にしていただけに不安を感じた。血栓を溶かして血液をサラサラにするという32万円の健康食品を業者に勧められると、つい飛びつき、購入してしまったという。

医師法に違反

 センターによると、売りつけられるものとして特に多いのは、磁気ネックレスなどの医療用具(22.4%)や健康食品(21.7%)。ほかにも、ブレスレットなどのアクセサリー、ふとんなどの寝具類、浄水器などがあった。

 「そもそもこれらの悪質商法では、医師免許を持たない業者が検査などを行っているケースが多い」と、センター情報分析部の渡辺優一さん。その行為は、医師法に反する。また、「注射針にしても、こういった業者では使い回しされている可能性も否定できず、危ない」と渡辺さんは注意を呼びかける。

 センターに相談を持ちかける人の平均年齢は51・9歳。相談件数が増えていることについては、「健康ブームの高まりを背景に、過去に(比較的大きな)病気をしたことがあるなど健康に強い関心がある人が、トラブルに巻き込まれることが多いようだ」と話す。

早めに相談を

 「病院などの信頼できる場所以外で血液検査を受けてはいけない。もし健康に不安があるのなら、かかりつけ医に診てもらってほしい」と渡辺さん。

 また、かりに高額商品を契約してしまってもクーリング・オフなどが可能なケースも多い。「あきらめず、早めに最寄りの消費生活センターに相談してほしい」とアドバイスする。

 そもそも、何かを身につけて血液がサラサラになることなどは、科学的な根拠はない。

 慶応義塾大医学部中央臨床検査部の村田満教授(血液学)は「そもそも血液の“サラサラ”“ドロドロ”に、はっきりした医学的な定義はない」としたうえで、「一般的にブレスレットやアクセサリーを身につけて、血液の状態が改善することはありえません」と話している。

 ■クーリング・オフ 訪問販売や電話勧誘販売といった特定の取引について、業者と契約した後、一定期間内なら、消費者が一方的に書面で契約を解除できる制度。期間は契約書面を受けとった日を含め原則、8日以内。訪問販売などは不意打ち的に勧誘されるため、消費者は十分な情報を与えられないまま、冷静に考える余裕もなく契約しがちになる。このような消費者を救済する必要性から、契約後でも熟慮できる期間が設けられている。

(2007/03/29 09:13)