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中山前国交相の日教組に対する発言を考えると辞任は当然

Posted on 9月 28th, 2008 in 倉庫 by apj

 国土交通相が日教組の活動内容についての批判をするのは全くかまわない。ただ、NHKニュースが報じているような発言

成田空港の整備や日教組=日本教職員組合をめぐる発言などで野党などから批判を受けている中山国土交通大臣は27日、宮崎市で開かれた自民党の会合で、日教組は道徳教育に反対しているなどとして「何とか解体しなければならない」と発言しました。中山大臣は27日夜、記者団に対し、野党が辞任などを求めていることについて「出処進退は自分で決める」と述べました。

は明らかにまずい。日本国憲法には、

第二十八条  勤労者の団結する権利及び団体交渉その他の団体行動をする権利は、これを保障する。
第九十九条  天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ。

とある。日教組を解体すべきという主張を大臣が述べることは、この二つの条文に反することになる。
 日教組の具体的な活動内容についての批判であれば、いかに厳しい内容であっても堂々と述べればよい。そのことで大臣を辞任すべきとは私は思わない。
 中山前国交相が辞任して当然なのは、日教組を批判したからではなくて、大臣のくせに憲法の条文を理解していなかったという理由によるものである。つまり、「学力不足」「知識の不足」が原因ということなのだから、主義主張の問題に議論をすり替えないように。

#というか、大臣を任命する前に、法学検定試験の憲法学だけでも受験させて成績見た方が良くないか?行政を指揮統括する人間が憲法知りませんじゃ話にならんだろ、普通に考えて。


ここからは旧ブログのコメントです。


by 通りすがり at 2008-09-27 08:54:27
Re:中山前国交相の日教組に対する発言を考えると辞任は当然

氏は東大出て大蔵省の官僚やった人だそうですし、仮にそういう試験が出来たら楽勝で通るくらいの勉強はするのではないでしょうか。

当発言の善悪は置いて(僕も何だかなーとは思いますが、当該発言が完全に間違いと断言するだけの判断基準は持たない)、高級官僚や政治家から見た労働団体・思想団体というのはそういうものなのかもしれません。反権力なんじゃないのかという観点なら、そうじゃないかとも思いますし。
多分、ネット的に右翼な人々は、氏の発言に半分くらい賛同するんじゃないでしょうか。(僕はしません)
政治的に正しい(Politically correct)かどうかという話だと、言わなきゃよかったのにね、と思う程度には正しくないと思います。

この手の発言を見るたび、人間って、「我が世の春」状態の時に、ポロっとこういうことを言ってしまい勝ちなんだろうなと思います。
一般人なら数人の機嫌を一時的に損ねるだけだけど、政治家だと全発言が国民の話題になりえますからそれが致命的になることがありますね。


by 憂鬱亭 at 2008-09-15 10:13:15
Re:中山前国交相の日教組に対する発言を考えると辞任は当然

 こんばんは。

 adjさんが書いているような、当たり前のはずの憲法論からの指摘が、新聞やテレビでは出てこないことが、現状の日本を判りやすく示している気がします。

 日本国憲法は所謂「絵に描いた餅」状態で、実質機能していない部分が多数ある、というのがこの国の現状です。

 条文別に成人で国民投票を取ったら、労働者の権利を認めた憲法28条は、削除されるか「公共の福祉に反しない限り」なんていう制限を加えられるんじゃないか、と思うこともあります。

 中山前大臣がいう「間違った教育」を受けていない人はもちろん、「戦後教育」を受けた人のかなりの数も、「労働組合」と「共産主義者」の区別が付いてませんからね。

 教職員組合もけっこう複雑に入り組んでるので、「全教」とか「日高教右派」とか「全日教連」とか、大小左右さまざまにあるんですが、こういうときは「日教組」としか言いませんね。
 共産党系といわれる組合も、「維新政党新風」と親交がある組合もあるんですがね。
 「日教組」以外を無視するあたりは、多分、前大臣の人気取りなんでしょうね。国民のほとんどは、教職員組合というと、まずは「日教組」が頭に浮かびますから。


by QР at 2008-09-55 16:33:55
と言いますか

今の日教組ってそんなに力あるんですかね。
水伝とかTOSSとかの最近の問題教師は別に日教組と言う訳ではないと思いますが。


by apj at 2008-09-53 18:06:53
科学だけじゃなく法のリテラシーも必要

通りすがりさん、
>氏は東大出て大蔵省の官僚やった人だそうですし、仮にそういう試験が出来たら楽勝で通るくらいの勉強はするのではないでしょうか。

 すると思います。ただ、その過程で、本心でどう思っていようが憲法に抵触する発言を堂々とやっちゃったらまずい、ということくらいは気付くチャンスがありそうに思います。
 ウン十年前の国家公務員試験の内容など忘れ去っていても不思議はないですし……。

憂鬱亭さん、
> adjさんが書いているような、当たり前のはずの憲法論からの指摘が、新聞やテレビでは出てこないことが、現状の日本を判りやすく示している気がします。

 私もこれが問題だと思います。ネットを見ていると、コレでは日教組批判ができないとか何とかピントはずれの議論が出ていますが、論点はそこではないと思うので。
 憲法の条文にひかかるようなことを堂々と言う分別の無さが問題なのであって。

QP
>今の日教組ってそんなに力あるんですかね。

 組織率も下がってるし、昔ほどの力は無いでしょう。

 何か、日教組は道徳教育や愛国心教育に反対しているのでけしからん、というイメージで語られているように見えます。しかし、現実には、労働組合とは無関係に、道徳教育せよと言われたら水伝が使われたりするわけで、ここで愛国心教育などやったら、またファンシー(というかファンタジー)なネタが使われてワケがわからなくなる可能性の方が高いのではないかと。日教組が反対しなくたって、仕掛け人の思惑とはまったく違うものが現場で教えられるだろうことは容易に想像できますねぇ。


by apj at 2008-09-06 21:14:06
案外そっちが日教組の責任だったりして:-P

>「戦後教育」を受けた人のかなりの数も、「労働組合」と「共産主義者」の区別が付いてませんからね。

 むしろその部分が日教組の責任だったというオチが待ってそうな気が……。
 昔は組織率高かったし、そういう人達が教えたはずが区別できない人を作ってしまったわけで。


by Kaey at 2008-09-43 08:16:43
脱線しますが…

こんばんは

 話題の本線からは脱線しますが、この内容を読ませて戴いて、旧国鉄のことを思い出しました。
 余り表に出ていませんが、かつての国鉄が解体・民営化された大きな理由のひとつとして、国鉄職員の加入していた国鉄労働組合(国労)つぶしがあったということを読んだことがあります。大人数の組合員を要し、「ストライキ権を得るためのストライキ」を行なう組合を、政府や官僚機構は煙たがっていたようです。民営化したJRという会社に国労組合員を再雇用しなかったり、差別的待遇で雇用したりする活動などによって、新会社から組合員を排除し、結果として国労を弱体化させました。この組合つぶしの背後に国会議員が暗躍していました。
 職種によって国家公務員の団体交渉や団体行動に制限が設けられるのは理解できますが、上記の国労つぶしはまさに憲法第二十八条と第九十九条に違反していると考えられます。
 吾が国ではまだまだ憲法自体が理解・実践されていませんね。さらにいえば、我々の「法」意識が低いといわざるをいえません。
 法意識の高さ、つまり論理性の高さを政治家選びの基準のひとつにするのがいいのかも知れません。


by apj at 2008-10-31 07:46:31
必要なリテラシーは主に3つかなぁ

 生きていく上では、科学リテラシー(自然とどう付き合うか)も必要だけど、法律のリテラシー(どうやってルールを決めて社会を動かすか)と経済のリテラシー(お金の動きや利息の計算や投資について知る)も必要だと思うんですよねぇ。
 高校卒業までくらいに、この3つをきちんと教えた方がいいのでは。


by 憂鬱亭 at 2008-10-26 09:54:26
就職が主な学校では

 上でadjさんが挙げていた3つのリテラシーのうち、科学リテラシー以外の2つは、私の担任クラスではLHRで教えてました。
 ほんの導入のようなことしか出来なかったんですが。

 それと、労働法制の初歩が大事ですね。特に、退職辞職の段取りと、失業給付、求職の手続き。非正規雇用だと、企業はその辺の手続きを全く教えてくれませんから。

 でも、科学リテラシーも含めて、実施してみると難しいのは、必要だと思う相手ほど、必要な分野の理解に時間がかかることです。

 一方、大学進学者ばかりの高校では、必要なリテラシーにかかわる話を聴く機会があまりないような気がするのですが、いかがなものでしょう?


by すとんぴぃ at 2008-10-31 21:10:31
Re:中山前国交相の日教組に対する発言を考えると辞任は当然

例えば日本国憲法第15条に「公務員を選定し、及びこれを罷免することは、国民固有の権利である」と書いてあるけど
『公務員の罷免なんて無駄で意味無し』
なんて言ったら「学力不足」「知識の不足」で大臣を辞任すべき。

そんな馬鹿な。


by すとんぴぃ at 2008-10-23 21:17:23
Re:中山前国交相の日教組に対する発言を考えると辞任は当然

日教組って北朝鮮から勲章もらっているんですよね。
高校生が修学旅行で韓国へ行って戦争に関して
土下座して謝まったっていうのも日教組が関わって
いるんですよね。


by Enzo Romeo at 2008-10-25 22:16:25
Re:中山前国交相の日教組に対する発言を考えると辞任は当然

>『公務員の罷免なんて無駄で意味無し』
>なんて言ったら「学力不足」「知識の不足」で大臣を辞任すべき。
>
>そんな馬鹿な。

誰も言ってませんけど?

詭弁のガイドライン
1.事実に対して仮定を持ち出す
(中山前大臣が「日教組を解体しなければならない」「日教組をぶっ壊す」と発言したのは事実。「公務員の罷免なんて無駄で意味無し」は仮定)
に当てはまります。


by すとんぴぃ at 2008-10-36 02:46:36
Re:中山前国交相の日教組に対する発言を考えると辞任は当然

Enzo Romeoさんこんにちは

> 中山前国交相が辞任して当然なのは、<<中略>>
> 大臣のくせに憲法の条文を理解していなかったという
> 理由によるものである。

憲法から外れた言動→憲法を理解していない→辞任して当然
という趣旨の発言ですな


by すとんぴぃ at 2008-10-43 02:52:43
Re:中山前国交相の日教組に対する発言を考えると辞任は当然

> 中山前国交相が辞任して当然なのは、<<中略>>
> 大臣のくせに憲法の条文を理解していなかったという
> 理由によるものである。

これが一般論として成り立つようなものかということですよ。

詭弁のガイドラインのサンプル見ましたが
1.事実に対して仮定を持ち出す
「犬は子供を産むが、もし卵を生む犬がいたらどうだろうか?」

こういうのと同類に見えたって事は『杓子定規』なんでしょうね。


by apj at 2008-10-44 03:44:44
で、あなたの意見は?

>これが一般論として成り立つようなものかということですよ。

 で、あなたは成り立つと思っているのか、思っていないのかどっちですか?


by エディ at 2008-10-05 12:02:05
Re:中山前国交相の日教組に対する発言を考えると辞任は当然

普通に「日教組批判」ならば言論の自由の範囲内でしょうが、「日教組を解体せよ・ぶっ壊す」は憲法28条で保障された労働基本権の侵害に他ならないと思います。

そこがわからず「その通りだ」「よく言った」と中山前大臣を評価するヒトは、余程のお金持ちか人を使う立場の側なんですね…。


by Enzo Romeo at 2008-10-43 23:36:43
Re:中山前国交相の日教組に対する発言を考えると辞任は当然

『杓子定規』の意味がわかって言っているのでしょうか?

それとも『公務員の罷免なんて無駄で意味無し』と発言した大臣がいたとでも?


by apj at 2008-10-21 23:45:21
多分……

エディさん、

>余程のお金持ち
 金持喧嘩せずって言うし。
 本当のお金持ちなら、他所の労働組合が何してようが関係無いから、何を言われようと気にしないのでは。

>人を使う立場の側
 自分で会社を経営していて、かつ、自分トコの労組がやたら強くて、いつも労使交渉に頭を悩ませている代表取締役ならば、「日教組を解体せよ・ぶっ壊す」発言に共感しても不思議はないですけど。
 イチ労働者に過ぎないのにこんな発言に共感したとしたら、ただのお笑いぐさではないかと。


by 粗忽者@西原 at 2008-10-17 20:56:17
Re:中山前国交相の日教組に対する発言を考えると辞任は当然

失礼します。

>>すとんぴぃ さん
横ヤリばかり入れて、うっとおしいでしょうが少しだけ。

>例えば日本国憲法第15条に「公務員を選定し、及びこれを罷免することは、国民固有の権利である」と書いてあるけど
>『公務員の罷免なんて無駄で意味無し』
>なんて言ったら「学力不足」「知識の不足」で大臣を辞任すべき。
>
>そんな馬鹿な。

憲法第九十九条で国務大臣などの公務員がその憲法自体を尊重するように取り決められているのなら、憲法に矛盾する発言をした大臣を批判することは、とりあえず正当かと。
ただ同時に、憂鬱亭さん が

> 日本国憲法は所謂「絵に描いた餅」状態で、実質機能していない部分が多数ある、というのがこの国の現状です。

と指摘しているとおり、上で すとんぴぃさん が例としている憲法第十五条の条文が実生活と乖離して実質機能していないために、それによって得られる結論にも違和感を感じるのではないでしょうか。

つまり、論理に問題があるのではなく、前提としている条文が妙なのでは?